誤解も解けてエステルとヨシュアはカシウスさんの代理でクエストを行っている、ここまではストーリー通りだがここからが問題だ、まず間違いなくロレントには鬼畜眼鏡のアルバ教授もいるし空賊のジョゼットもいるはずだ。
「…」
アルバ教授に関わるのは論外、FCの中でも上位に属するグランセル製の剣とグローブが使用不可な今俺の戦闘能力はめちゃくちゃ落ちている、かといってグランセルまで走って買いに行ったのでは時間がかかりすぎる上にトラブルに巻き込まれる可能性が高い、まぁグランセル製の剣は普通のやつがもう1本あるからレーヴェ相手に遅れは…とりそうだな。
「ま、いいや」
ギルドの1階に降りると掲示板を見る、めぼしいクエストは…
「このマルガ山道の手配魔獣ってやつ行ってきます。」
「わかったわ、新種みたいだから気を付けて。」
「了解」
そのままマルガ山道まで出て進んでいくといたのはクインスコルプ、あの鬼畜眼鏡め…
予備だった鋼鉄のグローブを構えて撃退する。楽勝楽勝、あの戦いを経験した後だと敵の動きがノロいノロい。
「終わりました。」
報告するとC+に昇級する。
「おめでとうクロさん、これを進呈します。」
そう言ってアイナさんが取り出したのは不思議な形をしたロケットのアクセサリ…これがあの…
「グラールロケット…」
「あら、詳しいのね。」
そりゃぁめちゃくちゃお世話になりましたから
「ありがたく」
アイナさんから受けとると装備すると不思議な感覚に包まれる、これが戦闘不能以外の全状態異常無効化か…。これでほとんど隙は無くなったな。
「では、お疲れさまでした。」
そう言ってギルドを出る、どうせ今日は特になんもないし教会の礼拝堂でも行きますかね、なんかあんまり信心深くない奴だと思われてるみたいだし。
教会に到着後、椅子に座ってステンドグラスを眺める、芸術品だな~、でもあんまり宗教って馴染まないな~。
時間を潰すと遅めの昼食をとりホテルに戻る、明日は空賊と戦うから気を引き締めていかないと…。
あぁ…眠い…。
気づいたら既に朝…マジかよこれ。
「しゃーない、ミストヴァルトの奥地に急ごう」
生ジョゼットも見とかないとロレントに来た意味ないし。
そうして辿り着きましたミストヴァルトの奥地、なんということでしょう、街中にあれば遊び場になっていたであろう広場は何者かによって荒らされ…ってやめよう、急に虚しくなってきた…。
「さて、のんびり待ちますか」
水筒に入れてきたお茶を飲みながら広場の薮の中で待機する、昨日もゆっくり寝たしあの戦いのダメージも抜けたしこれなら万全の状態で戦える。
「…」
暇や…かれこれ数時間は待ってるな…。そんなことを思って隠れているとガサガサと音がする。
「ふふふ、まったくチョロイもんだよね。これで兄ィ達に自慢できるよ。」
水色の髪に強気そうなくすんだ黄緑色の瞳をした少女、ジョゼットだ。
「お嬢の演技にはビックリだぜ、制服着てたからってあんな演技ができるなんて。」
「さすが元貴族令嬢だねぇ。」
元エレボニア帝国貴族カプア男爵家、もともとは麦の生産地だったが詐欺師に騙されて没落した一家。
「フン、昔のことなんかどうだっていいだろ。しかしこの格好は便利なもんだね、大抵のヤツは騙せるから助かるよあの市長といい能天気な女遊撃士といいおめでたいヤツら。」
あ~これエステルめちゃくちゃ怒るやつだ、まぁしばらく大人しくしてよう。
「でもあのガキども結構手強そうでしたぜ?鉱山にいた魔獣どもをことごとく退治してましたし、それにロレントには物凄く腕の立つ遊撃士がいるって街中で聞きましたし。」
「あぁ、君の失敗したやつね。ま、終わりよければ全てよしさ。でもあの能天気女、ボクのこの毛ほども疑わずに「仲良くなれそう」だってさ!」
広場に笑い声が響く。やっぱり一人称はボクか。
「…何がおかしいのよ。」
あ~怒ってる怒ってる。そろそろ出るか。
「おいおい森で訓練してたら随分と面白い話してるじゃん。」
突然現れたエステルと別方向から出てきた俺に驚きを隠せないようだ。
「クロさん!?」
エステル君も随分と驚いている。
「加勢するぜ。」
その一言に遊撃士3人が勢いづく。
「助かるわ、それにしても黙ってきいてりゃぁ能天気だの、おめでたいだと好き放題言ってくれちゃって…覚悟はできてんでしょーね!」
スゲー怒りようだ。おっかな。
「屋敷からセプチウムを盗み出した手際は見事だったけど、フフ…詰めが甘かったみたいね。」
「遊撃士協会規約に基づき、家宅侵入、器物破損、強盗の疑いの容疑であなたたちの身柄を拘束します。抵抗しない方が身のためですよ。」
シェラさんとヨシュア君も結構えげつないな。
「お嬢!ヤバイぜ…。」
「フン、ビビることはないさ!《カプア一家》の力を骨の髄まで思い知らせてやるんだ!」
おーおー威勢のいいことで、それに早着替えの腕もスゲーな。
「君達!やっちゃいな!」
「「「がってんだ!」」」
さっさと終わらせるか。
「闘気爆発」
黄緑色のオーラを纏うと距離を詰めて取り巻き3人の顎を打ち抜く。
「ぐっ!」「がぁ!」「うっ…!」
1人少し強めに入ったな。ま、これで脳震盪起こしてしばらく動けないだろ。
「速い!?」
「そっちは任せたぞ。」
「「「了解」」」
遊撃士3人でジョゼットを無力化する、まぁこんなもんか。
「そんなバカな…」
「ふふん、参ったか!遊撃士を舐めるんじゃないわよ。それと、あれは返してもらうわよ。」
エステル君がセプチウムを取り返す。
「僕のセプチウム…」
「アンタのじゃなくてロレントの人全員のものよ、まったく図々しいんだから…」
まったくだ。
「さて、どうやら任務も終わったようだし尋問といくか。」
「たしか《カプア一家》とか言ってたわよね?」
「ギクッ…なんのことだか。」
明らかに動揺してるな。
「強情だこと、でもそんな子も嫌いじゃないわよ。」
シェラさんの鞭がジョゼットの前あたりに当たって跳ねる、やっぱり上手だな。
「あ、危ないじゃないのさ!」
「フフ、強情な子には身体に聞いてあげる。安心しなさい。優しくしてあげるから。」
絶対楽しんでるな。
「《カプア一家》確か元帝国貴族だったか…爵位は男爵、麦の生産地を領地としていたが詐欺師に騙されて領地を奪われ放逐された一族だったかな。」
ジョゼットの顔が驚きと怒りに染まっていく。
「な…なんでそれを…」
「ま、いろいろと知識が深いのさ…って上だ!下がれ!」
下がると導力砲が撃ち込まれる。
「導力砲か、上に注意しろ!」
上からは《カプア一家》の飛行艇《山猫号》。
「あはは、形勢逆転だねっ!」
《山猫号》の上から青年、キール・カプアが顔を出す。
「ジョゼット、大丈夫か!?」
「キール兄!ずいぶん遅かったじゃないか!まぁいいや、早く加勢してよ!」
ここまでは原作通りだが確かこの後は…
「いや、ロレント進出はお預けだ。少し面倒なことが起きた!」
「め、面倒なこと?」
「いいから早く乗りな!グズグズしてると置いてくぞ!」
「ちっ…」
ジョゼットと空賊3人が飛行艇に飛び乗り去っていく。
「やれやれ、やられたな。」
こうしてセプチウムを取り戻した俺達は市長にそれを返還し、報告のためにギルドに来ていた。
「まさか取り逃がすとは…俺がいながら面目ない…」
まぁわかっていたことなんだがな。
「まだまだ先生の域には遠いわね…」
「クロさんとシェラ姉のせいじゃないってば。私も頭に血が上って…」
「僕も迂闊でした。」
そうして反省会が終わり2人が推薦されると俺は受付に行く。
「またしばらくロレントからいなくなる。」
「あら、また王都に?」
「いや、あの空賊共を追う。」
このままいけばボースに行けるからな。
「わかったわ、お気を付けて。」
ホテルに戻り荷物をまとめるとそのままミルヒ街道、ヴェルテ橋に出る、もう既に飛行船が行方不明になったというコールが流れているはずだがまぁそっちはエステル達に任せよう。
「ここからがスタートだ。」
これにてロレント編は終了となります。