IS学園の言霊少女(本編終了・外伝スタート)   作:ひきがやもとまち

54 / 115
別作品書いてたら何故かシン・ゴジラを観てました。
気付いた時にはできてましたから投稿しました。以上。

頭パープーな状態で書いてたみたいなんで出来についてはご勘弁の程を。

・・・とにかく眠い・・・。寝たい寝よう今から寝ますお休みなさい。


目が覚めましたので、少しだけ書き足しました。


49話「様々な大人たち」

東京都千代田区、臨時首相官邸。

 

 『白騎士事件』から始まったIS社会は女尊男卑主義の女性優遇社会であり、男社会であった日本の政界の象徴とも呼ぶべき首相官邸を取り壊して新たに女性的な建物を、と言う案が出されはしていたが予算などの都合で放置されて余年。

 どう言うわけだか、世界が混迷を深めていくのに反比例して平和になっていく日本の豊かさを象徴するため急遽完成を急いだ建物である。

 現在の完成率は87パーセントぐらい。

 

 

 

 その建物内にある一室では。

 

 ーーガチャッ。

 

「集約センターから報告です。アクアトンネル上り線で衝突事故に端を発した玉突き事故が発生。詳細は不明ですが、車両数十台が巻き込まれて民間人が多数暴徒化しかけているそうです。先ほど官邸連絡室が設置されました。・・・いつも通りに名ばかりのお茶会ですけどね」

「・・・それを言ってくれるなよ・・・。ーー総理は?」

「到着予定まで二十八分を『用意した』と、先ほど連絡がありました。

 代理で臨時の肩書きとは言え、手に入ったからには守り抜きたきくなって体裁だけでも整えようと小細工を労するのは日本の政治家の悪い癖だと思い知らされる案件です」

「だから、君ねぇ・・・」

「失礼いたしました。思ったことは口に出してしまう正直者な性格なのです。言うべき場と状況は厳選いたしますので、どうかお目溢しを」

「・・・・・・・・・まぁ、別にいいんだがね。ーーもう慣らされた後だし・・・」

 

 はぁ・・・と、深く深~く溜め息をつきつつも私は臨時官邸の地下にある幹部会議室へ向かって歩き出す。・・・どうせ行っても無意味な会議もどきに付き合わされるだけだと分かってはいるんだけどね・・・。

 

 

 無駄に物分かりがよすぎる秘書官のルーズさに甘え、危機管理センター幹部会議室前の階段まで延々とネット中継を見続けていたが、思っていたより楽観的な状況に心が安らいだ。死ぬほどに痛い胃の痛みが、私に非常な現実を安堵感と共に与えてくれてホッとする。

 現代日本人というのは危機感に乏しいと言われているが、そんな事はないのだと理解できて喜ばしい限りだよ。

 

「・・・これは流石に、対岸の火事にもほどがあるだろう・・・」

 

 見当違いの報道に責任問題の追求が無数に撃ちこまれまくっている弾幕。

 「やべぇ」「すげぇ」しか日本語知らんのかと言いたくなる程テンプレ台詞しか口にしない、現代日本の若者たち。・・・80年代の不良かナニカなのか・・・?

 

 聞き覚えはあるけど微妙に字を書き間違えた名前の大学から軍事アナリストをお招きして、訳分からん外国の戦争発生理由について語っているけど・・・国内で起きてる暴動の理由については語らなくてもいいのかい? 同じく食料無いのが原因だよ?

 

 環境大臣が主張している「北朝鮮艦艇の轟沈と思しき爆発は、新たに発見された海底火山である」とか言う意味不明な意見を激烈な調子で二時間も非難し続けていた報道番組の出演者たちは、暴動を他人事として見れる精神性の持ち主だから暇してたのかな?

 

 

「まだマシでしょう。各省庁の担当者たちなんて会合で集まる度に「誰がこの場で一番偉いか」を話し合うだけで終わることが多いと言う体たらく振りです。

 挙げ句の果てには、上司のいない所で自分の役割とは関係ない事柄の専門家ぶって上の悪口を言い出し、酒を飲んで暴れる始末。末期ですね」

「だ~か~ら~・・・」

「性分です。流してください」

 

 無理だって・・・流石に・・・。

 

「災害対策本部には日本国民全員の安全な避難先の確保をと、指示が出されてから一ヶ月以上が経ってるはずだよね・・・」

「今の地球上に安全な場所がアメリカ本土以外にありますかね。我が国を攻撃する気満々の米国本土以外に」

「だから言ってくれるなよ~・・・」

 

 正直すぎるのにも程があるだろ、この子・・・。

 

「ああ、自衛隊の風間陸将から先ほど連絡があったことをお伝えし忘れておりました。

 曰く「自衛隊は匙を投げた」との事だそうです」

「・・・どっちに・・・?」

「言ってほしいですか?」

「・・・いや、言わなくていい言わなくていい・・・」

 

 言うまでも無さすぎるからねー。

 どうせ「日本政府に」だろうから・・・。

 

「言うまでもないことと分かっておりますが、敢えて申し上げさせていただきます。

 官房副長官、現在の日本で多発している暴動は政府が未だに真実を国民に公開していない“お陰で”“この程度の被害に留まっているのだ”と言う事実をお忘れなきよう」

「分かっているさ・・・嫌と言うほど、誰よりもね・・・。なにしろ、今となっては私が日本の経済を守るため国と国民を売った最後の一人なのだから・・・」

 

 暗い気持ちを心に抱え込みながら、私は幹部会議室の扉を開く。

 

 誰が今の日本と日本経済を作り、守ってきたかさえ知らないご婦人方がさえずり合うことで不満を解消し、明日もまた日本は続くという幻想を信じ続けるためだけに開かれる無意味な会議室に・・・。

 

 

 

 会議は始まった当初から雷雲を伴っていた。・・・見た目だけは。

 

 議題に上がった中で注目の的となったのは二つ。

 ひとつは、目前に迫った米国軍艦艇を攻撃することは同盟国の船を撃つことになり、憲法第9条的にはどう解釈されるのか。

 

 もうひとつは、事の発端にもなったIS学園に対する処置だ。総理権限を持って学園の持つ特権的地位、その全てを剥奪するかどうかをだ。

 

 ・・・・・・これって今更話し合うような内容じゃないと思うんだけどなぁ~・・・。

 

 と言うより、同盟国の艦隊に所属している船が攻撃してくる事態ってなんじゃい。それ同盟国籍じゃないだろ絶対に。偽装艦確定なんだから撃てよ。同盟国の足引っ張るなよ、向こうから厄介払いされて縁切りされても知らんぞマジで。

 

 

「そもそも学園生徒への教育には、もっと積極的に介入すべきだったのです! 心身ともに未熟な子供たちに人を殺せる武器を与えて、学校教員に教育内容のすべてを決める権限など与えるべきではなかったのですわ!」

「ですが! 外国からの留学生たちはほとんどが国家代表候補生、VIP中のVIPなのですよ!

 彼女たちのバックには国家の後ろ盾が存在しており、一言でも不平不満を漏らされでもしたら貿易国たる日本が被る経済的損失は想像することすら出来ない程なんです! 

 経済官僚たちもやるべき事はやっているのです! 彼女らの名誉のためにも、そこの所はどうかご理解いただきたい!」

「重要なのは結果を出すことなのよ!? 結果を出せない正しさに一体何の意味があるというの!?」

「その理論は正しいと思われますが、理論自体に意味はありません! 今求められている大事とは、正しさではなく行動なのでは!?」

 

 

 ーーどれも正しいけど、机上の空論だなー。つか、今更すぎるし時間の無駄とは感じんものなのかね?

 

 私が考えつつお冷やを飲んでいる間に話題は変わっていたらしく、今度は9条の話になっていた。

 

 ここの部分は割愛する。ハッキリ言って時間の無駄だ。

 なにしろ、言うことも返す言葉も何十年間変わらず続けられてる内容の焼き回しでしかないものだったからだ。適当な国会放送でも検索すれば出てくる内容と同じものだから聞く価値はない。

 もしもこの会議に価値があるとするならば、内容ではなく発言者たちの外見だけだろう。誰も彼もが美しく着飾っていて、身振り手振りにも演劇めいた見栄えの良さを感じさせる。私以外の全員が若い女性というのも目の保養になるだろう要素だ。

 

 なんだか宝塚みたいだなー。

 そんな風にどうでもいい感想を考えることで現実逃避しているとーー

 

「筆木官房副長官。貴方からも何か意見はないのですか? 先ほどから一言も語っておられないようですが・・・」

 

 粘着質な声が私にかけられ発言の主を見てみて驚いた。防衛大臣の上崎夫人だ。

 先日就任したばかりであり、失言問題で失脚した幸原みすず前防衛大臣の代わりとして閣僚の座に着いている。

 要するに彼女もまた“手に入った肩書きを守り抜きたい代理で臨時の大臣”と言うわけだ。

 

 彼女から声をかけられた途端、私に集中してくる敵意と悪意の視線。

 女尊男卑を党の理念に掲げる女性優位政党の最高幹部たちにとって『男の閣僚』と言うだけで憎悪と嫌悪の対象となるのは仕方ないとしても、流石に現在の日本が陥っている惨状まで私のせいに思われても困るのだが。

 

 ーー仕方がない。役目を果たすか。

 

 私は腹をくくって席から立ち上がり、ゴミか虫ケラでも見るかのような視線で私を見てくる総理含む閣僚全員に向けて普通の声で発言してみた。ーー無駄だろうと分かってはいたけども。

 

「日本が置かれている窮状について国民に真実を明かして謝罪し、理解を示すより他に手は無いでしょうな」

 

 私の発言に議場が重い沈黙に包まれるのを自覚してはいたものの、これ以上の問題先送りは不可能なので言うべき事を言うと予め決めていた。決定事項を実行するだけだ。大したことじゃあない。勇気も覚悟も必要としない事柄さ。

 

「その上でIS学園に救援を求めれば宜しいのではないかと思われます。

 幸いなことに学園が保有する戦力は規格外であり、現在までの損失は皆無でもありますし、戦歴から見ても実績を考慮しても彼女たち以外に日本を救える者が存在しているとは思えませんが?」

「バカバカしい! 何を言い出すかと思えば世迷い言を・・・」

「そうですわよ。仮に彼女たちが救援に来てくれたとしても、見返りに何を要求されるか分かったものではありません」

「そもそも、彼女たちが余計なことさえしなければ何事も起きずに済んでいたのです。

 責任を追及するのを猶予してあげてるのですから、感謝状の一枚ぐらい送っていただいて当然ですわ。にも関わらず無礼千万な態度。お里が知れるとはこの事です」

 

 そこまでは政治的な話題だったはずなのだが、何故かそこから個人への人格攻撃が始まってしまった。

 

「仕方ありませんわ。なにしろ事件の首謀者は、あの『伊納』の姪っ子ですもの。礼儀作法など求めるだけ無駄と言うものです」

「そうですわよねぇー。なにせ伊納は、『あの妖怪爺』の派閥に所属していた愛弟子ですもの。妖怪の弟子が妖怪になり、その姪っ子にも血が受け継がれる。必然的な流れですわよ」

「所詮、カエルの子はカエルと言うことですか。近代民主国家の鏡となるべき日本の若者がこれとは、嘆かわしいにもほどがありますわね」

「まぁ、綺麗な血に出涸らしが混ざった結果ですからね。仕方がありませんわよ。出来損ないの子は出来損ないにしか成り得ませんわ」

「雪みたいな銀髪を見ると寒気におそわれ、水底みたいに冷たい色した蒼い瞳に見つめられると気持ち悪くなったものですからねぇ・・・」

 

 ーー等々。

 ちなみにだが近代社会における一般的な倫理観は『親の罪が子に及ぶことはない』『生まれや外見で性格を決めつけるのは良くない』である。

 

 そして彼女たちは先日“事故死”した前閣僚たちが後任に指名していた現代日本の政界をリードするエリート集団でもあった。

 

「異住セレニアの責任を追求するのは結構ですが・・・どうやって?」

「もちろん、日本国総理の権限でもって、です」

「とっくの昔に命令系統から外れている上に、代表候補生でもないからと何の保証も与えていない一般のIS学園生徒にたいして、どの様な権限を行使されるおつもりで?」

「・・・・・・」

 

 不機嫌そうに黙りこくった総理に、私は根本的な間違いを正しておく必要性を感じたので言っておく。

 

「そも、日本国総理という地位は日本の国土と国民の生命を保証し、いざとなれば国家に総力を挙げさせてでも一国民の権利と尊厳を守らせることをこそ本義とすべき地位です。ご自分の政権に泥を塗ったからと言う理由で罰する権限など初めから与えられておりません」

「・・・・・・」

「なにより彼女を国法をもって裁くというのであれば、それは警視庁の果たすべき役割です。未成年でもありますしね、少年犯罪課が担当して少年法のもと厳正な処罰を下すよう厳命すべきかと」

「正気ですか筆木副長官!? 相手は戦争犯罪人なのですよ! そんな相手にまで日本の刑法を適用すべきと主張されるおつもりなのですか!?」

「彼女は銃一発撃っておりません。切ってるのも撃ってるのも大半は他国から来ている国家代表候補生たちで、指示した者より実行に移した者たちの方が罪が重いというのは日本国刑法の常識です」

「・・・それは」

「仮に、です。仮に彼女を既存の少年法で裁けないとして、ではどう言った法律で裁くおつもりなのですか? 戦時特例法でも実施なさいますか?

 尤も、今の状態など想定したことすらありませんので、一から作る必要性がありますけどね。関係官庁に指示を出すのであればお早めに」

「・・・・・・」

 

 再び重い沈黙が垂れ込めてしまったが、今度は私の発言を待たずして事態が変化してくれた。閣僚の一人が困った顔で私に問いを発してくれたからだ。

 

「仮にIS学園が救援に来てくれたとして、筆木副長官は彼の学園になにを以て見返りの報酬とする気です?

 報いるに過小であれば彼女らは不満を持つでしょうし、過剰であれば国民が納得いたしません。妥協点ぐらいは見いだしているのでしょうね?」

 

 当たり前のことを聞かれて私は少しだけだが憮然としてしまう。さすがにその程度の常識すら弁えていないと思われていたとは心外である。

 私は堂々と胸を張り、独創性の欠片もない平凡な意見をを主張することだけに徹する。所詮、家柄で出世してきただけの私にはこの程度が限界なのだ。無茶振りは止めてほしいといつも思わされるね。まったくもう。

 

「今まで通り学園島を治外法権とし、日本国は学園の必要とする運営費を提供し、無理なく可能な範囲で便宜を図る。

 学園が日本の支配権を欲するとは思えませし、それだけで十分すぎるのではありませんか?」

「それこそバカな意見と言うものです。筆木副長官、彼女たちが日本を戦争に巻き込んだ事実をお忘れですか?」

「日本は国際的には如何なる国とも戦端を開いておらず、世界が大戦の火で燃え上がっている今でも自由と平和と平等の精神を守り続けておりますよ。

 総理、憲法第9条をお忘れですか?」

「・・・・・・」

「それに、日本政府には学園側に不利益をもたらそうと画策した事実など存在してはいないのです。堂々と胸を張って居丈高に交渉に望めば良いでしょう。

 『今回の件での責任はすべて君たちにあるのだから、当然の義務として日本と国民を守ってもらうぞ? 成功したら今まで通りの関係を回復することを約束しよう』とね。

 たぶん彼らは乗ってくると思われますが?」

「・・・・・・そう思う根拠は? 根拠は何なのですか? 自信満々に断言される根拠は那辺におありなので?」

 

 どこか縋るような色を帯びてきた総理の言葉に、何人かの同僚たちが賛同するように首を何度か首肯する。・・・ほんとに末期だったのだな、うちの政府・・・。

 

「日本は貿易国です。海外から無視されれば干上がります。それは日本国内に存在しているIS学園も例外ではありません。

 生徒の中で商売のノウハウがあるのはイギリス代表候補セシリア・オルコット嬢だけであり、彼女が持ち得ている株と企業だけでは生活必需品すら補充しきれないのです。

 勝ち負けに関わらず近いうちに必ず訪れる破滅を前にして、食べれもしない意地や矜持を守るために飢えるほど素直な性格の持ち主は、既に学内に存在しないのでは?」

「・・・・・・」

「それから勘違いの無いように言っておきますが、日本国政府はIS学園に救援を要請する側なのですよ。乞食ではないのですから、這い蹲って慈悲に縋る必要はありません。

 『京都大火に前首相官邸の蒸発、この二つを今まで通り秘匿しておいてやる代わりに戦ってくれ』と、こういう風に対等な立場でものを頼めば必ず応じてくれると私は思っておりますよ」

 

 言い終えると同時に今までで一番重い沈黙が舞い降りると皆を包み込んで、テンションを地の底まで叩き落としてしまったかの様であった。

 やがて総理が震える手と声で私に警告を発する。

 

「貴方の意見は理解しました。座って宜しい、筆木副長官」

「はい、総理。わかりました」

「結構。ーーそれとですが、これは確認ではなく既定事実でしかないのですけれど一応聞くだけ聞いておきますわね。

 筆木次官、貴方もまた『与えられた地位を守り抜きたい側』の一員であり、私たちと同じ穴の狢。そう解釈して問題ないのですわよね?」

「無論です。私もまた現代日本に生きる政治家の一人。やるべき事と守るべき対象を間違えたりは致しませんよ」

「・・・それを聞いて安心しました。では、次の議題に移りたいと思います。増え続けている国民の暴徒化と彼らの起こす暴動騒ぎへの対処法について。ーー稲垣君」

「はい、総理。我が金融庁が試算したデータによりますと、ネットなどで違法公開されているサイトに日本の食料が残り一月保たせられるか否かである事実をアップされた結果なようですね。

 そのせいで次年度の国家予算は荒れに荒れ、今年度よりも更に少ない予算案の作成を急がせております」

 

 

 始まってもいない戦争が終わった後の、来年度を想定した予算案の作成について白熱していく会議室。

 

 貿易立国でありながら、船が出ないし来ない状態で次年度の予算案作成についての何を語っているのか興味はあったが、今の私にとってはどうでも良い事柄でもあった。

 

 

 

 

 

 成すべき事、果たすべき責任を自覚した私がオフィスに戻ると案の定と言うべきか、やはり彼が我が物顔でソファにふんぞり返って占領しながら片手をあげてくる光景を目にする事となる。

 

「よう、筆木。調子良さそうじゃねぇか。なんか良いことでもあったなら俺も混ぜろよ。友達で先輩後輩で同期でもある深い仲だろ俺たちはよ」

 

 私は思わず苦笑を返すことしかできない。

 

 かつて学生時代の良くない先輩であり、貝木先生の元で学んだ政治家としての同期であり、派閥は別でも海面下で接触しあい協力しあって現在日本のIS産業経済を築いた三人の共犯者のうち最後の一人でもある人物。

 

 ゴップ議長とトリューニヒト国防長官が十年先、二十年先まで見据えて描いたIS社会構築計画の日本地区担当責任者の一人。

 

 貝木澱宗、伊納太郎、そしてこの私『筆木会津』。

 この三人で成し遂げた偉業が『白騎士事件』に端を発した世界的混乱を短期間に僅かな犠牲だけで終息させ、『人命を人柱に使うことでIS社会を構築したこと』だったという事実を知ったら、小心者な総理は泡を吹いて倒れるかもしれない。

 

「お久しぶりです、伊納先輩。クリスマス直前に事件をでっち上げて議席を蹴り飛ばす事により拾えた命と、今の無職で気楽なお立場は如何なものですか?」

「存外に悪かねぇぞ? お前も成ってみたらどうだ? 議席を蹴って「王様の耳はロバの耳!」と叫んだら少しはせいせいするだろうしよ」

「遠慮しておきます。私は国会議員として成さねばならない義務がありますからね。

 ーーすべてを世間に公表して、国民を裏切っていたことを謝罪しながら指さされて笑われて引責辞任することで閣議を道連れにしなければならないと言う義務が。

 貝木先生が私を生き残らせた理由が其れである以上、私は義務を果たします。それが、この狂った時代を招いてしまった私なりの罪の償い方ですよ」

 

つづく

 

 

 

余談のモブキャラ名前解説。

 

筆木会津:

筆木=ペンウッド卿(HELLSING)

会津=ウォルター・アイランズ国防委員長(銀河英雄伝説)

 

二人の共通点は同じように「私は無能な政治家です・・・」な感じの考え方で、人生最後のわずかな期間を政治家として燃焼し尽くした時間によって数十年間の惰眠よりも強く人々の心に印象付けれれた事。

それから、自らのそれまでに対して率直な批判を口にしていたこと等です。

 

よく創作物では若者に対して「君たちは眩しい」「若さとは素晴らしい」的な事を言われていますが、私は彼らのような生き方もまた素晴らしく美しい晩年だと思っていますので採用させて頂きました。

 

最期だけ綺麗に飾って自己満足だけを共に逝くのは見ていて不快ですが、彼らのように自分の汚さを自覚しつつも自分の汚い人生を僅かでも肯定しながら死んで逝けるよう自分なりに努力するのは凄いし羨ましいなと思ってしまう、世間的には青二才呼ばわりされる年頃の作者でした。

 

ちなみに防衛大臣の上崎夫人は、銀河英雄伝説のコーネリアス・ウィンザー夫人を適当に訛らせました。




話とは関係ないですけど、不見識な自分を反省する為ユニコーンを観てたら、良い人そうだったダクザ中佐が民間コロニー内で戦闘行為を指揮してたり、敵とは言え未成年者の少女の頭に銃突きつけてテロリスト相手に交渉迫って来てたりと二面性の落差に驚かされました。

戦争ってやっぱり綺麗事だけでは駄目ですけども、綺麗事が無ければ非道しか起きえないんだなと実感した次第です。反省。

あと、ニュータイプ達ってやっぱり純粋ではあるんだなとも思いました。
なんだかんだ言っても主張の方向性自体は最後まで変わらないですしね。彼らが「大人たち」と口汚く罵る態度にも僅かながら共感できました。

出来れば悪しざまに罵るだけでなく、嫌な大人たちからも何かしら良い方向に学んでいけるようなニュータイプ主人公のガンダム作品求ム。ご存知の方はどうか作者までご連絡を!
よろしくお願い致しまッス!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。