自分のドラゴンクエストは、少し暗くてキツイかもしれません。
ドラゴンクエストっぽくないかもしれませんが、これからも頑張っていきたいです
「まず、どこから、向かいます?」
村の出入り口前、近衛のおっさんから、また槍をひったくってから、そこに向かう。
と、ユイナが、先に行って、待っていた。
「なにをするにも、まず人が多いところに行かなきゃな」
当面の目的は、3つ。
1つは、妹のエテーネのユイナを探すこと。
2つは、オーガのミュスナの生前の目的を果たすこと。
そして、3つ目は、冥王を殺し、仇を討つこと。
いずれにせよ、人に話を聞かなければならない。
「では、グレン城下町に、向かいましょう」
「グレン?」
あたしが聞くと、ユイナは、人差し指を立てて胸を張った。
「グレン城下町。そこはオーグリード大陸の都、ガートラント王国に匹敵するもう一つの大きな王都で……」
「ほう。」
「大陸鉄道の中心として扱われる、冒険者たちの中心です。掲示板には、たくさんの仕事が、扱われています」
「稼げそうだな。」
「その歴史は、深く、時は500年前までに、遡ります」
「待って。もういい。」
ユイナの話は、長い。
大した知識量だけど、いま、重要なのは、そこじゃない
「ここからが、面白いのに……」
不満そうに、唇をとがらせる。
続きは、寝る前にでも聞かせてくれ。
「こっから遠いの?」
「結構ありますね。まずは、獅子門に向かわないと」
「獅子門?」
……あ、と口元をおさえる。
遅かった。ユイナは、得意気な顔で、説明を始めた。
◇◆◇◆◇
村を出ても、ユイナの説明は、続いていた。
話は、獅子門の話から、そこを流れる光の河の話になっている。
聞き流そう。ユイナのいい声は耳に優しい詩となる。
そう、思うようにした。
……が、あたしは、ユイナを止めた。
「ユイナ、静かに。……魔物だ。」
強い、獣の臭いを感じた。
オーガは、鼻もいいのか。
「? なにも居ませんけど……」
ユイナは、なにも、感じないようだった。
確かに、周りには、何も無い。
でも、まだ臭いは、していた。
こちらを狙ってるわけでは、無さそうだが。
「あ、ウサギさん」
ユイナが指さす。
かなり遠方に、いっかくウサギが跳ねた。
いっかくウサギが遠ざかると、臭いも、遠ざかった。
あんな距離から、分かっていたのか。
「すごいな、オーガの能力は」
「いえいえ、それは、姉さんの特徴ですよ」
ユイナは、興味深いことを言う。
「姉さんは、昔から五感に優れてまして、だから、大人に混じって仕事が出来たんですよ」
つまり、魔物の位置が、分かるのか。
これなら、幼いユイナをおぶって、この危険な山を子供だけで登りきったのも、頷ける。
「ただ、少しデリカシーに欠けますけどね」
「へぇ例えば?」
「『血のにおいがするぞ。あの日か?』とか……」
あたしも言いそうだ。危ない危ない。
ユイナは、また唇をとがらせる。
「そちらのユイナさんは?」
「んー、ワガママで、手のかかるやつだよ」
君とは、大違いだ、と言うと、ユイナは、少し誇らしげだ。
「手のかからないのだけが取得でしたからね!」
「えばれることなのか?それは」
スルーして、ユイナは、質問を重ねる。
「かわいいですか?ユイナさん」
「もちろん。絵本を読んでやると、静かになるんだ」
「まあ!かわいい!」
ユイナが微笑んだ。
話してると、山の中腹まで、きた。
「……ここから少し敵が変わったな。」
鼻を利かす。
なるほど、便利な身体だ。
「あそこと、あそこに、1匹。いや、2匹か。」
慣れる必要があるな。
ユイナがいるから、出来るだけ戦闘は避けたい。
「こっちから行こう。おいで、ユイナ」
「はぁい」
街道を外れる。ユイナは、反対一つなく、二つ返事で、ついてくる。
「そこ、段差だから気をつけて。」
「大丈夫ですよ〜」
と、言いつつ、足取りは、何だか危ない。
獅子門まで行ったら、少し休ませないとな。
「心配しすぎですよ。」
そんな考えを見られたようなタイミングで、ユイナが言った。
「おんぶしてあげよーか?」
「大丈夫ですっ!」
「そかそか、獅子門は、もーすぐだ、頑張りな」
「はぁい」
獅子門までの道のりを急いだ。
◇◆◇◆◇
獅子門は光の河を挟んだ関所だ
その河は、美しいが、底が知れない。
そこには、何があるのか、議論になったことはあるらしいが。
「試した人は、居ないですからね。」
「それで、分からずじまいか。」
当然と言えば当然だ。
これからも、永遠の謎だろう。
「旅人バザーがありますね」
その光の河を挟んだ手前の看板、ユイナが指さした。
「旅人バザー?」
「いわゆる旅人のフリーマーケットです。」
「ふ、ふりま……?」
分からない単語が増える。
「つまり、ほかの冒険者が売りに出してるものを買える場所です」
なるほど、冒険者でも気軽に商人をやれるところ、というわけか。
「いろいろありそうだ。寄っていこう」
「この毛皮姿じゃ、嫌ですしね……」
と、いうことで。
あたし達は、バザーで、それぞれ装備を揃えた。
あたしは、青銅の鎧で、
ユイナは、絹のローブ。
「けっこう軽い鎧だな。もう少し重めなの選んでも良かったかな」
「姉さん、おへそ出てて、かわいい♪」
そう、鎧なのに、なぜか、ヘソが出る。
涼しくていいけどね。
「ユイナは……いかにも、すごい似合ってるな」
「絹の肌触り気持ちいいですねぇ♪」
ありがとう。
バザーの店員に一礼して、あたしたちは、獅子門を通過した。
◇◆◇◆◇
「グレン領に入ると、なんでこんなに暑いんでしょぉ〜……」
そう言って、ユイナは、胸元をパタパタさせる。
ちらちら見える胸元を無防備だな、と思いながら見つめる。
「街中で、パタパタしないでよ?」
「……? なんでですか?」
あたしは、頭を抱える。
悪い男に引っかからなきゃいいけど。
「わ、おっきいモンスター」
ユイナが指を指す方向をみると、黄色い巨体の、モンスターがいた。
強烈な臭気を放っていたのはコイツか。
「ぬぼーっと、してそーなヤツだなぁ」
「太古のぬし、ですね。人間が存在する前から存在したいにしえの魔獣で、不用意に近づいたものを吹き飛ばしちゃうらしいですよ?」
「へぇ。……じゃあ、これやばくないか?」
「……ヤバイですね。」
太古のぬし、が、こちらを睨む。
「逃げろーーー!!!」
「はぃいーーー!!!」
全力失踪で、グレンを目指した。
◇◆◇◆◇
「やっと着きましたね……」
グレン城下町の前、肩で息をするユイナに、飲み水を渡す。
ユイナは、受け取ると勢いよく飲んだ。
「ここが、グレン城下町か〜」
橋を渡れば、すぐに、街中に出れる。
街に入ると階段があって、その先には、王城が見える。
その階段の周辺、人が集まっていた。
確かに、剣をはいた青年や、杖にとんがり帽子の女性、
見るからに冒険者の人々で、溢れていた。
「す、すごい人混みですね……」
「はぐれないでよ」
人混みに流れていってしまいそうなユイナの手を取る。
さて、まずは、王に会うか、仕事を探すか。
「ここの王は、どんな奴なの?」
「バグド王ですか?」
それが王の名前か。あたしは、頷いた。
「厳正な賢王と聞きましたが、最近は、良い噂を聞きませんね。会うなら気をつけた方がいいかもです。」
「最近は?」
引っかかる言い方だ。
「うーん、なんて言うか……。」
ユイナが、腕を組んだ、その時だった。
鉄の兵団が歩いてくるような、重苦しい足音。
それも、大量の。
「……大量の鉄の匂い。穏やかじゃないな。」
戦争は、こういう匂いがするのだろう。
ユイナも、不安そうに、王城を見上げる。
いつのまに、集まっていた冒険者たちも、散って、それの道を作っていた。
「彼が、バグド王です。」
鎧の兵団の先頭、マントを羽織った半裸のオーガがいた頭には、王冠が輝いている。腰には豪奢な剣。
まるで、戦場に向かうかのような、緊張した雰囲気だ。
「まさか、本当に戦争に……?」
ユイナが呟いた。
本当に、と言うと以前からそういう雰囲気だったのだろうか。
「戦争?どこと?」
あたしの質問には、別のものが、答えた。
「おやめくださいバグド王!」
鎧の兵団の先頭、バグド王の前に、兵士らしきオーガの男性が躍り出た。
ほかの兵士より、位が高いのか、豪華な鎧を着ている。
「ガートラントを攻めるなど!」
バグド王の前に、ひざまずき、その行く手を阻む。
「お考え直しください!」
王は、ゆっくりと、口を開いた。
「余に、意見するか。」
腰の剣を抜き放つ。
「王……!?」
兵士の男が、驚いて立ち上がる。
「余の言は絶対だ。それに反対することは」
「お、おやめください……!!」
後ずさる男。剣を手に、切迫する王。
「反逆と、見なす。」
剣を振り上げ
「反逆罪は、死罪だ。」
それを振り下した。
「バ……、バグド王……」
宿屋前の広場に鮮血が広がり、青年が倒れる。
「いやぁぁ!!」
ユイナが叫んだ。
まわりの冒険者も、叫んだ。
その中から、飛び出す影があった。
「あなたぁ!」
「パパぁ!」
斬られた男の、妻子だろうか。
血まみれで倒れる男に、駆け寄る。
「その男の家族か。」
バグド王が静かに言い、
再び剣を振り上げた。
「反逆の一家は、根絶やしにしなければな。」
振り下される剣。
そこに、もう一つの影が躍り出た。
……はい、だいぶ暗いですね。
ごめんねバグド王。
本編の彼は、ここまで怖くないので安心してくださいね