俺の夢にはISが必要だ!~目指せISゲットで漢のロマンと理想の老後~ 作:GJ0083
怒りの更新です。
もう二度とソシャゲで課金しねー(2021年11回め)
無人島は意外と価格の差が大きい。
島の大きさや、大陸との距離、島になにが存在するか、そういった要因で変わる。
例えば同じ大きさ、日本本島まで同じ距離の無人島があったとしよう。
だが片方に山があり湧き水ありもう片方は平地だとすると価格は大きく変わる。
当たり前だが水が湧く方が高い。
無人島購入の目的は、オルコット夫妻の隠れ家件将来の俺の住み家だ。
条件は――
どこの国からも遠く人里離れた場所に存在する事。
津波などから逃げれるよう島に山がある事。
川はなくともいいが、井戸を設置できるよう水脈がある事。
農業などができるようある程度の広さがある事。
最低限この四つだ。
オマケで
イギリス人のオルコット夫妻が住みやすいよう涼しい地域。
海の魚影が濃い。
もあったら嬉しい。
値段が高くなる要点もあるし、逆に下がる面もある。
できれば五千万くらいで……
「ニヤニヤして気持ち悪い」
「やかましい。世界中の無人島を調べてどれを買うか悩む。この楽しさが分からないんですか?」
「私の財力なら好きな島買えるし」
ブルジョアがッ! これだから金がある奴はダメなんだよ。
こうさ、良さげな島を見比べて価格を比べあーだこーだ悩む。
その楽しさが分からないかなー?
あれだ、初めての一人暮らし物件を探す時の心境だ。
ワンルームで五万、駅まで15分ならここに……いや、こっちだと駅まで20分だけど同じ広さでロフト付きか。
とかやってるの凄く楽しかった。
その経験がもう一度できる喜びよ。
「候補はこの三つですかね。束さん的にどう思います?」
束さんに候補地を見せる。
俺が知れる情報はネット上の簡単なものだけ。
できれば助言とか欲しいです。
「①はサイトに乗せてないけど蛇天国だね。毒蛇もいっぱい!」
「却下で」
「②は海賊の隠れ家だね。ちょっと面白そう……しー君VS海賊とかどう?」
「なしで」
「③は問題ないよ。気候などを加味しても人が住むのに適している……刺激はないけどね」
「んじゃ③ですな」
「私的にはこっちがオススメです。ほらほらしー君の望み通りで――」
「望み通りで?」
「麻薬販売組織の海外ルートの中継基地になってる」
「いらんわ!」
「島買って所有権主張して売人共蹴散らそうよ!」
「やらんわ!」
隙あれば俺を裏世界に関わらせようとするのホントやめて欲しい。
こっちは表世界の住人なので、束さんは一人で裏世界に君臨してたばたば笑っててください。
「しー君てば冒険心がないなー」
無人島購入は結構な冒険では?
麻薬組織と戦うのは冒険者の仕事じゃなくて警察の仕事です。
「さてこの島の価格は一億……一億かぁ」
広さも申し分なく山もあり水脈もある。
住むならここだ。
束さんがオススメの島は、選んだ島の中で一番高額な一億……貧乏人がサクッと出せる訳ないだろいい加減にしろ!
視点を変えよう。
これが全部千冬さんからのプレゼント。
別に自分で働いて得た金じゃないんだら使ってもいいよね?
えーと、無人島を買うにも手続きが……外国人が他国の領土を買うのは手続きがめんでーですな。
「……束様」
「肩でも揉んでろカス」
「……あい」
やー束さんの肩は揉み応えがあるなー。
こんな感じでどうしょう?
「その国の適当な名前で住民票捏造からの銀行口座作ってーの……んでしー君の口座からお金移動してーの」
さらっと行われる俺の貯金の移動。
口座番号も暗証番号も言った覚えないんですが?
やはりその気になれば俺の貯金とか一瞬で消せるんですね。
俺はそんな束様を尊敬しております! もみもみ。
「ほい購入完了。これが土地権利書の写しね」
「名前がタバーネノ・ゲボクなんですが」
「適当に付けたからね」
「もうただの嫌がらせでは?」
「まさか文句あるの?」
「ありませんとも!」
わたくしは束様の下僕です。
肩を揉むくらいで面倒な手続きその他をやってくれるならいくらでも揉みますとも。
はーいもみもみ。
「これで無人島は手に入れた。この後はどうするかは……現場見てからにするか。束さんはどうします?」
「暇じゃないけど着いて行ってみる!」
「んじゃ行きますか」
「ここは俺の島だぁぁぁぁ!」
「なかなかの景色だね」
流々武を纏い束さんを肩に乗せ島の上空で声を上げる。
うーん、素晴らしい。
なんとも言えない感動があるぞ。
前世では家とか建てなかったけど、一軒家を建てたお父さんとかこんな気持ちなのかな?
これはテンション上がりますわ。
今日のビールは一段と美味く感じることだろう。
全長400メートルのこの島は三日月型で片側に山がある。
上から見て島を三等分にすると、平地・平地・山だ。
家を建てるなら山の中腹だな。
「山の土壌ってどんな感じですかね。木々を切ってログハウスでも建てようかと思ってるんですけど、いけそうですか?」
「大丈夫だと思うよ。流石にビル並の建物は無理だけど、その程度ならいけるでしょ」
よーしよし、楽しくなってきたぞ。
家の周囲と家から海岸に降りるまでの道の木々を切って、その木でログハウスを建設。
畑も山に作るべきかな。
家に近い方が便利だろ。
それなら山を削って……いや、必要以上に手を加えるのは良くないか。
土砂崩れとか怖いし。
島の中央に畑を作るか。
背の高い木を植林して防風林代わりにし、ビニールハウスを建てるのがいいかな。
山との反対側には船着き場を建てよう。
小さなボートを設置していつでも海釣りできるようにするんだ。
わくわくが止まりませんなー。
オルコット夫妻に最低限文化的な生活をしてもらうには、やはり電気系統も必要だ。
それとお湯を沸かす施設も必要だな。
この島の環境青森と同じくらいだ。
夏は30度前後で冬は0度前後。
お湯なしでの生活はきついだろう。
流石にプロパンガスを持ち込むのはダメだな……となると太陽光か。
太陽熱温水器もあるし、太陽光発電でいけるか?
いや、天気に影響されるから電力全てを太陽光に任せるのは難しいだろう。
ふーむ……
「束さん、なにかいい発電機って知りません?」
「しー君が好きそうなのあるよ。海水から電気作るやつ」
ここは海に囲まれた島である。
なにそれ完璧では?
「蓄電器に繫げれば一軒程度なら余裕です」
「それは買いですな。どこで売ってます?」
家電量販店の防災コーナーとかかね。
しかし海水発電とか初耳だ。
世の中気付かない内に進歩してるんだなー。
「300万」
「……はい?」
束さんが俺に向かって手を差し出す。
「珍しいく察しが悪いね。今現在作れるのは私だけって事だよ」
未だ世に出てない篠ノ之博士製だって事ですね束様!
だがそれでも300万って――
「なにか文句ある? これでほぼ材料費だけでかなり良心的だから」
流石にここでタダにしてと甘えるのは違うね。
俺の記憶にある、一軒家に太陽光発電システムを設置する場合の費用は300万程だ。
パネルの枚数とかで値段が変わるんだろうけど、それくらいの値段だったはず。
なら安いと思うべきか。
「今なら蓄電器サービス&設置費用無料!」
「買った!」
蓄電器も結構お高いからこれは買いですわ。
配線回りもやってくれるとは神かな?
本体をはどこに置こう?
海辺近くに置く場合は毎日山を下りなければいけない。
体調不良の時など気軽に行けないし、大波に流される可能性がある。
だが家の横に設置した場合は毎日海水を汲みに行かなければならないけど……家の横が正解かな。
いざとなれば塩と水でなんとかなるし、本体が壊れる可能性が少ない方がいいだろう。
「水は井戸からにするとして、それでも浄水が必要かな?」
じーちゃんばーちゃんの家の近くにあった井戸の水を普通に飲んでた自分からすると、水道水より健康的と感じるが、水が原因で体壊されても困るし。
「なら地下水にパイプぶっ刺して、汲み上げた水を浄水装置付きの貯水槽を通してから家に流れるようにすれば?」
「それいいですね」
それなら安心して使えるな。
「30万」
またもや束さんが手を!?
高くない? 浄水器ってもっと安いような……あ、貯水槽が高いのかな?
魚を飼う為の浄水器機能付きの水槽とか高いもんな。
あれ? パイプを通して使うなら――
「普通に蛇口に小型の浄水器取り付ければいいのでは?」
浄水器本体が3000円で浄水カートリッジの寿命が半年くらいかな。
長い目で見れば束さん案だが、数年ならこっちだろう。
「ちっ」
「ん?」
「なに?」
「いや別に」
今小さく舌打ちしなかった?
気のせいか。
「しー君はパイプ通したりとかの工事できるの?」
「流石にできませんよ」
前世工事関係者って訳でもないしね。
てかやるにしても機材どうしよう。
「工事費20万」
20万かー。
工事用重機を借りるって方法もあるが、レンタル代を考えると素直に束さんを頼る方が安いな。
「お願いします」
「任せたまえ!」
束さんが大きく胸を張る。
珍しく協力的だな。
これはあれだ、なんだかんだ言って束さんも無人島開発を楽しみにしてるんだな。
素直になればいいのに。
「笑顔がキモイ」
そんなツンデレな束さんも可愛いですよ。
束さんの協力が簡単に得られるならもっと快適にできるな。
発電、水、は解決。
植林はISを使用すれば俺でもどうにかなる。
船着き場もなんとかなるだろうし、畑作りもIS使えば余裕だと思う。
となると移動方法か?
山の昇り降りを毎日するのは良い運動だけど、育てた野菜を背負ってとか考えたら苦行だな。
電力面は束さんのお陰で解決してるから――
「電動トロッコでも設置しますか」
「お、いいね」
「でもレールの価格が分からん。どれくらいするんだろう」
ここは電波がないから携帯電話で調べものは出来ない。
問題点をまとめて一度帰ってから検証かな?
お、束さんの前に仮想ディスプレイと仮想キーボードが。
調べものは束さんに任せればオッケーですな。
「海辺だから錆びにくいステンレス製のレールにするとして、どこまで通すの?」
「家の前から反対側の海岸近くまでですかね」
「特別に安いルートで仕入れてあげようか?」
「マジっすか。お願いします!」
「350万」
束さんが手をクイクイさせる。
これって高いの? 安いの? 孤島ゆえネットがないので分からない。
だが全長300メートル近いステンレス製のレールと考えれば安い気がする。
「トロッコ本体は50万」
こっちも高い!
「価格は積載量とかでも変わるからね。大人二人だとそれなりのものになるよ」
積載量か。
確かに大事だな。
下手に安いの買って壊れても嫌だし。
総額400万か。
予想外に高い買い物だ。
中古でもっと安いのないかな。
トロッコの中古、中古……ちゅうこ?
「外国の廃棄された鉱山とかレールもトロッコも放置されてる印象ですよね。それらを貰ってくればいいのでは?」
映画やドラマで廃坑によくあるよね。
捨てられてるなら貰っても問題なくね?
「あのさーしー君。自分だけじゃなくて他人に使わせるんでしょ? そんな廃棄品使うとか常識的にどうかと思う」
「束さんに常識的を問われた!?」
「私は他人が着た服とか、ラーメン屋の使いまわしのレンゲとかが無理なタイプだからね!」
千冬さんや一夏が使った箸に執着する人間のセリフかよ。
しかし束さんの意見はもっともだ。
自分だけ使うならドキドキ廃坑探索とかするけど、オルコット夫妻に使ってもらうと考えたらそれは失礼か。
良い考えだと思ったんだが残念。
だけど出費を抑えたいのは本音なので削れる所は削ろう。
海岸の防風林だが、苗木を買って植えるのは育つまでの時間が掛かるし、ある程度育った木を買って植えるのは陸との往復が面倒だな。
「山に生えてる木を海岸に植えるのが手っ取り早いか?」
「環境が合えば植物は勝手に生えるもんだよ。海岸近くに木がないって事は、潮風に高い適正がある種類が生えてないって事では?」
「一理あるかも」
山に生えてるのは海から距離があるから塩害とかも少なそうだ。
となると買って植えるしかないか。
潮風に強い木か……松、マングローブ…………ダメだ、俺の知識で二種類しかない。
しかもマングローブはなんか違うだろ。
「束さん、潮風に強くて防風林に適した木ってなにがあります?」
「メジャーなのだと、松、柏、サルスベリとかかなー。ここは塩害耐性のある木を育てるのは難しいね。温暖な気候ならもっと種類が増えるんだけど」
なるほど、ここだと塩害耐性に加え寒冷耐性も必要なのか。
流石に木を育てる環境までは配慮してなかった。
温暖な地ならヤシの木とあるもんね。
どうしたもんか。
島の真ん中部分は横幅が150メートルほど。
海から距離を取り、海岸から50メールの地点に畑を作るとして……もしかして無理に防風林とか必要ない?
砂浜から数メートル先に背の低い名前も知らない植物があって、その後に背の高い木が生えている。
流石に50メートルも離れてれば大丈夫だろう。
「うん、防風林は要らないでしょう。ビニールハウスにする訳だし、無理して植えなくてもいいか」
「それはどうかな?」
一人で結論付けたところで束さんから反対意見があるらしい。
なにか問題でもあるのだろうか?
「将来はここに住みたいんでしょ?」
「今はまだ考えてる段階ですけど」
「イギリス人夫婦を匿うんでしょ?」
「ですね」
「今のままの、味気のない雑草雑木だらけの環境が許されるとでも?」
「と、いいますと」
「せっかく無人島開発とかやるんなら中途半端は良くないと思うなー。どうせやるなら全力でやるべき!」
「その言い方だと、束さんには良い案が浮かんでるみたいですね」
「もちろんだとも」
やはり結構乗り気じゃな?
らしくもなく積極的に意見と言うとは。
いいだろう、言ってごらん?
「まず、海岸近くの木と植物を間引く」
「その心は」
「日本人と言えば海岸に松! それは絶対だ!」
「確かに!」
海岸と言えば松ですよね。
北海道あたりまで行くと違うらしいけど、本州住まいなら松です。
「それと桜! しー君は桜がない島で一生を過ごす気なのかいっ!?」
「日本人の人生から桜は外せませんね!」
これまたごもっとも。
今や外国人にも人気の桜。
俺もオルコット夫妻もニッコリだ。
「それとしー君には他人に対する気遣いが足りない!」
「なんと!?」
「無人島だよ? やっぱ生活に使える植物は必須でしょ。オリーブとか月桂冠とかさ」
「オリーブって温暖な地方のイメージがあるんですが? それと月桂冠って役に立つんですか?」
「ここはオリーブの生存圏内ギリギリだね。いくつかダメになるかもだけど、生き残る個体もあると思う。それと月桂冠はローリエのことだよ」
「ローリエは料理で良く聞く名前ですな。ふむふむ、オルコット夫妻に配慮した選出です」
オリーブにローリエか。
それは欧州人が喜びそう。
ありです!
「海岸は二か所なんだから、片方を和風に、もう片方を洋風にするのも良いと思うんだよね」
「束さんのセンスが光りまくりな件。それ採用」
なにも防風林に拘る必要はなかったのだ。
目で楽しめて生活に役立つ。
そういった木々を植えるのは良い事だ。
「んじゃ日本側は、松に桜に柏、目で楽しむ系でまとめよう」
「オケです」
「反対側は洋風。オリーブ、ベリー、レモン、月桂樹、なんかの食べれる系で」
「最高ですな」
園芸に興味がない俺でも楽しくなってきたぞ。
なんなら果樹園もありだ。
リンゴとかブドウとかいいな。
売る訳でもないし、同じ木を大量に植える必要はない。
何種類かを数本植えればいいか。
「塩害に強い桜だと大島桜かな。苗木状態で3万、花が咲く程度育ってるのなら15万」
ま、まぁ日本人として桜に妥協する訳にはいかないよね?
「松もどんな種類でもいいって訳じゃない。選ぶのは黒松だね。2メートルもので3万」
育ってないのは安い。
学んだよ。
「見応えあるのは3メートル越えくらいからかな? 12万」
知ってた。
庭先に植えるなら苗木でもいいけど、即戦力を求めてるので仕方がないね。
「果物系なんかもそれなりにしそうですね」
「果実が生るほど育ってるならそうなるね」
これは全部揃えたらそこそこの出費になりそうだ。
だが妥協はしない!
もぎたてのリンゴを齧りながら朝日とか見たくない? 俺は見たい。
「そういえばしー君、中央に畑を作る気なんだよね」
「ですね。ビニールハウスでも建てようかと思ってます」
「どれくらいの規模で考えてるの?」
「出来るだけ自給自足して欲しいので、テニスコート3~4面程度ですかね」
それだけあれば足りるよね?
正直、野菜の収穫量ってよく分からんだよね。
まぁ広くて困るってことはあるまい。
「ってなると、横10の縦20だとして……その規模のビニールハウスだと40万くらいかな」
えっ、高い。
ビニールハウスってそんなに高いものなの?
いや、別に新品でなくても……
「まさかいつ穴が空くとも分からない劣化した中古のビニールハウスとか考えてないよね?」
「当たり前じゃないですか」
中古の怖いところはそこだよな。
同じ大きさのビニールハウスを半額で買えたとしても、それが一ヶ月で大穴が空いたりしたら意味ないからな。
テニスコートを四面作る、それが面白いと思ったが……無人島暮らしには適切ではない?
よーく考えよう。
流石にビニールハウスだけで160万は高い。
それにだけど、水はどうする?
畑の中央に井戸でも掘るか? だが手作業でその規模の畑に水撒きしてたら両腕死にそう。
勢いで畑耕さなくて良かった。
もっと現実化的に考えよう。
「束さん、家庭菜園用の小型のビニールハウスだとおいくらです?」
「横2メートル、奥行き4メートルで3万くらいかな」
やっす!?
もちろん農家で使うものとは色々違うんだろうけど、それにしてもお手軽な価格だ。
だいたい二畳くらいだとして――
「トマトって一つの木にどれくらい生るんです?」
「大玉のトマトの場合、家庭菜園の素人で10個、上手な人で20個くらいみたいだね」
「ミニトマトだと?」
「120個前後かな」
そんなに取れるとは知らんかった。
ミニトマト凄くね?
てか聞いたらすぐ答えてくれる束さんが便利!
流石は電子の妖精(大)である。
「オマケ情報。トマトは地植えとプランターで収穫量に違いがでるって」
プランター? あ、鉢で育てる事か。
ヨーロッパの人はトマト大好きな印象がある。
しかし収穫量を考えるに、小型のビニールハウスに大小のトマトをプランター栽培とかでもいいのでは?
オルコット夫妻の好き嫌いもあるし、ジャガイモなんかも育てたい。
農業って土を休ませるのも大事なんだっけ?
唸れ灰色の脳みそ! 過去に読み込んだなろう系ラノベでは領地改革や農業はよくあっただろう!? 全力で思い出せ!
整いました。
「テニスコート台の大きさの畑を一面。それと小型のビニールハウスを数基建て、オルコット夫妻に野菜の種を数十種類渡して好きなのを育てて貰う。これで行きましょう」
「……小賢しい」
「ん?」
今なにか汚い言葉が……気のせいか。
束さんに罵倒される覚えがないし。
よし、これで出費を抑えられるな。
小麦なんかの主食系は俺が運ぶとして……ログハウスに地下室を作るか。
ワインやパスタ、小麦を保存するなら必要だろう。
「ねぇねぇしー君、これこれ」
「はい?」
束さんが仮想ディスプレイをこちらに向ける。
なになに、アースドーム? 地中に埋める地下貯蔵室とな。
そこに映っているのは一見するとプラスチック製の巨大な急須。
それを丸ごと地面に埋めるらしい。
注ぎ口が出入口になっている。
地中の断熱特性を使用、ファンによる換気システム、内部に棚があって野菜やワインを保存可能。
これは面白いな。
「採れた野菜を全部冷蔵庫に入れる? それはナンセンスでしょ! ほら、ここに注目!」
自家菜園の方にオススメか。
必要かどうかはともかく、あふれ出る秘密基地感が男心をくすぐる!
畑の横にあったら楽しそうだな。
「お値段は?」
「150万」
「これまた高い!」
ただのデカい急須じゃん。
頑張れば作れそうだけどねー。
「でもこんなの嫌いじゃないでしょ?」
「買います」
いやこんなの買うしかないじゃん。
海外じゃ地下室ってメジャーらしいけど、日本では珍しい。
だからこそロマンを感じる。
いいね、テンション上がるわ。
「色々決まってきたけど、他になにか決める事は……」
「実際に作業を開始するのっていつからの予定なの?」
「オルコット夫妻の暗殺日次第ですけど、冬休みからですかね」
「もうすぐじゃん」
「ですね」
「木の乾燥はどうするの?」
「……乾燥?」
なんだっけ? 木の家を建てる場合は……なんか思い出せそう!
なにで得た知識だ? テレビ……アイドル……鉢巻き……あ。
「生木のままログハウスなどを建てた場合、木が乾燥した時に隙間や歪みができる?」
「正解!」
よし当たった! ありがとう農業アイドル!
「生木の乾燥ってどれくらい掛かるのか……一ヶ月くらいですかね?」
「半年から一年が目安だね」
「ま?」
「ま」
生木の乾燥に時間が掛かるのは聞いたことあるけど、一年とは知らなんだ。
どうするかね。
「もう木材買うしかないんじゃない?」
「つってもここまで運ぶのも手間ですし」
「しょがないなー、デ・ダナンで運んであげようか?」
今日の束さんはいつになく優しい。
きっと明日は雨だ。
「温風機とかでなんとかならないかな?」
地産地消というか、出来れば自分で切った木で建てたいよね。
「業務用の大型だと安いので10万円くらいかな。でもねしー君」
「なんです?」
「密閉された空間ならともかく、野外で熱風を当てたくいじゃそう都合よく時間短縮にならないよ?」
「数を用意しても?」
「効果薄だね」
「ちなみに木材って買うと……」
「ログハウスキット(一軒家型の六畳タイプ)で120万」
キットでその値段かー。
木材のみを買うとしてもそれなりの値段になりそうだな。
「ダナンの一室を借りてそこで作業は?」
「密室なら用意できるけど、温風機と除湿器は自分で買ってね?」
「密室での長期利用と考えると……買った方がいいか」
レンタルは安くすむけど、壊したら弁償だしな。
なら買った方が気が楽だ。
使わなくなったら売ればいいし。
「四方に温風機、除湿器は二台として予算は60万かな?」
「良さげなのあります?」
「掘り出し物を探してあげよう」
「感謝です」
痛い出費だけど木材買うよりは安く済んだ。
っとそろそろいい時間か。
太陽が大分傾いてきた。
暗くなる前に夕ご飯の準備しますか。
「これより浜辺でバーベキューをする!」
「やふー!」
自分の無人島で食う肉は美味いに違いない!
ってな訳で浜辺に着地! そしてISを解除!
砂を踏む感触が良いねぇ。
「今日の目玉はコレ! 巨大骨付き肉! あばら肉を丸ごと!」
「食い応えありそうだね!」
巨大ブレード……に似た鉄板にアタッチメントを取り付ける。
適度に乾燥してそうな木や枝をその下に並べて着火。
焼き方はネットで調べ済み。
塩コショウはしないで油はひかない。
強火で表面に焦げ目をつけて、それから塩コショウして弱火でじっくり。
ふっ、完璧だな。
せっかく目の前に海があるんだし、と思うが――生態系が日本と違うのでどの貝や魚が食えるのか分からんのだ。
知らない魚を食べるのは流石に怖い。
束さんなら大丈夫だろうけど、俺は軟弱な現代っ子なんで。
それと飯ごうも準備。
肉に米! これぞ完璧なアウトドア!
「どうよこの焦げ目。やばくね? 視覚の暴力じゃね?」
「うん、凄いいいんだけどさ……お野菜は?」
「ふっ、俺を誰だと思っている」
もちろん野菜もあるさ。
肉だけなんてナンセンス。
自分、外で食う野菜の美味さを知る男なので。
「……おっさん」
誰がおっさんだコラ。
ピチピチの小学生だっつーの。
シシトウに玉ねぎとシイタケ。
小学生らしいラインナップだろ?
「俺はまずはビール――束さんはなににします?」
「これもーらいっ!」
「あっ、それは!?」
束さんが勝手に荷物を漁り取り出したのは一本の梅酒。
夜中に星でも見ながらチビチビ飲もうと思っていたお高い梅酒だ。
「くっ、なんて目ざといんだ」
「ふふーん、篠ノ之束は価値を知る女なのだ」
「無人機開発ではお世話になるし、仕方がないか。大事に飲んでくださいよ」
「分かってるって」
はい肉取り分けて
はいご飯よそって
はい頂きます
――骨付き肉の骨を鷲掴みにかぶりつく。
「んまいっ!」
「だね!」
束さんもにっこにこ。
俺もにっこにこ。
暫くは楽しい毎日になりそうだな。
し「無人島開発考えるだけでたのちー!(テンション上がって少し浮ついてる)」
た「しょうがないから手伝ってあげるよ(これは貯金を削るチャンス!)」
優しい顔して友人に散財を進める天災。
隙あらば買い物させ確実に貯金を減らす。
お金がなくなって自分に縋って来る姿を想像するだけで心がぽかぽかするね!by束