まったり転生~魔獣創造を手に入れし者   作:ドブ

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原作崩壊

 

「主、赤龍帝の眷属化完了いたしました」

 

 

「そうか、ご苦労」

 

 

やってしまったな…………これで原作崩壊だ。セバスチャンの女王だし、いざとなれば、駒王市に戻すという手も取れるが、そうしたところで意味があるとも思えない。無意味な可能性に逃げ道を作るのはもうやめだ。僕は僕の手で原作を進めてやる。僕が主人公なのだ。

 

 

「しかし、本人の同意を得るにあたって条件を出されまして。やむなくそれを飲む形になりました」

 

 

「ほぉ、まぁ予想がつかなくもないが」

 

 

あのエロスケベの乳龍帝のことだ。おおまか女でも欲しいとか言い出したんだろ。いいぞ、それでこっちの意のままになってくれるんだったらいくらでも創ってやるよ。

 

 

「いや、それが少しばかり面倒で。なんでもおっちゃんを救ってほしいとのことで」

 

 

「おっちゃん?」

 

 

男か、それは男のなのか? 男を交換条件に悪魔になると言ったのか? それは本当に兵藤一誠なのか? あんまりに信じられない事態に僕も目を白黒させる。だってそうだろ、あの主人公を一言で言い表すならおっぱいだ。そんなおっぱいが同じ男性に肩入れする? とてもじゃないが信じられん。

 

 

「はぁ、なんでも国家権力に屈したおっちゃんを救いだしてほしい、と。詳しく調べてみましたらその男、三年前に警察に猥褻物陳列の容疑で逮捕されていました」

 

 

「…………ん?」

 

 

そこで僕は引っ掛かりを覚えた。国家権力に屈した、一誠がおっちゃんと呼ぶ人物…………どこかで聞いたことがあるような。

 

 

「赤龍帝の同意を得られるのなら、とそのおっちゃんを救いだしましたが、何分非合法的に刑務所より出したので、行き場がないと。何より赤龍帝が一緒にいたいと申し、本人も興味があるとのことで、兵士一つを与えて眷属にしました。事後承諾になりますが何卒ご容赦ください」

 

 

「…………待て、そのおっさん紙芝居か何か持ってなかったか?」

 

 

思い当たる節を見つけて僕は冷や汗を流す。原作の短編エピソードだったためにすぐには思い出せなかったが、そいつはまさか。

 

 

「よくわかりましたな。なんでもおっぱい昔話というものだそうで、しきりに赤龍帝相手にその紙芝居を披露してましたよ、今も」

 

 

セバスチャンが指し示す、電電虫からかすかに聞こえてくる声に耳を澄ませば。

 

 

「――――川の上流からおっぱいが流れてきたのです。どんぶらこ、ばいんばいん、どんぶらこ、ばいんばいん。どう見てもGカップ以上の爆乳です。張りといい、形といい、極上の乳でした」

 

 

「うおおおお、おっちゃぁあああん」

 

 

頭の悪いやり取りを繰り広げる二人の会話が伝わってきた。

 

 

間違いない! こいつ、おっぱい昔話を幼少のころの一誠に聞かせることで一誠のおっぱい好きの原点を作ったおっちゃんだ!(詳しくは原作八巻で)

 

 

な、なんて野郎を眷属にしてるんだ、セバスチャンは! まぁ兵士一つ分だし別にいいけど!! あいつはそもそもレーティングゲームでどうやって活躍するんだ!!!

 

 

「セバスチャン!!!」

 

 

「は、はっ、なんでしょう?」

 

 

「そいつに言っておけ!!」

 

 

それでも、これだけは、これだけは譲れない!

 

 

「極上のおっぱい昔話の紙芝居を用意しておけ、と」

 

 

超みてぇ! おっぱい昔話超聞きてえよ!! 紙芝居見ながらおっぱいプリン食べたいよ!!! チュルンと一口で食いたいよ!!!

 

 

「は、しかと言い聞かせておきます」

 

 

来たるべき時が今から待ち遠しくて仕方がない。

 

 

おっぱい昔話、生で見たい。僕ちん、まだ10歳だし。一誠と並んで見る分にはまだセーフじゃないかな。微笑ましさ的な意味で! 結構な年齢であの紙芝居に食いついていたらリアルに警察に捕まるしね! っていうか捕まってた人いるしね!!

 

 

子供ながらうずうずと感情を抑えられないで、キルキルちゃんのふくよかな胸に甘えていると、突如電電虫からガタゴトと大きな音が聞こえてきた。

 

 

何だと思う時間もつかの間、

 

 

「ミルたんを魔法少女にするにょ!! 約束だったにょ!! 早くするにょ!!」

 

 

「あ、ちょ、こら今は主と話しているのだ、や、やめなさい」

 

 

そこに飛び込んでくる衝撃の会話。え、嘘でしょ。なんか今ここにいるはずのない人間の声がしたような…………

 

 

「にょにょぉおおおお! ミルたんを魔法少女に!!!!」

 

 

「ば、ばか!! 今はやめふげらぁ!?!?」

 

 

「お、おいセバスチャン大丈夫ギャァアアアアアアア! 電電虫が噛みついてきたぁああ!!!」

 

 

「ミルたんを魔法少女にするにょミルたんを魔法少女にするにょミルたんを魔法少女にするにょミルたんを魔法少女に――――」

 

 

「き、貴様無礼な!! ッッ、フン!!!」

 

 

何かが切れる音とともに、電電虫が僕の腕から離れる。い、いたい、ありえない、なんで魔獣が主の僕に襲い掛かってくるんだ。おかしい、絶対におかしい。

 

 

噛みつかれた場所は服が噛み千切られていた。歯形もくっきりついており、見るのも痛ましい。ひどいよこんなの絶対おかしいよ……

 

 

「ああ、おいたわしや、マスター。私の力が足りないばかりにこんな」

 

 

「うう、いたいよぉ、キルキルちゃん」

 

 

「ああ! ああ! 申し訳ありませんマスター!!」

 

 

電電虫に噛みつかれた後を自らのメイド服で拭い懸命に傷跡をさすってくれる。

 

 

「い、痛い痛いのとんでけー」

 

 

…………やばい、今のは威力高すぎる。普段無表情な無口なキャラのそれはポイント高すぎる。悶絶した。萌え死んだ。

 

 

「ああ! マスター! マスター!! これでは足りませんか!? 痛いの痛いの飛んでけー、痛いの痛いのとんでけー、痛いの痛いのとんでっ」

 

 

こやつ僕を昇天させる気か…………

 

 

痛みとは別の理由で気絶しそうになっている僕を押しとどめたのはキルキルちゃんの涙目だった。いけないな子猫ちゃん、こんなに僕を心配させてどうするつもりだい。懸命に僕の傷をさする手を掴んでゆっくり押し返す。

 

 

戸惑うキルキルちゃんに僕は必殺スマイルをかました。

 

 

「僕はもう大丈夫だ、君の敬愛すべき主はそんなに弱いと思うのかい」

 

 

「マスター…………」

 

 

一瞬で桃色空間の出来上がりである。ああ、君の可愛さを前にすればこんな痛みなんてどうってことないよ、キルキルちゃぁああああん。

 

 

「ぁ、ぅぐ、し、失礼しました、主よ…………」

 

 

転がっていた電電虫が再び起き上がり声を発することで桃色空間は終わった。無粋なやつめ…………まぁいいけど。

 

 

僕は寛容に許したが許せなかったのはキルキルちゃんである。キッと眼光を鋭く光らせて電電虫を睨み据え、意気軒昂に電電虫に吠える。

 

 

「セバスチャン!! 貴様、自らの眷属も抑えきれず、あまつさえ主への攻撃を許すとは何事か!!」

 

 

「ぐっ、申し訳ない。キルキル、助かりましたぞ」

 

 

心底申し訳なさそうに謝意を述べキルキルちゃんに感謝を述べる。まぁ仕方ない、奴は白龍皇ですら恐れた化け物だからな。道理が通じない奴相手にはセバスチャンも辛かろう。問題は何故こいつがセバスチャンの傍にいるんだろうって疑問なんだけど…………なんでだろうね。

 

 

「うぅ、ミルたん痛いにょぉ。これ絶対痣になったにょぉ」

 

 

そこに再び悪魔の声。

 

 

その声に過剰に反応したのはキルキルちゃん。さぞ、マスターが傷つけられて怒り狂っているのだろうと横目で盗み見れば、そこには愕然と口を開くキルキルちゃんがいた。

 

 

「バカなっ!! 私は貴様を確かに斬ったぞ!!! 殺すつもりで斬ったのだぞ!? なのになぜ斬れていない!?」

 

 

うん、ちょっと待とう。そもそもなんでキルキルちゃん、電電虫の向こうにいるミルたんを斬れるのかな。ここと向こうじゃ距離的に遠すぎるっていうか、もはや世界が違うんですけど。人間界と冥界ってどんだけ遠いんでしょうねえ。

 

 

「にょにょ、ミルたんは魔法少女だから斬れないにょ!」

 

 

いや、さっきまで魔法少女にして、っていってたじゃないですか。いやだー何この人たち。頭おかしいんじゃないですかー。

 

 

「おかしいそんなことはありえない私はマスターより切断の概念を賜ったはず傷の浅い深いはあってもまず概念が発生しないことはないはずだそれを痣だと意味が分からない私はマスターより創られた絶対――――」

 

 

何やら混乱してぶつぶつとつぶやいているキルキルちゃん。うん、僕なに言っているのかわからないや。

 

 

とりあえずあれだ、ミルたんは原作でもなんか超常的な存在だったし、理論立てて納得しようとする方が間違っているんだよ。キルキルちゃんも以下同文で。

 

 

それより気になるのはさ。

 

 

「セバスチャン。なんでそいつがセバスチャンのところにいるのかな」

 

 

この一点だけだった。

 

 

どうしてこうなった。

 

 

「は、はっ。実を言えばおっちゃんを刑務所から脱獄させる際に、一人だけ目撃者を作ってしまいまして。魔法による隠蔽工作などにより、バレる恐れはなかったはずなのですが、なぜかこのミルたんにだけ魔法が通じなかったのです。現地に来ていたスカリエッティも何やら不思議な力を感じるとのことで懐柔工作の一環として戦車の駒を与え魔法少女なるものにすることを約束に眷属としたのですが…………」

 

 

マジかよ、しかも戦車かよ、どんだけパワフルにするつもりなんだよ。

 

 

「此度の一件、こちらの監督不行き届きです。誠に申し訳なく…………」

 

 

「いやまぁ別にいいんだけど。え? 本当に魔法少女にするの?」

 

 

「はっ。ダンタリオンでは悪魔界の英知を修めたとするかの有名な図書館で知識の集積に励めましたので、その手の知識には事欠きません。ミルたんの要望に応えることは可能かと」

 

 

そこは流石に悪魔界の知を司るダンタリオンと言うべきか。ありとあらゆる知識が詰め込まれているらしい。そこまで網羅しきれるセバスチャンもセバスチャンだが、そこはやはりこの僕が与えた頭脳の冴えが働いたということかな。

 

 

「感心だな、セバスチャン」

 

 

「ありがとうございます」

 

 

「それで? 具体的にどんな魔法少女するんだ? 変身シーンは? 衣装は? 武器は? いろいろ拘れると思うんだけど。セバスチャンの考えを聞かせてくれ」

 

 

やはり王道的にはプリキュアか。それとも少し捻ってなのはもいいかもしれない。それとも独自の価値観をもったまどかマギカ的なものありといえばありだ。

 

 

いや、そういえば、ミルたんには元ネタとなる魔法少女の物語があるんだっけっか。確か原作で一誠と一緒に見ていたはず。それを参考にするのが無難なのかな、やはり。

 

 

「にょ!! ミルたんは魔法少女ミルキースパイラルにょぉおおお!?」

 

 

横から割って入ろうとしたミルたんの悲鳴が遠ざかっていく。キルキルちゃんがものすごい勢いで電電虫を睨んでいたのとは無関係だと思いたい。すごい風切り音が聞こえてくるけど。気にしない方向で。

 

 

「どうしたセバスチャン? 忌憚なき意見を述べてくれ」

 

 

あくまで主導権はセバスチャンにある。ミルたんの要望をどこまで叶えるかというのもセバスチャンの主としてのさじ加減次第だろう。そこは尊重してあげるのが主としての節度だと僕は思っていた。

 

 

「…………申し訳ありません、主。私は魔法少女というものに対していささか見当違いをしていたようです」

 

 

「なに?」

 

 

「私はてっきり魔法を使うだけの少女のことを言っているのかと思っているのかと…………」

 

 

「…………馬鹿な」

 

 

僕は愕然とした。

 

 

分野を問わず多方面に貪欲に知識を深めていたセバスチャンがそんな愚かな勘違いをするとは思ってもみなかった。いや、普通の人間にそんな知識がないことは僕もわかっているのだ。こんな知識、相当ニッチな層しか持っていないものだろう。

 

 

だがセバスチャンは普通ではないのだ。普通には求められていないことまでを補いうる知識を蓄えるだけの頭脳を僕は与えているのだ。例えその知識がなくて困ることはないとはいえ、そうした意味から失望は隠しきれなかった。

 

 

ましてや立場が立場である。

 

 

「セバスチャン。よく考えてみろ。お前の近くにも魔法少女はいるのだぞ、それをしてなおお前は魔法少女の事を何も知らぬと、そう言えるのか」

 

 

僕はセバスチャンにささやかなヒントを出した。そして続く言葉にあえてセバスチャンの反応を見なかったのは僕の優しさである。

 

 

「いるだろう。魔王セラフォルー・レヴィアタン。あれこそが真の魔法少女だ」

 

 

「!! あれが魔法少女…………!?」

 

 

「そうだ。あれが現代に生きる魔法少女…………」

 

 

「妙に奇天烈な言動をするかと思えば…………そういうことだったのですか」

 

 

するとようやく納得の様子を見せたセバスチャン。奇天烈な行動って、まぁ普通に見れば奇天烈行動か。お前何歳だよって話だもんな。魔法少女を名乗る某なのはさんがよっぽどかわいく思えてくるほどだ。面の皮が厚い。しかしそれでこそ永遠の魔法少女。

 

 

そもそも昇格に関わる上司の言動の理由を知らないということ自体が怠慢ではないだろうか。面通しの機会が少なかったというのもあるのかもしれないが、あのセバスチャンなら当然知っていると思ってしまった。それを前提に話を進めようとしたことが双方に誤解を生んだのだ。

 

 

だがセバスチャンは魔王が魔法少女をやっているということを通してわかったはずだ。魔法少女の意味について。その重みについて。

 

 

「いいか、よく聞け。セバスチャン。お前は魔法少女の知識が圧倒的に足りない。つまりこのままではミルたんの要望をかなえることなどできないだろ」

 

 

「それは確かに。魔法少女がそのような大層なものだとは思ってもみなかったので」

 

 

面目なさげに眉を曲げる電電虫に僕は嗤ってやる。そうだいいぞ、魔法少女とはそういうものだ。

 

 

「従って、お前がミルたんの望みを叶えるためには、魔法少女に理解が深い者に教えを請い正しい知識を身に着けなければならない…………そうだな?」

 

 

幾分か恣意的に言ってやると、電電虫が静かに瞑目した。得心がいった、そんな表情が電電虫からは読み取れる。僕の言わんとしていることは伝わったようだった。

 

 

「…………なるほど、あいわかりました。必ずやミルたんを魔法少女にして見せましょう」

 

 

そして決意も新たに力強く答えてくれた。

 

 

うん、これで魔法少女の意味も理解できるだろう。何せ魔法少女で映画をとっているくらいだ。魔法少女には並々ならぬ執着があるに違いない。そんなセラフォルーと言葉を交わす、これだけでセバスチャンには大きなプラスとなるはずだ。

 

 

いやー、次はこの魔法少女のこだわりについてセバスチャンとも共有できるだろう。あわよくば、原作突入後、セラフォルーと会った際フラグを立てられるかもしれない。グフフ、それを思えばミルたん眷属化はこちらにプラスに働いたとみてもいいだろう。原作でもセラフォルーはミルたんのこと気に入ってたしな。

 

 

「いや、主の深謀遠慮には驚かされます」

 

 

「? ん、そうか?」

 

 

ぶっちゃけそこはセバスチャンの考え不足だと思うが。

 

 

「そういうえばスカさんの方はどうだったんだ。向こうじゃ行動を共にしたんだろう?」

 

 

「向こうは滞りなくことを運んだようですな。事前の調査通り龍に関わる神器の中でも五大龍王にまつわるものだったらしく歓喜していましたよ」

 

 

まぁヴリトラの『黒い龍脈(アブソーブション・ライン)』だしなぁ。

 

 

この駒王市から赤龍帝を除くと決めた日、僕は同時にヴリトラの匙も排除しようと決めた。赤龍帝がいなくなるのならヴリトラがいなくなったって変わるまい。毒を食らわば皿までである。そこで駒王市をさらに綿密に調べ上げた。そして匙の報告があがってきたときセバスチャンに一緒に眷属するように命令したのだ。

 

 

しかしそこで待ったをかけてきたのがスカさんだった。もともと多少の危険を考慮してでも赤龍帝を研究したがったスカさんだ。新たに出てきた神器の所持者から赤龍帝ほどでないにしろ龍の反応が出たとわかったときのスカさんと言ったらもうすごい剣幕だった。

 

 

是が非でも自分の研究のほうに持っていこうと必死になって説得してきたのだ。僕としても赤龍帝ほどヴリトラに固執していたわけではない。すぐに許可は出した。

 

 

それにである。スカさんが挙げた魔獣化した赤龍帝の例。うまくすればあれをヴリトラのほうで適用できないかという目論見もあったのだ。まぁそれには分かたれているヴリトラの神器全てを集めなくてはいけないだろうから可能性薄であろうが。

 

 

しかしその素人考えが僕の許可を後押ししたのは確かだった。そうでなくてもスカさんが研究材料を無駄にするとも思えない。損にはならないだろうという計算が働いた。

 

 

そんなわけで匙、すまん。君の出番はもうない。がんばってくれ。

 

 

心の中で黙とうを捧げた。

 

 

それからほどなくしてセバスチャンとの通話は切れた。本人も目標に向け邁進すると言っていたし悪くはないだろう。さらに以前から影響力を高めるべく画策していた仕込みも効力を発揮しはじめたと言っていたしな。次の報告が楽しみだ。

 

 

「しかし奴は何を目指しているんだ」

 

 

眷属に乳龍帝、おっぱいの伝道師のおっちゃん、そして魔法少女ミルたん。

 

 

うん、お前はその面子で何をするつもりだと問いたい。おかしいだろう、眷属三人中三人全員が変態だぞ。大丈夫か、正気か。

 

 

いや、もういいよ、任せる。僕は温かい目で見守るから。セバスチャンがんばって!

 

 

「…………ふぅ」

 

 

しかし、これで原作崩壊だな。

 

 

完全にここから先は読めなくなってくる。大筋で変わるとは思えないが、変わることも予測して今まで高めてきた影響力を行使する必要があるだろう。

 

 

あらゆるところに根を張り、あらゆるところに手を伸ばす。

 

 

それだけの手筈は整いつつある。

 

 

だからこそ、僕自身の実力をあげねばなるまい。

 

 

僕自身の戦闘を模索しなければなるまい。

 

 

重たい腰を、さぁ上げよう。

 

 

後原作まで六年とちょっと。

 

 

赤龍帝も白龍皇も魔王も天使もまとめて葬れる力を手にしよう。

 

 

その一歩として。

 

 

「キルキルちゃん」

 

 

「なんでしょうか」

 

 

小首をかしげたキルキルちゃんには僕はこう言った。

 

 

「僕の事鍛えてくれない?」

 

 

静かに時は動き出す。

 

 

波乱の世界に向けて。

 




セバスチャン「趣味の共有から魔王への伝手を作れとは私にはできない発想だ、さすがは主」


主人公「魔法少女の趣味を理解してほしい」

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