IS学園の言霊少女(本編終了・外伝スタート)   作:ひきがやもとまち

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注:この作品に何かを期待してはいけません。


3話「ピエロたちの道化バトル」

「・・・・・・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・・・・・」

 

 アリーナの中央で向かい合う私と織斑さん。

 周りからは歓声ーーなど聞こえるわけもなく、野次と冷やかしだけしか聞こえてきません。

 すでに決闘と言う単語とはかけ離れた雰囲気が形成された空間において・・・織斑さんだけが真摯に、真剣に私と向き合ってきます。

 

 ・・・まぁ、その私自身には真摯さも真剣さも皆無なんですが・・・・・・。

 

「なぁ、セレニア・・・。戦う前に一つだけ訊かせてくれ。

 ・・・・・・お前・・・真面目にやる気ねぇだろ・・・・・・!?」

「・・・・・・私としては、お祭りイベントと知った上で、完全ガチ装備で挑んでくるあなたの方が異常に思えるんですけど・・・・・・」

 

 いや、もう・・・・・・本当になんでそんな大真面目に準備してくるんですか・・・これ、完全にピエロになってるじゃないですか私たち。

 空気読んで下さいよ、ホント。

 わざわざ専用のお笑い装備を用意してきた私まで巻き込まれてるじゃないですかぁ・・・・・・。

 

「あのですね、織斑さん・・・。

 こういうノリの時はノった方がいいんですよ。そうすれば、ただの面白い奴という評価で済むんです。

 大真面目に本気なんか出したら空気読めない、イジられキャラ扱い確定しちゃうじゃないですか・・・。

 パンダになりたくないからピエロになるって・・・どう考えても可笑しいでしょう? ・・・今更言っても遅すぎますけど・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・・・・・」

 

 口ごもった・・・のではなく、絶句したんでしょうねぇ・・・。呆然としています。

 熱血漢なのはいいんですが、もう少し考えてから行動できませんかねぇ、この人。その内、他人を巻き込んで盛大に自滅しますよ絶対。

 その時に、隣の席に私がいる可能性は高いんですから、本気で改めて欲しいです。いやもう、マジで。

 

「・・・・・・いや、ピエロだとしても一応は人間だ。パンダよりは良い。

 俺はパンダにならずに済むようピエロになるため・・・セレニア、お前を倒すっ!」

「うわー・・・マジ引くわー・・・」

 

 もう完全にバトル作品の主人公のセリフじゃないですよ、それ。

 パンダは嫌だからピエロになるために女の子に剣を向ける主人公・・・

 ないわー・・・ これは、ないわー・・・・・・

 

 ・・・それとね、出来れば今のセリフだけでも、個人通話でやって欲しかったんですけども?

 今の、完全にオープン回線でしたよね?

 周囲に丸聞こえでしたよね?

 もうすでに、ピエロ兼パンダ確定ですよ?

 マジでどうするんですか、明日からの学生生活。まだ三年もあるのに・・・。

 ほら、見て下さいよアソコーーうちのクラスの人たちがお腹を抱えて笑い転げてるじゃありませんか。

 あなた、これから一年間あのクラスメイトたちと過ごすんだっていう事理解してます?

 

 ほんともう、どうするんですかコレ。

 進路修正、絶対不可能じゃないですかぁ~・・・。

 

「さぁ、見せてやるぜ・・・一週間で箒が取り戻させてくれたーー剣道の剣筋をな!」

「・・・はい?

 あなた、まさか一週間の間ずっと竹刀で訓練してたんですか?」

「そうだ!

 おかげで忘れていた竹刀の太刀筋を全て思いだし、完全に身体に染み込ませることが出来ーー」

「・・・染み込ませた武器とリーチがまるで違う、今さっき持ったばかりの武器でどうやって戦う気なんですか、あなた・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

 ・・・もう嫌です、この世界・・・・・・。

 完全に詰んでるじゃないですかぁ~・・・。

 戦略だ戦術だ云々を語る前に、兵士が兵士になってないなんて・・・これでどうやって戦う気なんですか、原作者様~・・・・・・

 

 やがてーー試合開始の・・・すなわち、恥刑開始の合図が鳴り響きました。

 

「う、うぉぉぉぉぉぉぉっ!」

 

 やけっぱちになっているとしか思えない織斑さんの突撃。

 もう、なにも考えていませんね、この人。

 

「はぁ・・・では、こちらもーー」

 

 ポチッ、ポコンッ。

 

「はっ・・・?」

 

 織斑さんが言葉を失った様な気配を感じましたが、今の私には何も見えていませんから断定できません。

 なにしろ私の視界はバルーンで包まれています。敵以前に地面も空も見えません。

 ついでに言えばコントロールも効きません。

 完全に運任せです。

 

「・・・・・・って、おい! どう言う事だセレニアっ! お前、なに考えてやがる!」

 

 織斑先生の言葉を聞いていなかったんですか、あなた。

 ちゃんと言ってたじゃないですか。「受けを狙え」って。

 だからこうしてーーIS装着型のクマさんバルーンを買ってきたんですよ、私は。

 

 IS関連のイベントには軍民交流を目的とした、この手の小道具が必須のものが幾つもあります。

 基本的に民間の理解がなければ組織は存続できませんからね。

 なので、探せば入手は難しくありません。

 当然、売っている店はネットで探しましたし、購入したのもネット通販です。

 

 ちなみに、なぜ私が先程から声を出さないかと言えばーー飛び跳ねまくっていて危なっかしいので、舌を噛まないように黙っているだけだったりします。

 

「くっ、このっ、てやっ、・・・・・・なぜだ! なぜ当たらんっ!」

 

 なんか織斑さんが必死そうに叫ぶ声と、全力で振るわれまくる近接ブレードが空を切る音がスゴいです。

 ですが、別に私には何も関係有りませんし・・・ぶっちゃけ、何も出来ません。

 なにせ、単なるお笑いアイテム。動き出したら最後、装着した者の意志なんか完全無視です。

 運が悪ければ一太刀目で終わり、運が良ければ最後まで逃げきれる。

 まさに、ISサイズのクマさん型スーパーボール。

 これはーー実戦では使えませんね。ホント、お笑いイベント用です。

 

「ぜぇ、はぁ、・・・・・・げほっげほっ・・・く、苦しい・・・腹いてぇ・・・・・・」

 

 ・・・なんか、織斑さん、めっちゃ疲れてきてませんか?

 たかがお祭りイベントに必死になりすぎでしょう、もっと気楽にいきましょうよ。

 

 ・・・と言うよりも、こんなアホな戦い方をする敵を相手に全力出して息切れした上に、お腹まで苦しそうって・・・このままだと本当に取り返しの付かない立ち位置になりますよ?

 強さもいいですが、まずは保身を身につけなさい。

 命あっての物種。社会生命あっての力です。

 天下無双の変質者って救いがなさ過ぎますからねぇ。

 

「負けられない・・・負けてたまるかぁーーーーーっ!!」

 

 ・・・えっ? なにこの気迫?

 もしかしなくても・・・・・・ファースト・シフトしました?

 

 うっそーん・・・。

 パンダになりたくなくてピエロになりたいから、逃げ回る女の子を倒すためにファースト・シフトでパワーアップって・・・格好悪すぎなんですけど~・・・。

 もう、ほんとどうすれば針路修正できるんですかぁ~・・・完全にハーレムメンバーからそっぽ向かれそうじゃないですかぁ~・・・。

 勘弁して下さいよぉ~、マジで私に人一人分の人生改変は重すぎますから~・・・・・・

 

「これは・・・千冬姉の雪片・・・? ・・・俺は世界で最高の姉さんを持ったよ」

 

 そうですね。逆に、彼女は世界で最低の弟を持っていますが。

 

「おおおおっ! パンダになってたまるかぁぁぁぁぁぁっ!!」

 

 ちょっ、だからオープン回線やめて! じゃなかったら言い回し変えて! それさえ出来ないんでしたら、せめて声量落として!

 もう勝敗に意味なくなっちゃったじゃないですかっ! 完全にあなた、パンダじゃないですか! それも、お笑いパンダ!

 

 どうするんですか、どうするんですか、どうしてくれるんですかっ!

 

 もう、原作崩壊どころじゃないんですけど! 完全に別ジャンルになっちゃってるんですけど!

 

「うおぉぉぉぉぉ! 覚悟しろセレニアぁ! 俺がピエロになるためにぃぃぃぃっ!!」

 

 お願いだから、もうやめてぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!

 

 

 

『試合終了。勝者ーー異住・セレニア・ショート』

 

 

 

 

 

 

「「・・・・・・・・・え」」

 

 

 

 

 

 勝因。エネルギー配分無視して動きまくった挙げ句に、エネルギー消費量がバカ高い雪片を、何も考えずに全力で振りかぶったから。(要するに自滅)

 

 

 

 

 

 もう、お家帰りたい・・・・・・・・・・・・・・・。

 

つづく




次回は千冬姉さん回です。相手が誰でもセレニアの態度は変わりません。
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