ドラクエX 銀髪のアニア   作:ももぴょん

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なかなか進みませんが、14話です。


14話 油断が一番の敵

アニア達が警戒しながら開けた扉の向こうは、長い通路が続いていた。

モンスターの気配もない。罠が無いのを確認しながらアニアが言う。

「そもそもさ。あんた、なんでココに来たの?賢そうには見えないし、モンスターにやられちゃってるし」

「あーオイラッスか?」

地下にいるせいか、お互いの声が通路いっぱいに響いていた。

「どんな症状でもたちまち治るという、幻の秘薬を求めてッス」

「なるほど、自分と同じ理由ですね」

「二人とも目的は同じってわけか」

アゴをカタカタ鳴らしながらレイザックが言う。

「やっぱ、それッスよねー!オイラ、喘息持ちで辛くって」

「え・・・、でも死んじゃったら、薬見つけても意味がないじゃない」

アニアの躊躇ないツッコミに、レイザックが苦笑いした。

「まあ、そうッスね。でもやっぱ、最後までやり遂げたいんスよー」

聞けばレイザックはアストルティア学園を中退、彼女が出来てもすぐにフラれ、就職してもすぐに辞めるという、なんとも中途半端な人生を送っていたそうだ。そんな時、祖父の書庫でこの遺跡のことを知ったという。

「最初は喘息を治す目的で調べてたんスけど、なんか、調べてるうちにワクワクしてきたっつーか・・・。初めてやりたいことが見つかったんスよ。だから死んだあとも、気になって気になって仕方が無かったッス。薬の有る無しとかじゃなくて、遺跡を調べつくしたいんス」

明るく喋るレイザックにアニアも少し打ち解けていく。

「ふうん・・・そういうことなら、まあ」

「お、アニアさん、もう怖がってないんスねー!」

「まあ、単なる馬鹿だって分かったからね」

「きっついなあー」

レイザックの笑い声と同時に、骨の打ち付ける音がカチャカチャ鳴り響く。アニアはその音にまだちょっと慣れなかった。

「そういやアニアさんは何故ここに?」

「アタシは・・・」

レイザックの問いかけに、アニアが振り返りながら言う。

「全ては邪神イブリースの復活を阻止するために」

 

「「イブリース?」」

 

二人が声をそろえた。

「冥王ネルゲルなら知ってますが」

「オイラ、ファブリーズなら知ってるッス!」

「ネルゲルはうちのジジィが何とかするって言ってたから大丈夫でしょ。もう、そろそろ死んでんじゃない?」

アニアはレイザックのボケを華麗にスルーした。いや、ボケではなく本気かもしれないが。

ブロッコリーが聞く。

「では、イブリースはネルゲルの親戚か何かで?」

「全くの別物よ。そうねえ、ネルゲルは冥界から来た王だけど、イブリースは神界の悪魔って感じ?なんかね。世界の破滅を考えてるらしいから、ネルゲルはライバルっしょ!」

「いや、そんな明るく言われましても・・・」

「大丈夫よ~、その為にこうして動いてんだからさ~。まあ、失敗したら世界終わっちゃうけどね!」

あははと笑うアニアだったが、ブロッコリーには笑えない冗談だった。

ふと、アニアが思い出したように言う。

「ああ、そうそう。それでね、この遺跡にイブリースに関する資料が残ってるらしいんだけど、レイザック何か知らない?300年前のイブリースとの死闘があった時に、勇者の仲間がここで何かしてたらしくってさ」

「うーん、イブリースは聞いたことないッスねー」

歩きながらレイザックが自分の日誌をパラパラとめくった。

「ただ、その勇者の仲間っていうのは、パルマスって名前じゃないスかね?」

「それよ!魔法使いパルマス」

「それだったら分かるッス。この遺跡にいろいろ残した人ッスよー。薬もその人の遺産ッス」

「なるほど、彼の魔法の知識は半端なかったらしいからね~」

「こういう記述もあるッス。≪わしの魔力の知識は全てここ、ジャイラに置いていこう。食べても食べても消えないパン、何もしなくても枯れないスズラン、遠く離れた仲間とのやり取りが出来るピアス、どんな難病も治す薬、ここを最後まで攻略出来た者のみ受け取るがよい。わしはもう、ルシャトラでの闘いに疲れたのだ。しばらくは・・・≫」

「え!?ルシャトラって言った、今!?」

アニアがそう言った瞬間、二人より一歩離れて歩くレイザックの足元に黒い空間が現れた。

「ちょ、なんスか、これ!?」

---魔空間の落とし穴だ。

アニアがそう思った瞬間、レイザックはその黒い穴へと既に飲み込まれてしまっていた。

 

「ウソ・・・でしょ」

「レイザックさん!!」

アニアとブロッコリーは少し離れてたおかげで飲み込まれずに済んだが、レイザックがその場所から完全に消えてしまった。

「これは・・・、レイザックさんはどこへ行ってしまったんです?普通の落とし穴とは違うのですか?」

アニアが辺りを警戒しながら言う。

「そうね、これは魔法で作られた落とし穴よ。恐らくこの遺跡のどこかへ飛ばされたんだと思うんだけど、どこだかは分からない。ああ、ブロちゃん、そこ危ない。踏んじゃだめ!」

アニアが慌ててブロッコリーの首元を掴んで、軽い首吊り状態になった。

「それにしても!せっっっかく、ルシャトラの情報がつかめたと思ったのに!どこ行ったのよ、レイザック~~~!」

アニアの叫びに返事はなかった。




アストルティアにもファブリーズはあるんですねえ()
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