まったり転生~魔獣創造を手に入れし者   作:ドブ

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二話連続投稿。

新章突入。いよいよ本格的に原作介入ということで、上手く書けているかどうか……


この新章の成分

・シリアス3ギャグ7で基本おふざけ回。
・人妻グレイフィアさんぺろぺろ ※魅力がわからない人はハイスクールD×D NEWのグレイフィアさんのアイキャッチ参照。グレイフィア アイキャッチで検索して画像のところ見ればたぶんあるから。破壊力半端ない
・原作キャラを魅力的に書きたい(願望)





戦闘校舎の変態フェニックス
処女よこせ!


「太陽って何故毎日のぼるんだろう……」

 

 

アラームが鳴り響き僕は一人たそがれる。鳴ったアラームは屋敷に侵入者が現れた証、いわば警報装置のようなものだ。無駄な抵抗と思っていてもやめられない、というより最近ではこの布団防衛戦が楽しくなってきているくらいである。

 

 

罠を設置し魔獣を配置し迫りくる敵を倒せ! 的な。日々エスカレートしていくせいか現在僕の屋敷は人外魔境のダンジョンと名指されてもおかしくないようなものになっている。ついこの間、珍しく朝がやってきても侵入してこない小猫ちゃんの代わりに来た木場先輩とか開始三秒トラバサミにかかって大けがしていた…………もちろん証拠隠滅に抜かりはない。きちんと傷跡残さず治療させた。が、何故か翌朝から小猫ちゃんと一緒にパーティを組んで僕の屋敷を攻略しにかかっていた。もちろんそれを見て嫉妬に狂った僕がダンジョンの難易度はルナティックにしたことは言うまでもない。その日学校に行かなかったことも言うまでもない。そうしたら翌日は何故かリアス部長も含めたグレモリー眷属パーティでダンジョンを攻略しにかかり、とどめとばかりに僕がしこたまボコされたことも……うん。

 

 

僕はあれかなんかのボスなんだろうか。その事件以来何故か時たまグレモリー眷属が総出で僕の屋敷に襲い掛かってくるようになった。なんでも実戦経験が手軽に積めるのだとか。

 

 

こうして僕の屋敷はレべリング用の絶好の狩場として悪魔どもから付け狙われるようになったのだった、まる。…………本気で勘弁してほしいんですが。

 

 

とは言っても流石に朝は小猫ちゃんオンリーにしてもらうように交渉したし(僕のダミーを置きまくって小猫ちゃん以外見分けがつかないようにしただけ)、最後に僕をボコるのも最初の件以来なくなっていた。代わりにお茶とお菓子を提供している。

 

 

まぁ、楽しくないわけじゃないからいいんだけどさ、今日に限ってはダルい。そもそも最近じゃ勉強も忙しいし。アルファベットとかわからんわ。

 

 

アラームと同時に映ったテレビを見てみれば、いつも通り攻略をする小猫ちゃんの姿が。いつもならここで観戦しながら適宜テコ入れするけど、今日は…………いいかね。めんどくさい。大体小猫ちゃんが来るのはちょっと早すぎる。もう少しゆっくりしたって十分学校には間に合うだろうにさぁ。そもそも今何時…………

 

 

「三時…………だと」

 

 

太陽とか昇ってないじゃん!! 深夜だよ深夜!! ダルイはずだわ!! ほぼ寝てないもの!!!

 

 

「悪魔だからってこれはない。お前ら悪魔が夜に活発に動くからってそれはない。僕は人間だぞ、このやろう!!」

 

 

そうこう吠えていている間にもけたたましい足音はこちらに近づいてくる。最初に見逃したのがいけなかった。もう迎撃の時間はほとんどない。せめてこんな夜中に侵入してきた理由を問いただすぐらいの自由はあるんだろうな、と青筋立てて待ち構えている鼻先で扉が思い切りよく開け放たれた。

 

 

覗いたのはいつになく不機嫌そうな小猫ちゃん。不機嫌なのは叩き起こされたこっちじゃボケェ。今何時だと思っていやがりますか、こんちくしょう。

 

 

そう口を開こうとした矢先有無を言わさず、突っ込んでくる小猫ちゃんはそのまま僕を組み伏せた。どこの暴君だよ、でもちょっと興奮しちゃってる自分が悔しい。

 

 

「…………何事?」

 

 

しかし流石の僕も時を選ばず発情して発言を間違えるほど愚かではない。口調はいたって冷静だった。それもそのはず、許可なく深夜に特攻しかけてくる無礼者をそのまま押し通すほど我が家の侍従は甘くないのだ。我が家の最高戦力は下手な真似をしようものなら即座に小猫ちゃんの首を斬りおとせるよう、手ぐすね引いて部屋の外で待機している。この刃を研ぐような殺気を小猫ちゃんは感じていないのかね。まぁ感じていたら平静を保てるわけもなしに。元々僕以外の前では感情の機微が薄いキルキルちゃんのそれは一般の殺気とはずいぶん異なるものなのかもしれなかった。

 

 

そんな水面下の均衡を察せずして小猫ちゃんは不機嫌そうに口をへの字に曲げる。そうしてボソッとつぶやかれた一言に僕は首をかしげることになる。

 

 

「…………なんでこんな人に」

 

 

その意味を問いただすことはついぞ叶わなかった。それを聞き分けた瞬間、小猫ちゃんの身体が光に包まれたからだ。

 

 

そうして代わりに残ったのは光の残滓と、

 

 

「ぐぇえ!」

 

 

小猫ちゃんと比べて随分と重量を増した人――――紅髪の淑女、リアス・グレモリーその人だった。

 

 

キャスリング、と遅れて深まる理解に戸惑いを隠せぬまま、圧し掛かってくるリアス部長を見つめている、出し抜けに部長はこんなこと言い出した。

 

 

「突然で悪いのだけれど、レオナルド」

 

 

私の処女もらってくれないかしら。

 

 

いつかどこかで見た光景を彷彿とさせる一言。そんな言葉を聞いて僕が発したのは、

 

 

「はい、よろこんでぇ!!」

 

 

ひどく情欲に塗れたものだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「そこを、どいていただけませんか」

 

 

俄かに殺気立ち、険悪に染まる言葉を聞いても相対する侍従の態度には柳に風。無機質な人形を思わせるような表情で相手を見つめる瞳はまるでガラス玉のようだった。視線はむけていても、価値は認めず相手を透かして見ているかのように侍従は興味を抱いていない。

 

 

「このような夜分に客を招く習慣は私たちにはない。礼儀を知るのなら翌朝に改めるのがよろしかろう。そのときは賓客としてもてなそう」

 

 

対称的なのは、それを際立たせるかのごとく歯噛みする銀髪のメイド。その美貌に似つかわしくない感情の名は焦慮だ。何かを案じてその表情を歪ませている。それが自らの手から離れていくことを恐れている。そして目の前の人物の態度は銀髪のメイドの望みとは程遠いものであった。

 

 

「あなた方は私たち悪魔に保護されている方々です。そうそう手出しはするわけにいきません。しかし…………何事にも例外はあります」

 

 

「ふん、何を言っておられるのか、さっぱりだ」

 

 

「…………分不相応に。太古より連綿と血を引き汲みし貴き悪魔の一つの家の趨勢に手出ししようというのであれば、容赦する理由はありません。どちらが上で、どちらが下か。弁えさせなければならなくなるでしょう」

 

 

慎重に言葉は選んでいるものの、銀髪のメイドの立場からすれば随分と踏み込んだものだった。譲歩はない、言外に匂わすニュアンスは剣呑だ。それを受けて主に忠実な侍従はようやく重い腰を持ち上げる。眉を跳ね上げ、わずかに下がる。

 

 

「この家を任される身として、その発言は不快だ。私にも、侍従として無礼を働くものには礼儀を弁えさせなければならない義務がある」

 

 

もはや事態は一触即発だった。お互いに落としどころもなく譲らない。

 

 

バチン、と銀髪のメイドの足元で光が弾けた。

 

 

顰め面で視線を落とすメイドの先に散っていたのは転移の魔方陣の残滓だった。躊躇っていたのは、人の屋敷に侵入する無法に気を咎めてのことではない。感覚的に、ここには直接転移することはできない、と悟ってのことだった。

 

 

とはいえ信じきれなかったのも事実。転移阻害の設備は重要な施設などに使われていることが多いだけにコストが高い。そんなものがこの人間界の片田舎の屋敷に用意されているとはにわかには信じがたかったのである。

 

 

最後の試みとばかりに試してはみたが、結果は御覧の有様。

 

 

故に、

 

 

「…………無礼者め」

 

 

両者の衝突は必至。奇しくも魔方陣が弾け飛んだ音は、開戦の号砲となった。

 

 

飛びすがる影は月夜に煌めく銀髪の光沢を纏って空中を駆る。先手の力は紛うことなく全力全開だった。可能な限り傷つけず穏便に済ませたい意思は変わらず。そのためには隔絶した実力差をもって相手を圧倒しなければならない。そうするために引き出したスピードが結果として最強の女王である彼女の全力であったことは、文字通り相対する侍従の力量を物語っていた。

 

 

刹那の隙に走る空気の悲鳴。それをしてもなお侍従の表情が変わらぬのは、認識できない壁があるからだと。そう信じて疑わなかった彼女の首筋に瞬間、悪寒が走った。

 

 

――――その一瞬で何かを思考したわけではない。ただ気が付けば体が動くままに彼女は回避行動をとっていた。

 

 

…………こういった本能をちくりと差す虫の知らせが大戦時いったい彼女を何度救ってきたことか。久しく訪れなかった感覚に遅れた反応の代償が彼女の首筋に伝ってきていた。

 

 

零れ落ちる一筋の血に人差し指を当て拭いさる。ぬるま湯に浸かってきた彼女の体温が熱を帯びた血潮に乗って一気に上気していた。

 

 

思わず、獰猛な笑みが零れるのが止められない。かつて名指された銀髪の殲滅女王(クイーン・オブ・ディバウア)の血が疼きそうになるのを鉄の理性を持って抑えた。

 

 

それでも余った熱を何故、自分が攻撃を食らったのか、の分析に回す思考に振り分ける。張り巡らされた常時発動型の結界に、纏った魔力。破壊された兆候はない。こうして回避した今でさえどうして攻撃を食らったのかわからない。

 

 

困惑が頭を占める中、ふと目についた一つの亀裂。いや亀裂と言うには烏滸がましい。それは微細な切れ目であった。寸断狂わず極細の糸ほどの細さと密度で防御結界に歪を生み出しているそれ。術式の破綻すら気が付かせない精度で穿たれた楔から頭の中で線を描けばそのまま首筋の傷にまで繋がり到達している。

 

 

それに気が付いたとき肌が粟立つのを自覚した。これを成し遂げるのにどれだけ繊細かつ大胆な技術を必要としたことか。感嘆の念を覚えると同時に相手にその気さえあれば、この首を叩き斬られていたのではないかという錯覚にとらわれる。

 

 

慢心していい相手ではない。仮にもこれはあの神滅具・魔獣創造が生涯をかけて生み出した最高傑作なのだ。神ならぬ自分が発展途上の相手と侮っていいわけがなかった。

 

 

眉一つ動かさず、未だ興味の欠片も見せない相手を射睨む。そして静かに息をついた。

 

 

……あの子も自分の状況は分かっているはずだ。だからこそここに来た。そして彼女が事を急いていた場合、今から自分がここを突破してその現場にたどり着くまでにその阻止が為るかと言えば…………首を振らざるを得なかった。

 

 

少なくとも一朝一夕で倒せるような相手ではない。

 

 

そして自分はグレモリー家のメイドでもあるが、同時に魔王の一角をなすルシファーの右腕、女王の眷属でもあるのだ。

 

 

これ以上、グレモリー家のメイドとしての立場に拘泥するには、少々以上に分が悪かった。

 

 

故に彼女が思うのは、願わくば彼女が名のある家の次期当主として賢明な判断をすることを期待するしかなかった。

 

 

これ以上、彼女にできることはない。いや、むしろ。

 

 

「………………はぁ」

 

 

目の前の人物との関係修復の方に彼女の力点は置かれることになりそうだった。

 

 

 

 

 

 

 

「諦めたの、かしら」

 

 

テレビで玄関前の映像を映し出し観戦を決め込んだリアス部長が悩ましげに首をかしげながら呟く。音声は伝わってこないので、詳細を知る由がないが、時間にして数秒の攻防を終えて二人は言語コミュニケーションに入ったようだった。

 

 

まぁもしかしたら決裂して再び刃を交わすことになるのかもしれないけど。とりあえずキルキルちゃんには屋敷に入れるな、と言ってあるので、後はそれを達成する手段が温厚なものであることを願うばかりだ。

 

 

しかし、そんなことよりも大事な問題が今僕の目の前に転がっている。

 

 

「処女まだー?」

 

 

ベッドの上でパンパン、モモを叩きながら催促すると部長が呆れたようにため息をついた。

 

 

「何を言っているのレオナルド。ついさっき食べたばっかりじゃない」

 

 

「なん……だと?」

 

 

「いやねぇ、レオナルドったらボケちゃったのかしら」

 

 

おほほ、とか笑いながら視線を逸らす部長。

 

 

まさか。まさか、世界の意思により描写がカットされたのか…………? 物語(人生)上もっとも大事な部分、ここぞ、って部分で描写が切れていたのはまさかそういうことなのか……っ!

 

 

「んなわけあるか!! そんなんで騙されるか!!!」

 

 

「…………まぁ、そうよね」

 

 

「処女をよこせ!! 処女をよこせ!!」

 

 

何のためにキルキルちゃんを出張らせてまでここに匿っていると思っているんだ!!

 

 

「…………そうね。そもそもどうしてこういうことになったのか、あなたには説明する義務があるわよね」

 

 

「御託はいい!! 処女を僕にあげろ!!」

 

 

「そう、あれは…………」

 

 

「処女!! 処女!! 処女!!」

 

 

「…………黙って聞きなさい」

 

 

「はいすんません」

 

 

 

 

 

話してくれたのは予想通りとも言うべきか、グレモリー家とフェニックス家との間に結ばれた婚約の話だった。相手はフェニックス家三男ライザー・フェニックス。原作と変わることのない展開である。原作に沿うならこの後イッセーに処女を捧げて婚約を破綻させようとするが、ここには赤龍帝はおらず、代わりの僕のところにその目論みを持ち込み、すんでのところで止めるはずのグレイフィアさんはキルキルちゃんによって足止めを食らっている。

 

 

やっだー、結局のところ、リアスの処女膜突破まで待ったなしじゃないですかー。

 

 

「…………というわけで処女をもらったことにしておいてほしいの」

 

 

「…………もらった、こと?」

 

 

「ええ、グレイフィアには今ここで何が起きているのか確かめる術はない。ここは悪魔が保護している屋敷で如何な事情があろうとも、一家の一存で一家の女王が干渉していいような場所じゃない。悪魔界においてこの屋敷とあなたの存在はそこまで軽いものではないの」

 

 

「でもこんなことになってるけど?」

 

 

未だ火花は散っていないが、テレビの向こう、戦禍の後を生々しく残す現場で今も話し合いが続いている。

 

 

「それについては予想外だった、と謝るわ。ごめんなさい。でも私はどうしても今回の婚約の話を破談にしたかったの」

 

 

彼女もこのような方法は本意ではなかったのだろう。表情の端に悔しさが滲みでていた。いやまぁ確かにこっちとしてはいい迷惑だしね。

 

 

「それについては何がしかで報いたいと思っている。だから、お願いします。今日この夜あなたが私の処女をもらった、と。そういうことにしてくれないかしら」

 

 

そうしてゆっくりと頭を下げた。常に優雅さを漂わせ二大お姉さまなんて呼ばれている人とは思えないほど謙虚な姿がそこにはあった。

 

 

しかし、僕には納得いかないことがある。

 

 

「いや、うん…………そこだよ!!」

 

 

「……? 何が?」

 

 

「何がじゃないよ!? もうそこまで来たらいいじゃん!! もらったことじゃなくて、そのままもらってもらえばいいじゃん!! 報いたいとかいいから僕に処女をください!!」

 

 

現に原作のイッセーにはあげようとしてたじゃん! 原作の流れ的にはそれでオールクリアなはずでしょ!! 何を躊躇っている!?

 

 

「いえ、まぁ、その。流石にはじめては好きな人といいっていうか…………」

 

 

はぁ!? おめぇ、原作じゃ、ちょっといいかな、ぐらいに思っていたエロスケベイッセーに軽く処女をあげるような真正クソビッチがなんでそんなどこぞの純情乙女みたいなことぬかしてるんですか! あなたは痴女ですイグザグトリー!!

 

 

とは口に出しては言わないが、僕の表情に不満がありありとあらわれていた。

 

 

これはあれか、好感度的に一巻終了時のイッセーに負けているから、ということなのか。あのエロ馬鹿に負けてるのかよ。まぁやるときはやる男だし、そういう意味ではまだ僕に見せ場は来てないけどさ…………

 

 

「でも処女じゃないかどうかなんてアソコ見たらわかることじゃん……」

 

 

それでもあきらめきれず、縋るように言葉をつづけた。

 

 

「いや、グレイフィアも流石にそこまでは…………」

 

 

口を濁したのは確証が持てないからか、視線が頼りなさげに虚空を彷徨った。

 

 

「…………最悪自分で破るわ」

 

 

「奥さん奥さん、そんな処女膜を破りたいあなたに、ちょうどいい道具がここにありますよ。全長20センチメートル欧米仕込みのマグナムがここに」

 

 

「いえ、そういうの結構ですんで」

 

 

「そんなこと言わずにさぁ! さぁ! さぁ!!」

 

 

ごり押しに次ぐごり押し。抑えきれない性衝動に身を任せて僕の一物が唸る。その様まさに一流のセールスマン、そうやってぐいぐい商品を押し付けていると、その厚かましさに辟易したのか顧客の顔がゆがむ。

 

 

「……………………そこまでいうなら」

 

 

「ちょっと待てなに今のすごい顔。筆舌しがたいほどの葛藤が一瞬顔ですごいことになってたんだけど。ねぇ、なんなの? 僕の事そこまで嫌いなの? ちょっと、ちょっと! 人と話すときはちゃんと人の目見ようよ!!」

 

 

あんまりな対応にあれ、僕の立ち位置っていったい…………と不安が高鳴り、涙ぐんでみながらがくがくと部長の身体を揺すっていると、フッとこらえきれなくなったように部長は笑みを浮かべた。

 

 

「わかってるわよ、レオナルド。大丈夫、あなたがそうやって道化を演じて私の気を紛らわそうとしてくれていることはわかっているから……そういうあなたのこと私好きよ」

 

 

本心ですがなにか!?

 

 

「あとは、そう。あなたがもう少し真人間になってくれれれば、ね?」

 

 

意味深に言葉尻を匂わせ微笑む魔性の女リアス。こいつ道化を演じている僕が好きだってぇ? それ裏を返せばさっきまでのセックスアピールの激しい僕は嫌いって意味じゃないか。うまくあしらった上に自分の女としての価値を武器にして、あわよくば僕を真人間にまで導こうとするこの面の厚さ。

 

 

ここで僕が否定してしまえば、目先の利益を得ることは叶うかもしれないけど、長期的な視点で見たときの僕の好感度はどん底まで落ち込むだろう。

 

 

それはリアス部長だけに限らず、その眷属にまで累が及ぶことを意味している。

 

 

それは見過ごせない。それはだめだ。

 

 

……うまいこと話をまとめやがってからに。

 

 

処女を捧げず、なんの代償もなしに自分の利益である婚約の破談を達成してしまうこの手管。

 

 

こいつやはりビッチだ、とんでもねービッチだ。

 

 

しかしここらが潮時なのも事実。

 

 

原作主人公のような魅力があるとは思えない僕がハーレムを作り上げるために取った方針は長期持久戦だ。イッセーのように一年でどうにかなるとは思っていない。どのみちリアス部長たちは大学卒業まではこちらにいることがわかっているのだ。それだけ長い時間をかければ接する機会も増えるし、おのずと可能性は開けてくる。

 

 

そういう意味でリアス部長の発言は僕の急所を射ていた。長期的に見て関係を悪化させるような行動を僕はとれない。ましてや素の自分がそうそう異性に好かれるようなものでないことがわかっているからなおさらに。

 

 

僕はなんていうかそう、異性としてはとても、味わい深いものなのだ。素人さん、一見さんお断りの商品なのだ。長い期間僕と接する玄人さんでなければその妙味がわからない。そういうものだから、けれどもわかる人にわかってもらえればいいと引くほど集客意欲がないわけではないから。時にはその苦みを抑えるような砂糖も必要となるのだ。

 

 

要するに。分水嶺であるここが、僕の行動の限度であったのだ。

 

 

だから僕は掌返し、人当たりの良さそうな顔して微笑んだ。

 

 

「…………やっぱわかる人にわかっちゃうか~。僕の素晴らしさっていうの? いやいやあわよくば処女もらいたいな、とかそんなこと思ってませんよ。そんなことしたら何の利益もないのに面倒事押し付けてくるどこか下衆な人と同じじゃないですかーあはは」

 

 

その本心は言葉にすれば駄々漏れであったが。

 

 

「うふふふ、そうね。そんなこと本当に思っていたら、普段あれだけ善意でお世話になっておきながら自分の時は、さも知らん顔で利益を預かろうとするどこかの誰かさんみたいだものね」

 

 

「あははは」

 

 

「うふふふ」

 

 

「…………あはは」

 

 

「…………うふふ」

 

 

気づけば寒々とした空気が両者の間に流れていた。

 

 

が。

 

 

「…………やめましょう。不毛だわ」

 

 

「…………白々しいしね」

 

 

元々二人ともこういう交渉の真似事とか皮肉の応酬などは好いていなかったためかすぐに終局を迎えた。

 

 

「まぁあれでしょ。婚約破棄したいから、僕みたいに重要でありながら立場が不透明な人間と関係を持ったことにしてお茶を濁したい、って。要約するとそういうことでしょ」

 

 

「まぁそうね。けれど私もあるいは相手方のフェニックス家も、そういう醜聞で婚約が破談になった、なんてことが噂になったらひどく名誉が汚すことになるから。せいぜいそういう疑惑が出た、ぐらいに薄めて実際は別の事情があった、っていう風な落としどころになると思う」

 

 

「ふーん、まぁ実際のこととして扱われたらこっちも不利益を被りすぎるからごめんだけどね」

 

 

「それにあなたは魔王様方の肝いりで魔王の妹である私たちの下で保護、という扱いになっているから。下手に突けば藪から蛇が飛び出してきそうな醜聞がそうそう広まるとは思えないわ。それくらいあなたの話題と言うのはデリケートなのよ」

 

 

……そこまで勘定に入れているのなら問題はない、か。

 

 

魔獣創造である僕の話題がデリケートだというのはまぁわかる気がするな。上手くやれば赤龍帝に続いて二つ目の神滅具を悪魔が手に入れることができるのだ。期待も高まっているだろうけど、それに向かって期待される動きはいささか鈍く、保護先が魔王の妹の下というのも恣意的だ。魔王の職権を乱用して神滅具を関係者で独占するつもりか、という誹謗にもつながりかねない。しかしそれが現政権に対する批判にもなりかねないという危険もあるというのなら不満はあれど、軽挙に口を開くことは避けるはずだ。

 

 

実際この恣意的な均衡状態がどうやって成り立っているのかについては正直僕も詳細は知らなかったりする。セバスチャン任せだしな、そこらへんは。大雑把に僕がかわいそうな子で人間界からはなれたくないよーって言ったからってことになってた気がする。

 

 

「ま、僕も恋い焦がれる女性が目の前で掻っ攫われていくって状況は看過しがたいしね。協力するよ」

 

 

「あら、久々に聞いたわ、その気障なセリフ」

 

 

「……どこかの誰かさんが学校と言う地獄に閉じ込めたせいで、僕の持ち味はすっかり鳴りを潜めていたからね」

 

 

「…………まずあなたが真人間にならないことには何も始まらない気がするわ」

 

 

はぁ、とため息をつくリアス部長の張りつめていたものはいつの間にとけていたようだった。来た当初は、らしくもなく遮二無二協力を取り付けようとしていたくらいだったし。婚約破談の公算ができて気が緩んだのかもしれない。彼女なりに今回の婚約には考えるところがあったようだしね。まぁそれぐらいの協力でこうやってホッとさせてあげられるのであればがめつく利益をねだることもないか、とひとりごちた。

 

 

「ああ、けど全部終わったらおっぱいぐらいもませてね」

 

 

「……か、考えとくわ」

 

 

さっきより反応も悪くなかったし、大体のところ御の字に事がすみそうだった。

 

 

この後、さも事を済ませたかのようにリアス部長と玄関に赴いて、一緒にグレイフィアさんを説得した。婚約の破談に協力してくれるように、だ。

 

 

元々サーゼクス・ルシファーとも敵味方の陣営に拘らず大恋愛を成し遂げたような方だ。今回の本人の意思を伴わない婚約にもそこまで乗り気ではなかったようで。確約はもらえなかったが、ライザー・フェニックスとその父母にあるいはグレモリーの父母にその関係を匂わすことぐらいはしてくれるそうだ。

 

 

それで破談にはできないかもしれないが、二つの家の間に神滅具の存在を絡ませることで状況を混迷化させ、婚約を先延ばしするぐらいのことはできるだろう、と。

 

 

結果は満点とは言わないが、落としどころとしてはリアス部長も僕も納得できた。

 

 

時間を稼ぐことができた。次に婚約の話が来るときには、おそらく僕の立場も激変しているはず。もしすべてが上手く行けば、正攻法でリアス部長を勝ち取ることもできるだろう、と。その思いを胸に今のところはそれで合意した。

 

 

交渉が上手く言って、リアス部長が頬にキスして笑顔で帰って行って。

 

 

しかしそれでも一つ解せないことがあった。

 

 

そもそも長期持久戦を持ってハーレムをつくると決めた時点からこのライザーとのイベントは邪魔で仕方がなかった。だからレイナーレの一件と同様にこの展開が起こらないように手は打っていたはずなのだ。

 

 

にもかかわらず現在も変わらず原作の展開をなぞって脚本は進行している。

 

 

いったい、これはどういうことだ。

 

 

もしかすれば、まだ終わってないのかもしれない。

 

 

不吉な予感に顔をしかめながらも僕は今回の手筈で不始末を起こした奴へと連絡をとるべく電電虫に手をかけた。

 

 

原因の究明が終わるまでは、このお話は終わらないのかもわからなかった。

 

 






処女あげちゃうまでにいかなかったリアスさんに足りないもの

・切迫感
・好感度
・そもそもレオナルドが人間であること


この三点から処女あげるのを拒否りました。


この章は基本リアスの魅力について書ければなぁ、なんて思ってるけど難しい。キルキルちゃん天使! 以外に感想でキャラの可愛さについて触れられたことがない気がする…………拙作には原作キャラのヒロイン力が足りないようです。
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