ドラクエX 銀髪のアニア   作:ももぴょん

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いよいよ関所を通ります


20話 グランゼドーラにゃ夢がある(二回目)

アラハギーロ王国はあまり雨が降らないらしく、湿気を嫌うアニアには過ごしやすい気候だった。

貯水槽(貯水池)は王国の内外に点々とあり、それらを往復する業者たちが何度も行き来している。

 

(ふう~ん、真面目に働いてるこいつらも元魔物なのね…)

 

アニアが寝ぼけ眼で、業者たちをぼんやり眺めている。

「どうした?まだ眠いのかよ、もう行くぞ!」

6回もアニアを起こしに行ったせいで、スラムスはかなり不機嫌だ。今までにも起きない事態は何度もあったが、今回は特にひどかったらしい。

「ああ、うん。今行くけど」

「なんだよ?」

「いいの、大丈夫。行きましょ」

スラムス、シアン、リョンに続いて、アニアもゆっくりと動き出した。

「・・・レイザックさんのことですね?」

そしてブロッコリーも。

「あら、いたの?ブロちゃん」

「いますよ!まだいますよ!!お手伝いするって言ったじゃないですかー!!」

「そうね。ありがと、いや小さすぎて」

「ひどいですねー、これでももう大人だと・・・」

「分かってるって。プクリポは皆小さいもん」

いたずらっぽくアニアが笑う。

「レイザックさんのこと、まだ気にしてるんでしょう?結局、あの空間に置いてきぼりですもんね」

「…………うん」

うつむきながらアニアが答える。

「仕方ないですよ、ずっと探したのに見つからなかったんですから」

「そりゃそうだけど、アタシのチカラでもっとなんとかならなかったのかな・・・って。レベル99の賢者になれても、ほんと役に立たない。見せかけと称号だけ。いつも駅弁食べてるだけのジジイだって、大きな流れを動かしてるのに」

聞いたブロッコリーがため息つきながら言う。

「ほんと毎回、アニアさんわりと落ち込みやすいんですよねー」

「な、なによ。悪い?」

「いいえ?反省出来ない人よりマシかと。そういうヤツは同じこと繰り返しますからねー。何も考えず行動するヤンチャな弟に見習わせたいですよ」

「そお・・・」

「何か分かるかもしれないし、今は先に進むしかないですよ。行きましょう。アラハの石は自分が持ってます、いつでも探しに来れますから。ね?」

ブロッコリーがはにかみながらアニアを見て笑った。

「・・・うん、そうね。てかブロちゃん」

「ん?」

「前歯が一か所、欠けてるのね」

「あああ!うっかり歯を見せてしまった!見せないようにしてたのにい!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一行は三門の関所に到着した。

以前は追い返されたグランゼドーラ王国への門。

そもそも蝶を集めたと聞いていたが・・・

「そんな蝶のおもちゃで本当に通れるの?」

シアンの手には、二つ合わせると蝶に見える腕輪、蝶の髪飾り、琥珀に入り込んだ蝶が抱えられている。

アニアの問いに答えようとしたスラムスを、シアンが遮った。

「ヘンテコ男がそう言ってたぬん!蝶を三つ集めろって!えと、確か名前は・・・」

 

 

「クロウズですよ」

 

 

後ろから声がして振り返ると、不思議な色の目をした男が立っていた。

栗色の長い髪、ウェスタンハットに紫色のマント。

シアンとは知り合いらしく、フレンドリーに話しかけてくる。

「お元気そうで何よりです」

「あ!!クロウズぬん!元気だよー」

「ふふ、さすがはシアンさん。もう3匹の蝶を集めてしまったのですね。ではその蝶たちを私に」

言われたままに、シアンは三つの蝶をクロウズに手渡した。

「すばらしい、やはり蝶はいいですね。見ているだけで異世界に誘われそうです。ありがとうございますシアンさん。ではまた」

クロウズが歩き出そうとするのをアニアが慌てて引き留める。

「おい、アンタ、どういうこ・・・」

「……ふふっ。冗談ですよ。もちろんグランゼドーラの門が開かれるという話も忘れていません。まあそこで、待っていて下さい」

「アンタなあ、笑えない冗談・・・」

アニアがまた何か言いかけたところで、誰かが近づいてきた。

「あら?もしかして・・・シアンさん?」

駆け寄ってきた女性はオールバックの金髪で、素朴な赤い服を身にまとっていたが、どこか上品な品格が漂っていた。

「ああ!やっぱりシアンさん!・・・私です、メルサンディ村でお世話になったミシュアです。あの時はありがとうございました。お礼もちゃんと言えずに行ってしまって、ごめんなさい」

「ミシュア?でも確かあの後・・・」

「しっ、シアン。黙って聞いてろ」

シアンをスラムスが止めた。ミシュアと名乗った女性が話を続ける。

「実は私・・・・・・、思い出したことがあって、グランゼドーラに行かなくちゃって、そのことでアタマがいっぱいで・・・。…ミシュアというのは私の本当の名前ではありません。今はそれしか思い出せませんが、グランゼドーラ王国に行けば、全てが分かるような気がするんです……」

「そうだったぬん」

「あれがグランゼドーラへの門・・・・・・私、行きますね。それじゃシアンさん、またどこかで」

そう言ってミシュアは門に向かって歩き出した。

クロウズが皆にささやく。

「私についてきてください」

ミシュアが門の前まで行くと、案の定兵士たちにひき止められた。

「待て、娘!この門はグランゼドーラ王国の王女、アンルシアさまのご命令で閉ざしている。何者であろうと・・・うん!?」

兵士がミシュナの顔を見て、何かに気づいたようだった。

「し、失礼しました!どうぞお通り下さいっ!」

(なるほど。あの娘は記憶を無くしているようだが、城の関係者だな…)

瞬時にスラムスが理解する。

兵士たちが門を開け始めた。開かれた門をミシュアがくぐり抜け、その後ろからクロウズが行者のフリをしてついていく。アニアたちも普通についていこうとしたその時・・・、

「シアンさん、何をしてるんです?行きますよ」

シアンだけ、ポカーンとその場に立っていた。

「え!?でもミシュアだけじゃないぬん?皆で行っていいぬん??シアンはミシュアの友達ぬん????」

シアンがあまりに大声で言うものだから、冷静沈着なクロウズも少し慌てている。

「このバカ子!行くんだよ、【あの方】が門の向うで待っている」

「ごめんなさ~い、この娘、ちょっとバカでして・・・」

スラムスがシアンの口をふさぎ、アニアが無理やり引っ張って行く。

「むが!なに・・・する・・・ぬーんはバカじゃない・・・・・・ぬーーーーーん!」

不審げな顔をする兵士たちの前を、素早く通り過ぎる一行であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ま、まあちょっと焦りましたが、通れたでしょう?私にはちょっとした未来が見えるのです。さあ、グランゼドーラ王国まであと一歩。先を急ぐとしましょう」

クロウズはそう言うと単独で歩き出し、すぐに見えなくなっていた。意外と足が速い。

「だってクロウズがちゃんと言ってくれなきゃ、分からないぬん!変な目で見られたぬん!シアンはバカじゃないぬん!!」

クロウズが去った後も、シアンだけまだ不機嫌なようだ。

「それでシアン?ミシュアとは何があったの?」

アニアから聞かれ、シアンの表情がパっと変わった。

「ああ、そうぬん。ミシュアはメルサンディ村で会った村娘だったぬん。怪物の手から助けて、村に戻ったらいなくなってて、別の女の子がミシュアってことになってたぬん」

「あれは人為的な何かが記憶を閉ざしてる気がするな」

スラムスも話し始める。

「クロウズは素性も謎で不思議な男だが、これまでの行動を見る限り信用は出来そうだ。オレたちはクロウズに言われ、メルサンディ村、セレドの町、それとさっきのアラハギーロ王国を回ってきた。ミシュアはメルサンディ村で会ったんだが・・・」

「王女、ね。あの子」

アニアの説にシアンが目をパチクリさせる。

「お姫様ぬーん?」

「間違いないわ、勇者姫よ。覚醒はしてないみたいだけど」

「そうだとすると、そこがまた謎だ。オレたちは覚醒の光を確かに見たんだ」

「何だか分からないことだらけだけど、とりあえずグランゼドーラ王国へ行ってみるしかなさそうね。・・・・・・ところであんたたち」

ため息をつきながら、アニアがブロッコリーとリョンの方を向いた。

「え?」

「なに、二人でオヤツ食べてんの」

アニア達が話してるとき、暇だったのか二人は岩の上に座り、呑気にタルトを食べていた。

「いやー、ブロくんのアイスタルト絶品なんだよー。今日暑いから、余計に美味いわー。マジ、氷耐性あがるわー」

「いえ、そう言っていただけて恐縮です」

「あのねえ!急いでるって言ってるのに!!」

「そう言って起きてこなかったのは、どなたですかねえ・・・」

「ぐっ」

ブロッコリーの鋭いツッコミに、アニアも黙る。

「あ、ズルいぬん!シアンも食べるぬん!!」

相変わらずまとまりのない奴らだなあ・・・。

そう思いながらも、スラムスも一口、タルトをご馳走になるのであった。

「うん、美味いわ」




元の話をなぞると文字数は稼げるんだけど、文章を繋げていくのが難しいんだなあ。
オリジナル話のが書きやすい。
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