だんだんこの二人がどういう奴なのか分かってきたぜ(←書きながら考えていく人
海に面した場所にレーンの村はある。
亜熱帯の植物が生い茂り、気持ちのいい潮風が吹く。
水嫌いなアニアも、この海岸はそう嫌いでもなかった。
「ありがとうアニア、助かったよ」
年配の太った女性がニッコリ笑う。
アニアは魔物を倒した時の写真を見せ、カーシュに事の経緯を告げた。
(*一度、逃がしたことは流石に内緒にしている。)
「さすが一人前の証を持ってる人だねえ」
一人前の証、アニアの手提げカバンには無造作に詰めこんであるが、それは一人前と認められた証拠であり、各国の王への謁見を許されるほどの効果がある。
「じゃあ、アタシは先を急ぐからこれで。何かあったらまた頼ってよ!」
カーシュから報酬を受け取ったアニアは何度も何度も手をふり、村の外で待つスラムスのところへ向かった。
「スラムス~?あらあ、どれかしら」
村を出てすぐの場所にはスライムが大量に住んでおり、ちょっとした青い絨毯だ。
アニアは一匹のスライムに対して【踏む仕草】をしつつ(実際には踏んでない)、すっとぼけた声を出した。
それは他のスライムよりも一回りデカく、背中には大きめの荷物を抱えていて、
「あのなあ・・・」
はい、それがスラムスです。
「馬鹿なことしてないで急ぐぞ」
「なんで急ぐの~?」
「俺が知ってる予定だとそろそろ・・・日にちが近い」
いつになく真剣な顔でスラムスが言う。
「そんな面白い顔で真面目に言われてもね」
「うるさいな!スライムなんだから、仕方ないだろ」
「あっははは」
アニアは無事に仕事を終えた安堵でいつになくテンションが高い。
比べてスラムスはそれどころじゃないようだ。
「例のアレが近いのも気になるし、ルシャトラという場所も調べなくちゃならないし・・・。なのにこの小娘ときたら・・・ブツブツ」
スラムスの言葉にアニアは少しカチンときたようだ。
「あら聞き捨てならないわね!アタシもう今年で18よ!」
「俺は24歳だ、小娘」
むー!少しふくれっ面になったアニアは速足でその場から立ち去ろうとした。
「おいこら!置いて行くな」
「アタシがいないと困るくせに~」
振り返ったアニアが意地悪そうに言う。
「・・・ハイハイ。分かりましたよ。アニアさん。あなたは立派だ。だから早く俺を連れて行って・・・」
言いかけてスラムスがやめた。
「いや、別行動をしよう」
アニアは目を丸くした。
スラムスと出会ってから一度も離れたことはない。
それどころかこの人(?)は、一人で何か出来るのだろうか。
「ここからは別行動だ。俺はメギストリスにある妖精の図書館へ向かう。あそこならルシャトラに関する何かが見つかるかもしれない。アニアは前に俺が言ってたレンダーシアの遺跡を調べてくれ。いろいろと寄り道をしてしまったからな。もう時間がないと思う」
「寄り道し過ぎちゃったかしら・・・」
「いや、悪いとは言ってない。それどころかルシャトラという気になる場所も知れた。もしかしたら俺の旅のカギになってるかもしれない」
スラムスの真剣な顔にアニアはもう茶化したりしなかった。
「分かったわ、二手に別れましょ。でもあんた一人じゃ追い返されるかもしれないし・・・メギスまでは一緒に行くわよ」
アニアはそう言うとスラムスを抱えてメギストリスの都にルーラした。
「まあ、アタシはもともと一人で旅してたし・・・うん」
悪態をつく相手を失ったアニアはしばらく港町レンドアをウロウロしていた。
レンダーシアへ行けと言われても・・・
船が動かないんじゃどうしようもないでしょ!どうすればいいの!!
「・・・って言いたい」
ぶつけようのない怒りを抱え、優雅に飛んでいる海鳥たちを眺めるしかなかった。
アニアがいる五大陸とは別に、海を越えた場所にレンダーシア大陸はある。
人間という種族が主に住んでおり、スラムスから聞いた話じゃ竜族に関する情報も見つかるらしい。
アニアは竜族に会いたいとは思わないが、飛竜には興味がある。
それに乗って飛んでいけたらどんなに楽しいか。
そう、アニアは自分が楽しいと思うことにしか興味がなかった。
スラムスの旅の目的とかも、本当はどうでもいいことだった。
ただ、彼と一緒に旅して話していると楽しい。
だから彼の言うそれを手伝う、それだけ。
「アタシは放浪の盗賊アニア。運命の線路が交差するとき、またスラムスに出会おう」
そう呟くとアニアはレンドアから立ち去り、娯楽島ラッカラン行きの電車に乗りこんだ。
考えながら書いてるので文字数少ないです、ゴメンネ。