ジョルノは酒場の主人の情報をもとに港に来ていた。
「港に場違いな大きさの船が1隻...商船か?」
ジョルノはなんの躊躇いもなく船に乗り込む。
「女を誑かしているなら可能性は二つに一つ。ただの女好きか女を商売の道具にするか」
船内を徘徊していると外からいくつかの声が聞こえてくる。
ジョルノは船内から外の様子を伺う。
「さぁ美しいレディ達、パーティーの会場はこっちだよ。妖精の尻尾のあるマグノリアへの直行便さ」
右眉の上にタトゥーが刻んであり、青みがかっている適度な長さの髪。高価さを匂わせる黒いマントに身を包んでいる男が複数人の男と一緒にドレスを着た女性を何人も連れて船に乗ってくる。
(妖精の尻尾はこんな商船を有してはいない...、どう見ても偽物だろうな。このまま出てもいいが決定的な証拠を掴むまでは身を潜めておこう)
ジョルノは近くにあった樽の影に隠れる。
おそらくこのままパーティが始まるのであろうがジョルノは身を潜めたまま時間がすぎるのを待っていた。しばらくして船は海へと出航をした。
*
ルーシィの乗った船内のパーティは奇妙な雰囲気の中で盛り上がっていた。
ルーシィは妖精の尻尾に憧れを持っておりたまたま訪れたハルジオンで妖精の尻尾の魔導師と名乗る男に出会ったのだ。
(キザな男だけどここは我慢して媚び打っておかなくちゃね。ナツとハッピーのおかげで
「さぁお嬢さん、口を開けてご覧なさい。ゆっくりと葡萄酒の宝石が口に入ってくるよ」
サラマンダーと呼ばれる魔導師が指をパチンと鳴らすと葡萄酒がカップの中からフワフワと浮いてくる。
(うっざぁぁぁいっ!!けど、ここは妖精の尻尾のために我慢我慢)
ルーシィは口を小さく開けてその雫を口に含もうとする。
(我慢我慢....ッ!?)
ルーシィは口に入ってこようとした雫を手ですべて跳ねのける。
「一体これはどういうことかしら、サラマンダーさん」
「ほーぅ。これに気づくか小娘よ」
サラマンダーは顎をさすりながらルーシィを見る。
「睡眠薬よね。一体どういうつもりかしら」
ルーシィはサラマンダーを睨みつける。
ルーシィはここに来てやはり着いていくのは得策ではなかったと改めて痛感した。
そもそも女性達に魅了の魔法をかけて従わせている時点でもっと警戒するべきだったと自分を情けなく思ってしまう。
同時に自分の妖精の尻尾への憧れを利用されたことに対し怒りも感じた。
「勘違いしないで欲しいわ。私は妖精の尻尾には入りたいけどあなたの女になる気なんてさらさらないわッ!!」
ルーシィのにらみも素知らぬ顔で流しサラマンダーは持っていたワイングラスをルーシィの足元に投げつける。
「そちらこそ勘違いしないで欲しい。私も君を女にしようだなんて全くもって思ってないんだ」
サラマンダーが再び指をパチンと鳴らす。
するとルーシィの背後から複数人の男がルーシィの腕を掴み取った。
抵抗もむなしくルーシィは男達の手によりあっという間に組み伏せられた。
「一体どういうことよ!!」
サラマンダーはニヤニヤとしたままルーシィを上から見下ろしながら言った。
「ようこそ我が奴隷船へ。ボスコに着くまでおとなしくしておいてもらうよ、お嬢さん」
「ボスコってどういうことよ!妖精の尻尾に行くんじゃないの!?」
「話の分かんねェ小娘だなァ〜〜、これは奴隷船だって言っただろうよォ。お前達は今から商品になるんだぜェ〜〜」
ルーシィはギシリと歯を軋ませる。
(これが...こんなやつらが妖精の尻尾の魔道士かッ...)
サラマンダーはルーシィのこしについている鍵束に視線を落とす。
「なんだ精霊魔導師か。まぁでももうこんなものは必要無いだろうがよォ〜〜」
サラマンダーはニヤニヤとしたままその鍵を船の窓から海に投げ捨てる。ルーシィにとっては自分の命と同じくらい大切な鍵を。
「絶対に許さない...許さないわッ!!」
ルーシィにとってはずっと憧れだったギルドの妖精の尻尾。その魔道士にこんなやつがいるとは夢にも思っていなかった。
「お嬢ちゃんには魅了が効かないみたいだからすこし調教が必要だなァ〜〜、おい!あれをもってこい」
ほかの男が持ってきたのはギチギチと蒸気を出している超高温の焼きごてだ。
「それじゃあ手始めに奴隷の烙印をおさせてもらうぜお嬢さァ〜〜ん」
ニヤニヤした顔の男達は焼きごてをルーシィに向けてつき立てようとする。
ルーシィはもうダメだと思い目を閉じ歯を食いしばる。鍵を失ってしまった彼女には為すすべがなかった。
(くやしい...こんな風に何も出来ない自分が不甲斐ないわ...)
ルーシィは唇を血が出るほど噛み締めていた。
「すまないが、ひとつ聞きたいことがある」
ルーシィはハッと顔をあげる。
ここに来て冷静で落ち着いた雰囲気の初めて聞く声が聞こえたからだ。
そこには明らかに今までいなかったであろう金髪の青年、ジョルノが立っていた。
「テメェ一体誰だ。どうやってこの船に乗り込んできたんだ」
「質問をさせてくれと僕は言ったんだ。返答がないならさせてもらおう。あなたは妖精の尻尾の魔導師なんだな?」
サラマンダーは焼きごてを手であそびながらニヤニヤした顔は崩さずに答える。
「あぁそうさ、俺は妖精の尻尾の火竜だ。聞いた事くらいあるだろう」
ジョルノは数秒目を閉じてから答える。
「あぁ、もちろんあるさ。それに実際に見たこともあるからね。僕が見た火竜は」
ジョルノが屋根の方を指さしながら続ける。
「こんな見た目だったよ」
周囲の男達が何を言ってるんだコイツとでもいいタゲな表情を浮かべた瞬間
ドゴォォォォン
突如屋根が崩れ上から人?が降ってきた。