まったり転生~魔獣創造を手に入れし者   作:ドブ

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原作への介入方針

「ふぅ…………やれやれだぜ」

 

 

原作キャラ人形惨殺事件一夜明けて今日。キルキルちゃんの視線が怖いレオナルド君であります。日課のおばけキャンドル創造を済ませため息をつく。

 

 

昨日はいろいろありすぎた一日だった。原作への愛が巻き起こした悲惨な事件であったがひとえにそれを引き起こしたのは僕が原作への介入の方向性を明確に定めていなかったのが原因とも言えよう。

 

 

「まぁ、とりあえず…………ゼノヴィア、イリナ、あと子猫とロスヴァイセさんだな」

 

 

その原作への介入方針だが。

 

 

ひとまず原作ヒロインはその四人を攻略する。ほかは余裕があれば…………と言ったところか。まぁ最悪魔獣創造で創ればいいし。昨晩妄想していたが魔獣創造で創ったリアスとかとエッチしてるところをイッセーに見せつけるのとか超楽しそう! という計画もある。そこらへんは切迫感が希薄である。

 

 

問題はいつ原作に介入するか、だ。

 

 

もちろん駒王学園には通うことになるだろう、原作の舞台だ。この世界に転生したからには当然原作の事件の渦中にいたい。

 

 

問題なのは、原作前のヒロインに介入すべきかどうかという点だ。これも前にちらっと考えていたが、名前と容姿はわかっているのだ。幼馴染フラグを立てることは場合によっては可能だろう。イリナなんかはこの時期イッセーと一緒に駒王市に住んでいることは明記されているのだ。手間はかかるが、できなくはない。

 

 

もちろん現実的に考えれば限りなく不可能に近いことはわかるが、もしそのようなことが可能な状況に陥った時、方針を決めておかねば、先日のような事件が起こりかねない。どのみち原作開始の年度を調べるために駒王市には向かわねばならないのだ。そこらへんは、はっきりしておかなくては。あとイッセーに関してどう干渉するのかも、な。友達になったほうがいいのか、そうでないのか。

 

 

決めておくべきことはたくさんある。

 

 

とはいえ時間はたっぷりあるのだ、早急にすべて決めなくてはいけないということもない。ただ原作のヒロインに対しての干渉はある程度昨日の時点で自分の中で決着はついていた。

 

 

原作ヒロインとは原作開始まで極力接触しない。

 

 

これだ。

 

 

僕が愛しているのは原作そのままのヒロインなのだ。下手に原作前にヒロインに接触して性格がまるっきり変わってしまったり、そもそも原作通りの展開にならなかったりしたら目も当てられない。それは原作ヒロインではない。原作ヒロインのような何かだ。

 

 

そもそもそこにこだわりがなければ、魔獣創造でヒロインを創造することに躊躇いなどないわけだし。

 

 

ということで決定。原作ヒロインとは原作までかかわらない。まぁめったなことがない限りは無駄な決定になるだろうけど。都合よく原作ヒロインと会いましたーみたいな展開なんてないだろうし。

 

 

イッセーに関しては保留。はっきり言えば邪魔だしね。しかしいないというのも困るという微妙な案件だ。これからじっくり考えていこう。イッセーに関しては今の段階で場所がわかっている原作唯一のキャラだ。接触しようと思えばできるわけだし、それだけ慎重を極める判断になるだろうし。

 

 

ま、原作まではのんびりやんわりチート目指してがんばっていきましょうかな。五歳から努力すれば、チートは確実だろう。ほかの原作の連中はまだ遊んでる年ごろだろうし。

 

 

僕の場合は努力しなきゃ生活もできない状況に陥っているわけですがね!!

 

 

「…………飯、創るかぁ」

 

 

やっていることはファンタジーだが、本質はかなり所帯じみているような気がしなくもない。五歳ですよ!? もうちょっとなんかこう母親に甘えたいです。おっぱい飲んでこれはなんちゅう羞恥プレイやぁあああ、とかやりたかった。

 

 

いやでも赤ん坊のころから意識はなくてよかったか。どうせ捨てられたわけだし。かえってショックが大きかったかもしれない。

 

 

だけどまぁ、これならレオナルドがカオスフリゲートに入った理由もわかるような気がする。神器の使い方がわからなければ、この年の子供が食っていくにはつらい。物乞いかゴミ拾って食うかとかそんなところが関の山だろう。

 

 

「ああ! やめやめ! 腹が減っては戦もできぬ! 飯だ飯!」

 

 

気分を変えるために飯のことに集中する。とはいえ最近の食事、塩味のある肉を焼いて食うというだけの芸のないものだ。こうも単調では気が滅入ってしまう。

 

 

「少し食事にも芸を凝らしてみましょうかね」

 

 

とはいえできることは少ない。何せ調味料さえ碌にない環境だ。料理に工夫を凝らすというのは無理な話。ならば、

 

 

「ないなら創ればいいじゃない」

 

 

ハングリー精神。最近このフレーズが口癖になっている気がする。その能力があるのであれば可能な限り試してみる。それが自分の食生活を豊かにすることに向けられるのであればなおさらだ。

 

 

僕は没頭していく。そうすればいやなことからも逃げられるとばかりに。

 

 

 

 

 

 

 

 

「で、できた…………」

 

 

僕は汗をぬぐって完成した魔獣を目の前に息をのむ。周りに散らばっている失敗作として解体された魔獣の肉片がそれまでの努力を物語っていた。

 

 

目の前に鎮座するのは大きな亀だった。いやまぁ最初は豚でやろうと思ったのだけれど、豚でやるとなぜか問答無用でキルキルちゃんが豚を切断してしまうのだ。ほかの魔獣では一応控えるようにはなったのに。なぜだろう。調整ミスか? 日々いろいろ弄ったりはしているのだが、これだけは原因不明の謎である。

 

 

「さてさて、と…………あ、おばけキャンドルはもういいよ。ありがとうね」

 

 

頭の火を小さくして必死に亀を持ち上げていたおばけキャンドルに礼を言う。下でおばけキャンドルに亀を炙っていてもらったのだ。腕の長さが短いのでプルプルしながら支えていた様子は結構かわいかった。

 

 

ほっとした様子で慎重に亀を下ろすとおばけキャンドルは、シュパッと不器用な敬礼をして定位置に戻っていった。うん、かわいい。ちなみにおばけキャンドルの寿命だが、頭の火を調整する能力をつけることに成功したため、おおまか三日程度持つようになった。それでも消耗品には変わりないが、いつか普通に生きられるようにしてあげたい。

 

 

さて、閑話休題。

 

 

僕は目の前の亀さんを前に舌なめずりした。ゆっくりと亀の甲羅の端っこに手をかけパカッと開く。湯気がもうもう、とたちこめる。白く曇った視界の中、見透かしたその先に待っていたのは…………いっぱいに詰まった肉だった。

 

 

いや、あの。これでも苦労したほうなんですよ。パカッと開けたらどこぞ懐石料理やぁぐらいに料理が詰まった魔獣創りたかったんですよ。でもね、魔獣創造使い始めて幾数日その程度でそんなマンガみたいなことできるほど、このご時世甘くないんですよ。

 

 

しかしみなさん待ってください。このレオナルド、ただ肉厚な亀さんを創造するだけで満足する人間とお思いか? 否、このレオナルドただの肉に満足する人間に非ず!

 

 

亀の中から肉を手に取る。どうでもいいがここにはナイフもフォークもないので基本手づかみだ。

 

 

脂で艶を放った実が肉厚にたわみ、ジューシーさを醸し出している。ぱくりとそれを頬張ると芳醇な香りが嗅覚を満たし口内を何とも言えぬ甘味で染め上げる。続いて反対端から肉を取りあげ口に含めば、少々塩気の利いたあっさりとした食感が。さらにその隣の肉を摘まめば、油でこってりとした角煮的なよそおいをしたお肉が。

 

 

さぁ、ここまで表現すればわかるでしょう。このカメさんなんと中身のお肉が部位ごとにそれぞれ違った素材のお味が楽しめるのです。

 

 

まぁ難点としてやはり素材の味を抜け出しきれないところにあるのだが。やはり調味料は偉大らしい。

 

 

しかし、この味を出すのにも結構苦労したのです。最初は一つの魔獣を創るつもりでやろうした。しかし、創造過程において中身のバリエーションの豊富さが表現しきれず、頭がごっちゃごっちゃになって嘔吐物みたいなカオスなものにしかならなかったのだ。

 

 

そこで試行錯誤して、一つの命で創るのではなく、一つの魔獣――亀さんを土台にして、そこに複数の魔獣が共生しているようなニュアンスで表現してみたところどうにか形になったのだ。ただしこれ、一工程ではできあがらず、部位ごとに何工程か繰り返さなければならず、手間が大きく力も使う。ここらへん要検討事項だ。

 

 

しかし、

 

 

「うん…………おいしいな」

 

 

今までの単に肉を焼くだけのご飯に比べれば、雲泥の差だ。素晴らしい進歩と言えるだろう。

 

 

「ふぅ…………ごちそうさまでした」

 

 

量は少しだけ多かったが夢中になって食べたおかげか、きちんと完食できた。

 

 

「さて…………」

 

 

お楽しみの食後のデザートである。

 

 

僕は背後を振り返り、そこにある小さな木を見る。まぁここにあることからもわかるが、これも魔獣創造で創った植物型魔獣だ。ちなみに幹に顔を創ると夜怖いので、地面に張り巡らされている根っこの部分に主な器官を設け、光のあたらないこの洞窟内ではそこからエネルギーを吸収してもらっている。地面の上から出ているのは魔獣の全貌のほんの一部というわけだ。成長のたびに随時根を張り巡らせていく予定。

 

 

この小さな木に実った果実こそ、僕の食後のデザートとなる。いずれは水分補給のための果実も実らせるようにできたらと計画していた。成長期だしね、肉ばっかり食っててもだめだってことよ。

 

 

僕は木から楕円形の果実をもぎとった。

 

 

すると今までずっと僕の様子を見守っていたキルキルちゃんが傍まで寄ってくる。

 

 

あれ、もしかしてこれは…………

 

 

「切ってくれる?」

 

 

こくん、とうなずくキルキルちゃん。

 

 

おお、てっきり肉を斬る用に創ったから果実などは対象外かと思ったんだけど。つまらぬものは斬れぬ、的な。結構融通が利くらしい。日々キルキルちゃんも成長しているんだね。

 

 

しかし、こんな小さいまと、キルキルちゃん、手刀で切れるんだろうか。そんな風に疑問に思っていると、キルキルちゃんは自分の能力を疑うな、と憤慨しているような無表情つくった。いや、わからんけど。そんな感じ?

 

 

まぁ、できるならいいか、と思ってキルキルちゃんの足元に果実を置く。

 

 

キルキルちゃんはその的に向け手刀を向ける。そして照準を見定めるように何度か手を果実の直前まで持っていき、素振りをする。

 

 

おお、キルキルちゃん、真剣だ。

 

 

思わず息を呑み、がんばれーと声を出して応援するとピクリとキルキルちゃんの体が一瞬止まった。

 

 

しかし、何事もなかったかのように素振りを再開するさまを見て錯覚か、と首をかしげる。先ほどよりは幾分か体に力が入っているようだが。

 

 

そして、素振りを止めた。

 

 

緊迫した一瞬。

 

 

かつてないスピードで振り下ろされる手刀。

 

 

振り下ろされた先、果実の行方は!

 

 

 

 

粉々に砕け散った。

 

 

 

 

……………………ま、まー、ですよねー。

 

 

手刀で果実とか切れるわけないよねー、切れたとしてもこうなるよねー。

 

 

「…………ぼ、僕のデザートが」

 

 

納得の結果ではあるが落胆の気持ちは隠しきれない。なんだよーもぉ。なんでやるっていたんだよーキルキルちゃん。別にまるかじりでもよかったよー。

 

 

その当のキルキルちゃんはと言うと、まるで何事もなかったかのように、処理を終えて定位置に戻った。しかし、なぜだろう、誇らしげな雰囲気が感じられる。いつも向けられている視線に明らかに常日頃にない感情を感じる。強いて言うのなら何かを期待するような目。

 

 

こ、これはあれか。もしかして僕の意図が理解できなかったのか。確かにキルキルちゃんはメイドの妄想とかも取り入れたせいであれになったがもともとは斬ることを第一とした魔獣だし、そういうことが理解できなくてもおかしくない。斬った後なんぞ知ったことない、斬ることこそ最上の目的だ、とそう思っているのかもしれない。

 

 

ということは、そうか!

 

 

キルキルちゃん、いつもと違う小さくて狙うのが難しい的を斬ったから。

 

 

すごいでしょ、ほめてほめて! と要求しているのか!

 

 

なるほどなるほどぉ…………うん、そうかー、よくやったねー。キルキルちゃん。すごいよーキルキルちゃん。ものすごい生暖かい目でキルキルちゃんを見つめ返してあげた。これぞ菩薩の新境地である。

 

 

僕はキルキルちゃんのところに行って頭に手を伸ばす。身長的に届かなかったのでしゃがんでもらい、いいこいいこしてあげた。

 

 

これぞ、なでポである。

 

 

キルキルちゃんが何をやられているのか、理解しているかは怪しいが、ほめる子は育つ! これを繰り返せば撫でることが何を意味しているのか自然と理解するようになるだろ!

 

 

キルキルちゃんを撫で終わると、キルキルちゃんも満足したようである。通常運転に戻った。

 

 

「はぁ…………」

 

 

今日の成果。食事環境改善。キルキルちゃんあほの子疑惑発生中。

 

 

飛び散った果実は後でスタッフがおいしくいただきました。

 

 




ちなみに亀さんの中身に複数の肉が共生しているということは…………必然そいつら生きてます。肉っぽい形をした魔獣です。しかし蒸されている間に死にました。単体で創造するとただの肉がうごめいているだけなのできもいことこの上ないです。
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