俺の夢にはISが必要だ!~目指せISゲットで漢のロマンと理想の老後~   作:GJ0083

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箒の妹力は53万

 束さんとの契約から数日たった。さっそく実験台にされると思ったが、白騎士の開発が目前らしく、今はそちらに力を入れたいらしい。なので現在、道場に通いながら箒に近付くタイミングを見ているのだが。

 

「一夏、大人しくしていろ」

「だから箒、痛いってば! もう少し優しくしてくれ!」

 

 モッピーは今だ“頭拭いてあげる攻撃”を繰り返していた。年齢を考えればアレが最大限のアピールなんだろうな。だが、それぐらいじゃ駄目なんだよ。

 

「箒、ちょっといいかな?」

 

 一夏の頭を拭き終わり、満足げにしている箒を手招きする。

 

「神一郎さん? なんですか?」

「いきなりだけど、箒は一夏の事好きなんだよね?」

「な、なにを突然!?」

「実はね、束さんに箒の恋を応援してくれって頼まれたんだよ」

「姉さんに? 神一郎さん、姉さんと仲良くなれたのですか?」

「この前話した時にちょっとあってね。それから仲良くさせてもらってるよ」

 

 実験動物としてね。

 

「凄いですね。たった一日で姉さんと話せる様になるとは」

「自分でも驚いてるよ」

「気持ちは嬉しいですが、一夏が好きなんて誤解です。私が一夏のことが好きなんて事ありません」

 

 ほう?

 

「そうなんだ、実は知り合いの子に一夏の事を紹介して欲しいと頼まれてたんだけど、箒に悪いと思って断ったんだよね。でも、箒にその気がないなら……いいかな?」

「べ、別に一夏が誰と付き合おうが、私には関係ない!」

「箒、頼むからそんな泣きそうな顔しないでよ。今のは冗談だから」

 

 口調とは裏腹に泣きそうな顔をする箒。

 モッピーとか言ってごめんね。そうだよね。箒には大切な初恋だもんね?

 うん、流石に小学生を泣かすのは罪悪感が半端ないな。

 

「でもね、箒も学校とかで知ってると思うけど、一夏がモテるのは本当なんだよ? 箒は一夏が別の女の子の所に行ってもいいの?」

「それはいやだ……」

「だからね箒、箒が一夏と付き合えるように、俺にお手伝いをさせてくれないかな?」

「でも良いんですか? いくら姉さんの頼みとは言え……」

「束さんから頼まれたって理由もあるけど、俺自身が箒を手伝いたい気持ちもあるんだよ?」

「そうなんですか?」

「うん、箒の一夏に対するアピール見てたからね。応援したくなっちゃった」

 

 これは本当。横から見てる身からすれば、箒の健気さは応援したくなる。

 

「その……そう言って貰えるのは嬉しいです。誰にも相談出来なかったので……」

 

 同門で歳上の俺だから一夏への気持ちを話してくれたが、箒は気難しい性格だ、学校の女の子などはライバルだろうし、姉はアッパパーだし、本当は誰かに相談したかったんだろうな。

 

「箒、さっそくだけど、俺の案を一つ聞いてくれないかな?」

 

 

◇◇ ◇◇

 

 

「ここが神一郎さんの家か」

「今日は誰も居ないからゆっくりしてってくれ」

「お邪魔します」

「ほら、箒も入って」

「おじゃまします……」

 

 顔を赤らめてうつむく箒を先に促す。

 現在、箒と一夏を自宅に招き、箒と一夏をくっつけよう作戦を実行中である。作戦内容はすでに箒に話している。そのせいで箒がだいぶ緊張しているようだ。頼むからテンパって一夏を殴ったりしないでくれよ。

 

「一夏、そこのソファーに座って待っててくれ、カメラはちゃんと持って来た?」

「言われたから持って来たけど、何に使うんです?」

「それは後でのお楽しみ、箒はこっちの部屋においで」

「はい……」

 

 箒、いい加減覚悟を決めろ、合流した時からそんな感じだから、一夏がさっきから不審がってるぞ。

 寝室に移りドアを閉める。そこには、いくつもの箱が置いてる。

 

「さて箒、まずはコレから行こうか、着方が分からなければ、そこの紙を見てくれ、書いてあるから」

「神一郎さん、これで上手く行くんですか?」

「流石に今日明日にでも付き合える、って事にはならないよ、今日の作戦は、まずは一夏に“箒は可愛い女の子”ってことを意識させる事だから」

「かっ可愛いですか?」

 

 おう、顔を赤くする箒マジ天使。この子、子供の時の方が女子力高くない? 原作だと残念美人感が凄いのに。

 

「箒は可愛いよ、自信持って。俺は一夏の所に戻るから、頑張るんだよ」

 

 箒を残し部屋を移る。さてと、一応一夏に釘刺さないとな。

 

「一夏、箒の準備が終わるまで少し時間がかかる。今日の事は箒に聞いてるよね?」

「えっと、神一郎さんは服を作るのが趣味で、それを箒に試着してもらうんですよね?」

 

 大嘘だけどね。服? 通販ですが何か?

 

「そうそう、それで一夏が写真が趣味って聞いたからさ、束さんにあげる写真を撮ってもらおうと思ってね」

「束さんにあげる用ですか、でも俺、あくまで趣味みたいな物だから上手な訳ではないですよ?」

「スタジオで撮るんじゃないんだから、そこまで拘らなくて大丈夫だよ。それと一夏、箒が出てきたら、ちゃんと、可愛いって言ってあげるんだよ?」

「それは……」

 

 俺の声に微妙な反応の一夏、まぁ、そんな事を言うのが恥ずかしい年頃だもんな。

 

「一夏は千冬さんに料理を作った時に、美味しいって言われたら嬉しいよね? それと同じで、箒は一夏に可愛いって言われたら嬉しいと思うよ?」

「ガンバってみます……」

 

 期待しているぞ一夏。

 その時、トントンッ、とノックが聞こえた。

 さあ一夏、幼馴染の実力を見るがいい。

 

「どうぞー」

 

 おずおずと入ってくる箒、そこには……。

    

「似合う……かな?」

 

 白ゴスを身に纏った箒がいた。そう白ゴスである。箒はキャラ的に黒ゴスが似合いそうだが、長く綺麗な黒髪を目立たせる為に、あえての白!

 何時もの凛とした姿はなく、うつむいてモジモジしている箒。マジ可愛い、妹にしたい!

 普段は絶対にこんな服を着てくれないだろう、しかし、“一夏に可愛いって言ってもらいたくない?”って言ったらあっさり了承してくれた。顔は真っ赤だったけど。

 

「…………」

 

 一夏は沈黙している。よく見れば頬が少し赤くなっていた。

 肘で一夏をつついて正気に戻す。

 

「き、きれいだぞ箒」

「っ、そんなにまじまじと見るな馬鹿者」

 

 うんうん、良かったな箒。

 

「ここからは一夏主体な、ほらほら一夏、いつまでも見とれてないでカメラ構えろ」

 

 まあ、写真撮るのは一夏だけじゃないんだけどね。

 俺もカメラを構える。子供同士なんだから犯罪じゃないからな!

 

 白ゴスから始まり、サクラ色の浴衣→束さんとお揃いのアリス風エプロンドレス→バンド女子高生の制服→白ワンピに麦わら帽子。

 

 箒の衣装が変わるたびに一夏はちゃんと褒めている。箒もそのたびに頬を緩ませている。

 今回の作戦は成功だな。

 

「さて、次が最後だよ。一夏は――はい、この服に着替えてね」

「俺も着るんですか?」

「女性物だけ作ってる訳ないじゃないか」

 

 一夏が着替えてる間に箒と一緒に部屋を移る。

 

「どう?写真撮られるのも悪くないでしょ?」

「はい、最初は恥ずかしかったですが、カメラ越しに一夏が真剣に私を見てくれるのを感じて……」

「惚れ直した?」

「その……はい……」

 

 この子は本当にアノ篠ノ之 箒なんだろうか? 原作時は難しい年頃だとはいえ、同一人物に思えない程素直で可愛いじゃないか。

 

 なでりなでり。

 思わず頭を撫でてしまった。あ~さらさらで気持ちいい。

 

「あの?」

「束さんが羨ましい、俺も箒みたいな妹が欲しかったよ」

「そうなんですか? 私なんて姉さんに比べたら……」

 

 束さんにコンプレックスがあるんだっけ?

 箒の頭から手を離し、屈んで目線を合わせる。

 

「箒は束さんのどんな所が凄いと思う?」

「全てです。美人だし頭が良いし、それに剣だってすでに父さんを超えてるって……」

「良い歳してコスプレしてるし、常時うさみみだし、常識知らないし、ロリショタだし、コミュ障だけどね」

「……神一郎さんは、姉さんが嫌いなんですか?」

「好き嫌いで言えば好きだよ」

 

 俺の夢を叶えてくれる人だからね。

 

「箒、束さんに勝つ方法を教えてあげよう。いい? いつか彼氏を紹介してやれ、それで『姉さんはいつになったら結婚するんですか?』って言ってやるんだ」

「そ、そんなこと言えません!」

「何が言いたいかというとだ、女の子としての魅力は箒の方が高いってこと」

「魅力ですか? でも姉さん美人ですよ?」

「中身の問題だよ。アノ性格じゃ男はできないだろう」

「そうなんですか?」

「そうなんだよ。さて箒、束さんに勝つ為にも、一夏に頑張ってアピールしよう」

 

 箒の頭を撫でて笑いかけ部屋を出る。

 一夏はすでに着替え終わっていた。

 

「神一郎さん、ネクタイの付け方がわかんなくて」

「俺が付けるよ、ちょっとアゴ上げてくれ」

 

 一夏からネクタイを受け取り付けてあげる。

 しかしあれだな、一夏はなんで照れてるのかね? そんなんだからホモ扱いされんだよお前は、一夏ルートとかないからな?

 一夏と話しながら箒を待っていると。

 

「お待たせしました」

 

 赤いドレスに身を包んだ箒が出てきた。

 装飾は抑えたシンプルな赤い衣装。子供用ながらプロが作った一品で、新型のPC並の値段がした今回の目玉である。

 ちなみに一夏はスーツ姿である。そろそろ俺が作ったって嘘に気づいてほしんだが。

 

「…………」

「…………」

 

 見つめ合ってらっしゃる。

 

「…………」

「…………」 

 

 二人共顔が真っ赤でござる。

 

「ほ、箒、凄くきれいだ」

「あ、ありがとう。い、一夏も似合ってるぞ」

 

 砂糖吐きそうだ。

 

「とりあえず、最初は並んで撮ろうか」 

 

 俺の言葉に、ビクッっと反応する二人、俺の存在忘れてましたか? 別に構わないけど、見てない所でやってくれ。

 

 

 

 

 

 

 

「今日は助かったよ二人共。一夏これはお礼だ」

「これは?」

「“ハムの人”だよ」

「“ハムの人”!? 貰って良いのですか?」

「うちじゃ食べ切れないから、良かったら貰ってくれ」

 

 織斑家は千冬さんと一夏の二人暮らし、生活費は千冬さんが稼いでいる。元社会人として本当に尊敬する。出来れば現金とか渡したいけど、千冬さんは受け取らないだろう、なので苦肉の策で現物支給である。食べ物なら受け取り拒否はしないだろ。

 

「箒にはコレだよ」

 

 一夏に見えないように箒に渡す。

 

「ロケットですか?」

「そうだよ、開けてみて?」

 

 箒がロケットを開けるとそこには。

 

「さっき撮った二人が並んだ写真だよ。プリントアウトして加工してみた。どう?」

「嬉しいです。ありがとうございます」

 

 ロケットを胸の前でギュッと握る箒。

 

 なでりなでり。

 いちいち反応が可愛いなこの子は。

 

「箒、何かあったら相談してくれ。出来るだけ力になるから」

「神一郎さん……」

「そして出来れば“兄さん”と呼んで欲しいな」

「はい?」

 

 最初は束さんとの約束だったから箒の応援したけど……鈴&ラウラ、すまん、ファンとして二人を応援したかったけど、子供箒が可愛すぎるんだ。本気で応援せずにはいられない。

 箒がポカンとしてる中、まだ見ぬヒロインに謝罪した。




箒と一夏の子供の時の口調がわからない……。
でも、二人共年上にタメ口とかないよな? と思いこんな感じに。
似た口調が三人とか、読みづらかったらすみません。
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