俺の夢にはISが必要だ!~目指せISゲットで漢のロマンと理想の老後~   作:GJ0083

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夢の為に身売りしました。

 拝啓、父さん母さん、息子は現在、年下の女の子に首輪を付けられ動物扱いされてます。俺何か悪い事しましたかね? 夢の為とはいえちょっと泣きそうです……アハハハ。

 

「おい神一郎、大丈夫か?」

 

 ちょっと現実逃避していたら千冬さんが心配してくれた。

 

「大丈夫です。えぇ、これぐらいで夢を諦める訳にはいかないんですよ。例え飼い主が子供に首輪を付ける変態でもです」

「夢の為に変態に身売りか、見事な覚悟だ」

「束さんを変態扱いしたまま話を進めないでくれるかな?」

「「黙れ変態」」

「ちょっ! 二人して酷いよ!」

 

 俺と千冬さんの返事に束さんがブー垂れてるが気にしない。

 

「所で束さん、大事な話がまだ終わってないですよ?」

「ほえ? なんかあったっけ?」

「実験動物の期間とか、ISを譲ってくれる時期とか、その辺をはっきりさせましょう」

 

 ほえ? じゃねーよ。この人、契約とか約定とか言葉知らなそうだもんな。その辺決めとかないと、一生飼い殺しか、飽きたら解剖とかになりそうだ。

 

「期間ね~、束さんが飽きるまで、じゃダメかな?」

「あははダメに決まってるじゃないですか」

 

 こいつ本気で油断できねぇ。

 

「束さんはいつかこの家を出ますよね?」

「ん? そーだね。いつかは出て行くよ」

「それでは、その日にしませんか? 束さんがこの家を出て行くその日が契約終了の日、でどうでしょう? ISもその時に戴きます」

 

 時期的には約三年後、妥当な所だろう。

 

「君は束さんが居なくなる日を知ってるね?」

「そうですね。私が話してもタイミングは変わらないと思うので言いますが、数年後です」

「その辺詳しく聞きたいなぁ~」

「未来の事はそうそう話す気はありませんからね?」

「え~なんで~?」

「それはですね、仮に、仮にですよ? 俺が千冬さんの、将来の旦那さんの名前を知ってたらどうします?」

「あ? ちーちゃんに付く虫なんてぶっ殺だよ! 自白剤使ってでも聞き出すよ!」

 

 だよね。知ってた。

 

「そんな訳で千冬さん、束さんが無理矢理未来の事を聞き出そうとしたら、その時はお願いします。下手したら誰かの人生が終わります」

「まかせろ。その時は私が止める」

 

 本当に頼りになるなこの人。凄い漢らしい。

 

「あ?」

「なんでもありません」

 

 そして勘の良さが凄い怖い。

 

「では、束さんがこの家にいる間は、実験動物します。ですが、命に関わるような実験は禁止、転生や未来の事は話せることは話しますが、他の人の人生に影響が出そうな事などは話せません。対価のISは後払いで。以上の約束を破った場合、千冬さんの制裁。よろしいですね?」

「ちーちゃんの制裁は怖いからね。それでオッケーだよ」

「束のストッパー役はかまわん。いつもの事だ。しかしいいのか? 数年もこいつに付き合うのはキツいぞ?」

「他にもお願いがありまして、そっちは時間掛かりそうなんで――束さん、等価交換についてもう少し話したいんですが?」

「まだ何かあるのか?」

「えぇ、対価が払えれば、お願い聞いてくれるんですよね?」

「払えればね」

「“ISの欠陥について”なんてのはどうでょう?」

「“男にISは使えない”の事かな?」

「やっぱり知ってましたか。知ってて黙ってるなんて趣味が悪いですよ」

「束さんにも原因は分からないんだけどね。君があまりにも自然にISが欲しいなんて言うから、未来では男もISが使えるもんだと思ったんだよ」

「いえ、未来でも男は乗れないままです。むしろ束さんが意図的に男に乗れない様にしているのでは? なんて噂がありましたね」

「束さんがそんな面倒な事するはずないじゃん」

「ですよね~。それでですね? 俺は“ISに乗れるかもしれない男”なんです。もし乗れたら、良いデータが取れると思いませんか?」

「おい待て神一郎、お前“かもしれない”でIS欲しいと言って身売りしたのか?」

 

 千冬さんが呆れ気味だ。

 

「たぶん、きっと、九分九厘大丈夫なハズです」

「大丈夫じゃなかったら無駄死にだな」

 

 ISに乗れないのにIS世界に転生……笑えない。本当の無駄死にだ。

 

「くっ……あはは」

 

 千冬さんと話してると束さんの笑い声が部屋に響いた。

  

「IS欲しいなんて言うからまさかとは思ったけど、うん。本当に乗れるなら貴重なデータだね。んじゃこれに触ってみて」

 

 どこから取り出しのか、束さんの手のひらには、こぶし大程の球体が乗っていた。

 

「まさか、ISコアですか?」

「手っ取り早く実証検証してみようか」

 

 大丈夫だよね? 信じてるよ神様!

 そっと指先がコアに触れる。その瞬間。

 ――PIC、ハイパーセンサー、操作の仕方、様々な情報が流れてきた。

 

 軽い目眩がして頭を振るう。

 

 「本当に動かせるんだね。ただの珍しい検体程度の認識だったけど、転生者だから反応したのか、それとも君の特性なのか……うん、これは興味深いよ”しー君”」

 

 初めて名前を呼ばれた。認めれたと思っていいんだろうか……実験動物からレア実験動物に変わった位にしか思えないが。でもこれで――。

 

「随分嬉しそうだな」

「夢に一歩近づきましたからね。千冬さん、名前を呼ばれたって事は、少なくても命の心配はしなくていいですよね?」

「束は気に入った相手しか名前を呼ばない、気に入った相手に無茶はしないだろう」

 

 ここに連れてこられた時はどうなるかと思ったが、本当に良かった。当初の予定とは大分違ったけど……。

 

「それでしー君、なんでISが使えるのか色々調べたいんだけど、その対価は?」 

「あ、すみません、対価はですね。ISの事を教えて欲しいんです」

「ISの何を知りたいのかな?」

「えっとですね。将来的には、ISが旅の相棒になりますよね? だから日常のメンテナンスや旅先でISが壊れた時に、せめて応急修理が出来る位の知識が欲しいんです」

「ふむふむ、先を見据えた良い願いだね。その願い、束さんが叶えてしんぜよう! ISコアさえ無事なら、その辺の車からISを作れる様にしてあげるよ!」

「やっ、そこまでは求めてねーです」

 

 フレンドリーになったのは嬉しいけど、飛ばしすぎです束さん。

 あ、でもバイク型に変形したりしたらかっこいいかも。

 

「ちなみに束さん、ISに付けて欲しい機能があるんですけど、聞いてくれます?」

「ばっちこいだよ! って言いたいけど、しー君が他にどんな引出しがあるか気になるから、あえて対価を求めてみるよ~」

 

 束さんがキラキラした瞳で見てくる。期待させて申し訳ないが、これ以上俺に出せる物はないんだが……。

 いや、原作ブレイクになる可能性があるが、ワンチャンあるな。

 

「俺自身の引出しはもう品切れですよ。所で、束さん、千冬さん、自分の夢の為に、他人の人生を犠牲にするのは有りですか?」

「無しだな。神一郎、何を考えてる?」

「有りだね。無能共の夢なんてどーでもいいよ」

 

 すまんなワンサマー、俺の夢の為にハーレムは諦めてくれ。

 半分以上は嫉妬だけどな!

 

「一夏と箒の事なんですが」

 

 おふっ、二人の目が怖い。千冬さんはともかく、束さんもか、名前を呼んでくれたけど、流石に箒の方が大事みたいだな。だが、だからこそのこの一手。

 

「箒が一夏の事が好きなのはお二人共知ってますよね? 甲斐甲斐しく一夏の世話したりして、初々しいですよね?」

「それがどうした?」

「あの二人、“十年後もあんな感じだ”って言ったらどうします? いや、今より酷い状況ですね」

「どーゆー意味かな? 言葉通りだと、十年後も初々しいけど、喧嘩しちゃってる感じ?」

「十年後も箒が色々アピールするも一夏がそれに気付かず友達のまま、むしろ第二次性徴を迎えた箒が一夏に接触するのを恥ずかしがって今より不器用なアピールしてますね」

 

 

 

 

「「え???」」

 

 そうなるよね。あの二人見てればそう遠くない未来に付き合いそうだもんね。

 

「ちょっと待て神一郎。いくらなんでも普通気付くだろ?」

 

 残念ながら、貴女の弟は普通違います。

 

「未来の話を少しだけしましょう。未来の一夏は、外国の女の子にキスをされても“外国のキスって挨拶だよな”と言い。私のご飯毎日食べてよ。って言葉には“え?毎日ご飯奢ってくれるの?”と言う男です」

 

「…………」

 

 千冬さんは呆然としている。

 

「いっくん……」

 

 すごいな一夏、天災も言葉を失ってるぞ。

 

「それでですね束さん、箒の恋を応援しよう思うのですが、どうでしょう?」

「それは、うん、箒ちゃんの事を思えば有り難いけど……」

「一夏に何かする訳ではないんだな?」

「はい、一夏には何もしません。あくまで箒のお手伝いだけです」

「でもでも、お姉ちゃんとしては、束さんがお手伝いしたいよ」

「恋愛経験のない束さんには、一夏に惚れ薬を仕込むのが精一杯では?」

「束、一夏に変な事をしたら、分かっているな?」

「ちーちゃん、流石の束さんもそこまではしないよ」

 

 いえ、やりそうだから釘刺してるんだと思いますよ?

 

「束さん、千冬さんを“お義姉さん”って呼びたくないですか?」

「ちーちゃんが……おねえちゃん?」

 

 これはもらったな。

 束さんに手を差し出す。

 ガシッと握り合う。

 

「しー君、君に逢えたことを幸運に思うよ」

「俺もです束さん」

 

 二人でニヤッと笑い合う。

 その横で、千冬さんは深いため息をついた。




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