それではどうぞ。
「さ、さて!感想ももらえたことだし、本格的に会議を始めていこう!」
やっと穂乃果は元に戻り、会議を本格的に始めると宣言をした。
それに便乗するように他の者たちも我に帰り、会議をしようという気持ちが出ているのがなんとなく分かる。
あのままだったらどうしようかと、思っていたが心配ないようだ……と思っていたのもつかの間、
「それで、会議って具体的に何を?」
「え?特に決めてないよ?」
海未の質問に返した言葉は、蓮の気持ちを再び心配にさせた。
どうやらこの会議は穂乃果が突発的にやろうと考えたもので、海未はてっきり内容を考えているものだと思っていたらしい。
ガミガミと言い合い、というより海未による説教が始まった2年生側。
凛が先輩だと言っていたので、容易に1年と高学年で分かれていると予想できた蓮は、凛に小さな声で
「本当に大丈夫なのか、この先輩達」
「大丈夫、楽しくて優しい先輩だよー」「いや、そういう事じゃないんだけどな……」
ヒソヒソとそんな話をしていると、「と、とにかく!」と穂乃果は改めて仕切り始めた。
「蓮君もいる事だから、まず現状を確認しよう!」
「穂乃果にしては良い意見ですね 「でしょでしょ〜って、私にしてはってどういうこと!海未ちゃーん!」 そのままの意味です」
またまた何か始まりそうな予感がしたその時、呆れたのか「現状確認、するんでしょ」とため息をつきながら真姫はそう言った。
1年と高学年で分かれていると思っている蓮。つまりこちら側にいる真姫は1年生だと思っている。そしてそれは合っている。
そのため彼女があんな感じで話すのは、よくこのような光景が起きていて、見慣れてかつ呆れているからと言ったところだろうと考えた。
実際は単に真姫がそう言う口調ということも大きいが。
「あ、そうだったね、ごめんごめん」
穂乃果はそう言って改めて仕切り直す。
「えっと、とりあえず今1年生の皆が入ってきてくれてから1週間ぐらい経ったわけだけど」
「今やってるのは基礎練習、だけですかね。
私や穂乃果、ことりはある程度はできますから、1年生の皆さんには基礎練習……だけ、というのは何だか寂しいですね」
「あ、で、でも私運動苦手なので、いきなりダンスとかはちょっと」
花陽は確かに運動が苦手というのが顕著に表れていた。
そのため基礎練習は欠かせないものである、が、今はそれだけしか行っていないというのが問題なのだ。
つまりは基礎練習だけでなく、何か新しい練習を増やしても良いんじゃないか、それが論点となる。
けれど、増やすとなると体力が付いていないといけない。バランスが難しいのだ。
「えっと、とりあえず発声練習は入れてもいいんじゃ「それだー!真姫ちゃん!」ゔぇえ!い、いきなり大声出さないで!」
「ご、ごめん。とにかく、発声練習をどんどん入れていこう。
そもそも何で私達今まで発声練習を入れてなかったんだろう?」
「穂乃果ちゃんの言う通り、すっかり忘れてたね」
穂乃果達の1stライブの練習、その期間は異常に短かった。
そのためSTART:DASH!!をとにかく歌って練習する。そればかりに重点が置かれ、自然とすっぽり抜けていたのだ。
歌が下手ではない、それは運に恵まれた事であった。
ともかく、練習メニューに新しく発声練習が加えられた。
具体的な練習方法について真姫を中心に話が盛り上がる中、発声練習については何も口だしできないと判断した凛は、
「他、何があるかなー?」
そう言って蓮の方を見て首を傾げる。
話には入れなかったが、一応頭は働かせていた蓮。けれど特にこれといった案は浮かんでない。
「まだ浮かんでないな。そもそもダンスとか歌って考えたら、もうこれ以上増やす事なんてできないと思うんだが」
「ハッ!それは確かにそうだにゃ」
「だから話す事って言ったら、その基礎練習のメニューについてじゃないか。例えば何回やるかって数の修正とか新しいメニューを……」
話していたその時気付く。いつの間にか視線がこちらに集まっていることを。
どうやら、さっきの話を聞いていたらしい。
「数の修正、確かにそれを見直す必要はあるかもしれません」
「走るルートとか見直しても良いかも」
「ナイスアイデア、ことりちゃん!よしこの調子でどんどん考えよう!」
再び話し合いは熱を取り戻す。
今度は運動関係の事であり凛も話し合いに参加しやすいため、積極的に意見を出していく。
運動が苦手な花陽、運動が得意な凛、2人の意見が中心として話が盛り上がる中、ついに取り残されてしまった蓮。
まぁそうなるな、と思いながら一応会議に耳を傾ける。
そして何となく聞いてから少し経ち、話は数の調整をどうするかという点に集中していた。
μ'sの目的は廃校の阻止、その為に時間はあまり無い。とは言え過度に練習を増やすのは禁物。悩みどころなのだ。
「ねぇ、どう思う、蓮君」
「え、俺?」「もちろんにゃ。意見聞きたいの」
突然こちらに振られたので少し驚く蓮、そして視線は再び彼に集まる。
遠慮なく言っていい、と言う2年生達。
口出しして良いんだろうか、と思う気持ちもあったがとりあえず思ったことを言ってみた。
「練習を増やすのはあまり良く無いかと。
時間が無いって事は聞いてて何となく分かりましたけど、変に増やして体調を崩したら本末転倒ですし、今は練習がある生活に花陽とかを慣れさせることが先決かと」
「そうですね。まだ日は浅いですし、広瀬君がおっしゃる通りかと」
「私も賛成かな。穂乃果ちゃんもそれで良いよね?」
「うん!1年生の皆もそんな感じで良いかな?」
穂乃果の質問に3人とも同意の意を示す。
方針が立ったので、これまでの練習を見直して過度の変化を加えないとは言え、何かないかと見直しを始める。
積極的にとはいかないが、蓮もその話に少し口を出す程度に参加していき、用意していた紙とペンも活用しつつ、じっくりと時間をかけていきながら話しは進んでいった。
「とりあえずこんなところかな」
穂乃果は紙にまとめられた練習メニューを見て呟く。
雑談を挟んでいたり、人が多い分意見をまとめるのに時間がかかってしまい、始めてから1時間以上の時間がかかってしまったが、何とか全員が納得のいくメニューが出来た。
「問題は無さそうですね、一応確認ですが花陽、これでいけますか?」
「はい!頑張ります!」
「それなら現状確認は以上かな?他、何かする事あるかな?」
会議と聞いて、最低でも2つ3つ話し合う話題があるかと考えていた蓮だが……どうやら、これ以上ないらしい。ことりの問いに全員が首を傾げていた。
もっとも6人になって1週間、まだ話す材料も不足しているのだろう。
「それでは、もうお開きにしましょうか。あまり長居して、穂乃果の家の邪魔をしてはいけませんし」
「そうだね。ちょうどキリも良いし」
「あんまり気にしてもらわなくても大丈夫だけど、まぁ、そう言ってくれるならお言葉に甘えようかな。手伝いたい事もあるし」
意外な事に今日の会議はこれにて終わりという事になった。
最後に1年生から何かないかと問う穂乃果達だが、これと言って言うべき事はない。
「じゃあこれで以上だね。
蓮君今日は来てくれてありがとう!またおいでよ!」
「あ、はい。時間が空いていればまたお邪魔します」
そんな会話を交えながら、とりあえず全員で外に行き店の前で正式に解散となった。
偶然にも、1年生と2年生の帰路は上手い具合に分かれており、蓮、凛、花陽、そして真姫が途中まで一緒に帰る事となった。
「あーあ、もうちょっと話してたかったにゃ。先輩達楽しいから」
帰り道、凛は少し不満気にそう呟いた。
やたら急に終わったなと感じていたが、どうやらそれは間違った感覚では無さそうで、凛もそう感じていたようだ。
「仕方ないよ、凛ちゃん。穂乃果先輩は大丈夫って言ってくれてたけど、実際忙しかっただろうし」
「あの時間帯、来た時より多めに商品が並べられていたわ。おそらく忙しくなる時間だったんでしょうね。
海未先輩もことり先輩もそれを知ってて、半ば無理矢理終わらせたんじゃないかしら」
へぇー、と感心した表情を浮かべる凛、そして蓮。
緊張してたのもあってか、全く商品に目がいかなかった。いや、一応見てはいたが流石に量までは確認していなかった。
「それにいらっしゃいませ、って言う数も段々増えてた気がしたよ」
「え、そうなの?凛、全然気付かなかった……」
「俺もだ、すごいな2人とも」
「別に、これぐらい当たり前でしょ」
褒めているのにそっぽを向いてそう言う真姫。
何となく勘付いてはいたがツンツンとした性格の人間のようだ。
「もう真姫ちゃんは照れ屋さんだにゃ〜」
「誰が!そんなんじゃないし、大体こんなの普通よ!「またまた〜」もう!そんなんじゃないって言ってるでしょ!」
が、この様子じゃ、案外と仲良くなれるタイプなのかもしれない。
そんなことを思っていると、いつの間にか真姫の家の付近にいたようで、分かれ道で1度立ち止まった。
「それじゃ、私こっちだから。
じゃあね、凛、花陽、あとそれと、れ、蓮」
「別に名前じゃなくても良いけどな、西木野さん」
「分かってるわよ、単に呼びやすいだけ」
そんな会話をする2人を見て、凛と花陽は苦笑い。
まだそんなに話してもいないので、仲良くなったとは言い難い感じだった。
別れの挨拶をして、とうとう残りは凛と花陽だけになった。
正直、初めて知った人がいたので窮屈さを感じていた蓮は、ようやく知り合いだけの空間となって肩の力を落としていた。
「やっぱり少し窮屈だったかな?」
花陽はこちらを見ながらそう言った。どうやらずっと気にしていてくれたようで、こっちの気持ちはバレバレのようだ。
「まぁな、流石に辛かった」
「えぇ、蓮君なら大丈夫だと思ってたにゃ」
「馬鹿言え、あんな状況息苦しいさ。話に入りにくいし」
「そっか、ごめんね。凛が呼んだから……」
責任を感じたのか凛の表情が曇ってしまった。
正直に言っていただけなのだが、もう少し言葉選びをした方が良いと後悔した彼は、
「あー、いや、良い経験にはなったから連れて来てくれて良かったよ」
「そう?なら良かったにゃ!」
パッと明るい笑顔に変わる凛。
実際経験になった事は本当であるので、誤魔化しが効いてよかったと彼は安堵していた。
「じゃあ、これからも来てくれるよね?」
「あ、あぁ、もちろんだ」
話す事は嫌いじゃないし、別に穂乃果達4人が嫌いというわけではないが、せめて1人ずつもう少し仲良くなってからの方が……とは思っていたが、そうとは言えず凛の誘いに了承した。
「その前に今度は1年生会議とか、良いんじゃないかな?」
「ナイスアイデアだね、かよちん!それでいこう!」
おそらくはこちらの気持ちを汲んでくれたのだろう。
凛も花陽のアイデアに同意したので、次呼ばれる時は少し楽になるかもしれないと思っていた。
そんな話をしながら歩いているうちに、花陽の家に辿り着いた。
「それじゃ、またね、2人とも」
「うん!またね、かよちん!」「またな、花陽」
花陽と別れ、残すは凛のみ。
もっともそこまで家が離れているわけではないので、彼女といる時間はそこまで長くない。
「今度は部活の話だけじゃなくて他の話もできるといいね!」
「凛とかは話してただろ、学校のこととか」
「そうだけど、蓮君は入れてなかったじゃん。皆でワイワイ話す方が楽しいにゃ〜だから、今度は蓮君も!」
「参加できるような話題だったらな」
今日の会議中雑談も挟まれてはいたが、そのほとんどが音ノ木坂の話題で、たまにこっちの学校の様子はどうだなどと話しを振ってくれてはいたが、参加できたものは少なかったのだ。
「うーん、勉強のこととか?ハッ!凛が勉強は嫌だにゃ!」
「自分で言っておいて……」
「嫌なものは嫌なの!まぁ蓮君は勉強できるから良いかもしれないけど「いや、俺今やばいぞ」え、そうなの?中学の頃も友達から出来る方だって聞いたことあるにゃ」
「それは中学までの話だろ。今じゃ授業分からないし、面倒だし、さっぱり……」
「昔、蓮君は宇宙の勉強するんだって頑張ってたにゃ」
そう言われ彼は口を紡ぐ。
だがすぐに口を開いて「ちょっと気持ちが変わった」と一言だけ言った。
「そ、そっか。まぁとにかく、そう言うことなら一緒に頑張ろうにゃ!」
「そうだな、俺もこのままじゃいけないと思ってるし」
会話が終わったほぼ同時。2人は凛の家の前に着いていた。
「じゃあな、凛」
「うん!またね!」
こうして今日の1日が終わった。
これからもμ'sのメンバーと関わり合うことになると考えると、大変だが楽しそうだ、と彼は1人考えていた。
さてμ's全員ではないですが、今いる全員に主人公を知ってもらったところで、これから本気を出します(これまでも本気です)
凛ちゃんとあんな事やこんな事(この小説は一応年齢制限無しです)をしていきます。
それではまた次回。