IS学園の言霊少女(本編終了・外伝スタート) 作:ひきがやもとまち
ファンの方は絶対読まないでください。
「ぶっつけ本番で、しかもフォーマットとセッティングもしていない機体に乗せ、挙げ句の果てにはフォーマット後の機体特性も武器の弱点も教えずに訓練未経験の教え子を試合に出場させた事に対する責任を、どうお取りになるつもりですか? 織斑先生」
「・・・・・・・・・・・・・・・」
訳が分からないと行った表情で私を見下ろし、ポカーンとなっている織斑先生を、私は見上げながらも視線は一切外しません。
今生での私の身長はかなり低く、150センチ以下しかないです。
そのせいで、ほとんどの人は見上げなければいけませんし、見下ろされていると威圧感がスゴいですが、構いやしません。
今回ばかりはーー私もキレそうです。
試合の後、ピットで私たちを待っていた織斑先生と山田先生から私の勝因(正確には織斑さんの自滅原因)について説明された私が感じたのは・・・紛れもない怒りでした。
これは、もう・・・・・・我慢できそうにありません・・・・・・
「い、いや・・・負けたのは一夏だぞ?
なんで私が責任を取ることに・・・」
「勝ち負けについては訊いていません。
やるべき事をやらず、教えるべき事も教えずに生徒を強制的に試合出場させ、全校生徒の前で晒し者にした結果、暗黒の高校三年間を送らなければならなくなった男子生徒に対して、どの様に責任を取るおつもりなのかと訊いているのです」
「いやその・・・晒し者にしたのは、お前じゃあ・・・」
「・・・本気で言ってます?
雪片の特性と弱点について事前に伝えておけばエネルギー配分のしようもあったんですよ?
最悪でも、醜態晒した最後の全力での振りかぶりは避けられました。
だいたい、なんで完全に未使用の機体をIS操縦初心者に与えて、なんの説明もせずに実戦投入してるんですか。
新兵を見殺しにする気ですか? お国のために死んでこいですか?
何時の時代の独裁者ですか、あなた」
「ひぐっ・・・だ、だがな異住、痛い思いをした方が成長も早く・・・」
「普通は生徒を庇って教師が泥をかぶるのが理想型なんです。
理想通りに行かないのはどこの社会でも同じですが、教師自ら泥を投げつけてどうするんですか? 立派な体罰ですよ、それ。
「お前は巨人の星を目指すのだ」が通じるのはフィクションだからです。
現実にやったら、ただの虐待ですよ?
訴えられたいんですか? いいですよ、しても。今すぐ弁護士に連絡を・・・」
「わぁぁぁぁぁっ!? 待て、待て、待て、待ってくれ!
悪かった! 私が悪かったから、裁判沙汰だけは勘弁してくれぇ!!」
必死の表情で私に取り縋ってくる織斑先生を、唖然としながら見つめている原作キャラの皆さん。
この場にいるのは私と先生方お二人の他に、原作ヒロインとしての見えない縁が絆を繋いでいてくれてたのか、オルコットさんと篠ノ之さんのヒロインお二人です。
これは、まだ脈があるかな、と期待したのですが・・・無駄でした。
その原因となっているのは、部屋の隅でうずくまっているピエロ志望のパンダさんです。
「ふふ・・・父さんはな・・・昔、ピエロになりたかったんだ・・・その為に修行もしたんだぞ・・・」
・・・ショックのあまりキャラ崩壊ではなく人格崩壊を起こしてるんですよねぇ・・・。
当然、試合に引き続き醜態を晒しまくっている彼を見つめるお二方の視線はめっちゃ冷たいです。
あれはもう、人間を見る目じゃないですね。
珍しいパンダを見る目でもないです。
完全にーー動物以下の“ナニカ”を見る目になっちゃってます・・・。
もう、ほんと終わりましたよ、織斑ハーレム・・・・・・
原作完全崩壊確定しちゃいましたよ・・・・・・
それもこれも全ての原因はぁ・・・・・・!
「そもそもこの試合、やる必要ありましたか? 無いでしょう?
最初の日に、「二人でジャンケンして決めろ」と貴女が言えばそれで済みましたよ、そりゃもうアッサリと。
それに、こんな衆人環視の中で行われる大イベントにする必要なかったですよね?
全校生徒まで巻き込んで、授業も一コマ潰して・・・どうせ、弟さんが可愛くて過保護になり過ぎたんでしょう?
ブラコンを自重しろとは言いませんが、せめてご自分の就いている職業は自覚して下さい」
「ひぐぅっ!?
だ、だって、だって・・・世界で唯一の男性IS操縦者だから命狙われやすいし、自分で自分を守れるようになっとかないと危ないからぁ・・・・・・」
「だったら、なんで自分が教えなかったんですか?
篠ノ之さんのランク知ってますか? Cですよ? しかも、同じ新入生なんですよ? それなのに彼女以上にド素人の織斑さんの指導役を任せておいて「この愚弟が!」・・・? どう考えても「愚姉」と呼ばれるべき貴女の言っていい言葉じゃないでしょうが」
「へぶぅっ!?
で、でもでもでも、姉だからって面倒見るには、私の教師としての立場がぁ・・・」
「普通の学校だったら、実の姉が受け持つクラスに弟を配置しません。て言うか、出来ません。教育法で禁止されています。
おおかた、貴女がごり押ししたんでしょう? ブリュンヒルデの権力使って。「可愛い弟の面倒は他人には任せられん!」とか思いながら。
この時点で完全に公私混同です。いまさら取り繕ってどうなりますか」
「ひでぶぅっ!?
ご、ごめんなさ、い・・・も、しません・・・しませんからぁ~・・・お、お願いし、します・・・もう、許し、て・・・くら・・・ひゃい・・・・・・」
はぁ・・・・・・。
いくら言っても怒りは収まりませんが、逆に言えば此処でなにを言おうと全て手遅れ。
覆水盆に返らず、過ぎた時は戻らず。
諦めて貰うしかないんですかねぇ・・・織斑さんにはハーレムを・・・・・・
「ふぅ・・・もういいです。
言いたい事はまだまだ有りますが、今日の所は引き下がることにします」
『・・・・・・・・・・・・え?』
・・・・・・・・・なんですか皆さん、その「え? まだ有るの? どう見ても、もう持たないよ、コレ・・・」と言いたそうな眼は・・・?
せっかく、人が言いたいことの大部分を飲み込んであげたんですから、怒りをぶり返すようなことしないで下さいよ。
本気出しちゃいますよ? いいんですか? 全力で常識ぶつけますよ?
・・・・・・・・・・・・・・・冗談です。
私は自分の弱さを知っていますからね。
今日はちょっと暴走してしまっただけです。
明日から気を付けますよ~、と。
・・・・・・あ。
「いつも思ってましたけど、織斑さんに日頃から加えている制裁。アレ、学校で教師として行うと完全に体罰ですからね。
立派な法律違反です。彼が訴えたら負けますよ、あなた。
減俸三ヶ月くらいは余裕で食らいます。
生活の面倒だけでなく家計まで支えて貰っているんですから、少しは感謝してあげて下さい。
では、失礼します」
きわめて常識的なことを言って部屋を出た私の耳に、
『・・・? あの、どうしましたか織斑先生? 先生? おりむ・・・
きゃぁぁぁぁぁっ! 白目剥いて口から泡が・・・痙攣がぁぁぁぁ!
だ、誰かお医者さんを・・・・・・救急車、いえ、消防車・・・それともパトカーですかぁっ!?』
『ち、ちょっと、これは洒落になりませんわよ! 早く、早く保健室に運びなさい! 手遅れになっても知りませんわよ!!』
『い、一夏! こう言う時こそお前の男としての力が必要だ! 今こそ特訓の成果をーー』
『父さんはな・・・・・・ピエロに・・・ピエロになりたかった・・・なりたかったんだよぉ・・・・・・』
『一夏ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!』
・・・・・・すごい阿鼻叫喚地獄が聞こえてきます・・・・・・
織斑さん、自分から名誉挽回の機会を棒に振ってますし・・・
もう、ほんっとにどうするんですか、これ・・・・・・
絶対、どう足掻いても、なにしても・・・針路修正できる気がしないんですけどぉ~・・・
・・・・・・あれ、なんだか、胃の辺りが痛いような・・・?
・・・・・・・・・とりあえず、保健室行こう・・・・・・行って休もう・・・・・・
どうせ、明日も疲れるんでしょうからね・・・精神的に・・・・・・
・・・・・・《インフィニット・ストラトス》って、こんなんでも人気作だったんですかねぇ・・・・・・?
つづく
「法廷」の部分を「弁護士」に変更しました。