アイゼンロードを抜けるとハーケン門に到着する。
「これがハーケン門……メチャメチャ大きいわね~~!」
エステル君なんかエロい、おっと失礼。
「帝国への玄関口にしてその脅威から王国を守る唯一の防壁…10年前の戦争で破壊されてからさらに堅牢なものが築かれたのよ。」
「この向こうは《黄金の軍馬》を紋章に掲げるエレボニア帝国の領土だ。」
リィン・シュバルツァーはまだトールズには入学していないだろう。しかしこのハーケン門の向こう側ってどこの州なんだろうか?サザーラント州ならハイアームズ侯爵領?だった気がするが…。
「まぁそんなことは今は話しても仕方ないか、とりあえず遊撃士の紋章は外しといたほうがいい。」
皆で遊撃士の紋章を外す。
「な、なんだかしっくりこない気分かも。」
「確かに、少し違和感があるね。」
「ふふ、それだけあんたたちが遊撃士に馴染んだ証拠でしょうね。」
「いいことだ。じゃ、さっさといきますか。」
衛兵と会話すると案の定不在だと言うことを伝えられる。
「タイミングを逃したな、将軍閣下はいつ頃お戻りに?」
「今日中には戻ると思うけど。向こうにある休憩所に酒場があるからそこで待っていてくれ。閣下が戻ってきたら教えてあげるよ。」
酒場に入るとやっぱりいましたオリビエさん、やっぱり金髪って目立つな。
「フッ、驚いたな…。本場のリベール料理を食べるのは初めてだが、なかなかの美味だ。」
「ほぅ、嬉しいこといってくれるじゃねぇか…」
ゲームで聞いた感じの会話をしてるな。今はワインを飲んでいる。
「(この人ひょっとして…)」
「(帝国から来た旅行者みたいだね)」
俺達の視線に気付いたいたのかオリビエが話しかけてくる。
「やぁ、ご機嫌よう。リベール人のようだが帝国には旅行に行くのかな?」
「ううん、あたし達はヤボ用でここに来ただけなの。帝国に行くわけじゃないわよ。」
「そういうあなたはエレボニア人みたいですね。王国には旅行に来たんですか?」
「フッ、仕事半分、道楽半分さ。」
「仕事半分ねぇ…」
「しかしヤボ用ときたか。ズバリ君達の正体は遊撃士だろう?」
やっぱり見抜いてたか。
「どうして…まさか同業者?」
王族です。
「確かに帝国にもギルドはあるが生憎僕は遊撃士ではない。ただギルドに何人か知人がいてね。彼らとにたような匂いがしたらもしかして、と思っただけさ。」
「大した観察力ですね…とても素人とは思えない。」
「フフ、そんな風に睨まないでくれたまえ。冷たく煌めく琥珀の瞳…まるで極上のブランデーのようだ。思わず抱き締めてキスしたくなってしまう…。」
「なッ…!?」
「ま、大胆。」
「そこの君もいいねぇ、艶やかな黒髪に隠れた強い輝きとある種の達観と獣性を兼ね備えた黒い瞳…まるで芸術品の黒曜石のようだ。」
オリビエが俺の髪を掻き分けて見てくる。俺よりヨシュア君のほうにいって、どうぞ。
「ちょ、ちょっとぉ!あんたそーいう趣味の人!?」
「相当な快楽主義者の上に節操なし、なかなかのもんだな。」
俺はオリビエを離れた所に誘導する。
「ちょっと耳を貸してくれ。」
「なんだい?愛の囁きでも…。」
「(あんまりハシャぐとバレますよ、オリビエ・レンハイム、いや…オリヴァルト・ライゼ・アルノール皇子殿下)」
小声でそう言ってやるとオリビエの顔が一気に青ざめて神妙なものになる。
「君、どこでそれを?」
「おーい、あんたたち。」
衛兵が呼びにきた。
「じゃ、いきますか。」
オリビエをほっといて衛兵の案内のもと兵舎に行く。
「閣下の執務室は、廊下の左奥だ。関係のない場所にはなるべく立ち入らないでくれよ。」
まぁそのほうが無難だよね。オリビエ?俺の耳打ちでかき乱して置いてきましたがなにか?
「廊下の左奥、この部屋みたいだね。」
俺がノックすると中から声が聞こえる。
「メイベル嬢の使いか?」
「はい、そうです。」
「うむ、入ってくるがいい。」
将軍閣下に手紙を渡してわかった事は要約すると3つ。
・魔獣の被害や事故の可能性は低い。
・人為的な理由、つまりはハイジャックである可能性が大。
・今朝になって《カプア一家》という空賊団から犯行声明と身代金要求が来た。
ってとこだな。
「首領の三兄妹に率いられたボース地方で暗躍する空賊団だ。どうやら名前くらいは聞いたことがあるようだな。」
「聞いたことがあるどころかロレントでやり合ったばかりよ。」
「…エステル君…。」
俺がそう言うとエステル君の頬に冷や汗が伝う。
「あっちゃぁ…」
モルガン将軍がなにか合点がいったような目でこちらを見ている。やれやれ…。
「…なるほどな。こんな女子供が遊撃士とは。」
おいおいそれ俺も?
「そこの黒髪黒目のお前は聞いたことがある、なんでも魔獣退治にかけては右に出るものがいないとまで言われている凄腕の遊撃士だとか。」
「まぁそんなとこです。できればもう少し情報がほしいとこではあるのですが。」
「問答無用!!遊撃士諸君がお帰りだ!即刻つまみ出せ!」
すっげぇ声してるなこのオッサ…いやもうジイさんか。
そして俺達は兵士につまみ出され外に押しやられる。
「おいおい俺らは犬じゃないんだぜ?もう少し丁重に扱えよ。」
「フン、同じようなものだ。わざわざ身分を隠して情報を盗み出そうとするとは…そういう姑息な真似をするから遊撃士など信用できんのだ!」
「ぬ、盗むってなによ!」
「そーだそーだ、そっちが情報くれないからわざわざきたんだろうが!」
「これだけの事件をたかが民間団体に任せられるか!」
「…いい加減にしなさいよ。」
シェラさんのトーンが下がってる、これはヤバイ…。
「ちょシェラさん落ち着いて。」
「クロさんは黙ってて!この際ハッキリ言わせてもらいますけどね、どうしてあたしたちがロレントくんだりから出張ってきたと思ってるわけ?あんたたち軍人が、肝心な時に役に立たないからでしょうがっ!」
うわ~マジギレだよこれ。
「シェラさん落ち着いて、もうある程度調べはついてるんで行きましょう。」
まぁもう《リンデ号》の場所も空賊砦の場所もわかってるから問題ないんだよね。
「なに?そこの小僧、調べはついていると言ったな。どういうことだ!」
「情報を出し渋るような軍にお伝えする義務はありませんしまだ憶測の域を出てないのでこの場で言うようなことでもないので発言は控えさせていただきます。」
「貴様~!!」
「あぁ、1つだけ言わせてもらうなら遊撃士協会はリベール軍と敵対するつもりは全くございませんので悪しからず。」
挑発に次ぐ挑発でヒートアップしていく場にリュートの音が響く。
「フッ、悲しいことだね。」
その後はもちろんあのよくわからん口上に《琥珀の愛》の生演奏。
「ゴホン、そろそろ各地の捜索舞台から報告が入ってくる頃合いだな?」
「仰るとおりであります。」
逃げやがった。その後逃げようとする俺達を強引に引き留め休憩所の酒場に連行した男はこう言った。
「改めて自己紹介しよう。僕は漂泊の詩人にして演奏家のオリビエ・レンハイムというものだ、知っての通りエレボニア人でリベールには巡業旅行に来たのさ。」
エレボニア帝国の皇子、オリヴァルト・ライゼ・アルノールはペラペラと語りだした。さっさと廃坑行きたいな~。
次はいよいよ廃坑突入です。