ディアベルが死の運命を覆そうと奮闘するようです   作:導く眼鏡

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運命「何時から本気を出していないと錯覚していた」


ディアベルに本格的に死が牙を剥くようです

ディアベル「……………………ふぅ」

 

 

 

 

 

 

やぁ、俺の名はディアベル! 職業は気持ち、ナイトやってます!

もう何度この光景を繰り返し見たのか数えてないけど、ここまで繰り返し見ていると飽きを通り越してもう実家のような安心感があるね。

前回、俺は後ろから何者かに刺されて死んだ(と思う)訳だけど、そもそも刺したのは誰なのか、これをまず考える必要がある。

あの場所で掴めそうだった情報はSAOの根本に関わるもの……だと思う。

とにかく、それが後一歩で判明する所で俺は後ろから何者かに刺されて死んでしまった。

だから俺はこうして始まりの町まで巻き戻っているんだが……そもそも死ぬ寸前に何を見たのかがあやふやになっているのが痛い。

ホライ……なんだったか。重大なものがあそこにあった事位しか思い出せない。

 

 

ディアベル「どうしたものか……」

 

 

前回足を踏み入れたあの場所がどこにあるのかも、記憶に霧がかかったかのようにあやふやになっている。

第一階層のどこかにあった事までは覚えているのだが……

 

ディアベル「悩んでいても仕方ない、今は出来る事をやっておくしかないか」

 

アインクラッドで日が暮れる時、デス・ゲームの開始宣言が行われる。

その時から、このゲーム内は阿鼻叫喚となる事は避けられない。

そしてこの序盤でかなりの数の犠牲者が出る。それを止めるには誰かが導かなければいけない。

では、誰が皆を導かなければいけないのか。誰かがやらなければいけない事を、誰かがやってくれるだろうと見て見ぬふりをする事は簡単だ。

でも、それは出来ない。いや、正確に言うならばそれをする事をディアベル自身が許さない。

だから彼は決めている。

 

 

ディアベル「よし……行くか」

 

 

 

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ディアベル「皆、いよいよ第一階層のボス、イルファング・ザ・コボルトロードとの決戦が始まる。俺が皆に言う事はただ一つ……勝とうぜ!!」

 

 

死に戻ってから約1ヶ月、犠牲者を少しでも減らす為に動きながら順調に攻略を進める事が出来た。

何度も死に戻りながら第一階層の攻略にここまで時間がかかってしまうのは、俺一人が一歩先へ行った所で攻略が劇的に変わるわけがないというのもあるが、やはり寄り道とも言える行動が多かったのも起因しているだろう。最も、弱きを助けるナイトを目指す俺はその寄り道をやめるつもりはない。

 

 

キバオウ「よっしゃあ、いくでぇ!」

 

 

そうして、何度も繰り返されて来たコボルトロード戦が開幕を告げた。

といったものの、武器が変更されている可能性等、β版との違いが出てくる可能性をしっかりと警告して最大限警戒するように言ってある為余程の事が起きない限り事故は起きない。

そしてその事故が起こる可能性も何度となく繰り返された戦いから予め先手を打つ事が出来る。

そう、彼等が負ける要素はどこにもないのだ。 今まで何度も同じボスの情報を網羅してきた彼、ディアベルがいる限りは。

 

 

「う、うわぁああああああ!!」

 

キリト「させるかぁ!!」

 

 

敵の攻撃を受けて体勢を崩したA隊の一人が追撃をもらいかけた時、キリト君がすかさずフォローをしてくれた。

 

 

ディアベル「A隊、一度下がって体勢を整えろ! B隊はその間ボスのタゲを取り、出来る限り攻撃を喰らわないように!」

 

エギル「ダメージディーラーが火力を叩きだすには俺達タンクがいなきゃならねぇ! しっかり耐えるぞ!」

 

ディアベル「キリト君、アスナ君! 酷使してすまないが次が来る!」

 

アスナ「はい!」

 

キリト「辛かったら無理はするな、最悪俺が出る」

 

ディアベル「一人で飛び出すのだけはやめてくれよ」

 

 

キリト君とアスナ君は、このレイドの中で唯一のコンビPTだ。

本来なら取り巻きの取りこぼしに対するフォロー等に回すのが定石だが、俺は2人がどれだけ強いかを知っている。

この頃のアスナ君はともかく、キリト君の実力は随一だ。彼等には皆のフォローを意識しつつ自由に動いてもらっている。

そうするのが一番だと、これまでの経験で結論が出ているからだ。

 

 

「ゴアァアアアアアアアアアアアア!!」

 

ディアベル「皆、一度下がれ! ここからが正念場だ!!」

 

 

そうこうしている内にボスのHPゲージバーが一本まで減った。

ここからが本番、事前情報が無ければ今までになかった野太刀の攻撃にキリト君を除いて一切歯が立たないだろう。

 

 

ディアベル「武器が変わって攻撃パターンも変わるはずだ、まずは攻撃パターンの解析に集中する!! まずはC隊、俺と一緒に前線に出るぞ!」

 

 

慢心はしない。野太刀による連続攻撃の脅威は俺が一番よく知っている。

奴の武器から放たれるカタナスキルは全網羅している以上、敗北はない。

このまま堅実に詰めていけば、チェックメイトだ。

……だからだろうか。

 

 

 

 

キリト「っ! 全員、ボスから離れろぉおおおおおおおおおおおお!!」

 

 

 

 

今までの経験則は絶対だと、そう思っていた。

いや、これまで繰り返されて来た数多くのボス戦での共通点をしっかり把握し、覚え込んでいたからこそ心のどこかで慢心していたのかもしれない。

だからなのか、俺は他の隊に比べて……

 

 

 

 

 

 

ディアベル「……………………は?」

 

 

 

 

 

 

 

 

今までの戦いで野太刀だったボスの武器が2本になっていた事に気づく事が遅れてしまった事に。




※9/16 誤字報告適用いたしました。指摘ありがとうございます

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