IS学園の言霊少女(本編終了・外伝スタート)   作:ひきがやもとまち

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急ぐ訳でもなく、ただ楽しみながら書きたい物書いた回なので内容はともかく文章はかなり雑です。その点は予めご了承ください。

総理官邸占拠事件最終章です。貝木VS一夏の戦いは、やっぱり碌でも無かったです。
注:一応記しておきますが、今日は別に病んでませんよ? ただ単に当初の予定通り書いたら意外と黒かっただけで。想定外になったのはぜんぶ貝木のオッサンが悪いんや。


45話「『織斑君! 連載決定おめでとう!』『ありがとうございます服部さん!』(本編とは一切関係なし)」

「ーー日本の都合なんて、どうでもよろしいですわよ」 

 

 ゆらりと、背もたれのついた椅子から立ち上がり俺と貝木のやりとりに割り込んできたのは金髪巻き毛でドリルヘアーなんだけど品がない、劣化版セシリアみたいな奴。

 「少将・・・!」と、脇に立ってる官僚臭い軍人から呼ばれてたから恐らくこいつが海軍参謀ノーマ・アレキサンダー・ベイツなんだろう。

 

「ISの登場で落ちぶれた、英雄一族のご令嬢か・・・」

「あら、ご存じでしたの?

 こんな極東にあるちっぽけな島国の学生さんにまで名が知れ渡っていようとは、わがベイツ家の威光もまだまだ衰えてはいないようで安心しましたわ」

 

 俺のつぶやきにベイツは鼻先でせせら笑うと、優雅さ気取っただけの慇懃無礼な態度で俺に会釈してみせる。

 

「如何にもその通り。私の名はノーマ・アレキサンダー・ベイツ。

『白騎士事件』の折りに白騎士撃墜の命を受け、光栄ある米国艦隊を率いて出航し敗北したベイツ提督の娘ですわ」

「『理屈倒れのドライゼン』・・・負け犬の落とし種が今こうして俺の前に立ちはだかるとはな・・・」

 

 感慨深げにつぶやいて俺は、セレニアの影響で見始めた歴史ライブラリーの映像を思い出す。

 

 

 

「生意気な騎士もどきを打ち倒し、米国の覇権を確立してご覧に入れましょう」

 

 当時の大統領から直々に命令を受け、自信満々に応じてみせる映像は世界中のコンピューターに記録されている。

 むろん、LIVEで流した映像ではなく公式に存在を認められてもいない他国が流したプロパガンダ映像ではあったが当時の『白騎士』にボロ負けした人々は責任者を欲しており、その対象として一番都合が良かったのが米国派遣艦隊司令官シグルド・ドライゼン・ベイツ中将であったことは否定しようのない事実ではあった。

 

 彼はスケープゴートにされたわけだが彼自身にも以前から人格的問題点を指摘されており、特に「現実と理論をゴッチャにしがちだ」と部下や同僚からは散々にこき下ろされていたのは知る人ぞ知る有名な話なのだとか。

 興味が湧いて調べてたら、ファイルス先生がいくつかのサイトを教えてくれた。その中のひとつに載ってた話である。

 一応はアメリカ側であるはずの先生が敵国人に教えていいのか聞いてみたところ、

 

「あの子も似たところがあるから気になっちゃってね。年寄りのお節介だと思って適当に流してちょうだい」

 

 苦笑しながら告げていた「あの子」と言うのがセレニアである事を察せないほど俺は鈍感ではない。名目上では教師と教え子の関係だから特別扱いはしないと言う建前なのだろう。大人だな、ファイルス先生は。

 

 もちろん聞いた内容はきちんとメモっておいて、念には念をとウィルスの類が入ってないかも束さんに頼んでチェック済みだ。抜かりはねぇよ。

 

「あの子って自己破滅型の極地みたい所があるから、教師としても一人の大人としても心配で仕方がないのよ。

 特別な事情を抱えているからって今はただの子供なんだし、一人で抱え込む必要なんてないのにね・・・」

 

「だから、お願い織斑君。彼女が道を間違えたときには叱ってあげて。悪い道に望んで向かい始めたら、泣くまでお尻を引っ叩いて無理矢理にでも止めてあげて。

 そうでもしないと多分あの子、最期まで止まらないと自分で決めて地獄への道を爆走してしまうだろうから」

 

 ・・・デカパイと結ばれて、末永く幸せにおっぱいライフを送りたい俺としては看過できない忠告だった。今後は今までよりもいっそうセレニアの暴走には目を光らせよう。

 

 ああ、しかしそれにしてもーーデカパイもいいけど美尻もいいなぁ~。セレニアって胸ばかり気にしてる割に意外と尻もデカくて良い形してるし揉んでみたい。叩いてみたい。真っ赤になって泣きそうな目をしてるセレニアかわゆす。

 

 

 

 

「あの敗戦で父は左遷されて順風満帆だったベイツ家は傾き、米国のみならず世界中から海軍が消え去っていく歴史の生き証人として見届け人の役割を押しつけられてきたのよ? 分かるかしら、この屈辱が・・・。

 予算と人員の削減から始まって、老朽化した武装の解除、敵が撃ってきたら逃げるよう言われてから行う哨戒任務。

 珍しく出動命令が来たと思えば、ISと操縦者を乗せた輸送船を護衛しろ? いざとなれば艦を盾にしてでも守り抜け? わたくしたちを窮状に追い込んだ元凶であるISのために死んでこいと?

 はっ、クソ食らえですわね、こんな腐った時代は。ぶち壊してしまいたいくらいに」

 

 ーーベイツの声で俺は現実に引き戻される。

 

 ふむ。分からんでもない。軍隊の維持に最も苦労するのは平時だが、特に海軍はその傾向が強い。何もしなくても多額の金を食いまくるし、成果が目に見える形で出しにくい。

 民間からの理解がなければ難しいのが組織の存続なのに、その民間に最も貢献している海軍の成果が民間に分かりづらいのは不幸な必然と言うべきだろう。軍事面に興味がないと調べないもんな、海路の安全を確保する重要性なんて。「軍隊は平和な時代にあっては邪魔なだけ」とかよく聞くし。

 

「しかも! 艦隊要員たちが日頃行っている日常業務はなんだと思います?

 なんと栄えある米国艦隊搭乗員は、IS産業が海に垂れ流したゴミを海岸から撤去していく海掃除で生計を立てているのですわよ? 信じられますかしら?

 わたくしたちが! 米国艦隊が! かつて世界を席巻した七つの海の支配者が!

 今では海岸掃除のアルバイトだなんてもう本当に可笑しくて可笑しくて・・・・・・気が狂いそうな毎日でしたわ!!」

 

 突如として豹変したベイツの表情。今まで保ってきた見せかけだけの余裕が無くなり、素直に純粋に心の底から憎悪と憎しみを俺たちIS操縦者にぶつけてくる。

 

「わたくしは! わたくしたちベイツ家は! 誇りを取り戻すために戦争がしたい! 生きるために!

 人として生きて人として死ぬための誇りと尊厳がほしい! 取り戻したい! 取り返したいのよ戦争で!

 他人が死んで取り戻せるなら死ね! わたくしのために死ね! わたくしが人に戻るために死ね! 死んでわたくしを人にしろ! 

 人間としての尊厳を取り戻せるなら、わたくしはなんだったする! 誰だって利用してやる! 亡国も!議長も!トリューニヒトも! 全部だ!全部わたくしのための駒だ! 駒は主のために死ななきゃダメじゃないかクソが! 死ねよ!早く死ねよ!死んでわたくしを人に戻せよーーーっ!!!!!」

「の、ノーマ少将・・・」

 

 傍らに立つ官僚軍人が困ったような表情で俺とベイツを交互に見る。

 しかし、俺はなにも返さない。互いの主張は言い尽くしたはずだ。その結果として対立する道を選んだ以上、それは必然による帰結だ。もとより妥協点が見つからない、どちらかが死ぬしか道のない出会いだったと割り切るだけのこと。是非もなし。悔いもなし。

 戦って、殺す。それだけが俺にできる全てなのだから。

 

「おら! そこの亡国! 早くそいつに特攻しろ! なんのために今まで養ってきてやったと思ってやがるんだ! こういう時のためだろうが! だったら早く死んで、わたくしが人になる肥やしになりやがれよ!」

「し、しかし我々は別に、あなたの麾下と言うわけでは・・・」

「バァ~カ! 麾下なんだよ始めっから! 亡国機業そのものが米国海軍の下部組織だったんだよ! 知らなかったのか、バァ~カバァ~カ!!

 わざわざテメェらが活動しやすいよう航路警備を手薄にしてやったのは誰だと思ってるんだ? 亡国に所属している船が一般の港で食糧補給できるように、問い合わせがあっても無視してやってた事を知らねぇのかよ?」

「・・・」

「まさかお前ら、シンパを名乗って融資してくれている組織が本当に戦争でもうけたいと願っている時代錯誤どもだとでも思ってたわけ? バーッカじゃねぇの!? そんな訳ないじゃん潜水艦だぜ? とりあえず食わせるだけでどんだけ多額の金がいると思ってんだよ? 米国艦隊から資金提供してやってたに決まってんじゃんバーカバーカ!」

「・・・・・・」

「存在の必要性だよ、バーカ。米国海軍には敵が必要だったから生かしておいたんだよ、飼ってやってたんだよ、殺さずにいておいてやったんだよ。

 テロリストごっこで戯れるしか脳のないゴミどもは早く死ね! 死んで死んで死に絶えろぉぉぉっ!!!」

「・・・・・・っ!!!」

 

 悔しげに俯いて唇を噛む亡国の男ども。まぁどうでもいいのだが。

 とにかく俺の相手はノーマ・ベイツ。これは確定。他に考えることはなし。考えるのはセレニアの役割、戦って首を取るのが俺のお仕事です。分業制こそ世界を変える。

 

「能書きは今ので終わりか? 俺としては早く始めて、早く終わらせたいのだが?

 深夜に見たいアニメの再放送があるんだ。次いつやるか分からない以上は見逃したくない」

「ちっ・・・余裕コきやがって。だったら見せてやるよ、わたくしのISを。これを見てもその余裕が保てるか悦しみだわ。

 来いよ!《アビス・フォビドゥ》ーーっん!?」

 

 ・・・? なんだ? 狂気じみてたベイツの表情が急に変わっーー

 

 

 ドォォォォォォォォォッ!!!!!!

 

 

 

 ーー・・・っ!? 特攻だと!? 米軍がか!? いったい何故・・・くっ! タイミングを外された! 意識外からの攻撃には対処できん!

 だが、相手も武器を構えてはいない。取り出す暇なく突っ込んできたが故の不意打ちなのだから当然だが、体当たり程度の衝撃は受け止めて受け身を取りさえすればどうとでもーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ピカッ

 

 

 

 

 

 ドッガァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァッン!!!!!!!!!!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・爆発で発生した爆光と爆風に目と耳をやられた俺だったが、ISの操縦者保護機能のおかげで身体的に怪我はない。

 まぁ、エネルギーはごっそり持って行かれたが、目下の課題はそれじゃなくてだな。

 

「・・・やりやがったな、貝木。今のはちょっと・・・痛かったぞ?」

「驚いた、の間違いじゃないのか?織斑。

 あんな小汚ねぇ爆弾ひとつでお前を傷つけられたなら、俺はIS委員会会長から勲章のひとつやふたつ貰えることが確定するんだが?」

「安心しろ、自分が監督を務めるチームの選手を爆弾にして敵もろともに爆破して倒すスポーツ競技など、世界中どこを探しても存在しない。

 だから貴様が公式試合でメダルを貰える可能性は皆無だ。可能性がないことを気にしても仕方がない」

「なるほど。いい教訓になった。死ぬまでの短いあいだ覚えておくぜ」

 

 ・・・ちっ。やっぱコイツは食えなかったか・・・。

 

 俺は爆発に巻き込まれて吹き飛ばされた身体を起こし、塵やベイツの破片を払い落としながら頭の中でさっきの爆発シーンを再生、自分なりに分析を試みる。

 

 やはり、どう考えてもコアが爆発したにしては規模も威力も小さすぎる。時代を超越したオーバーテクノロジーの塊が爆発することで発生する被害規模が、シェルターひとつ分すらカバーしてないなんて出来の悪い笑い話にもならん。

 

 なによりもISは天災科学者束さんの造った最高傑作だ。既存の技術で介入できるとは思えない。

 

 そうなると、残る候補は・・・・・・

 

「なるほど・・・十年前《白騎士事件》が起きる前の日本が開発してたとか言う、宇宙空間での活動を目的としたマルチフォームスーツ技術の応用か」

「ほう、さすがは国立学校生。詳しいじゃねぇか。税金が無駄に捨てられてなくて何よりだぜ」

「俺も入学初日の授業で聞いたきりだけどな。アラスカ条約だかなんだかが原因で、開発は停滞中だと聞かされてたんだが・・・」

 

 胸の前で腕を組む俺の言葉に、貝木は肩をすくめながら。

 

「よく考えて見ろ織斑。ISは時代を超越した発明品だ。現行の技術では再現できないからこそのオーバーテクノロジー扱いだ。そんな物、いったいどうやって開発できる?

 IS研究所だなんだと言ったところで、やってることは精々IS武装の開発研究をする程度。大本であり技術のほぼ全てが詰まってるコアの解析が不可能な現状で造り出せる専用機や専用武装なんざ、既存の技術で造れる範囲までが限界だ。それ以上は手に余る。篠ノ之束お手製の白騎士や白式、紅椿を除いてだがな」

「じゃあ、今の世で作り出されてるISはほぼ全て・・・」

「ああ。篠ノ之束製のISコアと既存の国家が造りだしたISとを繋いで無理なく起動させただけの代物さ。

 だからまぁ、ぶっちゃけ現在も宇宙活動用のIS開発は形を変えて継続中だ。イメージ的な理由から名前を変えると別物のような気がするだろう? あれだよあれ。あれと全く同じ現象さ。

 だからこそ同じ第三世代武装でも、両者には明確な格差が生じている」

 

 一度言葉を区切ってから貝木は、何故か俺を睨みにらみつけながら話の続きを語り出す。

 

「たとえば、お前の白式が持ってる《零落白夜》。ありゃ何だ? 反則だろうが、どう見てもよ。

 ISの絶対性はそのほとんどを“あらゆる通常兵器で傷ひとつつかない圧倒的な防御性能”に依存してるってのに、あんなモンが普通に大量生産できたら世の中が根底からひっくり返されちまうじゃねぇか。ったく、この歩くチート野郎めが」

 

 貝木は忌々しげに吐き捨ててから背後に置かれた椅子へと腰掛け、改めて視線を合わせてから解説を続ける。

 

「言ってみれば今世に出回ってるISは、篠ノ之製オリジナルISコアと、俺たち地球国家の技術とを融合させて造った合いの子、その子孫たちを指している。

 ISコアが束オリジナルであるのと同じく、当時の世界で通常のIS開発技術を持っていたのは日本一国だけだった。現存しているISの大半は、大本を辿れば日本の技術に行き着いてしまう。だからこそコアには介入できずとも、外部装甲など表だって出ている部分全てには俺たちでも細工が可能。そう言うこった」

「今回の事件を起こすまでの一ヶ月間、匿ってやってる間に仕込んでおいたのか?」

「おうよ。家賃としては安いもんだろう? なにしろ元々は、うちのモンを使わせてやってたんだからな。返してもらう際にレンタル料金を徴収したとしても何らおかしい事はあるまい?

 むしろ踏み倒そうとした奴が持ち逃げの引ったくり犯なんだよ。金払う気ないみたいだったから、命で払わせてやった。それだけだ」

 

 ここに来て貝木は、初めて笑ってみせる。

 如何にも「俺は小物の詐欺師です」と恥ずかしげもなく堂々と誇ってみせるかのように不吉きわまる不気味な笑いを。

 

「優しさは美徳だ。正直であることも美徳だ。人として正しい、正義の行いだ。

 アイツらが騙されて利用されるのは、奴らの正義が間違ってるからじゃあない。弱いからでもバカだからでもない。

 ただ、そういう奴らがいないと食いっぱぐれる俺みたいなクズの方が、政治家や経済屋としては成功し易い。それだけが理由のすべてだよ」

 

 

 貝木の言葉を最期に、室内には重くて長い沈黙が降りた。

 

 

 その沈黙を身体から引き剥がしたくて、俺は軽く体を動かしてから貝木に最後の言葉を投げかける。

 

「・・・成る程。よく分かった。俺が貴様との会話から得た教訓は『結局殺すしかない相手と話すのは時間の無駄』だ」

「俺の死体とでは割が合わない程に、いい教訓だな。俺に感謝しておけ」

「・・・斬っ!!」

 

 気合いの雄叫びと同時に白刃一閃。一刀で片を付けたかったが予想外に距離があった。さっき椅子に座るため後方へ下がったことで距離が開き、その際に生じた誤差を計算し直す暇を与えず切りかからせた理由はこれだったのか! この、クソ詐欺師野郎!

 

「俺は商人だからな。嘘が金になって社会に還元されるなら、それが俺にとっての正義であり道徳だよ」

 

 貝木の声が幻聴となって聞こえた気がした。

 

 

 

 だが、現実に貝木がとった行動は言葉で語るのではなく、自ら体を動かしての行動だった。傍らに立って呆然としたままだった最後の米軍士官を俺の前へと突き飛ばし、俺が「邪魔だ退け」と声を出す前に恐怖を浮かべてISを展開してしまう。

 阿呆が。そう思ったが、時すでに遅し。0コンマ1秒以下の短時間で展開し終えた直後だろうと完了は完了。展開したISは即座にコントロール権を奪われて操作不能に陥り傀儡となる。

 

 そしてそのまま突貫。操縦者が操作しているわけじゃないから武器を取り出さないのは正しい判断だと思うが、それにしてもこのパワーは尋常ではない。どんなカラクリを仕込んであるんだ?

 白式がパワーで押し負けている! 突進力を殺しきれない! 勢いがありすぎて押さえるのが精一杯だ! 離脱できん!!

 

「なに、別に特別なことは何もしてないさ。ただ操縦者の身体限界も機体の性能限界もガン無視して突き進ませてるだけ。ようするに暴走状態だよ。単純な行き先を指定できるだけで、後はただ進むだけの暴走超特急さ。・・・そう言えば銀髪の小娘が似たような生き方してるって議長が言ってた気がするな・・・」

「テメェェェェェェェッ!!! 今の時間帯にセレニアの話を出すんじゃねぇ!!!

 妄想して夜眠れなくなっちまうじゃねぇかぁぁぁぁっ!!!!!!!」

「・・・思春期の中学生男子かテメェは・・・好きなら好きと、早く告っちまえばいいじゃねぇか鈍くせぇ。近頃の若もんは“当たって砕ける”って言葉を知らねぇのかよ?」

「砕けたくないから悩んでる思春期の男子高校生心理を、もう少し考えては頂けませんかね現代日本で政治家やってるオッサン方!!!」

「無理だ。あきらめろ。

 俺たちゃみんな、週に三日も戻れればいい方の自宅に帰れば妻に怒鳴られ、冷蔵庫にある冷めたご飯をレンジでチンして食べた後、子供部屋の壁に飾られている「ぼくのおとうさん」ってタイトルのコンクールで金賞に輝いた作文読んで「ぼくはしんでも、おとうさんのようなおとなにだけはなりたくありません」の一文に血涙流した世代だからな。

 リア充な学生生活送ってるイケメン高校生見ると、不幸にしたくて仕方がなくなるんだよ。日本の政治家がマンガやラノベを馬鹿にするのはそう言った理由さ。そうに決まってる」

「未来ある青少年に夢のない話を聞かせるんじゃねぇぇぇぇぇぇぇっ!!!!!!」

 

 くそっ! 今ので調子崩された! 明鏡止水の心構え、曇り無き眼でおっぱいが見れん! 妄想しようとしたら何故か貝木のオッサンの不吉な顔が浮かんで来やがる!

 これじゃ勃たねぇ!!! むしろ勃ったら変態だ! セレニアに嫌われちゃうーーっ!

 

「ちなみにだが、織斑。自爆させるだけでいいなら、なにもISである必要性は皆無なんだぜ?」

 

 ーーはっ!? しまっ・・・・・・

 

 

 

 

 

 ズドガァァァッン!!!!

 

 

 

 

 

「くっそぉぉぉぉぉぉっ!!!!!!」

 

 

 押されていく先に拘束されてたらしい元亡国メンバーにも爆発物が取り付けられていやがった! こいつ本気で人を、俺を倒すために使う爆弾としか思ってねぇ!

 

「どうした? 何を怒ることがある?

 政治家が国民を生きた壁に使うのと、テロリストを爆弾にして吹き飛ばすことの、どこにどんな違いがあるってんだ?

 刀で悪人を斬り殺せば勧善懲悪か? 銃で人を撃ち殺したら戦争か? 自爆テロリストを爆弾に見立てて吹き飛ばしたらテロリズムか? どのみち全てのルートで人が人を殺してることに変わりはねぇのによ」

 

 

 

 ーーちっ! ヤバいな・・・押し返せない。このままじゃ進路上に設置してある人間爆弾全部に引っかかって大ダメージだ。ボンバーマンだったらオーバーキルどころの話じゃねぇ。

 だからと言って今から明鏡止水をする訳にもいかない。既に気を失って意識のないアメリカ軍士官が未だに自爆させられてないのは俺を押すのに必要だからだ。

 逆にこいつは、俺が明鏡止水を発動させたら問答無用で全部の爆弾を起爆させる腹積もりなのだろう。それ以外に一矢報いる術がなければ確実にそれをやる奴だ。どことなくセレニアと似ているやり口だから大体分かる。

 

 俺が死ぬ可能性はどのルートを通っても皆無な一方、俺が大ダメージを負わずに帰還できる可能性もまた皆無。どう足掻いたって大怪我することだけは確実だ。逃げられない。

 

 逃げ道はない。退路もない。このまま現状を維持すれば、敗けはなくとも未来はない。

 

 ならば、どうする?

 

 決まっている。セレニアのやり方を真似れば良い。それだけだ。

 

 

 

 

 

 

 

「《零落白夜》エネルギー全解放」

 

 俺は敵ISに押しまくられながら、二個目の人間爆弾の洗礼を浴びながら《雪片弐型》に込められたエネルギーを放出開始。周囲に光を纏わせながら背後へ向かって突進していく俺と敵。

 

 姿勢が悪いから溜めができないわ、射線が定まらないわ、間違いなく周囲一体ぜんぶがクレーターになるだわで良いこと無しの状態だがこれしかない。

 

 奴の定めたルールが支配している戦場。

 これが奴にとっての戦争で、ここが奴にとっての戦場ならば。

 俺は俺の戦争を、俺の戦場でやってみせる以外に道は無し。

 

 

「零落白夜よ、光を纏え。

 白夜光は反転し、光は破壊を纏うべし」

 

 せめてもの補強として呪文を紡ぐ。これで少しでもマインドセット出来れば、集中力は向上するはずだ。

 

 

 

 

 

 

 

「俺のペンネームは『ピエロ・ダ・ワンサマー』!

 ルール(性的倫理観)を壊し! 巨乳サイコーの世界を妄想する男だ!!

 求めるは刹那の絶頂・・・これぞ俺の愛の一撃――《エロスカリバー・雪羅ーン》!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 瞬間、穢れなき純白の光が部屋に満ちあふれ、すべてをゼロへと回帰させる。

 

 澄んだエロ心の明鏡止水とは異なり、純粋なエロへの飽くなき欲求を詰め込んだ白い光の奔流はたちまちの内に部屋全体を飲み込み尽くして収まりきらずに飛び出して、総理官邸全体を飲み込んでもまだまだ物足りぬと空へと昇り、天へと駆け上がる。

 

 

 これ即ち《天駆ける乙女の羽衣欲しいな~》!

 今の俺が使える最強にして最高の必殺技だ!

 

 

 光に飲み込まれゆく中で生き残っていた亡国メンバーが騒ぎ出しているが、俺の耳には何故か貝木のオッサンのつぶやきだけが聞こえた気がした。

 

 

「そう言えば今朝方、犬に朝飯を出し忘れてたな。

 鍋山の奴、ちゃんと柔らかく煮た肉を出してくれてるといいんだが・・・」

 

 

 

 その言葉を最期として、総理官邸占拠事件は幕を閉じる。

 それは同時に、俺の長い長い夜が終わりを迎えたことをも意味していたのだった・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『臨時ニュースをお伝えします。つい先頃、東京上空に空を舞う綺麗な少女の裸体が映写されました。詳細は不明ですが目撃者の証言によると「すごくエロかわいくてちっちゃい、胸の大きな女の子だった』という話ですがーー」

 

 

 

セ「ぶっ!?」

の「セレりーん? ご飯食べてるときに吹き出すのは、お行儀悪いよー?

 もっかいお代わりよそって上げるから、たんとお食べ♪」

 

 

 

サブですらないヒロイン候補が嫁的ポジションになりつつも続く。




ちなみにですが。一夏の力はテンションに左右されまくる超気分屋タイプな為、技名も即興で考えてます。
なので技名を叫んだ次の瞬間には変わる可能性があります。

「面白ければ売れる!それが漫画だ!」Byピエロ・ダ・ワンサマー。
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