自己紹介が終わり、礼を言うとオリビエがまたわけのわからんことを言い出す。
「礼には及ばないよ。美と平和を愛する者にとって…」
「あ~はいはい、その口上から始まって果てはシェラさんかヨシュア君をデートにでも誘うつもりだろ?」
「失敬な!まぁ間違ってはいないが。」
「間違ってないんかいっ!」
「なんで僕も入ってるんですかクロさん、冗談でも質が悪いですよ。」
「心外だな、僕は君も誘うつもりだよ?」
オリビエの爆弾発言にエステル君が噛みつく。
「ちょっと待ちなさいよ。なんであたしは誘わないの?」
「キミ?うーん、素材は申し分ないが色気に欠けているのが問題だな。この3人を見習いたまえ。」
うん、イラッときた。
「オリビエさん…」
俺は意識的に声を低くして威嚇する。
「な、なんだいクロ君、君のような人がそんなに低い声をだすものじゃない…」
俺は口パクでオリビエに伝える。
「(ツギニカノジョヲブジョクシタラバラスゾ)」
「うん、済まなかった。エステル君はとっても魅力的ダヨ!」
「クロさん、大人げないですよ。」
「ん、なんのこと?」
そんなこんなでオリビエを街まで同行させ、ギルドに戻って報告すると作戦会議。俺はボース地方の地図を広げると3人を見回す。
「まず今現在俺が追っている空賊団と3人が追っている定期船消失事件は空賊団《カプア一家》による犯行だ。」
「先程のモルガン将軍の発言からもそれは間違いないかと。」
「あいつら~、また性懲りもなく悪さして!」
「で、今その《カプア一家》がどこにいるかって言うとここが怪しいと思ってる。」
俺はラヴェンヌ村の廃坑を示す。
「ここの廃坑には吹き抜けになっている大穴があるんだ、王国軍もここまではまず調べない。」
「確証は?」
「ほぼ8割ここで間違いない、むしろここ以外には考えられないんだ、なぜかと言うと俺が突き止めた空賊団のアジトは切り立った崖のような場所、霜降り峡谷にある。」
「なんですって!?」
「そこの隠し通路までは見つけたが定期船消失事件と絡んでいるならば俺1人だと逃げられる可能性が高い上にリスクもでかすぎる。」
「確かに、空賊が人質に危害を加えないという保証はどこにもない。」
「そういうことだ、問題はその人質が廃坑とアジト、どちらにいるかがまだわからないってとこだ。戦力を集めたいのであれば十中八九アジトだと思うが保証はどこにもない。」
俺は一旦言葉を切ると反応を見る、よしこのまま作戦まで持っていこう。
「まずは人質及び定期船の発見が最優先事項だ。市長に報告した後にラヴェンヌ村に急行する!」
「「「はい!」」」
市長への報告はシェラさん達3人に任せ俺は待機する、ナイアル?知らん。
「クロさん、終わりました。」
「じゃ、行こうか。」
西ボース街道に出てラヴェンヌ山道に入った所でアガットに遭遇する。
「おっと、シェラザードか。珍しいところで会うもんだな。」
「それはこっちの台詞だわ。王都方面にいたと思ったけどあんたも事件を調べに来たクチ?」
「いや、ヤボ用でな…。そういや、例の事件は空賊の仕業だったらしいな?お前が来たんだったら安心して任せられるってもんだぜ。そっちの黒髪のデカいほうは…。」
「クロ・ナハト、お見知りおきを。」
「あんたがあの《緑拳》?冗談キツいぜ。」
何を根拠に。
「いえ、彼は正真正銘本物の《緑拳》のクロ・ナハトよ、戦闘時とのギャップが凄いだけ。」
あ~、闘気爆発のせいで髪の毛若干浮くからな~。
「おいおいマジかよ、あの鬼神みたいな奴の普段の姿がこんな冴えない奴だったとは。」
「なによアンタ!さっきから聞いてれば失礼ね!」
エステル君の援護射撃が飛んで来る、いいそもっとやれ。
「このガキ共はなんだよ?見たところ新入りみたいだが。」
「ふふん、聞いて驚きなさい。カシウス先生のお子さんよ。」
アガットの顔が驚愕の色に染まる。
「こりゃ驚いた…あのオッサンの子供かよ。ふーん、こいつらがねぇ…」
「無駄話は後だ、さっさと行くぞ。」
俺はそこで会話を切ると3人を引き連れて出発する。あの赤毛は後でシメる。
ラヴェンヌ村に到着するとライゼン村長の邸宅に行き鍵を借りる。
「そういえば、あんたたちアガットの仲間かね?」
「たしかに同僚ではありますが、まぁ顔見知りといったとこですね。」
「そうか…相変わらず1人でいるのか。」
まぁそんなこんなで村長から廃坑の鍵を借りると廃坑側のラヴェンヌ山道へ入る。
「こっちだ」
俺が先導して進んでいく、もうそろそろだ。
「そういえばこの辺りにいた手配魔獣って倒したの?」
「えぇ、倒したわよ。」
エステル君が胸を張っている。成長途中だね~♪
「やるじゃん。」
そして廃坑の鍵を使い廃坑に入ると左に曲がり壊れた橋に差し掛かる前に右に曲がる。
「3、2、1で突入する、3…2…1…」
突入するとそこには行方不明になっていた定期船《リンデ号》があった。もちろん空賊の姿も。
「(さすがはクロさん、大ビンゴね。)」
「重い資材は放っておいて食料品と貴重品を優先するんだ。グズグズしてると連中が来る。」
「「「「がってんだ、キール兄貴!」」」」
指示を飛ばすのはロレントで《山猫号》に乗っていた三兄妹の次男、キールだ。
「(さっさと捕まえるぞ。)」
そう言うや否やエステル君が飛び出す。
「そこまでよっ!」
「なにっ!?」
あ~あの口上か…面白いから聞いとこ。
「この世に悪が栄える限り、真っ赤に燃える正義は消えず…ブレイサーズ、ただいま参上!」
「…」
うわ~水を打ったように沈黙してるよ。
「あり?」
「エステル君、それはないな。」
「なんなの、ブレイサーズって…」
「まったくもう、すぐ調子に乗るんだから。」
「なによもう、ちょっと外しちゃっただけじゃない。」
さて、そろそろ仕事するか。俺は空賊共を見据えるといい放つ。
「お前達を遊撃士協会の規定に基き定期船強奪、乗客拉致の疑いで緊急逮捕する。覚悟はいいな?」
「ちょ、ちょっと待て、お前達はジョゼットがやり合った連中!?話が違うじゃないか!どうしてこんなに早く。」
「変な仮面の奴にでも唆されたか?まぁいい、いくぞ!」
そのまま飛び出すと空賊共を軒並み殴り倒してキールとの一騎討ちに持ち込む。
「よくも俺の可愛い部下達を…」
確かコイツって煙幕攻撃が主体だったよな…。
「他の空賊共の抑えは任せた!俺はコイツをやる。」
まだ立ち上がる空賊達の抑えを3人に任せてキールを見据える。
「闘気爆発!」
黄緑色のオーラを纏うとステップを刻みながら一気に距離を詰めて2発ほど打ち込む。
「グッ…なんつーパンチしてやがる。これでも喰らえ!」
キールの煙幕攻撃、たが俺はキールの胸ぐらを掴む。
「残念、ソイツは俺には効かない。」
そのままキールに頭突きをかますとキールが倒れる。エステル君達の方は…。
「はぁ~~、烈波!無双撃っ!」
終わったようだな。
「クロさん、そっちは!?」
「おう、こっちも終わりだ。」
戦闘終了。
「いたた、なかなかやるじゃないか。」
「まだ意識あったのか。」
「アンタ強すぎだぜ。ま、甘かったようだがなっ!!」
発煙筒を投げられて逃げ出すキール達、やられた。
「3人共無事か?」
「逃げられたようね、1度ならまだしも2度も取り逃がすなんて、こりゃあたしのほうは降格されても何も言えないわね。」
「いや、これで奴らを一網打尽にできる。定期船を調べたらアジトに攻め込むぞ。」
そんなことを言いながら定期船を調べて人質がいないことを確認して外に出る。やっぱりか。
「えぇ~~!?こ、これってどういうコト!?」
「ハハ、これはさすがに予想外だね。」
「やれやれだ。」
王国軍兵士に取り囲まれてんだもん。
「武器を所持した不審なグループを発見!」
「お前達!大人しく手を上げろ!」
その後俺達はハーケン門の地下牢に閉じ込められた。やっぱりこうなるのね。
次の次くらいでボース編を締めれるように頑張ります。