まったり転生~魔獣創造を手に入れし者   作:ドブ

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この章は基本原作通りにならない一巻の代わりのエピソードです。あと2、3話で終わる予定。今回はフラグ回。


人生バラ色だぁあ!!

「…………いつ見ても便利ね」

 

 

魔獣創造の効果を実際に目にしてみたオカルト研究部部長リアス・グレモリーの感想は呆れが多分に混じったものだった。

 

 

高度に政治的な配慮からこの学園に入学してきた僕に対する、高度に政治的な存在である魔王の妹君の反応は当初よりだいぶ軟化の一途を辿っていた。

 

 

それこそ入りたての頃はまるで腫れ物を接するように扱われていた。しかし彼女たちとてこの地域一帯を仕切る悪魔の端くれだ。如何に接触には慎重を要する相手だからと言ってヘマをしたくないからその機会を減らしたいなどとのたまうほど責任感と無縁ではない。

 

 

最初の顔見せの際、週に一度はそれぞれシトリーの生徒会とグレモリーのオカルト研究部に顔を出すよう約束させられていた。

 

 

そして定期的な親交は結果としてそれぞれにわだかまっていた壁を壊し、打ち解けるようになっていた。

 

 

いやまぁ僕も最初は苦労したんだ。何せまともな相手とコミュニケーションをとるのは久々だったし、相手があの原作の登場人物たちだ。緊張しまくってろくに話もできなかった。たぶん、向こうから顔を出すように、と言われなければ、ろくすっぽ話す機会を作れなかったに違いない。

 

 

何せもうすでに原作の一巻の展開は少なくとも起きないわけだし。事件を取っ掛かりにした関係が築けない以上、原作キャラとの友好は僕のコミュニケーション能力にかかっていた。

 

 

しかし、そんな状態の僕であるからして、まともな話など成り立つわけもなく。

 

 

結果として役に立ったのが魔獣創造の能力であった。

 

 

「必要に駆られてのことだよ、少なくとも食うには困らない」

 

 

意識を集中させると、テーブルにまた一つ光が生まれる。光が消え去るとともに生み出されたのは大きな蕾。パチンと指を鳴らし、鮮やかな花弁が開くと、その中央には芳醇な果実で彩られた餡蜜がおさめられていた。

 

 

苺の甘酸っぱさ、蜜柑の粒の細やかさ、チェリーの瑞々しさ。

 

 

ふんだんに盛り込まれた最上級の素材の味を邪魔にしないように添えられる控えめなアイスがさらに品を引き立てており、開いた花弁の先から朝露のように滴る黒蜜が一筋、中央の餡蜜に向かって流れこめば、抜群の完成度を誇る和の粋を尽くした逸品がそこにはあった。

 

 

もう一度指を鳴らすと花弁の下に隠れていた根と茎が任意の人物の下に向かって伸びきる。テーブルに据え置かれていた睡蓮花のように薄かった花は、眼前の人物が食べやすい高さ、角度に調整されて成長した。

 

 

そして目の前にそれを迎える形になった白髪の少女は眠そうに垂れ下がっていた琥珀色の目を見開き、爛々に輝かせてごくりと唾を飲んでいた。

 

 

「こういった演出も必要に駆られて?」

 

 

「勿論。ここに来てからその必要に駆られたんですけどね」

 

 

からかい半分で水を向けたリアスも屈託なく返されれば苦笑いするしかない。

 

 

「小猫ちゃん、君のために丹精をこめて作りました。食べてもらえるかな」

 

 

「……………………ありがとうございます」

 

 

こういった相手を喜ばせる類の小細工の必要は小猫ちゃんに会ってから駆られたんだ、と言わんばかりのあからさまなアピールにグレモリー眷属一同微笑ましいものを見るような目で後輩たちのやり取りを見守る。

 

 

まぁ小猫ちゃんにしても人見知りの気があるからどこかぎこちなくもある。一誠はあの無遠慮さと開けっぴろげな性格から距離を縮めたんだろうけど、僕みたいな繊細な人間には無理だ。こうやって少しずつ外堀を埋めていくしかないだろう。

 

 

未だにほかの眷属よりか壁を作られている感はあるけど…………間違ってはいないはず。

 

 

「あら、私には何かないのかしら?」

 

 

こうしてからかって上手く両者の間を埋めてくれるリアス部長には本当に感謝である。

 

 

そんな感謝をこめて。にっこりと笑い右手を背中に回して意識を集中させる。わずかに光が漏れ、次の瞬間リアス部長に差し出した右手には一輪の薔薇が握られていた。

 

 

「ではこれを先輩に。この薔薇は貴方の紅の髪によく映える」

 

 

「…………あなた手品師になれるわ」

 

 

「いずれにせよ食うには困りません」

 

 

「本当に」

 

 

「その薔薇がアイスで食べられるという意味においても」

 

 

驚いたように目を見張るリアス部長に僕はしてやったりと快心の笑みを浮かべる。試しに、と薔薇の花弁一枚を唇で()めばその舌に広がるローズマリーの風味に目を瞬かせ、悩ましげにため息をついた。

 

 

「これ、魔獣なのよね、一応」

 

 

「貴方に食されるために生まれてきた植物型の魔獣です。気にされることはない。強いて言えば、その魔獣の主として感想をお聞きしたいところですが」

 

 

「美味しいわ。とっても」

 

 

満足そうに笑みを浮かべるのを見て僕は思う。

 

 

エロい、と。

 

 

赤い薔薇の花弁がリアス部長の薄い唇に挟まれその奥へと消えていくさま。唇の紅と薔薇の赤、そして綺麗な白い肌とのコントラストがまたいい具合の比率で際立たたせていて……最高である。親指を立てたい。素晴らしい。

 

 

「でもあれだね、ここにこうして並べられているお菓子が全部魔獣だと思うと…………」

 

 

金髪の騎士、木場先輩がそんな風に口を濁す。沈黙で途切れさせて言わんとしていることはわからないでもなかった。僕が初めて創った豚への感情を考えれば共感できないこともない。

 

 

一心不乱に餡蜜を口に運んでいた小猫ちゃんも引っ掛かりを覚えたのか思わず手を止めている。だが手が震えている。次の手を伸ばすか伸ばすまいか強烈な葛藤が生み出されている。

 

 

その様子を見て面白くない僕はついつい口をとがらせて言った。

 

 

「わからないでもないですけど…………美味しくないですか」

 

 

「いや、そんなことはないよ。ただ病み付きになりそうで逆に怖いというか、ね」

 

 

「確かにそれはありますわね」

 

 

姫島先輩も木場先輩に同意し、困ったように頬に手を当てる。

 

 

「私もレオナルド君のものを食べて以来、どうにも他のものが美味しく感じられなくなってしまって…………カロリーも気になりますし美味しすぎるのも困ったものですわ」

 

 

なんかエロい。レオナルド君のものを食べて以来って具体的に何を食べたんですかねぇ。くそっ、流石駒王の二大お姉さま。戦闘力が半端ねえ。僕はこの中ではとりわけ小猫ちゃん派だというのに!

 

 

誰を優先していいのかわからなくなるぜ。贅沢な悩みすぎて悶絶しそうだ。

 

 

しかし、僕はいの一番に小猫ちゃんを抱っこすると決めてるんだ! 

 

 

決意も新たに小猫ちゃんを見れば、再び餡蜜を口に運ぶ小猫ちゃんがいた! 何やらうんうん唸りながら食べているが、舌に乗せた一瞬蕩ける顔はかわいいよ!

 

 

「それにオカルト研究部で紅茶を入れるのは私の仕事でしたのに…………レオナルド君が来て以来すっかりお役御免ですわ」

 

 

ハッと我に返ると、少しばかり悲しそうな面持ちをした姫島先輩がいた。視線の先は紅茶の茶葉を内部で自動で蒸らして完成させる植物型魔獣が。

 

 

すかさず僕は身を返してフォローに入る。

 

 

「姫島先輩の手ずから入れてくれるから、こんなにも美味しいんですよ。おかわりもらってもいいですか?」

 

 

「あらまぁ。喜んで」

 

 

輝くような柔和な笑みを浮かべて紅茶をカップに移す姫島先輩を見て、うんうんとうなずく。一瞬前まで違う少女に首ったけだった様子が嘘のような変わり身の早さだった。

 

 

そしてそのとき、背筋に冷たいものが走った。ぞわりとつららを差し込まれたような心地がする。サッと背後を盗み見ると、相変わらず餡蜜に夢中な小猫ちゃんがいた。しかし、目は凍りついている。横顔から覗く瞳がちらりとこちらを捉えた瞬間僕は素早く視線を逸らした。

 

 

あれはいけない。殺される。

 

 

不機嫌そうにがつがつ餡蜜を食らう小猫ちゃんにこっそりと意識を集中させて餡蜜をかさ増ししておいた。ご機嫌取りである。

 

 

姫島先輩から紅茶を受け取る際も小猫ちゃんの反応を伺っていて気もそぞろであった。しかしそうすると姫島先輩に申し訳が立たない。あちらに立てばこちらに立つ瀬がなく、こちらに立てばあちらに立つ瀬がない。

 

 

これがハーレムの難しさか、気疲れにこっそりため息を吐くと一連のやり取りを見守っていたリアス部長がその場を総括するように述べた。

 

 

「魔獣創造も大変ね」

 

 

その一言にその場に笑いが流れた。

 

 

もっとも小猫ちゃんの不審げな目は最後まで僕を見ていたが。

 

 

 

 

 

 

 

 

「あっはっはっはっはっはっは!!」

 

 

「くっははははははははははは!!」

 

 

部屋の中に高笑いのデュエットが響き渡る。

 

 

「いやぁ、順調順調!! 流石は僕!! 種族間の壁をものともせず、打ち解けてやったぜ、この野郎!!」

 

 

昨日のあのオカルト研究部の馴染みようを思い返せば快哉もあげたくなるというものだ。まさに僕の理想と言っても過言ではない光景であった。

 

 

「流石でございます、マスター」

 

 

「当初はコミュ障気味でどうなるかと思いましたけどね、とミサカは重箱の隅を突いてみます」

 

 

「うるさい、結果良ければすべて良し! ミサカは一言多いんだよ」

 

 

僕自身痛いところを突かれて言葉も邪険になる。が、そこで一旦言葉を切り、思案する僕の顔に浮かび出た笑みはお世辞にも良い類のものではなかった

 

 

「…………それ比べてキルキルちゃんは素直でかわいいなぁ」 

 

 

おいでおいでと手招きすると、キルキルちゃんはパタパタとメイド服のフリルを揺らしながらこちらに寄ってくる。そのまま僕の腕の中に引き込むと「きゃっ」と小さな声をあげつつも、嬉しげに眼を細める。

 

 

胡坐をかいた足の中に尻を落ち着けたキルキルちゃんのお腹あたりに腕を回しすっぽりとおさめると、ニヤリと唇を吊り上げて、これみよがしにミサカに視線をやった。

 

 

そして、このゲス顔である。

 

 

「ミ、ミサカは…………ミサカは、キルキルにはイエスマン度では勝てっこないから、マスターに対する奉仕の形としての独自のアイデンティティを築き上げるためこのように――――」

 

 

「キルキルちゃん、こっち向いて」

 

 

「…………はい」

 

 

身体を逸らしてこちらに顔を向けたキルキルちゃんの唇に覆いかぶせるように唇を重ねた。

 

 

「あっ」

 

 

女の熱を帯びた柔らかい唇の感触。興奮に濡れた唇の隙間に潜り込ませるようにハムハムして存分に堪能する。

 

 

唇を合わせることで間近となった肌がその交わりを激しくさせていくごとに擦れあう。その熱すら愛おしく、より近くで身体を合わせたいとする気持ちがなおさら強く唇を押し付け、熱を伝え合っていく。

 

 

貪り食らうように相手の唇の奥深くに唇を潜りこませて刻み付けた。唇の柔らかさを押しつぶし、元の形に戻ろうと返ってくる反発感を楽しんだ。

 

 

そして頃合を見計らったように、やや受け身となった女がその激しさに合わせて唇をわずかに開く。艶やかに濡れた上唇と求めるように誘う下唇に思わず口腔の中で獲物を見据えて舌が蠢いた。

 

 

が、そこで一旦僕は唇を放した。眼前には蕩けきったキルキルちゃんの顔がある。もっと、とせがむように胸元の服のしわをギュッと握りつぶしてくるキルキルちゃんに舌なめずりしてサディスティックな笑みを浮かべてキルキルちゃんの懇願を振り切った。

 

 

そうして待つのは、寂しそうに、心細そうに身を縮こめていたミサカである。

 

 

「どうした、ミサカ? 何か言いたそうだけど」

 

 

「あっ、うっ、ぅう」

 

 

胸元で手を握りしめて心底切なそうに瞳を涙ぐませる。言葉にならない音が唇の隙間から意味もなく漏れた。

 

 

目を細めて僕は笑ってやった。

 

 

「嘘だよ、嘘。ごめんごめん、ほらこっちおいで」

 

 

「ひ、ひどいです、いじわるです、とミ、ミサカは泣きます」

 

 

「ああ、もう泣くなって」

 

 

胸元に飛び込んできたミサカの頬に零れ落ちようとする涙が流れる前に舌で舐めとる。瞼の近くに舌の感触を感じたミサカは猫に舐められたように、くすぐったいと目を細めた。

 

 

「よしよし」

 

 

かわいいなぁ、と邪な欲望を満たして満面の笑みを浮かべていると、横からキルキルちゃんがこっちかまって、と言わんばかりに抱き着いてきた。

 

 

頭を寄せてきたキルキルちゃんの顔をしっかりと脇で抱え込み、巻きつく腕を伸ばしてキルキルちゃんの顎を撫でると、にゃぁ、と鳴いた。思わずビクンと身体が震えた僕であったが、なんてことはない、いつだったかにやった猫ちゃんプレイのときにキルキルちゃんに躾けた仕草であった。

 

 

にゃぁ、とキルキルちゃんが鳴いたからか、ミサカも対抗してにゃー、と鳴く。両腕に二人の女を侍らせにゃーと鳴かせる僕…………まさしく酒池肉林であった。

 

 

やれやれ、ここからまた長い一夜のアバンチュールとしけこみましょうかねぇ。

 

 

グレモリー眷属との実際の触れ合いを通して最近身体の方も浮つきっぱなしだ。それに奇しくもにゃーと鳴かれてグレモリー眷属の中では肩すかし気味の小猫ちゃんのことを思い出してしまった。

 

 

これは今日オカルト研究部に行く前に熱を冷ましておく必要があるな。それで変に焦っても困るしね、ぐへへへ。

 

 

「はっはっは! 相変わらず君は面白いものを見せてくれるね」

 

 

手をわきわきさせて、これからの情事に思いを馳せていると、図ったかのように電電虫から声が発せられた。

 

 

スクリーンから覗く紫髪の研究者の顔がひょうきんに歪む。

 

 

…………すっかり忘れていたが、そういえばスカリエッティと通信していたんだった。最初に事の成り行きを話して高笑いしあって喜びを共有していたのは、このスカリエッティである。

 

 

ただまぁ少し興が乗って近くのミサカをいじくってみたくなっただけで、うん。

 

 

寸止めを食らったかのような欲求不満はあったが、非は僕にあったために衝動を抑え込んだ。

 

 

「すまんすまん。そんで? お前も何か楽しいことでもあったのか?」

 

 

僕が高笑いしたからといって、それに倣えと大声を上げて笑うような魔獣ではないことはわかっていた。

 

 

「あぁ、実はね。また新しい神器が手に入りそうなんだ」

 

 

なるほど、嬉しそうな顔をするわけだ。ミサカネットワークとグリゴリの草刈りによって新たな神器所持者を見つけることは難しくなっている。神器発見の減少傾向に嘆いていたスカリエッティからすれば研究できていない新しい神器はのどから手が出るほど欲しいに違いない。

 

 

「しかもグリゴリから。馬鹿な堕天使がいてね。どうにも組織に神器所持者を報告しないで自分で確保しているらしい」

 

 

「へぇ」

 

 

馬鹿な堕天使もいたものだな。ただでさえ『神の子を見張る者(グリゴリ)』の立場は危ういというのに、組織の管理体制が疑われるぞ。

 

 

「用意しているものからして彼らは神器の移植でも済ませようとしているのかな? まぁ詳しいことはわからないけど、こちらにとってはいい鴨だ」

 

 

かすめ取る算段でもしているのだろう、ずいぶんいい笑顔をしているスカリエッティである。

 

 

ふーん、それにしても神器の移植ねぇ。

 

 

「好きにしてくれて構わないけど、それ目論んでる堕天使、できれば生け捕りにしておいてくれ」

 

 

堕天使もたくさんいるだろうから、確かとは言えないがこの時期にその企み。重なるものがある。

 

 

あのレイナーレ個人の上昇志向は変わらないだろうしな。『聖母の微笑み(トワイライト・ヒーリング)』がこちらにあるとはいえ、別の強力な神器を見つけたら、その野心を留めておけるとも思えない。

 

 

この世界に彼女が変わるべき要素がないのであれば、原作と同じようなことが起きるのは必然か。

 

 

「ふむ、利用するのかね。見ている限り小物すぎて、トカゲのしっぽ切りになるのがオチだと思うが」

 

 

「別に大した考えがあるわけじゃない。ちょっとした興味だ。無理そうだったら別にいい、その程度の命令だと思ってくれ」

 

 

「了解した。組織の駆け引きには使えなさそうであるが、堕天使の一生態を解剖するという意味では面白いかもしれない」

 

 

「…………とことんマッドサイエンティストだなお前」

 

 

呆れて物もいえないというかなんというか。相手する堕天使が可愛そうになってくる。ひょんな発言から決まるレイナーレの運命。ちかたないね。悪いことはするもんじゃない。

 

 

「マスターの利益になるかもしれないよ? 堕天使の力を魔獣に取り込む…………面白くないかい?」

 

 

「面白いのかもしれないけど、メインで使えるほどの素質があるとは思えないな」

 

 

「なに、使い捨ての戦力の主軸にはなれるかもしれない。そんな手間じゃないしね。そういう役回りの魔獣も必要だろう?」

 

 

「…………原型ぐらいは留めておけよ」

 

 

僕に言えるのはそれだけだった。嬉々として別れを告げて通信を切ったスカリエッティが映っていた黒いスクリーンを見てため息をつく。

 

 

心底、これ敵じゃなくてよかったなぁ、と思って。

 

 

「マスター…………」

 

 

「あの、ミサカは…………」

 

 

通信が終わったのを見計らってか、両脇で僕になだれかかっていた二人が媚びるような声を出した。ふっ、いけない小猫ちゃんたちだ…………

 

 

「おっと、そろそろオカルト研究部に行かなきゃならない時間だな」

 

 

そこにわざとらしく腕時計を見て残念そうに額を叩く。

 

 

ああ全くもって残念だなぁ。

 

 

「ご、ご随伴の許可を」

 

 

「み、ミサカも行きます! とミサカは迫ります」

 

 

「ああ、それもいいかも…………いや、待てよ。二人にはちょっと頼みたいことがあったんだ」

 

 

白々しく嘯くと、二人とも沈黙した。なに、反抗的なのもいるが、僕の頼みと聞いてあからさまに断れるような魔獣じゃない。口の中でもごもご言っていたが、素直に二人とも聞いてくれた。

 

 

「それじゃ、行ってくるよ。留守番よろしく」

 

 

ああ、帰ってきたらどうなっているか楽しみだなぁ!!

 

 

「あっははっはっははははっは」

 

 

高笑いを爆発させて僕はオカルト研究部へ一路急ぐ。

 

 

人生バラ色だぜぇ!!!

 


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