IS学園の言霊少女(本編終了・外伝スタート)   作:ひきがやもとまち

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楽しんで書いてただけでギャグ作品だと言う自覚はありませんでしたが
どう見てもギャグ作品だったのでタグにギャグを付けました。

今回は一夏があまり出ません、次回から本格始動です。
今回はシャルの方に集中してますね。セリフはほぼないですけど。


9話「新キャラがいきなりネタバレしました」

「お早うございます。・・・それと、お久しぶりです本音さん」

「あ、お早うだよぉ~、セレり~ん。あと、久し振りだよぉ~」

 

 六月頭の月曜日、私は“久しぶりに”IS学園へと登校し、友人の本音さんとの“再会”を喜び、“真新しい”教室を一望すると“新品”の自分の机の荷物を置いてから、本音さんの席へと向かいました。

 

「・・・・・・お互い、無事で何よりでしたね」

「あはは~。だね~。一歩間違えてたら死んでたもんねぇ~。いや~、我ながらよく生き残れたなぁ~。のほほんさん偉い!よく出来ました!

 だから、誉めて誉めて~♪」

「はいはい・・・」

 

 私は本音さんの頭を撫でてあげながら(身長の関係上、背伸びしても辛いのがちょっとだけ癪です)日常への“帰還”を喜んでいました。

 

 なにしろ私たちは、つい一週間前まで病院のベッドの上で安静に過ごしており、私たちの在籍する一年一組の教室に至っては今日になってようやく修復作業が完了して使用が可能になったほどなのですから。

 健康と安全の有り難さを痛感させられた一年一組一同です。

 

 

 学校の一部を半壊させ、一年一組を“完全消滅”させた悪夢のような砲撃事件から二月がたち、私たち重傷者の多くが退院できたことにより、ようやく授業が再開することに相なりました。

 

 こうして本音さんと会うのも、じつに二ヶ月ぶりです。

 彼女は睡眠中に吹き飛ばされたので重傷を負いましたし、私の弱さは言うまでもありませんからね。

 

 ・・・いや、ほんっとーに、生きていられて良かったですよ、マジで。

 だって、これでクラスメイトの半数以上が死んでしまったら、間違いなく《インフィニット・ストラトス》が打ち切られて、この世界終わるじゃないですか。

 

 そうなったら、それ私の責任じゃないですか、たぶん。・・・半分くらいだとは思いますけど。

 

 ・・・まぁ、私も今では一年一組の一員ですからね。

 クラスを守るのはクラスの一員として当然のことです。

 別に他意はありません。善意もありません。

 ただ、義務を義務として果たしただけのことです。当然のことですよ。

 

 

 ・・・・・・ツンデレじゃないですからね?

 

 

 心の中で自己のアイデンティティーというものについてちょっと悩んでいると、本音さんが何気ない口調でーーけっして聞き逃せない言葉の爆弾を投げ込んできやがりました。

 

「あ、そう言えば知ってる~? 今日から、転校生が来るんだって~。それも二人も~」

「・・・はぁ?」

 

 本音さんが悪くないことは重々承知していますが、それでもガラの悪い声で返事をせざるを得ませんでした。

 

 だってーーそれぐらいあり得ないですし、あってはいけない情報でしたから。

 

 ISはモンド・グロッソでの優勝を目指して研究開発が進められているというのが表向きの建前です。

 別に嘘八百というわけではなく、半分くらいは本音だと思います。

 技術発表の場でもあるIS関連イベントは自国の軍事技術力を披露して威嚇する為には絶好の場所です。その最高峰で優勝することは外交戦略上きわめて大きな意味を持つでしょうからね。やる気になるのは当然ですよ。

 

 ただし、やはりISはどこまでいっても兵器なのです。兵器を扱う者は兵士であり軍隊なのです。そして、軍隊にとって、事故による怪我はどんなに切り離したくとも切り離せない最悪の疫病神です。

 

 当然、IS操縦者を育成するIS学園でも事故による怪我人は多く、保健室は世界中のあらゆる医療施設以上の医療技術力を誇っているほどの充実ぶりです。

 

 つまりなにが言いたいのかと言うと、IS学園は生徒の安全を最優先で守るのが大原則だ、と言うこと。

 

 それなのに・・・そうであるべきなのに・・・・・・

 

「・・・入学直後に爆発事件が起こって重軽傷者数十名を出して、一ヶ月後にようやく授業を再開した超問題学級に転校生・・・? それも、二人も・・・?

 頭おかしいんですか執行部は。それとも蛆でも涌いてるんじゃないですかね。素直に精神病棟に行くか、即刻退職すべきだと思いますけど」

「・・・・・・・・・セレりんって、丁寧に言うだけで発言内容は全然丁寧じゃないよね。むしろ、酷すぎるときが多いよね」

「失礼ですね。私は、常識人です。常識以外は思いつきませんし、発言も出来ませんよ」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

 ・・・なんですか? その不審に満ちたと言うよりも不審しか感じていない眼は。今の発言に何か問題が?

 

「・・・・・・はぁ・・・もういいや。

 とりあえずセレりんには特別に教えておくと、転校生は二人とも代表候補生で、このクラスに配属されたのは国元の政府がいろいろと手を回したらしいよぉ~」

「・・・私は政治とは無縁なので詳しくありませんが、代表候補生とは、それほど権力を有しているものなんですか?」

「ううん。これはかなり特別な事例だねぇ~。

 ドイツの方は少佐って言う軍隊の中ではそこそこ偉い人で精鋭部隊の隊長さんだから優遇されてるらしいんだけど、フランスの方はIS開発企業デュノア社がコネやら賄賂やら使いまくって強引にーって感じらしいよ~」

「デュノア社は確か・・・」

「うん。今は量産機のシェアが世界第三位。でも、後発組の弱みでデータが不足しすぎて第三世代の開発が遅れに遅れて国から予算が大幅カットされたばっかりの所だね~。ついでに言えば、次のトライアルで選ばれなかったら援助は全面カットって通達されたんだって。

 んで、転校生君の性別は男性で、名字はデュノアだってさぁ~」

「・・・・・・完全に企業スパイじゃないですか・・・・・・・・・・・・て言うか、せめて偽名つかえし・・・」

 

 頭痛いです・・・。

 なんで、この世界は変なところで杜撰な部分が目立ちすぎるのでしょうか・・・? これでバレない可能性の方が極小でしょうが、どう考えても。

 

 しかし、それにしてもーー

 

「・・・よろしかったんですか、私みたいな一般生徒に教えてしまって?

 国家戦略上けっこう重要な情報だと思うんですが・・・」

「お嬢様から、セレりんにだけは教えておくように~って厳命されてるんだよねぇ~。

 怪我でもして、また一ヶ月も会えなくなったら「自分で自分を慰めちゃうぅ~」だってー。愛されてるね~セレりん」

「・・・あの人は・・・・・・まぁ、助かりますけども・・・」

 

 相変わらず変態ぶりは健在なようでなりよりですね。

 ですが、いかに変態とは言え私に対する想いは・・・まぁ、一応本物なのでしょうね。・・・だいぶ歪ではありますが。

 

 なにせ、今回の情報は外部に漏れたらかなり危ういものです。私一人の責任で済むはずがありません。絶対に、会長にも多大な害が及びます。

 その危険性を承知の上で私に伝えてくれたのは・・・まぁ、そういう事なんでしょう、たぶん、おそらく。・・・ちょっとキモいですけど・・・。

 

 ・・・これは、近いうちにお礼に行くしかありませんね。

 これほどして貰っておいて「苦手だから」で遠ざかっていたのでは、人としてさすがにどうかと思いますし。

 

 ・・・お土産には、なにを持って行けば良いでしょうかね? 高級和菓子とかは家の家計ではちょっと厳しいので、地方限定製菓とかでもいいでしょうか・・・?

 

「・・・会長に感謝を。近いうちにお礼にあがるので、なにかお土産のリクエストがあればーーー」

「「鞭か平手でお尻を百回叩いてほしいわ~♪」て言ってたよ?」

「高級和菓子ですね。了解しました。最高級の物を持って行くとお伝えください」

 

 どこまでもブレない変態さんですね!危うく言質を取られるところでしたよ! ・・・お礼に行った際、虚さんに報告しておけば暫くは大人しくなるでしょうけど。

 

 ・・・しかし、デュノアさんですか・・・どこかで聞いたような響きなんですが、どこでしたっけ?

 

 ・・・・・・あ、これデジャブ・・・・・・

 

 

「諸君、おはよう」

「「「あ、おはようございまーす」」」

 

 それまでざわざわしていた教室に少しだけ秩序が戻ります。

 一組担任織斑千冬先生の登場です。

 

 本来ならば、一瞬でぴっと礼儀正しい軍隊整列へと変わるであろう冷厳さに満ちた号令なのですが、あいにくと長期間の虚脱状態は彼女への信仰心を大幅に低下させました。

 今では、割とフランクな態度で接してくる生徒が多いそうで、学園新聞でも日常的に織斑先生の失敗談などが掲載され、笑いを呼んでいます。

 

 注意しても権威が失墜しすぎてますからねぇー。のれんに腕押し状態みたいですよ。

 

 まぁ、とりあえず席に着きましょう。ホームルーム中に騒ぐのはマナー違反です。

 

「お早うございます、織斑さん。お久しぶりですね。・・・大丈夫ですか?」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

 すでに着席していた隣席の織斑さんにも挨拶しますが、目が死んでいます。これは、ここ数日寝ていませんね。・・・思っていた以上にプロの漫画家とは過酷な職業なのかもしれません・・・。

 

 

 連載会議に通った織斑さんですが、連載開始自体は年末とのことです。

 なので、当分は描きためるのに集中するのかなぁと楽観視していたところ、この表情です。自分の見通しの甘さを痛感させられますね。

 

 話すどころか動くことも億劫だと言いたげな表情ですが、それでも私に対して黙礼してくれるのは、クラスどころか学園で唯一の友人に対するせめてもの礼儀なのでしょう。こういう律儀な所は主人公らしさを感じさせて好感が持てますね。ハーレム形成には、まだ有効なはずです。お互いに頑張りましょう。

 

「では山田先生、ホームルームを」

「は、はいっ」

 

 連絡事項を言い終えた織斑先生が山田先生にバトンタッチします。

 すると、とたんに表情を引き締めて暗い顔になるクラスの皆さん。

 

 ・・・どうやら、織斑先生が虚脱状態の間クラスを纏めたことで山田先生への信頼度は上がったのですが、代わりに不幸なお知らせばかりを告知してきたせいで、その発言には必要以上に警戒心を抱かれてしまったようなのです。

 

 織斑先生のせいで色々とありましたからねぇ、仕方ないとも言えますが・・・それをお伝えしただけの山田先生を警戒するのは道理が通りませんよ。

 

 どうせなら織斑先生をこそ非難するべきです。

 たかが、無力なFランクの言葉ごときで必要以上に傷ついて職務放棄していた役立たずを尊敬する必要はありません。

 敬意を払われる側には、それに相応しい義務を果たしていただかなくては。

 

 今のところ織斑先生が教師として役に立っているところを見たことはありませんからね。とうてい尊敬する気にはなれませんよ。まったく。

 

「ええとですね、今日はなんと転校生を紹介します! しかも二名です!」

「「「えええええっ!? 授業再開した初日にぃぃぃぃ!?」」」

 

 ・・・まぁ、当然こういう反応になりますよね。

 

 至極まっとうな皆さんからの疑問の声に、山田先生はぎこちなく笑みを浮かべます。たんに何も教えて貰ってないだけなのでしょうが・・・明らかに何かある状況で、明らかに何か知ってるのに隠してるその表情・・・・・・

 

 ・・・これは・・・マズいでしょう山田先生。言い訳しておいた方が良いと思いますよ、絶対に。

 ただでさえ最近では「織斑先生の背後に山田先生の陰あり」なんていう根も葉もない噂が飛び交っているんですから。

 

『・・・・・・・・・・・・・・・・・・』

 

 ほら、やっぱり生徒の皆さんが疑いの眼差しを向けています。

 風評被害は恐ろしいのです。IS以上の兵器なのです。

 

 山田先生の未来に幸多からんことを神かなにかに祈っておきましょう。

 

「失礼します」

「・・・・・・・・・」

 

 沈黙の中、そう言ってクラスに入ってきた二人の転校生のうち、“男装”している方に視線が集まりさらに沈黙が深まります。

 

 そりゃそうです。世界で二番目の男性IS操縦者が現れれば驚愕もするでしょう。

 私だって本音さんからの情報提供がなければ多少なりとも驚いたでしょうからね。

 

 ・・・逆に情報を得ている今の私には、明らかに男と呼ぶには無理がありすぎる、男性としては二次元世界以外では存在できないレベルの、完全に性別を偽っているのがバレバレな美少女にしか見えない訳ですが・・・。

 

 

 二人が、教壇の前にたって名前を名乗ります。

 

「シャルル・デュノアです。フランスから来ました。この国では不慣れなことも多いかと思いますが、みなさんよろしくお願いいたします」

「ラウラ・ボーデヴィッヒだ」

 

 

 

 

 

 

 ・・・あ。

 その名前を聞いて、すぐにぴんと来ました。

 

 ラウラ・ボーデヴィッヒ。ヒロインの一人。ロリな萌えキャラ。

 

 ・・・原作知識が酷い内容な件について。

 しかし、これで五人目のヒロインが登場ですか。

 ようやく揃ってきたなぁと感じますね。

 今度こそ、織斑さんのハーレムを作るために気を引き締めて行こうと思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ・・・ところで“シャルル”・デュノアって誰ですか?

 “シャルロット”・デュノアじゃなくて?

 

 

 謎キャラの登場です。

 これから、どうなるのでしょうか・・・本当に先が読めない世界です。

 

 これこそが《インフィニット・ストラトス》と言うことですか・・・侮りがたし学園バトルラブコメ。・・・せめて私の胃には優しい展開を希望します。

 

つづく




注1:セレニアはシャルルを女性名だと勘違いしています。

注2:セレニアが言っていた「打ち切られて終わる」とは、セレニアが転生したインフィニット・ストラトスの世界が終わる、と言う意味です。原作が終わる訳では全くありません。
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