星空凛と青春を   作:ひまわりヒナ

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訪れた土曜日、そして凛と花陽。
2人とともに見たスクールアイドルのテレビ。そこから感じたのはスクールアイドルの圧倒さ、アイドルの圧倒さであった。
話は切り替わり、久々の外出へと話は切り替わる。

何とか1ヶ月。
更新遅れてすいません。
色々と展開に悩みは多いですが、楽しくは書けています。スローペースではありますが、今後もお付き合いいただけると嬉しいです!

それではどうぞ。


8話 3人の外出

 少し落ち込んだ雰囲気が漂う部屋。

 それを払拭するように、外に出よう、と蓮は言った。

 そもそも外に出ることが目的だったので2人はそれに賛成し、テレビの電源を消した。

 

「それで、どこに行くんだ」

 

 ガスや電気がつけたままになっていないか確認しながら、2人に行き先を確認する。

 2人から返ってきた言葉は、具体的には決めていないが買い物に行こうという事だった。

 何でも、新しい服が欲しいらしい。

 

「ふーん、ま、とりあえず了解。まずは外出るか」

 

 そう言った蓮の後を2人は追うような形で3人は彼の家から出た。

 

 外は曇り1つない、快晴。差し込む日の光が、眩しすぎる程に輝いていた。

 

「暑いな、外は」

「当分、こんな感じの天気だって」

「えー!こんな暑い中での練習は勘弁だにゃー」

「馬鹿言え、これからもっと暑くなるんだ、今ヘタレてどうする」

「うー、蓮君は厳しいにゃ」

「事実を言ったまでだ」

 

 そう言いながら家の鍵を締める。

 学校時を除けば、家の中に誰もいないというのは久々である。自然と2回ほど鍵がしっかりと締まっているか確認した。

 

「よし、行くか」

 

 その言葉と共に改めて、3人の今日という1日が始まる。

 

 

 

 向かった場所は秋葉原から10駅程、時間にして20分離れた池袋。

 秋葉にも多くの店が存在するが、久々の3人での外出という事もありどうせならと、少し離れた場所を選択した。

 もっとも蓮は最近流行りの店などはよく分からない。ましてファッション関係となれば特に分からない分野であり、2人の考えに賛成し、2人の後を追う形であった。

 

「久々に一緒の外出、楽しいにゃ〜」

「まだ出たばかりなんだが」

「一緒にいるだけで楽しい、蓮君は違う?」

 

 ニコニコと笑顔を見せながら質問してくる花陽。

 ずるい質問だな、何て心の中で思いながら、少しの沈黙の後視線を逸らして「俺も、楽しい」と呟く。

 そんな返答を聞いて、2人ともニヤニヤと笑うので、蓮はより恥ずかしさが増していた。

 

「ふふ、変わらないにゃー」

「な、何が」

「蓮君のそーゆーとこ」

 

 あぁ、そうかい。

 そう言って適当に流した彼の脳裏を過ぎ去る【変わらない】というフレーズ。

 2人の知らない自分が確かに存在する、その事を十分に良く分かっている彼は少し力強く手を握りしめた。

 そしてその一瞬を、花陽は見逃していなかった。

 

「かよちんに似合う服あるかにゃー」

 

 唐突に凛から話しかけられ、慌てて思考を切り替えた。

 

「り、凛ちゃんの服も探さなきゃね」

「凛のは適当でいいよー。昨日も言ったでしょ、凛はあんまりオシャレ気にしないし」

「え、そんな凛ちゃんは……「蓮君も一緒に探してね!」

 

 あんまりオシャレとか分からん、などと凛と会話をしながら、何かを言いかけた花陽の事が気になっていた。

 少し凛が慌てて花陽の言葉を遮ったようになったことも。

 話しながらも冷静にその事を考え、そしてなんとなくその意味が分かっていた。

 

「かよちんならどんな服でも似合「凛」何だにゃ?」

「お前の服もしっかり探すぞ、な、花陽」

「え、べ、別に平気だにゃ「うん、そうだね蓮君」あ、かよちんまで!」

「まぁまぁ、お前アイドルなんだし、気にした方が良いだろ」

「……う、うん、そうかも」

 

 僅かに下がるトーン。

 それは凛の本意が伝わっておらず気持ちが中途半端である事を意味するものであったが、その事は蓮には分からなかった。そしてもし他の人が聞いていたとしても理解できなかったであろう。

 ただ1人、花陽を除いて。

 

 

「お、そろそろだな」

 

 蓮がその言葉を放った時には既にあと一駅というところまで来ていた。あと数分もしない内に涼しい電車内から、暑く人が多くいる場所へと行かないといけない事実を少し憂鬱に思いながらも、2人の姿を見て少し元気をもらう。

 そして等々辿り着き、電車を降りた。

 ジワッと遅れてやってくる熱がその環境の変化を強く示していた。

 

「あっつ」

「ほんとだにゃ……」

「とりあえず涼しいところ目指そう、2人とも」

 

 花陽の提案に2人が首を横にふるわけがなかった。

 まずは涼しい場所、それを目的にホームから離れ改札口へと向かう。

 そして少し歩いて見えた外の光景は

 

「うわっ……」

 

 思わずため息が出る程の人達が歩き回るものだった。

 露骨に嫌な顔をする蓮、そんな彼を見て、あはは、と苦笑いする花陽。その中で

 

「早く行こっ!」

 

 凛はいつも通り元気な笑顔で2人の手を掴み、引っ張っていこうとしていた。

 溢れるほどに元気で満ち溢れているのか、それとも久々の一緒のお出掛けでテンションが上がっているのか、その真意は分からない。

 けれど彼女の振りまく笑顔は彼に元気を与えている、その事実だけははっきりと花陽の目に映っていた。

 

「あぁ、そうだな」

 

 そう言って笑い、凛に連れられ歩き出す。

 一方で連れられ歩きながら、その笑顔を見た花陽の表情は、満面ではないが確かに笑っていた。

 

 

 

 

 向かったのは近くの大きなデパート。少し涼し過ぎるぐらいのその店内は思わず天国だと言いたくなる程であった。

 暑さにやられた体を癒す間、ふと見えた店内の店案内に目を通す。

 その中には多すぎると思う程の服屋が存在した。

 特に蓮は大してファッションに興味がない、それに久々のプライベートの外出だったので驚きを強く感じていた。

 

「はー、こんなに服屋っているのかね」

「種類はもちろん、価格の違いとかもその原因……とは言え少し多いかもしれないね。特にまだ学生だから多く買えないのも、そう感じる理由かな」

「なるほどね」

「とりあえず凛達は低コスト意識にゃ」

「って事は……何処なんだ?よう分からん」

「それはかよちんに全て任せて大丈夫にゃ」

「お、流石花陽、頼りになる」

 

 2人からの視線に思わず苦笑いを浮かべる花陽。

 そんな期待に応えるかのように、予め寄る店舗は決めておいた花陽は2人をその店へ案内し始めた。

 

「蓮君の服も探せると思うよ」

「あー、気遣いありがたいけど、俺は「蓮君のも探すにゃー」え、時間もったいない」

「もー、そんなこと言わないの!蓮君はもっとしっかりすれば絶対かっこいいんだから!」

「凛ちゃんの言う通り、蓮君も探そう!」

 

 何故か双方からぐいっと顔を近づけて説得してくる2人。

 くっつきそうという程ではない確かに近い、その距離まで近づかれれば恥ずかしいのは当たり前である。断り辛い状況で、視線をそらして、お、おう、と恥ずかしそうに返答した。

 何となく自然と2人に挟まれる形で歩いていた彼、今の出来事で僅かに意識していた気持ちが顕著に脳裏に現れるようになった。

 

 気付かなかったのか、それとも先程の事で錯覚しているのか、それとも本当に距離が近づいたのか。

 ほのかに良い香りがしたような気がしていた。

 

 

 

 

 外にいた時に流れた汗が既に乾いた頃、3人は花陽が案内した服屋を見回っていた。

 安いことで有名なファッション店で、多くの学生の味方であるそこは最大級の種類を保有していた。

 そんな店の中で蓮の表情は微妙なものであった。

 

 

 今回の外出は、まぁ2人に付き合うか、という思いできたはずだった。しかしその考えとは別の状況にある事に、蓮は今少し困っていたのだ。

 

「これ合いそうだね」

「これも良いんじゃないかにゃ!」「うん!すごく良いと思うよ凛ちゃん!」

 

 現在進行形、彼は2人が選んだあらゆる種類の服を合わせられていた。

 試着するのは面倒なのでまだ良いのだが、そもそもの彼の目的は2人に付き合う事であり、自分がこのように服を合わせる側に移る事は考えていなかった。

 

 発端は店に入った瞬間、何となく凛が見つけた男物の服が原因だった。

 見るなり、少し合わせてみて!と言われそれに付き合った瞬間、彼の考えにズレが生じ始める。

 次は花陽が見つけたもの、その次は凛が……と連鎖が起きてしまったのだ。

 

 どうしてこうなった。理由は分かっていても問いたい状況であった。

 

「かよちん、これどうかにゃ?」

「いいかも!これと合わせたらどうかな?」

「さっすがかよちんだにゃ!」

 

 流石昔からの親友と言ったところだろうか、全く食い違いがない。まぁこういう時は落ち着くまで付き合うか……何て思いながら、ふと脳裏に過る。

 

 美少女2人に服を選んでもらっているという第三者視点の映像。

 

 あれ、こんな最高なシチュエーション中々無いだろ。

 多感な時期の高校生男子である蓮、寧ろそういった考えが気にならないわけがない。

 それを強く意識し始めると……2人を見る目が変わる。

 

(あーもう、何やってんだ)

 

 首を強く横に振る。

 小学校の頃は男女というよりも友情関係が強かった。そんな時期は過ぎて今はもう違う。

 けれど2人の純粋な性格はよく知っている。

 相手だって変わっていて、自分をそういう目で見ていてくれているかも……そんな考えは2人の事をよく考える程捨てたい。

 

「どうしたの?蓮君?」

 

 グイッと再び顔を近づけてきた凛。

 ハッと我に返って見た彼女のその表情は、彼の目に鮮明に映っていた。思わず吸い込まれてしまいそうなほどに。

 

(気になってたらこんなに顔近づけないだろ)

 

 自分の中で出てきた1つの感情を押し潰すように言い聞かせた。

 彼は少し後ろに下がって、

 

「あー、何でも無い。ちょっと考え事。それより2人の服見よう、俺は後でも良いから」

 

 自分の脳内を切り替える為にも、今の状況に変化を加える提案をした。

 その提案に特に異論はないため、その提案通りに服を探す対象を変える3人。

 

 他の場所へと移動を始めた。

 彼はある勘違いをしていることに気づかないまま。

 

 

 

 

 

 

 

 




僅かなシリアスが抜けない。
完全な楽しいデートというよりも、悩み多き恋愛って感じです。
楽しい雰囲気……とはいかなかったかな


@LLH1hina twitterにて活動報告、適当に呟いてます。
何か質問などがあればそちらから、又、感想や評価をよろしければお願いします。

それではまた次回。
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