俺の夢にはISが必要だ!~目指せISゲットで漢のロマンと理想の老後~   作:GJ0083

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スカーレットの新衣装可愛いヤッター!


たばねさんじゅっさい③

 スク水+ガラスの様な目=溢れ出る背徳感。

 束ちゃんはまだ男って生き物を理解してないらしい。

 

「たばね、友達の存在意義が分からないんだよね。学校では先生が友達を作れって言うし、親も友達は大事だって言う……だからたばねは“友達”って単語が嫌い。だって生きる上で不必要な存在なのに押し付けてくるんだもん」

 

 感情が映さないまんまんるお目々が非実現美少女の要素を醸し出し、否応なく惹きつけられる。

 それに加え篠ノ之束のスク水だ。

 さらけ出された手足は白く細いが、太ももなどは過不足なくむっちりとしている。

 あの太もも、撫でまわしたらきっと凄く気持ちいいだろうな。

 

「そもそもさ、友達って何するものなの? 同年代の生き物と話しても程度の低さに頭痛がするんだよね。自作パソコンさえ組み立てれない上に新型粒子加速器の欠点についても語れない低能……関わるのが時間の無駄って結論を出すのも仕方ないよね?」

 

 束さんと違って、自分が男にどう見られてるか理解してないから隙が多いんだよな。

 今も束ちゃんは女の子座りしてるから、股が丸見えなんだよね。

 俺が視線向けても動じないし。

 まったく……情操教育が終わってない女子小学生は最高だな!

 でも普通の小学生でももっとガード硬いだろう。

 ふむ? 同じ人間として認識されてないか、それとも何されても反撃できるって思っているのかな。

 どちらにせよ、強者の余裕ってのは最高って事だよ。

 その調子で俺を見下して隙だらけになって欲しい。

 

「だから本当にお前の存在を理解できない。ねぇ、お前ってたばねにどんな貢献ができるの? 寄生虫じゃなくて友達なんだよね? でもたばねがお前から得れるものって何もないと思うんだけど」

 

 うーん、こうして露出の高い束さんをマジマジと観察すると新たな発見があって凄いな。

 束さんって足の指の形が綺麗なんですよ奥さん。

 女性って足の親指が内側に向く外反母趾の人が多い印象だけど、束さんの指はどれも真っ直ぐだ。

 つまり、凄く舐めやすそう。

 今すぐ足を舐めろとか言ってくれないかな?

 

「……おいこら」

 

 ん? 束ちゃんの目に色が戻ったな。

 もうちょっとダッチワイフ束ちゃんを見てたかったのに。

 

「たばねの話聞いてた?」

「全然? ねぇ束ちゃん。友達要らないと友達できないは意味合いが全然違うけど、そこは理解してる?」

「ぶん殴るよ?」

「だって束ちゃん拗らせ面倒系女子じゃん。俺は束さんの外見が好きだから耐えれるけど、内面だけで判断したら敬遠案件じゃん」

「敬遠したまま視界から消えればいいのに」

「でもさ、俺みたいにしつこく関わってくる人が居たんじゃない?」

「ん? んーと……そだね。職業で教師やってる人間と、クラスメイトの男と女がしつこかったかな。最終的に男は投げ飛ばして、女は睨んだら大人しくなった」

 

 推定初恋の少女に投げ飛ばされた男の子と世話焼き女子に敬礼!

 言い方からするともしかして先生も投げ飛ばした?

 先生も大変だな。

 でもやっぱり束さんの性格に難があっても近付く人間は居たか。

 

「なんで嫌ったの? 束ちゃんの事を思っての行動なのに」

「教師は友達作れ、輪に入れ、なにか悩み事があるなら相談に乗るってうるさかったから」

「それは教師って仕事してるなら当然の対応では?」

「子供が望んでるならそれを叶えるのが教師では? たばねは構われても“ウザい”以外の感情が湧かなかった」

 

 先生に致しましては運が悪かったとしか言えないな。

 教師としては間違ってない! 

 ただこの世には、好きで一人で居て、友達とか人生の無駄だと本気で思ってる子供が存在する事を知らなかったのが運の尽き。

 どんまい!

 

「男の子は?」

「休み時間のたびにちょっかい掛けて来て、無視してたら髪を触られたからイラっとして投げた」

 

 好きだったんだろうなー。

 子供特有の素直になれない感じで話し掛けたんだろうなー。

 そして投げられたと同時に初恋が散ったと。

 まぁ篠ノ之束の髪を触った思い出は一生自慢できるから良し!

 

「女の子は?」

「集まりを作る時とか、クラス行事のたびにたばねに絡んで来て、用も無いのに一緒に帰ろうとウザかった。だから目を見ながら『消えろ』って言ったら泣きながら逃げてその後は空気になってくれた」

 

 世話焼き少女にシンプルな悪意ぶつけるとか生粋のクズかな?

 彼女はなにも悪くねえ! 相手が悪かっただけだ!

 

「アレは強者に媚びるのが上手い女だったなー。たばねに目を付けたのは悪くないけど、たばねを利用するにはなにもかも足りない残念な生き物だった」

 

 流行りの腹黒系転生聖女かな?

 束ちゃんを悪役令嬢にするのは……うん、無謀に過ぎる。

 

「ところで束ちゃんや」

「うん?」

「なにもかも他人が悪いみたいな言い方してるけど、束ちゃんにも原因があるって理解してる?」

「は? それは空気を読めとか他人に気を遣えとか、そんな群れなきゃ何も出来ないザコと同じになれってたばねに言ってるのかな?」

「や、単純に束ちゃんは“バブらせたいオーラ”があるって話なんだけど」

「ばぶ?」

「うん、バブらせたい」

「ばぶ……」

 

 俺を睨んで怒気を放った束ちゃんだが、パブ発言で一瞬で鎮火した。

 

「バブって……なに?」

 

 どこか怯えた様子を見せる束ちゃん。

 あ、バブみって言葉が生まれるのはもう少し先の未来か。

 でも反応を見るに意味の予想はついてそう。

 

「説明は少し難しいですが、母性がある人、甘えたくなる人なんかを“バブみがある”って言いますね」

「じゃあ……バブらせたいって……」

「逆の意味ですね。つまり甘やかせたい。覚えておけ篠ノ之束……俺はお前の口に哺乳瓶を突っ込みたい感情を我慢している!」

「ぎゃぁぁぁぁ!?」

 

 自分の身体を抱き締めながら束ちゃんが後ろに下がる。

 なんで見事な防御反応。

 

「束ちゃんはちゃんと自分の魅力を理解して欲しい。なんか構いたいオーラが出てるんだよ」

 

 束ちゃんは束さんとはまた違った魅力がある。

 なんか異様にちょっかい出したくなるんだよね。

 是非とも嫌な顔しながら哺乳瓶を吸って欲しい!

 ジト目で睨み、この乳イマイチだなー感を出しながらチュウチュウして欲しい。

 束ちゃんを見てるとそんな欲望が湧いてくるんですよ。

 

「束ちゃんは周囲が自分の絡んでくるのが悪いみたいな考えだけど、そもそも束ちゃんが構わせたくなるオーラがあるんだよ」

「そんなん知るか! だいたい本人が望んでないならただの嫌がらせだよ!」

「なにもかも他人の所為にする人生は楽そうでいいね?」

「ぶっ殺すよ!?」

「ねぇ束ちゃん」

「あにさ!」

「俺のおっぱい吸う?」

「吸うか!」

 

 ゼーハーと息を荒げながら必死の抵抗。

 今の束ちゃんにおっぱい吸って欲しいなー。

 嫌なしながらパンツを見せろはセクハラで犯罪だが、嫌な顔しながらおっぱい吸えはセーフでは?

 ほら、感情の出どころは性欲じゃなくて母性だし。 

 

「きっと今まで束ちゃんに関わろうと人たちも、ただ束ちゃんを甘やかせたいだけだったのかも」

「たばねの口に哺乳瓶を突っ込むのが目的なら切って正解だったよ!」

「我儘ばっかりだな。じゃあ逆にする? 俺が束ちゃんのおっぱい吸う役で」

「どストレートなセクハラじゃん!?」

「俺を見てると、おっぱい吸わせたいなー、みたいな母性湧くでしょ?」

「殺意しか湧かないよ!」

「それは残念」 

 

 もうちょっと幼ければお医者さんごっごとかおままごとで遊べたたんだが。

 よしよしと頭を撫ででて、触るかなカスって顔してる束ちゃんの口に哺乳瓶をぶち込む。

 絶対に楽しいし可愛いと思う!

 でも無理矢理したら好感度がマイナスになるだろうし……今は我慢して束さんにヤルか。

 

「ねぇ」

「はい?」

「なんかさ、話の流れっていうか……お前の言葉を聞いてると、まるでこの場に哺乳瓶があるみたいに聞こえるたんだけど?」

 

 それままるで友達とホラーゲームをやっている最中の様な顔だった。

 先の展開が怖い。

 怖いけど知りたい。

 聞くのが怖いけど知らずにいるのも怖い。

 そんな顔だ。 

 哺乳瓶……うん、哺乳瓶か――

 

「あるよ。哺乳瓶」

「ねぇ大人のたばね! 本当にこんな変態が友達でいいの!? 人生の汚点どころか人生の危機を感じるよコイツっ!」

 

 グッと親指を立てて笑顔で肯定。

 束ちゃんは天井に向かって怨嗟の声を上げた。

 

「安心しろ束ちゃん。類友だから」

「どんな恐怖体験があって未来のたばねは狂ったのっ!?」

 

 親友と出会ったから……なんだけど、その話はするべきはないか。

 意固地になられてますます友達いらねーってなりそうだし。

 さてどうすっぺか。

 分かってはいたが、ふざけてるだけじゃ束ちゃんが心を開くことはないだろう。

 個人的にはとても楽しいんだが、それだけじゃダメだよね。

 やっぱり嫌でもシリアスするしかないな。

 正直言って凄く嫌だ。

 だって友達嫌いの人に無理矢理友達を作らせるのって鬼畜の所業なんだもん。

 だがやるしかない。

 

「束ちゃんはさ、”友達“ってなんだと思う?」

「……価値観、頭脳、身体能力、なんでもいいけど自分と釣り合う相手」

「硬い! それにおバカ!」

「あん?」

 

 あ、バカって言われて本気でイラっとしてる。

 でも謝らない。

 だって余りにも友達に対する認識が重いんだもん。

 

「束ちゃんは友達って存在に夢見すぎでは? あのさー、友達なんてただの“嗜好品”だよ?」

「……しこうひん?」

「俺が好きな言葉にこんなのがある。『友人とは嗜好品である。あれば人生に最高の彩りを与えてくれるが、別になくとも死にはしない』って言葉だ。俺もまったくその通りだと思う」

 

 古過ぎて元ネタは覚えてないけど、たぶんラノベかエロゲだと思う。

 元ネタは忘れたけどこのセリフは異様に心に残っている。

 友達とは何ぞや? って問いに対する100点の答えだよね。

 この言葉のお陰で俺は人付き合いを考える様になった。

 地雷って言うとアレだけど、結構ヤバい発言する人間が多いのだ。

 友達をお酒って言い換えると――

 

 寝る前に友達の顔ブックとかササヤイターの発言絶対にチックしてる! やっぱり友達って大切だから常に気に掛けてるよ!

 

 は

 

 寝る前に絶対にお酒飲む! 毎日お酒の事を考えてるよ!

 

 になるんだよね。

 友達って確かに大事だけど、行き過ぎればそれはただの中毒者なんだなって気付いた。

 だから俺は友達が必要ない人間に友達を作れとは言わない。

 だってそれは、酒嫌いの人間に無理矢理酒を飲ませると同義だから。

 でも束ちゃんはギリギリセーフ。

 だって束ちゃんはまだ酒の味を知らないだけだからね。

 

「酒の味も知らない子供に、『人生にお酒は必要か?』なんて聞いたって答えは分かりきってじゃん。束ちゃんは酒の味も知らないのに、アルコールは身体に悪いから必要ないとか、そんな発言をしている。ね? バカにされたって仕方がないでしょ?」

「……しこーひん」

 

 魂が抜けてる顔してるけど大丈夫か? 

 呆けた顔で考え事してるみたいだけど、反応くらいして欲しい。

 

「その人間が自分にとって生き甲斐なら親友、同じ場所を目指してるなら仲間、俺はそんな認識をしています」

「……つまり、大人のたばねにとってお前はお酒?」

「ですね」

「……お酒にもランクってあるよね?」

「誰が安物紙パックだこの野郎」

 

 失礼な! だが否定はできん!

 俺が出会い頭に束さんとそれなに仲良くなれたのも、織斑千冬って言う最高級のお酒を味わって酒に興味を持ったお陰な気がする。

 たまに飲む安酒も美味しいもんね。

 

「でもうん、なるほど――友達は嗜好品……なんか理解できた」

「学校の先生が友達を作れって言うのも、友達が世界で一番歴史が古くて愛好者が多い嗜好品だからです」

「だから友達なんて要らないって言うと先生が驚くんだね」

「嫌いな人間が居るなんて思ってませんから」

 

 酒飲みに似た感覚がある。

 大人の付き合いでお酒は必需品と言っても過言ではない。

 だから酒が飲めないって言われると『えっ? 本当に?』と驚きと疑いの声が出てしまう。

 飲める人間にとって、飲めない人間の感覚は理解できないのだ。

 それと同じで、友達が大事だと思う人間に友達が必要ないと思う人間の心理はできない。

 だが束ちゃんはまだ救いはある。

 何故なら束ちゃんは“体質的にお酒が飲めないタイプ”ではないからだ。

 安物紙パックで悪酔いさせてやるぜグへへッ。

 

「束ちゃんは面倒な性格だけど、友達の味が分かるタイプです。まずはそこを自覚して欲しいんだよね」

「たばねが心の中では友達って存在を欲していると、そんな戯言を言うつもりかな?」

 

 やー、このツンケンした言動の束ちゃんがたまりませんわ。

 平坦な口調で睨まれるとゾクゾクしちゃうよね。

 本気で暴れられたらどうしようもないので、実はビビってるけど!

 

「束ちゃんは自分に承認欲求があると思う?」

「承認欲求なんて弱者が欲しがる感情をたばねが求めるとでも?」

「そこも自覚はないんだ。ちゃんとあるよ、承認欲求。ただそれは、自分が認めた人間に限るっていうクソ面倒な条件があるんけどね」

「……クソ面倒」

 

 多くの人間は承認欲求を他人で満たせる。

 フォロワーだとか顔も名も知らぬファンだとか、そんな他人とも言える人間に褒められても人は嬉しいのだ。

 誰だってそうだろ。

 俺だってそうだ。

 でも篠ノ之束は違う。

 千冬さんや箒、自分が認めた大切な存在が相手でなければ褒められても承認欲求は満たされないのだ。

 要するに贅沢者なんだよ。

 発泡酒も第三のビールも下種。

 麦芽が50%以上使用されてる本物のビールしか認めねぇぇ! みたいなビール至上主義的な。

 なんて面倒な生き物なんだ。

 

「今の束ちゃんは食わず嫌いしてるだけ。そして高級志向でもある。だから――」

「だから?」

「俺って安酒を飲ますしかない」

「たばねにだって選ぶ権利はあると思う!」

「残念ながら当店は180mlで110円の純米酒『兎殺し』しか取り扱ってません」

「それ本当に人間の飲み物? 料理酒と間違えてない?」

「どう騒ごうと束ちゃんの選択肢は二つだけです。自分から飲むか……俺に飲まされるかのなッ!」

「なんて嫌な二択っ!?」

 

 他に選択肢を加えるなら、ひたすら空腹に耐えて時間が過ぎるのを待つって選択があるぞ。 

 どちらにせよロクな選択肢がないから諦めろ。

 

「友達なんて……」

「ん?」

「友達なんてたばねには必要ない!」

 

 身体を震わせ、目に涙を浮かべた束さんの声が部屋中に響く。

 心の奥にある感情を爆発させた、そんな声だった。

 

「どいつもこいつもたばねを理解しない! たばねに着いて来れないから!」

「おん」

「最初はたばねに声を掛ける相手だって居た! でもたばねが少し能力を見せつけると誰もが怖がる!」

「おん」

「たばねだって友達が! 理解者が欲しいって思ってた! でも誰もたばねを理解してくれなかった!」

「おん」

「どうせお前だってたばねの能力目当てなんでしょ!? カネ? それともなにかの技術? 友達なんて言ってどうせ用済みになればたばねの前から消えるくせに!」

「おん」

 

 はぁはぁと息を切らせながら束ちゃんが自らの気持ちは吐露する。

 そっか、束ちゃんにも色々な苦悩があったんだな……って誰が騙されるかバカ野郎ッ!

 

「理解者が居ない悲しみ? 束ちゃんがそんな真っ当な感情を持ってる訳ないじゃん」

 

 IQが高い子供は精神面も同年代と比べて高いって記事をなにかで読んだ気がする。

 嘘か本当かは分からない。

 だって周囲に飛び級ができるレベルの高いIQを持つ子供なんて居なかったから。

 でもこれだけは分かる。

 篠ノ之束って生き物が理解者を欲しがって涙を流す様なやわな生き物のはずないだろ!

 迫真の演技だったけど釣られてはやれないわ。

 

「ぐす……嘘じゃないもん」

 

 顔を手で隠しながらの束ちゃんの鼻声。

 スク水姿なんでセクハラして泣かせたみたいに見えるんでやめろし。

 

「ぐしゅ……ぐすん……(チラチラ)」

 

 指の隙間からメッチャ見てくるじゃん。

 残念だったな束ちゃん。

 子供の頃にトラウマを負って人間不信になる天才美少女は、エロゲではよくある設定なんで慣れてるのさ。

 そして俺は篠ノ之束がエロゲキャラみたいに可愛い性格をしてない事をよく理解している。

 

「ちっ、騙されないか」

「そうだね。心臓に毛が生えてる束ちゃんには悲劇のヒロインは務まらないかな?」

 

 束ちゃんが周囲に子供と馴染めずにボッチしてても、それを苦にしてる姿はまるで想像できないんだよね。

 友達要らない勢って強がりで言う子もいるけど、ガチ勢は本気で人生に友達なんて必要ないと思っている。

 確かに生きる上で友達は絶対に必要って訳でもないから難しい。

 でも俺は無理矢理にでも束ちゃんにお酒の味を覚えさせる!

 持って来たた酒はビールが数本と日本酒が一本。

 つまみはお馴染み柿ピーとサラミ! ちょびちょび食べてたがここで放出する!

 テントからおつまみを持って来てちゃぶ台の上に並べる。

 そして冷蔵庫からビールと日本酒を取り出す。

 束ちゃんの前にビール。

 俺は日本酒だ。

 

「さぁ束ちゃん――腹を割って話そう!」

「友達はお酒と同じ嗜好品ってただの比喩じゃないの!?」

「体は大人だから飲酒はセーフだよね」

「飲ませる気!? たばね小学生だよ!?」

「えっ、怖いの?」

「……簡単な挑発だね。でも乗ってあげる」

 

 ちょっと鼻で笑ったらあっさり乗ってくれたよ。

 チョロ可愛いぞ束ちゃん!

 

「はいじゃあビール持って」

 

 俺は日本酒を徳利に移してからお猪口に。

 

「乾杯ッ!」

「やってやる!」

 

 自棄っぱちの勢いで束ちゃんがビール缶をお猪口にぶつけてくる。

 中身がこぼれるでしょもったいない!

 慌ててお猪口を口に持って来てクイっと一気に。

 はぁ……美味い。

 さてさて束ちゃんは――

 

 ぐびぐび

 

「にがっ、なにこれ」

 

 ぐびぐび

 

「……テレビのCMで言ってる喉越しが良いってこういう意味か。なるほどね」

 

 ぐびぐび

 

「炭酸が喉の筋肉を刺激する感覚は悪くないけど、この安物感がある味はイマイチだなー」

 

 ぐびぐび

 

「これ、下手に舌で味わうより一気に飲んで喉で感じるのが正解な気がする」

 

 なんか吞み慣れたおっさんみたいな発言してやがる。

 たった一本のビールだけでその真理に気付くとは……流石は天才小学生!

 150円の発泡酒と300円の生ビール、味は確かに違うがぶっちゃけ喉越しだけなら大差ない!

 俺も夏場の一気飲みはもっぱら発泡酒だ。

 あ、もう二本目。

 ペース早いなぁ。

 

「ねぇ束ちゃん」

「んぐんぐ……んあ?」

「そんなペースで飲んで大丈夫?」

「たばねがこの程度で酔うとでも?」

 

 初めてのお酒のはずなのになんで自信満々なのだろう。

 確かに束さんは特別弱いって訳じゃない。

 でも何かしらの対処手段を用意してなければ普通レベルだぞ。

 よし、ここは先輩として――

 

「日本酒も飲んでみる?」

 

 お酒の怖さを教えなければならまるまいて。

 

「日本酒ねー。昔、お神酒をちょろっと飲んだけどクソまずかった記憶が」

「もしかしてお供え物飲みました?」

「うん」

 

 それでいいのか神社の娘。

 でもつまみ食いとか子供らしい事しててちょっとほっこり。

 

「放置された酒なんて美味い訳ないでしょうに。ほら、ちょっと試してみ」

 

 新しいお子著を用意して酒を注ぐ。

 これ、結構良い酒だから束ちゃんの舌にもあるだろう。

 

「そこまで言うなら飲んであげるよ。ふーん、匂いはお神酒より新鮮な感じ。味の方は――」

 

 女性がクイっとお猪口で酒を飲み仕草は色っぽくていいね。

 でもスク水……うーん、次のコスプレは和装もアリだな。

 

「熱い水が喉の奥に落ちていき、鼻の奥から爽やかな穀物特有のふくよかな香りが……なるほど、悪くない」

 

 語りますなー。

 とても小学生のセリフじゃないよ。

 でも残念ながら天才小学生でもお酒の知識はなかったようだ。

 冷酒があっさりと飲みやすく、日本酒初心者にオススメの飲み方だ。

 だが欠点がある。

 それは飲みやすさ上に飲むペースが速くなり、しかも冷たい状態のアルコールは体内に吸収されないので飲んでから酔うまで時間が掛かる事。

 そう、冷酒を飲むと後で一気に酔いが回るのさ!

 しかも今回はビールとのちゃんぽん状態!

 

「おかわり貰う。それとサラミもうないの?」

 

 どんどん飲めばいい! 一時間後が楽しみだぜ!

 それはそれとしてサラミが全部食われたのが悲しい。

 この状況下では貴重な肉なんだからもっと味わいなさい!

 束ちゃんの飲むペースを上げる為にもツマミを追加するか。

 味付けが濃いのがいいな。

 

「サラミはそれで全部です。鶏肉でも焼きます?」

 

 せっかく買った丸ごと一羽だけど、流石この状況で丸焼きはできない。

 切り分けて……味噌炒めにでもするか。

 

「うん、よろしく。柿ピーならビールだね」

 

 ぐびぐびぐび。

 

 呑気に柿ピー食べながらビールを飲む姿は束さんと同じだな。

 しかしツマミに合わせて酒を変えるとは……酒飲みおじさんに好かれそうな小学生だな!

 今はそうして人生初の酒を楽しんでるがいい。

 一時間後が本当に楽しみだぜ。

 はーはっはっ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 俺は失念していた。

 

「これでもたばねは我慢してるんだよ」

「はい」

 

 酔うってのは良い事ばかりじゃない。

 

「だいたいさー、なんでたばねが巻き込まれてる訳? 自分でやれよクソがっ!」

「はい」

 

 アルコールによって感情の抑制ができなくなる。

 それが酔ってる状態だ。

 

「お前もいい加減にしろ。死体と暮らしたくないから我慢してるって理解して欲しいんだけど」

「はい」

 

 泣き上戸に笑い上戸、酔った状況は人それぞれだが――

 

「処理が面倒だけどさー」

 

 閉鎖空間に閉じ込められて気心知られない人間と生活してストレスがマッハの人間が酔ったら――

 

「腐敗臭が気になるなら、殺した後に包丁で切り分けて肉をトイレに流すって方法もあるんだからね?」

「……はい」

 

 溜まってたストレスが大爆発するよね。

 

 




飲み会開始時

た「お酒って悪くないかも」
し「酒の怖さを教えてやるぜグへへ」


30分後

た「殺してバラしてトイレに流すよ?(ジト目)」
し「……はい(ガクブル)」
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