俺の夢にはISが必要だ!~目指せISゲットで漢のロマンと理想の老後~   作:GJ0083

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上司が変わった。
新しい上司は適度にストレスを与えてくれる良い上司です(*'▽')

ふと思った。
小説を書くことがストレス発散になる人間になれば俺最強じゃね?
 
そんな訳で更新です。


胃を守る為に原作ブレイクするのは間違ってるだろうか?

 マンガやアニメの世界に転生して、俺は原作キャラに関わらないとかぐだぐだ言う奴がいる。

 まぁ俺の事なんだが。

 二次小説読んでて、そんな主人公がぐだぐだ言ってるとイラっとするけど……相手に立場になって初めて理解できる恐怖がある。 

 自分の所為で原作が変わり、それで原作キャラが傷付いたり死んだらしたらと考えると関わらないのが正解だろう。

 もうだいぶ関わったって? 今は原作開始前だからセーフ。

 この辺の境界線は本当に難しい。

 どっぷり関わって未来を変えたくない。

 原作知識の意味がなくなるからだ。

 だが、である。

 自分の胃を守る為ならセーフだよね?

 

「うぉぉぉ……!」

 

 あ、胃酸が逆流してきそう。

 モンド・グロッソが終わり多額の金を手に入れてウハウハだった俺だが、今はテンションが一気に地の底だ。

 俺の胃を苦しめる問題。

 それは――

 

 セシリア・オルコットの両親問題!

 

 小説を読んでるとたまに作者の闇が垣間見える事がある。

 インフィニット・ストラトスという小説の特別な所は? と聞かれたら俺はこう答える。

 原作キャラの両親が排除されすぎ! と。

 マンガやアニメやゲームで親が居ない設定はあるあるだ。

 学生なのに敵と戦ったりするのだ、常識を教える立場である親が物語を作る上で邪魔なので排除するに限る。

 そこは理解できる。

 ギャルゲーやエロゲーでも親が海外出張からの幼馴染と同棲はテンプレ。

 だがしかし、親という存在が物語のスパイスだったりするものも多くある。

 親が主人公に戦いを教える師匠ポジだったり、親がボケて主人公がツッコむ事で笑いを生んだりと活躍の場は多い。

 そんじゃそこらのサブキャラより光る親も存在する。

 なのにだ――

 

 織斑家→そもそも親が存在しない。

 篠ノ之家→母親死亡、父親は保護プログラムで日本全国を逃亡。

 鳳家→離婚。

 デュノア家→母親死亡、その後引き取られた父親はDV疑惑有り。

 ボーデヴィッヒ家→試験管ベイビーなので織斑家と同じく親は存在しない。

 更識家→学生の身分で対暗部組織の長という設定なので両親が死んでる可能性が高い。

 そしてオルコット家→幼い頃に両親は事故死。

 

 いや分かるよ? 学生がテロリストと戦う設定なので邪魔な親を排除した。

 きっとそうなのだろう。

 てかそうあって欲しい。

 作者が親という存在になにか含むところがある訳じゃないよね?

 いやでも親排除しすぎだろう……。

 別にさ、見知らぬ誰かがどこかで死のうと気にしないさ。

 人間なんてそんもん。

 だがふと気付いた。

 仮にだが、将来一夏にセシリア・オルコットを紹介されたとしよう。

 俺の友達ですってさ。

 原作に関わる気はないけど、会ってしまう可能性がある。

 その時に――

 

『どうも初めまして。貴女のご両親が死ぬ事を知ってけどなにもしなかった男です』

 

 って挨拶できる?

 想像してみよう……胃が死ぬわ!

 人間はいつ死ぬか分からない。

 知らないんだから助けられないのは仕方がない。

 でもそれって知らないから許されるのであって、知ってたら話は変わるよね。

 まずセシリアの顔を真っ直ぐ見れないし、両親の死に悲しんでる姿を見たら罪悪感で絶対に吐く。

 そんな事実に気付いてしまったのだ!

 

「おぉぉう……!」

 

 胃が重いよ苦しいよー。

 こんなんじゃ美味しくお酒は飲めない。

 お酒が美味しなく人生はダメだ。

 ならば動くしかあるまい!

 インフィニット・ストラトスの原作期間は恐らく一夏が学校に在籍してる間。

 つまり、卒業してしまえばオルコット夫妻が生存する事で生まれる原作ブレイクは起きない。

 起きないっていうか、その後になにが起きようが俺に責任はない。

 オルコット夫妻を事故から助けどこかで保護! 卒業式でサプライズゲストとして登場! これしかあるまい!!!!

 誰もハッピーで良い事だ。

 我ながら素晴らしい頭脳。

 だが俺一人の力では成し遂げられない。

 協力者が必要だ。

 胃薬を飲んで俺はISを纏う。

 目指すのは魔王城――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「協力してください!」

「初手土下座!?」

 

 デ・ダナンの操縦席に座る束さん。

 その足元で俺は床に頭を付ける。

 

「どうかこの通り!」

「いやいや、状況がサッパリサッパリ」

「頼みます!」

「まずは話せ」

「……はい」

 

 頭をぐりぐりと踏まれる。

 勢いだけは無理だったか。

 頼れる天災の協力は是が非でも必要。 

 なんとか束さんを口八丁で釣らなければ!

 情に訴えても無駄だろうしね。

 

「助けたい人が居るんです」

「ほう? しー君が珍しいね。どこの美少女?」

 

 なんで美少女限定。

 俺ってそんなイメージかよ。

 失礼な。

 

「とある夫婦です」

「ひょ? これはますます珍しい。いいね、ちょっと興味が湧いた」

 

 凄いね、俺が美少女以外を助けたいって言っただけで束さんの興味が引けるのか。

 都合がいいけど納得いかない。

 

「そのとある夫妻って未来の一夏の友達の親なんですよ」

「ふーん、つまり他人だよね? まさかその程度で私が動くなんて……」

「流石に思ってませんよ」

 

 うん、この反応は予定通り。

 だが俺も束さんとの付き合いは長い。

 余裕ですとも。

 

「その友達って箒の恋のライバルなんです」

「……しー君の意図が分からないなー。なんで敵の親を助けるの?」

「そんな事も分からないとは束さんもまだまだだなー」

「ワンアウト」

 

 なんかカウント取られた。

 スリーアウトでチェンジなのだろうか?

 

「そのライバルの名はセシリア・オルコット。幼いうちに両親を亡くした影を持つ美少女です!」

「っ!? 薄幸の……美少女っ!?」

「そうです。箒と似た属性を持つ美少女です!」

「……理解した。いっくんは甘い所があるからね」

「えぇ、なんだかんだとセシリア・オルコットを気に掛けます」

「だけど両親が存在し幸せな家庭で育ったなら――」

「ただの美少女です。顔だけの女など箒の敵ではありません」

「ふっ、しー君も悪い事考えるじゃないか。まさかそんな手段で箒ちゃんの敵を排除するとは」

「女の子に優しくするのは当然では? 誰も彼もが幸せになれるんですから問題ありません」

「確かにその通りだね。慈善活動もたまには悪くない」

 

 二人仲良く悪い笑顔。

 さぁ皆さんご一緒に。

 ミッションコンプリートッ!!!!

 セシリアが卒業するまで存在を隠すなら束さんを騙す事になるって? そこは安心してくれ。

 だって束さんだよ? 有象無象の存在をいつまでも覚えてると思う?

 三日でオルコット夫妻の存在なんて忘れてるだろうさ。

 

「んじゃその人物の情報ちょうだい」

「セシリア・オルコットはイギリス出身で一夏と同い年。両親の名前は知りません」

「イギリスのオルコットね。そこまで情報が分かれば……むむ?」

 

 束さんの手が止まり形の良い眉が歪む。

 これは簡単に行かないパターンか?

 

「しー君、ちょっとご飯作って来て」

「このタイミングで?」

「少しばかし調べたい事がね。ちょい時間掛かるからよろ」

「椅子に座ったまま食べれる系でよろし?」

「よろしよし」

 

 ならば丼系かな。

 デ・ダナンにある食材で作れる男料理は……焼肉丼か。

 肉の下にレタスを引けばそれっぽく見えるだろう。

 オルコット夫妻についての反応が気になるが、束さんの邪魔をしないよう大人しく下がりましょ。

 

 

  

 

 

 

 

 

「オルコット夫妻は一般人ではない! むぐむぐあぐ」

「ほうほう。 ガツガツ」

 

 束さんは椅子に、俺は床に胡坐をかいて丼メシをかきこむ。

 行儀が悪いが友人と食べる雑なご飯はこれくらいがいいのだ。

 

「オルコット夫妻はとあるIS開発に関わっている。んで命狙われてます。むしゃむしゃ」

「食べながら重要な事を言わないでくれます?」

 

 思わず箸が止まったわ。

 オルコット夫妻にそんな秘密あったの? 流石は原作ヒロインの両親。

 軽い気持ちで関わるのは危険かもだ。

 

「ご馳走様でした」

「はいお粗末でした」

「ふぅお茶が美味い……」

「いや落ち着かないで? お腹撫でながら会話切らないで?」

「……五分だけ寝ていい?」

「ダメ」

「ぶぅー。んじゃまあ真面目に話すね」

 

 

 うまうままるまる

 

 

 束さんが集めた情報をまとめるとだ――

 現在、イギリス上空の衛星軌道上に一つの衛星が建造されている。

 一見ただの衛星の見えるそれの正体は巨大なIS。

 遥か上空から祖国に迫る敵を高度エネルギー収束砲で撃ち落とす兵器。

 そのISの名前は『エクスカリバー』。

 これは……セーフかな?

 ビームを撃つエクスカリバーとか珍しくないからセーフで。

 このISの開発に関わっているのはイギリスとアメリカ。

 イギリスはアメリカの宇宙開発技術が欲しかったんだろうけど、秘密兵器開発に他国を関わらせるのはどうかと思う。

 オルコット夫妻はこの開発に関わってるんだけど……どうやらかなり危ない橋を渡ったらしい。

 使用されたISコアはイギリスが所有するコアではない。

 オルコット夫妻が裏の組織から手に入れたISコアだ。

 ISコアさえ裏取引きされてるとか恐怖でしかないわ。

 どこかの国が売ったのか、それとも奪ったのか分からないが、どちらにせよやべーです。

 その出所不明のISコアをオルコット夫妻は自国の兵器に使用したのだ。

 とまぁここまで聞けばオルコット夫妻は悪と簡単に言えるんだが――

 

「これは将来有望だね」

「いや、俺は今だからこそお願いしたい」

「ロリは死ね」

「だって可愛くない? 幼さの中にも色気を感じる」

「病弱美幼女。死に近いからこそ妖しい魅力があるのは認める」

「ペドは死ぬべきでは?」

 

 イギリスを守る為のIS。

 その正体は生体融合型のISだ。

 俺と束さんの心を奪った美幼女、エクシア・カリバーンは心臓に病を抱え死を待つばかりの存在。

 そんな彼女はオルコット家と関わりが深い家の出らしく、床で臥せってる状態らしい。

 しかし融合型のISに死を待つばかりの美幼女とは……さては劇場版だな?

 このバックストーリーの厚さ、キャラの濃さ、原作では見た事ないので断言はできないがインフィニット・ストラトス劇場版と見た。 

 これを潰すと一夏の覚醒イベントも潰しそうだ……対応に悩むな。

 

「まさか美幼女を助ける為の行動だったとは……オルコット夫妻とは良い酒が飲めそう」

「二兎追って二兎とも得ようとしたせいで暗殺されかけてる訳だね」

 

 オルコット夫妻が計画は個人的には素晴らしいものだ。 

 

 ①将来的に世界情勢が荒れ、ISが戦場に登場すると予期し自国と自分達の娘が危険と判断し『エクスカリバー』の建設を立案。

 

 ②原状治療の手段がないエクシア・カリバーンをISコアと融合させる事で治療手段が確立されるまでの時間稼ぎ。

 

 まさに二兎を追ったのだ。

 娘の将来を守る。

 幼い少女の命も守る。

 その二つを狙ったもの……実に素晴らしい。

 

「だけど相手が悪かった。ISコア手に入れる力を持つ組織を敵に回すには自力がなさすぎるよ」

「国でもないのにISコア持ってるってのがその組織の力の大きさを物語ってますね」

 

 ISコアを所持していたとある組織の狙いはエクスカリバー。

 搭乗者に組織の人間を乗せればどうなると思う?

 衛星軌道上の国だけが危険なのではない。

 元々ISは宇宙での行動を目的にされている。

 必ずしも衛星軌道に縛られるとは限らないのだ。

 もう世界征服王手と言っても過言ではないよね。

 てかさー。

 ISコアを所有する組織ってさー。

 

「亡国機業ですね」

「おりょ? しー君知ってるの?」

「多くの国に根を張っている裏組織。よろしくない組織の中では最大規模って程度ですけど」

「へーそうなんだ。私は存在を知ってたけど名前は知らなかったよ」

「へーって……ISコアを所持する組織ですよ? 気にならないんですか?」

「だってどうせ世界征服だとか人類の未来を決めるだとかそんなんでしょ? 私が裏組織(笑)にどれだけ狙われ&勧誘受けてるか知ってる? その亡国何某にも勧誘受けた事あるけど、ぶっちゃ真新しさがなくてまったく興味が湧かなかった」

 

 束さんに掛かれば亡国機業もよくある組織の一つか。

 出来ればこのまま興味を持たないで欲しいな。

 亡国機業は一夏が主人公する為の大切な踏み台だからね。

 だから出来るだけ亡国機業を刺激しないよう穏便に済ませたい。

 となるとエクシアちゃんをどうにかするのがベストかな。

 ISと融合なんてしないでいいようすれば万事解決……あれ? 

 

「ISコアとの融合って技術的に問題ない完成されたものなんですか?」

「基本理論だけ書いてぶん投げた未完成品だね」

「……つまり束さんでも完成させてないと?」

「や、ISと融合とか面白いと思ってたんだけど、人体への負担も大きいし人間側にもなにかしらの素質が必要な感じで……面倒になったから途中で投げた」

「途中で飽きた研究を表に出すなァァァァ!」

「だって完成までに時間掛かるし他にやりたい事あったし……自分の中では優先度が低かったんだもんッ!」

 

 なんで途中で飽きた研究を渡しちゃうの? そんな危険物をどうして……あ、面倒だからか。

 

「基礎だけ渡せばどっかの国が完成させると思いました?」

「うん」

 

 気になるけど自分で完成させるのはダルい。

 その気持ちは凄く理解できる。

 楽しいRPGでもレベル上げだけ誰かにやらせたい時ってあるもんね。

 だけど束さんにもそんな心境があったとは意外だ。

 

「今更騒いでも仕方がないか。エクシアちゃんは大丈夫なんですか?」

「イギリスがどの程度基礎理論に肉付けしてるか。それと幼女の適正次第だから今はなんとも言えないね」

 

 オルコット夫妻とエクシアちゃんの救済。 

 どちらも達成するのは困難だな。

 

 エクシアちゃんを助けた場合はエクスカリバーの搭乗者がテロリストになる。

 もしそれで参事が起きたら胃痛どころかの騒ぎじゃない。

 

 テロリストが乗り込んで宇宙に上がったタイミングでエクスカリバーを撃破。

 一見正しい様に見えるが、一夏の活躍を邪魔する事になるかもしれないので原作にどんな影響が出るか分からない。

 

 エクシアちゃんを見捨てオルコット夫妻だけを拉致が一番原作に影響がない。

 だけど真っ暗な宇宙空間に幼女を放置って精神的にくるわ。

 普通なら精神がおかしくなるだろう。

 ……オルコット夫妻がその程度の予測がついてないと?

 

「束さん、エクシアちゃんはISコアとの融合に成功したらどうなるんです?」

「ISコアと融合したら後は……一番適した言葉は冬眠状態かな? 外部から起こされるまで眠り続けるだろうね」

「流石に意識は奪うか。それなら――」

「んでISは外部から操縦だね。亡国何某がそう出来るようにエクスカリバーに手を加えてるし。幼女はフレッシュエンジンかな?」

 

 フレッシュエンジン……日本語にすると生きた動力源?

 それはそれはハーレム熱血正義感主人公の一夏さんがキレる案件ですわ。

 うーむ、原作で一夏が助けるとしても後数年ある。

 つまり彼女は浦島状態になる訳だ。

 なんとかしてあげたい……が!

 

 Q二択の中から好きな方を選んでください。

 

 A五年後に目が覚めたら目の前に世界的に有名な姉を持つイケメン少年が居る生活。

 B次の日に目が覚めたら目の前に特に取り柄のない一般モブが居る生活。

 

 これ、普通の女の子ならどっちを選ぶだろうね?

 

「束さんは一年間眠り続けた後に一夏に起こされるのと、次の日に俺に起こされるのどっちがいい?」

「いっくん」

 

 ノータイムだよチクショウ!

 やっぱ顔か! だがまだだ! まだ俺は折れてない!

 

「ちなみに束さんはエクシアちゃんを助けてあげたりとか……」

「この私に温情を期待してる? 言っておくけど、しー君の“お願い”程度じゃ世界的に見てごく普通レベルの可哀想な人間を助ける為に動く気しないのは理解してるよね?」

「俺は美幼女にお兄ちゃんと呼ばれたいッ!」

「お願いじゃなくて“懇願”だー!?」

「ね? いいじゃん束さん。どうせ大した手間ではないんでしょ? ね? お願いだよ~」

「ねっとり近付くな! 絶対にイヤッ! あの幼女の尊厳を守る意味でもノー!」

「……その頭脳を美幼女を守る為に使う気のないのか役立たずが」

「今度は“恫喝”っ!? ガラにもなく低い声を出してもダメっ! それとツーアウトね」

 

 ちっ、俺とした事が熱くなってしまった。

 ここは素直に諦めよう。

 ところでスリーアウトで俺どうなるの?

 

「ならせめてフォローを頼んでも?」

「ん、その程度ならいいよ。私もISコアの融合には興味があるからね。術中と術後の観察をして、死にそうになったらISコア引っぺがして生かすくらいはしてあげる」

 

 ま、この辺が落としどころか。

 美幼女助けたいなんて完全にエゴだし、つまらん同情でイケメン少年との出会いを潰すのは良くないよね。

 

「てな感じでエクスカリバー云々は流れに任せるって事で。オルコット夫妻は一度拉致って姿を消してもらいましょう」

「幸せな家庭を与えて箒ちゃんのライバルを無意味な存在にするんじゃないの? 整形くらいならやってもいいよ」

「いやいや、相手はろくでもない組織ですから念には念を入れてましょう。そうですね……事故死に見せかけてほとぼりが冷めるまで無人島にでも住んでもらいましょうか。んで周囲がオルコット夫妻を過去の存在として扱い始めた頃に娘と再会。そんな感じで」

「ふむ。まぁその辺はどうでもいいからしー君に任せるよ。手っ取り早く同じDNAを持つ肉塊作って事故死に見せかけよっか?」

 

 話が早くてすばらです。

 拉致るだけなら楽勝だけど、死の偽装だとかは無理だから遠慮なく頼みます。

 モンド・グロッソが終わってからは遊び呆けてたが、これから忙しくなるぞ。

 まずはそうだな……

 

「オルコット夫妻が住めるように無人島を買って開拓かな?」

「ほ? ちょっと面白そうだね」

 

 無人島を買う! これはロマンですよ。

 ぶっちゃけオルコット夫妻が無人島に住むかはまだ分からない。

 もしオルコット夫妻が庇護を拒否し死を望むなら俺はその意志を尊重する。

 出来る限りの説得をする気はあるが、そこは仕方がないだろう。

 

「束さんも一枚噛みます? お金を出してくれるならオルコット夫妻が居なくなってから研究所とか作っていいですよ」

 

 無人島のお値段が分からないので援助はいくらでも受け付けます!

 

「その無人島ってしー君の所有物でしょ? しー君の為にお金出すとかないわー」

「ちっ、けちんぼ」

「はい汚い舌打ちでスリーアウト」

 

 ってしまったァァァァ!?

 

「ではこれよりしー君の人生をチェンジします」

 

 人生チェンジとは。

 

「このサイコロ振ってね。それとこれがしー君の転生先一覧です」

 

 1、電脳義体化(ロリ素子ver)

 2、束さん全監修のTS手術

 3、ホルモンコントロールで永遠の少年

 4、整形と洗脳で可愛いペットに

 5、一部女性化させて天使っぽく

 6、しー君のDNAを解析し『もし女性として産まれてたら』の姿を作り出し脳を移植する

 

 

 なるほど。

 攻殻機動隊をチョイスするとはやりおる。

 

「ロリ素子を選ぶとは良い趣味してますね」

「いいよね。ちーちゃんに似てて好感が持てる」

 

 キャラ被ってるもんなー。

 

「で、これは?」

「だってしー君はこれから第二次性徴が始まってオッサン化するだけじゃん?」

「や、その前に青年とかあるんだけど」

「顔面偏差値95点以上で美少年化。それ以下は全てオッサン化です」

「判定が厳しすぎるッ!」

 

 束さん判定じゃもう1~2年で俺オッサンじゃん。

 俺は青春を送れないの?

 

「いいじゃん転生しようよ。価値のないオッサンになるより人生に意義が持てるよ?」

「意義が持てない前提で進めるのやめてくれます?」

「それに……しー君が美少女になったら私だって少しは……ねぇ?」

 

 やめて! そんな色気ある視線の横流ししないで! 舌をチロっと出さないで!

 ぐぬぬ……俺も一端のオタクだからTS程度なら…………だけど永遠の少年とかハズレ枠もあるんだよなー。

 束さんの事だから、少年は発情しないとか言って男性機能を殺すだろう。

 整形と洗脳も嫌だ。

 それよりなにより――

 

「まだ一回も使ってないのに失ってたまるかぁぁぁぁ!」

 

 逃げる! 例え魔王城の中だとしても俺は逃げ切ってみせる!

 油断したすぐこれだよチクショウッ!

 

「えーと、6だね」

 

 サイコロを放り投げ全力で逃げだす俺の背中に、束さんの落ち着いた声が届いた。

 そうか、6か。

 ふっ……ふふふっ………。

 

「それじゃあしー君、あんまり期待できないけど……脳みそよこせぇぇぇぇ!」

「同じ遺伝子で女体化とはハズレじゃねーか!」

 

 この後息子を守る為にめちゃくちゃ戦った。

 




どんなガチャにもハズレ枠があるのは当然。

なお必死の抵抗で転生ガチャは回避した。
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