ドラゴンクエストX 〜ワルキューレ〜   作:リョンさん

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王の凶行は、魔族の呪いによるものと、発覚する。

その呪いを解くために、一行は、レムルの聖杯と呼ばれる秘宝を求めて、べコン渓谷へ向かった。


第9話 聖杯の守り手

べコン渓谷の最奥、妖剣士の塚と呼ばれるそこは、冒険者も、寄り付かない場所だ。

 

そこに住み着く骸骨の王は、秘宝を守り、近づくものを無差別に攻撃するからだ。

 

しかし、あたしたちは、そこへ、やって来た。

 

ひんやりとした洞窟を、奥へ奥へと進み、ついに、最奥まで来た。

そこは、外の暑さがウソのように冷え切っていた。

 

アルベールを先頭に、歩を進める……。

 

「来るぞ……!」

 

アルベールが剣を抜いた。

あたしも槍を手に取り、ユイナを背中に庇う。

 

「ひっ!」

 

骸骨の兵隊たちが、一斉に現れ、それを見たユイナが、小さく悲鳴をあげる。

 

骸骨たちは、何かを手にしている。

ボロボロのマントや、骨だけの腕。

 

それを、人形を組み立てるかのように、繋ぎ合わせる。

 

「い、いまのうちに攻撃してしまったらどうです!?」

 

それを、ぼーっと眺めてて、ユイナに言われて、はっ、とする。

 

「……なんでか、こーいうの待っちゃうんだよな」

 

もう遅い。そうこう言ってる間に、身体が完成していた。

頭蓋骨を持った骸骨兵が、駆け寄る。彼は、盛大に、すっころんだ。

 

「あ。」

 

その場にいた全員が、息を飲んだ。

王の頭蓋骨は、宙を舞い、王自身に、ナイスキャッチされる。

 

「彼が、ガートラントの将軍、オーレンの成れの果てです……!」

 

身体と繋がれ、口が動いた。

 

「貴様ら……ガートラントの追っ手か……!!」

 

地面に刺さった2本の巨大な刀剣を手に取るオーレン。

話し合いで、どうにかなる相手ではなさそうだ。

 

「勇者御一行様だ」

 

骸骨兵たちも、連携を取る。

オーレンの部下だったのだろう。死してなお、その隊列は美しく、無駄がなかった。

 

5体の骸骨兵たち。

まずは、二人一組で、襲ってくる。

 

前に出たアルベールが、剣を光らせる。ライトフォースだ。

 

骸骨兵たちが、剣を奮うより先に、間合いに入り込む。

 

「輝剣斬!!」

 

剣の光は、刃となり、刀身を長くする。

輝く刃は、一瞬で、2体の骸骨兵を葬り去った。

 

「……! その紅い男は相手にするな……!!」

 

有象無象では、歯が立たない。

そう判断したオーレンが指示を飛ばす。

 

「紅き剣士よ……お前の相手は私だ……!

お前たち、手を出すなよ……。」

 

それから、剣を、アルベールに向けた。

それに同調するかのように、骸骨兵たちは、道をあけた

 

「ミュスナ、手を出さないでくれ。彼は死してなお、誇り高き剣士だ。」

 

アルベールは、骸骨兵たちの間を、無防備に進んでいく

 

「と、すると、あたしは、雑魚担当かい」

 

アルベールを通した後、骸骨兵たちは、再び連携を取りあたしを睨む。

 

「ね、姉さん……」

 

動く骸骨が怖いのか、ユイナは、震えてしまっている。入り口で待たせておくんだったと思ったが、もう遅い。

 

「ユイナ、あたしより前に出るんじゃねーぞ」

 

槍に雷撃をまとわせる。かなり操れるようになったようだ。

 

3体を同時に相手するのは、面倒だ。

と、すると……

 

あたしは、槍を振りかぶる。

 

骸骨兵は、じりじりと、陣形を崩さす、迫る。

 

「ボサっと、してんなよッ!!」

 

力の限り、投げつける。

雷撃をまとった槍は、もはや落雷ように、光る筋を描きながら、骸骨兵を1体、粉砕した。

 

顔面を砕かれた骸骨兵は、動かなくなる。

いきなり武器を投げてくるとは思わなかったのか、骸骨兵たちは、わずかに動揺する。

 

「姉さん!いきなり槍を投げたら!」

 

ユイナは、うるさいなぁ。

心配すんなって。

 

「オーガの本領は、こいつだろ?」

 

あたしは、拳を打ち付ける。

あたしに、細かい格闘術も、技も分からない。

けど、この身体は、知っている。

 

骸骨兵の武装は、剣。

拳大の石を拾って、それを投げつける。

 

案の定、骸骨兵は、それを剣で払って防ぐ。

そこで、すかさず、距離を詰める。

 

ほぼ密着。これで、剣は使えない。

 

襟首をつかみ、足を払い、

背負い、投げる!

 

柔術って、言うんだっけ。

 

仰向けに倒れる骸骨兵の腕を、踏みつけて砕いた。

これで、剣は、使えない。

 

「姉さん!危ない!」

 

もう1体居るんだった。

斬りかかろうと、剣をふりあげる、骸骨兵B。

 

倒した骸骨兵の剣は、床に転がっている。

それの柄を、思い切り踏み付ける。

 

宙へ舞い上がる剣。あたしは、それをナイスキャッチしそのまま剣の攻撃を受けた。

 

「剣も悪くねぇな。」

 

つばぜり合いは、心躍る。

力の限り、押し込むと、せり勝てた。

 

体勢を崩したのを見逃さず、振りかぶって両手持ち。

渾身の力で、切り下ろす。

 

剣は、骸骨兵の頭を叩き割ったが、半分に折れてしまった。

あたしは、舌打ちして、それを放り投げた。

 

「姉さーん!助けてぇ!」

 

ユイナの声だ。まだ、居たのか……!

2体の骸骨兵が、ユイナを追い詰めていた。

もう、剣の間合いで、それを、振り上げていた。

 

「妹に手を出すなっつってんでしょうがァ!!」

 

自分でも驚くくらいのスピードで、両者の間に、割って入った。

剣を持つ手を、掴み、思い切り引く。

と、同時に掌打を、骸骨兵の肘に叩き込んだ。

 

乾いた音を立てて、骨の腕が砕ける。

折れた骨の腕を持ったまま、骸骨兵の頭を殴りつけた。

 

倒れる骸骨兵C。その奥には、突きの構えの骸骨兵Dがいた。

 

「……ちっ!」

 

頭を殴られた骸骨兵Cが倒れた途端、その向こうから骸骨兵Dが、鋭い突きを繰り出す。

 

腹を狙った突き。身を逸らして、かわすが、かすった。

わずかに、切られる。

 

が、怯むことなく、さらに距離を詰める。

 

「剣の突きを外したら、……詰みだ。」

 

掌を、骸骨兵の顔に、つけ、地面に叩きつけた。

頭蓋は、粉々に砕け散った。

 

「よく、狙わないとな。」

 

決め顔で言ってから、一息ついて、両手を打ち鳴らす。

脇腹をかすめたけど、軽傷だ。

 

「姉さん!斬られたように見えましたが……」

「ん、かすり傷よ、かすり傷」

 

それより、アルベールは……

あたしより、傷を負ってるが、いずれも軽傷だ。

それに、決着も、つきそうだ。

 

アルベールの剣は、巨大な火炎をまとっている。

オーレンの怒涛の双剣攻撃を避け切り、剣がもっとも威力を発揮する間合いへと、入り込み、

 

燃え盛る剣を、両手持ちに、持った。

剣を腰にすえ、強烈な切り上げを放った。

 

「紅覇斬ッ!!」

 

強烈な一撃と、火炎が、オーレンを同時に襲った。

 

「グオォオオォ!!」

 

オーレンは、双剣を落とし、しばし、火炎にもがいて…

 

「見事なり……」

 

最期に、そう言い、わずかな魔障を遺して、消えた。

 

 

◇◆◇◆◇

 

 

「ホイミ!」

 

聖杯を手に入れた一行は、安全なとこまで、待避し、そこで、焚き火を囲んでいた。

軽いが裂傷が多かったアルベールに、ユイナが何度も、回復呪文をかけている。

 

「ありがとう、もう大丈夫だよ」

 

呪文は、かなり精神力を使うのだろう。ユイナにも、疲労が見える。

 

「ダメです!ちゃんと治しておかないと、バイ菌が入ったりしちゃいますから!」

 

まるでお母さんだ。微笑ましいな。

上着を脱がせようとしてるのをのぞけば。

 

「ちょっ…そこまでしなくていいよ!

……お姉さん!助けてくれー!」

 

無理矢理、脱がそうとするユイナに、抵抗するアルベール。

見てて面白いがアルベールは怪我人だ。

 

「こらユイナ、逆☆※△は、やめろ」

「逆☆※△なんてしません!!」

「こらこら女の子がそういうことを大声で言うんじゃないよ」

 

あたしに、向き直るユイナ。助かったアルベールは、穏やかに言った。

それから、ユイナは、あたしの脇腹を見やる。

 

「…姉さん、お腹大丈夫ですか?」

「ん?かっこいいだろ?」

 

うっすら跡がついてるだけで、痛くはない。

 

「キレイに治せなくて……ごめんなさい……」

「気にすんな。傷は勲章だ」

 

項垂れるユイナの頭をなでてやる。

髪をすくように、なでてやると、うとうとし始めた。

 

「呪文使って疲れたろ?寝ていいぞ」

「うぅ」

 

目をこするユイナ。寝ろ寝ろと催促するみたいに、がしがしと、髪をなでる。

 

「じゃあ、お言葉に甘えて……」

「あいよ」

 

ユイナは、何故か、あたしの膝に頭を預けた。

 

「おいおい……」

 

まあ、いいか……。寝つくまで、なでてやるとしよう。

 

「姉さん……」

「んー?」

 

今にも眠りそうな力の抜けた声で言う。

 

「守ってくれて、ありがとう。」

 

ケツがかゆくならぁ。たぶん、あたしは、はにかんでた

と思う。

 

「当たり前だろ」

 

ユイナは、うん、と頷くと、そのまま、眠りについた。

 

「……大丈夫かい?お姉さん」

 

アルベールが、小声で、聞いてきた。

その指は、自分の脇腹を指している。

 

「お前のがボロボロだろ」

「もうすっかり良くなったよ」

 

アルベールが、両手を広げる。

 

「んじゃあ、脱いで見せてみな」

「え……?」

 

固まるアルベール。その反応に満足したあたしは、ニヤリと笑った。

 

「冗談だ。ほんとに脱いだら通報するぞ。」

 

アルベールは、ほっ、と胸をなでおろし、苦笑する。

 

「全く……お姉さんのほうは、けっこうキツいんだね」

「ユイナみたいに可愛くなくて悪かったな。」

「力も男より強いし……投げた槍、刺さって、ぜんぜん抜けなかったね、うらやましいよ」

「ふつーの女にそれ言ったらぶっとばされっからな」

 

自分でも性格変わったんじゃないかというほど、つんけんしてしまう。

まあ、昔から妹以外には厳しかったけど。

 

「でも、妹さんをなでている時の顔は、優しいんだな。」

 

意表をつくようなことを言う……。

 

「こいつを見てると、落ち着くからな……。」

 

うつむくと、眠るユイナが視界に入る。

口を猫みたいにして、むにゃむにゃしてる。

ふふっ、可愛いヤツめ

 

「そうしてるキミは、なんだかキレイだ」

 

アルベールの言葉に耳を疑う。

キレイ?あたしが?

 

「あ、あたしがか?」

 

そんなこと、エテーネでもランガーオでも言われたことがない。

確かにオーガのミュスナは、美人ではあると思うが……

 

「うん。ミュスナが、キレイだ」

 

バカ正直に、わかりやすく言ってくれた。

突然のことで、うるせえ!黙れ!と悪態をつきそうになる、が、ぐっと、堪える。

 

「あ、ありがと……っ?」

 

悪態をつかれたら、皮肉で返せるのに。

せめて、皮肉っぽく言ってくれれば悪態つけるのに!

 

こんな心から言ってくれるのが分かったら、さすがの、あたしも嬉しいじゃねぇか!

 

「もう寝ろよ、あたしが見張りしててやるから!」

 

ニヤける顔を見られたくなくて、そう提案する。

 

「あ、見張りは、俺が……」

「いいよ、アルベール寝てないだろ」

「そーだけど、レディファーストは紳士の美徳で…」

「うるせえ。寝ろ」

「はい」

 

アルベールが横になる。

 

キレイなんて言われたこと、元の身体でも、なかったな

……ていうか、女扱いすら、されなかったような……

 

レディファーストか……

 

ちょっと、嬉しい、かな?

うん、ちょっと、な。

 

あたしは、なんとも言えない慣れない気持ちで、オーグリードの夜空を眺めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ミュスナは、ヤンデレ(ヤンキーデレ)です
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