ディアベルが死の運命を覆そうと奮闘するようです   作:導く眼鏡

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前回のあらすじ

ヒースクリフ「血盟騎士団に入りたまえ」



ディアベルが血盟騎士団で奮闘するようです

「それじゃあ、今日の見回りは第10層辺りを重点的に頼む。出てくるモンスターの数、ドロップしたアイテムの数はしっかりとレポートにして提出してくれ。ドロップしたアイテムは報告さえしてくれればドロップした者個人で所有して構わない」

「はっ、ディアベル殿!」

「頼んだよ、皆」

 

 

 

やぁ、俺の名はディアベル。職業はナイト(血盟騎士団)やってます!

突然だけど、俺は今血盟騎士団の参謀として働いている。

参謀と言っても、血盟騎士団の運用自体はヒースクリフ団長だけでも成り立つ。が、いくら少数精鋭の血盟騎士団とはいえギルドのすべてを団長一人で動かしきれるかというと否だ。

攻略組として最前線の迷宮区の探索も行わなければならないが、それ以外にもやらなければいけない事はたくさんある。

下層の治安維持(これは本来、アインクラッド解放軍が25層で大量の死傷者が出た事によって最前線から退いて治安維持に回る事で血盟騎士団がそちらに力を割く必要はなくなっていた(それでも軍が腐敗して悲惨な事になっていたが)が、当然今回のフロアボス攻略戦で大量に死にかけたとはいえ死傷者が出ていない軍が最前線から退く事等無い訳で結果治安維持をする人材が下層中層のギルドやボランティア位しかいない。当然、無法地帯になる事は避けたいしはじまりの街に籠っている人達を見捨てる訳にもいかないので人材不足の血盟騎士団からも人材を割く必要がある)、

中層でのモンスターからのドロップ率やレアアイテムの調査、中層プレイヤーの育成(これは俺の案で、中層プレイヤーを育成する事で攻略組の人材を増やそうという計らいが表向きの理由)等、やらなければいけない事はたくさんある。

 

「しかしよろしいのですかディアベル殿? ヒースクリフ団長と、アスナ副団長は最前線で攻略を進めているというのに我々は……」

「だからこそ、だよ。団長達が攻略を進めてくれているからこそ俺達はそれ以外の面でのサポートに集中出来る。後方支援が充実しなければ、前線も満足に立ち回る事が出来ないからこそ後方支援を疎かにしてはいけないんだ」

 

 

ヒースクリフ団長と、副団長を務めるアスナ君を筆頭としたギルドの中心となる精鋭は最前線の迷宮区攻略を務める事が多い。

で、参謀を務めている俺はそれ以外、つまり先程挙げたような雑務を他のメンバーにしっかりと指示して動かしているというのが現状だ。

新入りが何を、と思う者もいるが俺の指揮力、参謀としての実力は攻略組ならば誰もが知っている(ヒースクリフ談)ので文句を言う者もいない。

勿論、俺だって動く。指示を出すだけ出して椅子でふんぞり返るような趣味は無いし、繰り返して来た周回の知識を最大限活かすなら俺自身が動くのが一番効率がいい。

それに、どこでプレイヤーが命を落とすか、という情報もある程度は持っている。その情報を活かして周辺を見回りさせれば、俺一人ではすぐ限界になる所をかなり首尾よく救助する事が出来る。

本当に人員をある程度割いてくれた事には感謝しかない。

そして今日は、俺もしっかりと動く予定だ。特に今日は結構重要な日でもあるのだから……

 

 

 

 

 

「やぁキリト君達、こんな所で会うなんて奇遇だね」

「ディアベル!? なんでこんな所に」

「今日はこの辺りのフロアを再調査しようと思ってね、団員達も一緒だ。キリト君と一緒にいる人達は……」

「あぁ、紹介するよ。この人達は月夜の黒猫団のメンバーで、俺は彼等のギルドに入れてもらってる。サチ達にも紹介するよ、この人はディアベル、後ろの人達は血盟騎士団の人達だ」

 

キリト君が交互に紹介をする。ここだけの話だけど、俺はキリト君の事をすごく頼りにしている。彼との交流も出来る限り欠かさないようにはしているつもりだ。

当然、キリト君がレベルを隠して彼等の元にいるのも知っているので話を合わせるようにする。

 

「ディアベルさんって……もしかしてあのディアベルさん!?」

「キリト君って、あの蒼の軍師ディアベルさんと知り合いだったの!?」

 

それでも、やはり有名な(自分で言うのもおかしな話だけど)攻略組が目の前に現れれば彼等もはしゃいでしまうのは無理もない話だ。

 

「俺達は狩り目的でこのフロアにいるけど、ディアベル達はどうしてここに?」

「このフロアで調査不足な所があってね。ただでさえこのフロアは危険だし、万が一にも恐ろしい罠が隠されているかもしれないから、そういうのが無いかを調査しているんだ。さっきも向こうの隠し部屋でトラップの宝箱を発見したから、キリト君達も気を付けてくれ。決して未開封の宝箱があるからって、迂闊に近寄ってはいけないよ」

「わかった。色々ありがとうな、ディアベル」

「君達も、頑張ってくれ。また生きて会おう」

 

ひとまず、彼等を死に追いやる罠の忠告はしておく。後はキリト君もいる事だし、大丈夫のはずだ。

ちなみに、別れ際まで月夜の黒猫団の皆にサインをせがまれたりした。悪い気もしなかったし、ナイトとして応えない訳にはいかないから用意された色紙にしっかりとサインをしておいた。何時もサイン色紙を持ち歩いている訳じゃないから勘違いはしないでほしい。

 

 

 

 

と、このような調査という名目で中層プレイヤーの密やかな救助活動を行っているのが俺の主な活動だ。

当然、下層中層の救助活動と共にクエストやアイテムの調査も忘れないでおく。

 

そんな事を繰り返していたある日、団長から集合がかかった。

 

 

 

「という訳で、50層のボス部屋を発見した。今回も偵察を行う予定だ。迷宮区の攻略は我々でも出来るが、ボスの攻略ともなれば君の指揮がなければ厳しいものとなるだろう。そこで、君にはボスの偵察を行ってもらいたい。偵察パーティには、アスナ君も加えるつもりだ」

 

25層に続くクォーターポイント、50層の攻略。攻略の鬼と化したアスナ君もいるとはいえ、相当厳しい戦いになるだろう。当然、俺自身は敵の行動パターンはある程度覚えている。特にクォーターポイントの敵の強さは強烈なインパクトが残っているからね。

でも、それは俺だけの話だ。俺が偵察にいかなければボスの攻撃を予測出来る事に不自然さが出るし、俺は偵察に出るしかない。

 

「わかった。必ず偵察で有益な情報を持ち帰ってみせるよ」

「期待しているよ」

 

さて、アインクラッドももう半分……50層、ハーフポイントのボス戦だ。

気合を入れて攻略しよう。もちろん、犠牲なんて許さない。

白と赤で統一された制服をはためかせ、俺は団長の部屋を後にした。




やだ、この小説地の文多すぎ?

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