ドラゴンクエストX 〜ワルキューレ〜   作:リョンさん

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『不運にも、今日、この世を去ってしまった、貴女と同じ名前の女性がいます』

『行きなさいミュスナ そして、自分の生まれ変わった意味を探すのです』

最後に女の声が聞こえると、あたしの身体は、ふわふわと宙へ舞い、
光の中へと、進んでいった。


第2話 ランガーオ村

重力などないように、ふわふわと宙を舞う

 

このままどこへでも飛んでいけそうな気がするけど、

意識は、ある1点を目指していた。

 

そこは雪山の小さな村。

 

そこに住む人々は、赤い肌と角。そして強靭な肉体を持つ、人と異なる種族。

 

オーガ。鬼の名を冠する彼らは、戦闘民族で、

あたしが望んだ、強い身体を、持つ種族

 

村の入り口の広場に、女性が倒れていて、そこに、人が集まっていた。

 

宙から見下ろしていても、わかる。

彼らは、惜しい人を亡くしたのだろう。

 

魂だけのあたしは、吸い込まれるように、

眠るように死んでいる彼女へと、向かう。

 

身体の中に入る。

誰かと、すれ違った気がした。

 

『妹を頼む』

 

そう、言われたような気がした。

 

 

◇◆◇◆◇

 

 

ゆっくりと、瞼をあける。

 

ぼやける視界の中、上体を起こす。

 

まだ、焦点は安定しないが、それでも分かった。

 

幽霊でも見たかのように、固まってる。

それが、少し面白い。

 

「み、みみみ、ミュスナが……!」

 

神父の格好をした、オーガの男性が、アタシを指差した

 

定まった焦点、最初に、視界に飛び込んできたのは

 

「……姉さん!!」

 

黒い髪の少女だった。

視界にだけでなく、胸に、飛び込んできた。

 

このツヤツヤとした黒い髪。それでいて、ふわふわしていて、

見覚えがあった。

 

「良かった…!本当に良かった…!」

 

涙をためた瞳をみて、見覚えがあった、どころではない

それは確信に変わる。

 

「ユイナ…?」

 

黒い髪も、丸くて大きな金の瞳も、同じだった。

 

黒髪の少女は、ハッキリと答えた。

 

「はい!ユイナです!」

 

ユイナも、生き返しを受けた。

そう確信して、あたしは、ユイナの肩を掴んだ。

 

「ユイナ!怪我は、ないのか!?」

 

ユイナは苦笑した。死にかけてた人に、怪我の心配をされるとは、思わなかったからだろう。

 

「自分の心配をしてください。姉さん。」

 

質問を重ねる。

 

「エテーネの皆は!?」

 

その質問に、ユイナは、眉根を寄せた。

 

「エテーネ??」

 

聞き返される。あたしは焦りをつのらせた。

 

「エテーネだよ…、アタシたちの、故郷の…」

 

「故郷?」

 

ユイナは、きょとんとした表情で、こう続けた。

 

「私たちの故郷は、ここ、ランガーオ村ですよ?」

 

この子は…ユイナじゃない。

 

「変な姉さん」

 

微笑んで言う姿が、妹と重なる。

 

『変なお姉ちゃん!』

 

けど、この子は、妹じゃない。

 

オーガのミュスナの妹、ユイナだ。

 

 

◇◆◇◆◇

 

 

状況を整理しよう。

 

今ここは、ランガーオ村の、オーガのミュスナの家。

ユイナに連れられ、言われるまま、やってきた。

 

問題は、先ほどのおかしな言動だが

 

それについては村の人から、頭を打ったから…

みたいな微妙な態度を取られ、心配された。

 

そして…

 

あたし、人間のミュスナはエテーネで殺されて、生き返しを受け、

 

この村のオーガの女性、ミュスナに生まれ変わった。

 

あたしと同じ、銀の髪と、金の瞳の女性。

 

オーガにしては白い肌。

 

他にも似通った点は多いけど決定的に違うのは、

角と尻尾。

 

…そして大きい胸。

 

前のあたしには…この半分もなかったな…

 

よし、揉んでみるか

 

ちょっとだけ、失礼します。オーガのミュスナさん

 

「姉さん〜ご飯ですよ〜」

 

あたしの変な葛藤は、食欲をそそる香りと共に現れた、ユイナによって中断される。

その手には、平皿と、それを覆う銀色のボール

 

彼女も、オーガにしては小柄だが、オーガらしい豊満な身体付きをしていた。

 

妹のユイナは、こんな身体ではない。断じて。

 

アタシより胸があるとか、そういう風に成長するとか、断じてない。

 

「食欲ありますか?」

 

アタシの混乱をよそに、オーガのユイナは、アタシを完全に姉だと思い込んでいる。

 

無理もない。

この身体に入る一瞬で、聞いた声の主

 

『妹を頼む』

 

そう言ったオーガのミュスナは、もう亡くなってしまったのだから。

 

…頼むって、こういうことかよ…

 

あたしは前途多難なこの先を思い、頭を抱えた。

 

「あぁ。大丈夫。」

 

とりあえずは、心配させてはいけない。

 

あたしの返事に、ユイナは、満面の笑みを見せた。

笑い方まで、同じだ。

 

「姉さんの好物用意したんですよ!ジャジャーン!」

 

大きな平皿に乗せた、銀色のボールを取り払う。

 

「いっかくウサギの丸焼きですー!」

 

平皿の上には、見覚えのあるモンスターが、ウェルダンに焼かれていた。

 

…オーガって、料理も豪快なんだな…

 

「いま、取り分けますからね〜」

 

ユイナは、テーブルに、小皿をならべ、ナイフで、慣れた手つきで、うさぎを切り分ける。

 

アタシの分が渡される。

 

「はい!どーぞ♪」

 

とりあえず、受け取る。

 

「あぁ…。ありがと」

 

これって…モンスターだよな…?

 

あの、いっかくウサギだよな…??

 

なかなか手をつけないアタシを、ユイナが心配した。

 

「大丈夫ですか?姉さん…やっぱり食欲が…」

 

そんな顔されたら、要らないとか言えないだろうが…

この身体なら、腹こわしたり、しないだろう。

 

アタシは、覚悟を決めて、それを、口に運んだ。

 

「…んまい」

 

意外と、イケるんだな。

食ってみるもんだ。

 

「姉さん、まるごと1匹いけちゃうくらい、好きですからね!」

 

え…?これ1匹…?

抱えて余るくらいあるウサギを、丸々1匹食えちゃうの?

 

「たーんと!食べて!元気になってください!」

 

オーガって、何から何まで豪快なんだな…

 

慣れるまで大変そうだ

そんな心配をよそに、意外とすんなりと、ウサギは、アタシの胃に収まった。もちろん、1匹まるごと。

 

 

◇◆◇◆◇

 

 

食事を終えたあたしは、食後の運動がてら村のなかを見て回ることにした。

 

相変わらず、頭は混乱していたけど、村の人は、良くしてくれる。

当然か。あたしは、もうランガーオのミュスナなのだから。

 

ランガーオ村は雪山の山頂付近にあるため、かなり気候が厳しい。けど、オーガの強靭な身体は、寒さにも、へっちゃらなようだ。

 

裸同然の毛皮の服という姿だが、あまり寒さを感じなかった。

 

そして何より、視点が高い。

 

元々大柄なオーガだが、ミュスナは、その中でも背が高い方なのだろう。

並の男性より、背が高い。

 

恋人探しには、苦労しそうだ。

 

まぁ、あたしには関係ないか。と自嘲気味に嘆息する。

 

そんなことを逡巡しながら村を歩いていたら声をかけられた。

 

「あら ミュスナさん。 どうしたんですか?」

 

確か、この人は…村王の娘さんの、マイユさんだったっけ

 

倒れてたあたし…、つまりオーガのミュスナを見つけてここまで運んでくれたらしい。

つまり、彼女は恩人だ。

 

「ちょっと散歩にね。ここまで運んでくれてありがとう、マイユさん」

 

お礼を言っておかなければ。

マイユは、朗らかに笑ってくれた。

 

「いいんですよ。 ミュスナさんが無事で本当に良かった」

 

無事と言っていいものか、あたしは苦笑する。

マイユは言い終わったあとで、なにかに気づいたようだった

 

「あら?ミュスナさん。 ルーラストーンは、どうしたんですか? いつも腰につけてるのに……。」

 

「? ルーラストーン?」

 

聞いたことのない単語に、あたしは、眉根を寄せた。

 

「えっ ルーラストーンが分からない……?

使うと 記憶させた場所に一瞬で飛べる魔法の石のことですよ?」

 

む、そんな貴重品を無くしたのか。

死んだ時に落としたのかな

 

「もしかして、ルーラストーンのことだけじゃなく、自分のことも、分からないんですか?」

 

そういうことに、しておこう。

あたしは、頷いた。

 

それから、マイユはいろいろと教えてくれた。

幼い頃に、ここにユイナと来たこと。

必死に修行に励んでいたこと。

 

「記憶が混乱しているのかもしれませんね……。

それにしても、なぜミュスナさんは

あんなところに倒れていたんでしょう?」

 

「あんなところ?」

 

マイユは、滅多に人が行かない所、と説明してくれた。

 

「そこに行けば、なにか思い出すかしら」

 

その場所はロンダ氷穴というらしい。

場所を、詳しく教えてくれた。

 

あたしは、その先のロンダ岬というところに、倒れていたらしい

ルーラストーンも、そこにあるかもしれない、とのことだった。

 

きっと、オーガのミュスナさんの大切なものだったのだろう。

なんとかして、取り戻してあげたい。

 

「分かった。行ってみるよ。」

 

「行くなら気をつけて。チカラも落ちてると思うので慎重に行ってください。」

 

心配が、心に染みる。

きっと、オーガのミュスナは、愛されていたのだろう。

 

ありがとう。と礼を行って、あたしはロンダ岬へ、ルーラストーンを探しに行くことにした。

 

 




さらに長くなりました!

もうすでに原作と、かなり違います!
多少の違いが分かってもスルーしてください(/ω\)

これからも、精進しながら書いていきますよー!


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