「あいつらは一体何なんだ。邪魔ばかりしやがってよォーッ!!!」
ボラは街の外に向かって走り回っていた。ナツとジョルノの妨害により計画は全て壊れてしまい逮捕される前に逃げようと走る。
途中街のメインストリートから路地の中へ入り込む。
「早く逃げねばッ!!ウォッ!?」
路地に入ってすぐにボラはなにかに躓いて転んでしまった。
「イッテぇなこの野郎。何をするダァーッ!!」
ボラは躓いて打ってしまった腰をさすりながら何があったのかを確認する。
それはボラの足ほどの太さを持つ巨大な蛇だった。
「ウワーッ!!なんだこいつはァーッッ!!!」
蛇はボラに向かって這いずって行く。その様はまるで獲物狩るハンター。
「来るな!!来るんじゃあないッ!!」
ボラは地面に座り込んだまま後ずさる。蛇はボラにどんどん近づいていくがボラが路地の壁に背中をつけたところで止まった。
「なんでこんなところにこんなでかい蛇がいやがるんだ!!」
ボラは蛇を前にしてなんとか立ち上がるところまで来たが蛇は突如としてただの布切れになってしまう。
「これは....」
「あなたのマントの切れ端だ」
路地に1人の人影が入ってくる。
「キサマァ〜〜、邪魔ばかりしやがって!くらいやがれ!!!」
ボラはジョルノ向かって炎弾を数発打ち込む。
「無駄無駄無駄無駄ァッ!!」
しかしその炎弾はジョルノの背後にいる何かに全て撃ち落とされてしまった。まるでてんとう虫のような模様を持つ人型の何かがそこにはいた。
「その背後にいる奴は...貴様まさか『スタンド使い』かッ!?」
スタンド使い。それは限られた人間にしか使えないもっとも珍しい魔法である『
「だったらどうする。どちらにせよもうあなたは詰んでいる。今ここでおとなしく投降するって言うのならこれ以上の攻撃をすることは無いと約束しよう」
ボラはどうしようかと迷っていた。スタンド使いである以上、敵が使う魔法の内容は全然予測が出来ない。なぜならスタンドはこの世に同じものは2つ存在しないからである。すべてのスタンドはすべて違う能力を保有している。魔力を使用する点のみ魔法と同じであるが他は魔法とは非なるものと言っても過言ではない。
「くッ、わかった....ここは潔く投降するぜ」
ボラは両手を挙げてヒラヒラと振って投降の意思を見せる。
「ベネ。では両手を塞がせて貰う。」
ジョルノはボラの方に近づいて行く。ボラまであと数歩まで近づいたその時、ジョルノの足下に突如魔法陣が出てきた。
「クッ!?」
「ハッハッハァーッ!!油断しやがって!!」
魔法陣から太い炎の柱がジョルノを襲う、はずだった。
「な、なんだ?このガキへの攻撃である俺の魔法がガキをすり抜けてやがる?さらにガキの動きが恐ろしくスローになっていやがるぞ!?」
ボラは一体どういう事だとあたりを見回す。そこで自分の体に起きている変化に気づいた。
「この漲るような『力』は一体何なんだ?すこし動こうとしただけなのに力強い動きになる。まるで『生命のガソリン』を入れられたみたいだ」
ボラは試して見ようと壁を殴りつける。すると壁に大きな亀裂が走ったのだ。
「こいつはスゲェなァ〜〜。敵である俺に力を与えるとは意味の分からん魔法だぜ」
自身への変化に気を取られてしまっていたボラは背後に近づくジョルノに気づかなかった。気づいた時には既にジョルノのスタンドのパンチが自分の顔面へと迫っていたのである。しかしそのパンチは非常にスローだ。
「そんなパンチが当たるわけねぇだろうがよォ」
力が溢れているボラは余裕でそのパンチをかわす。しかし、
「どういう事だ!?俺がさっきの場所にいるぞ?」
確かにボラはパンチを避けるために移動したはずである。しかしまるで移動していないかのようにボラはジョルノのスタンドの前に立っていたのだ。ボラは訳が分からない中である物が目に入る。それは先程殴りつけた壁だ。
(一体どういう事だ?俺は確かにこの壁を素手で殴り亀裂を入れたはず。なのになんでこの壁は何事も無かったかのように綺麗なまま今俺の目の前にあるのだッ!?)
ボラが殴った壁は殴る前となんら変わり無い様でそこにあったのだ。
(まさか俺は勘違いをしていたのか?俺は自分がすごい『力』で動いているかのように錯覚していただけであそこにいるのは確かに俺の体...溢れるような『力』により『意識』だけが研ぎ澄まされて飛び出してしまっただけなのか!?)
ボラがいろいろな事を思案している間にもジョルノのスタンドによるパンチはボラの本体に迫っていた。
「しまった!!よけなければァッ!!」
ゆっくりした動きのパンチはそのままボラの顔にメキメキと入っていく。
「イ、イテェ!!鋭い痛みがゆっくりゆっくりとやって来やがるッ!!ガキがスローになったんじょあなく俺の『意識』だけが『暴走』しちまってるんだ!!」
「これが僕の魔法のスタンド能力『
ジョルノの鋭く入ったパンチはボラを再起不能にするには十分であった。
*
「おーい、ジョルノォ〜。」
ジョルノが軍人にボラを引き渡し終えて港に戻ろうとした時にナツとハッピー、ルーシィの3人が走ってこっちに向かって来ていた。
「ナツ、ボラはこちらで軍に引き渡しておいた。マグノリアに戻ろう」
「あい!!でも今は逃げるのが先決だよ!!」
ナツたちの後ろから何人もの軍人が追いかけて来ていた。
「ハァ、またなのかナツ。マスターの心労がひとつ増えたな」
ジョルノもナツ達と共に走って逃げるのであった。
*
〜数日後〜
所変わって『フィオーレ』。ここには評議会支部が存在しており評議員が話し合いをしていた。
「またもや妖精の尻尾のバカ共がやらかしおったわい!!今度は港半壊ですぞ!!信じられますかな!?」
「今回は人身売買の主犯格の罪人ボラの検挙の為と政府には報告しておきました」
評議員は今回のナツたちによるハルジオンの港の話をしていた。
「俺はああいうバカ共は嫌いじゃあないですよ」
評議員の1人であるジークレイン。青い髪と顔に刻んだタトゥーが特徴的な青年だ。イシュガルで最高位の魔道士である称号の『聖十大魔道』の称号を持つ男でもある。
「ジークレイン、テメェは少し黙ってな」
椅子に座って新聞記事を読んでいる青年が一人いた。かなり良いガタイと特徴的な白い学生服?のような服を来た男だ。
「おー、怖い怖い。そんじゃ黙っておきますよ」
ジークレインは手を挙げておどけてみせる。
「チィッ、まぁいい。妖精の尻尾については少々暴れすぎな気もするが有能な人材が揃っているのもまた確かな事だ」
「そんなことは分かっておる。だから思案に余っておるのだ」
「だがなジジィ」
「ジ、ジジィ...」
「ああいう馬鹿どもは確実にこれからこの魔法世界を引っ張っていく奴らだ」
「そうそう、あんなバカたちがいないと...この世界は大変つまらなくなってしまうんですよ」
ここは魔法大国のフィオーレ王国。
この物語はそこにある一つの魔道士ギルドととある青年の奇妙で数奇な物語である。
To be continue...