IS学園の言霊少女(本編終了・外伝スタート)   作:ひきがやもとまち

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更新遅れて申し訳ありません。
大分前に一度完成したのですが、せっかくラブコメを原作にしているのだからヒロイン出したいなと思って書き直したのですが、やっぱりコメディにしかなりませんでした。



私にラブコメの才能は無いのかもしれませんね・・・。

*今回は微エロ要素有りです。


6話「我が家はホームでアウェー」

 今、私は休日を利用して久しぶりに自宅への帰路についています。

 IS学園は全寮制であり、学校から自宅まで近かろうが遠かろうが関係なく、強制的に寮生活を強いられます。なんでも、将来有望なIS操縦者たちを保護するという目的からだそうですが・・・そもそも何故保護する必要があるほどのVIPたちを一カ所に集めた場所を町中に作ったのかが分かりません。

 普通にテロリストが潜入しやすいわ、何かあったときに周囲に及ぼす被害が半端ないわでメリットがなにもなく、デメリットだけが満載です。

 物資調達の利便性という事なら、生徒一人一人に注文したい品を書いてもらい発注すれば済むことでしょう。何のための世界に一つだけのIS操縦者育成機関ですか。権力の使い所を全力で間違えているとしか思えませんね。

 しかも夏に予定されている毎年恒例イベントの臨海学校・・・はたして経営者は、本当に保護とか機密と言った日本語の意味を正しく理解しているのでしょうか・・・?正直、不安で仕方ありません。

 その内、ISを所有するテロ組織の構成員が堂々と侵入してくるような事態にならなければいいのですが・・・。

 

 明らかに学生のノリで運営されている学校に保護されている世界最高戦力の将来の担い手たちですか・・・この世界、ちゃんと未来あるんですかね? 第三次世界大戦くらい簡単に起きてもおかしくない条件がそろいすぎなんですけど・・・。

 

「・・・ダメですね、せっかくの休日なのにちっとも心が安まりません。もしかしたら私はワーカーホリックの気でもあるんでしょうか・・・?

 ・・・休む日と書いて「休日」・・・ここはひねくれボッチ先生のお言葉に従いますか」

 

 口に出して宣言したのは、誰かに聞かせるためではなく、私自身に対するたんなる自己暗示です。

 こうでもしないと、完全に休むことなど絶対に不可能です。

 ただでさえ最近、パンダさんが某週刊少年マンガ誌の出版社へ持ち込みを始めてしまい本気で胃が痛い思いを味わっているんですから、これ以上おかしな事態にならないように慎重に行動しなければいけません。

 気のせいだといいのですが、私が関わった案件に限って原作を改編してしまっているような、そんな気がするのです。

 原作を読んだことのない私には判断がつきませんが、心の中のアラートが凄まじく鳴り響くのを感じていまして・・・本当に毎日胃が痛くて仕方ないですよ・・・。

 

 

 ・・・ちなみにこのアラート、今現在の目的地である私の自宅に近づけば近づくほど大きく鳴り響いています・・・。

 まるで世界の終わりを告げる三度目のラッパのような、そんな破滅的なBGMです。

 

 ーーーこの世界は《インフィニット・ストラトス》ですよね?

 間違っても『地獄の黙示録』じゃないですよね・・・?

 

 ・・・私みたいにキルゴア中佐が転生してたらイヤすぎますよぉ・・・・・・

 

「・・・自宅がアウェーで戦場な私は何処に行けばいいんでしょうか・・・?

 いっそ、寮に三年間引きこもりましょうかね・・・・・・」

 

 ネガティブにそう呟きながらも、私が足を止めないのは諦めでも諦観でもなく、たんに他に行くところが無いだけだったりします。・・・友達少ないんですよね、私・・・。

 我ながら哀愁を漂わせている事を自覚しつつ、気づいたら「異住」の表札が付いた平凡な一軒家の前に居ました。

 言うまでもなく我が家です。

 門をくぐってドアを開けると、そこに居たのはーー

 

 

「お帰りなさいお姉ちゃん。

 お風呂にしますか?お食事にしますか?それともーーい・も・う・と☆にしますか?」

 

 ーー全裸で両手を広げて私を出迎える実の妹でした。

 

 私は一切躊躇わずに、いま開けたばかりのドアを閉めます。

 

「なんで閉めるんですか!?なにが気に入らなかったんですか!?

 全裸ですよ!美少女ですよ!実妹ですよ! 全裸の美少女妹が迎えてくれたらその場でHに突入するのが世間の常識でしょう!? なんで拒絶するんですか、私にはまったく理解できません! 横暴です!DVです!妹虐待です~っ!!」

「・・・しいて言えば、全裸の美少女が実の妹であるところが問題ですかね。いえ、他にも問題てんこ盛りですが、まず一番目はそこです。

 それと、その格好で家から一歩でも外に出たら猥褻物陳列罪で捕まりますよ。DVよりも罪は重いです」

「なんでお姉ちゃんはそうやって常識にばっかり拘るんですかぁ~っ!

 いいじゃないですか、実の姉と妹がSEXしたって、交尾したって、性交したって、Hしたって! お姉ちゃんと私の二人で新たな世界のアダムとイヴになりましょうよ~っ!」

「それ全部同じ意味ですからね?ついでに言えば完全に法律違反ですからね? いいから早く服を着なさい。四十秒で支度しないと私は学園に引き返しますよ」

「くっ・・・!一週間ぶりに愛する姉と再会できる悦びにうち震える妹心を利用した悪魔の如き所行・・・!私は姉の横暴な振る舞いに断固抗議します!行政に訴えるのも辞さない構えです! もちろん全裸で!しかも、土下座して!!」

「わかりました。では、帰ります。おみやげは玄関に置いていきますから、あとで母さんと食べてください。

 

 ーー次に帰宅するのは一ヶ月後の予定です」

 

 ドッタンバッタンと大きな音が轟いた後、ゴソゴソと何かを身に纏う音が聞こえてきました。

 

 ・・・毎度のことですが、この儀式をしないと家に入れないのは面倒で仕方がありません。スキップ機能は付いていないのでしょうか?《インフィニット・ストラトス》がゲーム化したら搭載されると思うのですが。

 

 まぁ、もっともーー

 

「私だったら買わないですけどね、このゲーム。・・・ヒロインがイロモノばっかりですし・・・・・・」

 

 ツンデレ巨乳は正統派ですが、あとの二人はオタクに変態。まだまだ残りが四人もいますが、この調子だと癖の強い美少女たちなんでしょうねぇ・・・

 

 ・・・ああ、もう・・・胃が痛くて仕方がない・・・・・・・・・

 

 

 

 

「おお、セレニア、帰ってたのか。今ちょうどご飯の下拵えが終わったところだから、着替えて居間でゆっくりしていてくれ。

 今夜はおまえの好きなビーフシチューだぞ。どうだ?嬉しいだろう?

 おまえはちっちゃい頃からこればっかり食べてたもんなぁ」

 

 そう私に告げにきた私よりもさらにちっちゃい女の子は異住・フェリシア・リトル。信じられないことに私の母でーー現在四十二歳のオバサンだったりします。

 

 いったいどういう肉体構造をしているのか、小学生の時に身長が123センチで止まってしまったそうです。おまけに童顔で体格も小柄。町を歩くまでもなく、ご近所さんからも「幼いのにしっかりした子ねぇ~」と言われている神の奇跡の四十代です。

 

 ちなみに、先ほど私を全裸で出迎えた妹の名は異住・ミレニア・ロング。中学二年生ですが、スラリとした長身と、あきらかに発育の良すぎる中学生離れしたプロポーションが原因でAVにスカウトされたことがある、母とは逆方向に悪魔の奇跡の十代前半です。

 

 どちらも銀髪碧眼なのは私と同じですが、母は合法ロリで妹は反則ボディという両極端すぎる二人が私の愛すべき家族であり、同居人たちでもあります。

 父もいますが、現在は海外へ単身赴任中。赴任先はナウル。太平洋に浮かぶ小島で世界最貧国の一つです。

 

 ・・・いったい父はなにをやらかしてこんな僻地に飛ばされたのでしょうか?・・・まさか父の不幸体質が娘の私にまで遺伝してたりしませんよね・・・?

 ・・・・・・明日、IS学園に戻る前にお守りを買いに行きましょう。

 

「そう言えば、お前にお客さんが来てるぞ。居間に通そうとしたら部屋で待ちたいと言うから上げてしまったけど、よかったか?」

「いいんじゃないですか? 別に見られて困る物も恥ずかしがる物もないですし。・・・ミレニアさんの部屋には頼まれても絶対行きませんから、エッチな本とかは隠さなくても大丈夫ですよ?

 ですから、そんな期待に目を輝かせた表情をしないように」

「なんで解っちゃったんですか!?

 あと、エッチな本以外にもエッチなゲームとかエッチなフィギュアとかエッチなポスターとか色々あります。しかも全部「お姉ちゃんキャラ」ですよっ!」

「・・・なぜそこで胸を張るんですか貴女は・・・少しは恥じらいなさいよ、女の子なんですから・・・」

「大きいですからね!張らないのは人類にとっての大損害です!」

「・・・・・・・・・・・・・・・はぁ・・・・・・・・・・・・・・・」

 

 ・・・疲れる・・・。

 家に帰ってきたのに全然心も体も休まらない・・・。

 ここはもう、さっさと自室でお客さんとやらに会いましょう。

 少なくとも、このどこかの変態会長を彷彿とさせる妹といるよりかはマシなはずです。

 ーーーマシであってください、ほんっとお願いですから。私のライフはもうゼロですよ・・・。

 

「・・・お姉ちゃん、ミレニアはいつお姉ちゃんが夜這いに来てもいいように部屋の鍵を開けて一日千秋の思いで待ってますよ・・・?

 ーーとうぜん、全裸でね♪」

 

 ・・・・・・・・・なにも聞こえませんねぇ。誰かがなにか言っていたような気もしますが、どうせ戯言でしょう。ですので、完全無視です。

 

 ーー今絶対に欲しくないのは、余計なフラグだけですからね。

 

 

「あ、セレリンお帰り~。おじゃましているのだ~」

 

 そう言って、ブカブカの制服に身を包んだ小さな身体(その割に大きな胸ですが)によく似合う、ブンブンと手を振る子供っぽい仕草で私を迎えてくれたのはーー

 

「布仏さん・・・」

 

 彼女ーークラスメイトの布仏本音さんは、私の呟きに微妙に不機嫌そうになって、普段から眠そうでやる気のなさそうなほんわかした笑顔を僅かにしかめました。

 

「ぶぅ~、そうじゃないでしょ~。

 ちゃんと言ったよぉー、私の事はのほほんさんでいいって。

 まったくも~、何回言えば分かるのかなぁー。お猿さんでも同じ事を十回も教われば実行できるようになるよー。逆に私は二十回教わっても実行できないのだ~。

 つまり私はお猿さんよりも出来ない子~、ウキキのキ~。にへへ~」

 

 緩い態度と表情でにぱぁっと癒し系の笑顔でニコやかに自虐る布仏さん。・・・癒されますねぇー。

 

「・・・それで? 今まであまり話したこともないクラスメイトの家にわざわざいらしたからには、それなりの理由があるのでは?」

「むぅー。なんでクラスメイトが家に来たことを、素直に友達が遊びに来たって解釈できないのかなぁ~。

 そういうところは、ひねくれ者って感じがしてあんま良くないよー?」

「・・・・・・自覚はあります。反省はしていません」

「少年犯罪者かっ!」

 

 おや、珍しい。布仏さんがツッコみました。

 明日は雨かあるいは雪か・・・さもなくばミサイルでも降るんでしょうかね? ハイスピードバトルアクションらしく。

 

「ーーまぁ、セレリンの言うとおり今日は用事があって来たんだけど・・・。

 でも、私個人としても、もっとセレリンと仲良くなりたかったし、ずっと家にも遊びに来てみたかったんだよ?」

「・・・有り難うございます」

 

 私にはそう言うのがやっとでした。

 なぜかと言えば、私は人から好意的な態度で接して来られる事に慣れていないのです。

 前世からそうだったのか、私はどうにもボッチ気質なところがあり、基本的に一人で行動しますし、一人で居ることを孤独とは感じないタイプです。

 だからなのか、悪意や無関心などには特にこれといった反応は示さない代わりに、好意に対してはややキョドッてしまう事が多く、それを誤魔化すためにこの様なぶっきらぼうな態度を取ってしまいます。

 

 ・・・なんだか自分がすごくチョロチョロした、チョロインに思えてきましたが・・・気のせいですよね・・・?

 

 自分の中に芽生えつつある(ような気がする)チョロイン属性から目を逸らしていると、布仏さんは綺麗に包装されたお菓子の箱を出し、三つ指ついて深々と頭を下げてきました。

 

 ・・・・・・って、なに!?なにごと!? なにがあったんですか!?

 

「これをどーぞ。お姉ちゃんからのお詫びの品です。

 この度はうちのお嬢様がとんだご迷惑をおかけしました~」

「あ~・・・・・・・・・」

 

 突発イベントに弱い私は大いに狼狽えましたが、この言葉でようやく事態を理解する事ができました。

 これは先日の「生徒会長、下級生の教室にて淫行騒動を起こす」事件の後始末というか事後処理というか、とりあえず上司が迷惑をかけた顧客へ部下達が謝罪して回っているという、サラリーマンがよくやるアレですね。わかります。

 

 布仏さん自身もそうですが、お姉さんである虚さんも生徒会役員です。

 下級生の教室で変態行為にいそしむ生徒会長を力付くで強制撤去するためにやってきて、鉄拳の一撃で見事に事件を解決した虚さんと意気投合して(同じ人物に迷惑を被っていますからね)その縁で妹の本音さんともほんの少しだけ親しくなりました。

 布仏さんでは姉妹のどちらを呼んでいるのか判りづらいので、これからは彼女のことは本音さんとお呼びしましょう。

 

 本音さんはのんびりとした声音と緩い態度から侮られがちですが、実際は相当に頭が良くて人付き合いが上手い方です。

 なによりも『常識』が通じる、この作品では極めて貴重な人材です。

 正直、何故この方がヒロインでないのかが不思議なほどの優良物件だと私は思っています。。

 誰にでも気軽に話しかけれて、きつい態度で返しづらく、おまけに巨乳というのは正に王道のメインヒロイン要素だと思うのですが・・・古くさいんでしょうか?

 

(ーーいっそ、新しい織斑ハーレム構築の際には候補になってもらうのも一つの手かもしれませんね・・・。彼女なら今の織斑さんにもなにかしら長所を見つけられるでしょうし。

 ・・・無いなら無いで、なんだかんだと上手くやって幸せになれるでしょう、きっと。たぶん、おそらくは。そうなる事を祈っておきましょう)

 

 しぶとく原作への針路修正を諦めきれない私が頭の中で皮算用していると本音さんはーー

 

「ところで~、難しい話はコレくらいにしてさぁ~ーーー」

 

 すすすっ、と私の側にすり寄ってきました。

 あまりに自然体で違和感のない慣れた動きに、ドが付くほどの素人である私はなにも反応できず、気が付くと彼女に背後を取られていました。

 

「本音さん・・・?」

「んっふっふ~♪」

 

 背後に回った彼女は、普段通りの眠そうな笑顔と両目になんだかイヤな予感を抱かせる『なにか』を浮かべて両手をワキワキと動かします。

 

 ーーーあれ? もしかして『コレ』って・・・・・・

 

「うふふ~♪ お嬢様から教わった方法でセレリンとの仲を一気に急展開させるのだぁー」

 

 その言葉に私は自分の顔色が真っ青に変わるのを自覚しました。

 『それ』はいけない。『それ』はダメだ。『それ』は禁忌とされている。ーーと言うか、本当に『それ』だけは止めてください、お願いですから。

 私は今でこそ女ですが前世は男だったんです。記憶はほとんど失っていますが、それでも男としての自意識は一応残ってるんです。

 なのに、この状態で『それ』をされたら私の中の『男』が完全に消えてなくなってしまいます。

 それは少しイヤですし・・・なんだかちょっとマズい事になる気がしましてですね、ですからその、あの、えーと・・・・・・

 

「い、いや・・・やめて・・・・・・」

「うふふ~、かわいい声で言ってもダ~メだよ~。

 それじゃあ行くのでお覚悟を~。イった先は天国だぜよ~。

 お嬢様直伝、誰かと仲良くなるための必勝法『更識流くすぐり術』発動!こちょこちょこちょー!」

「はぁぁぁぁんぅ・・・っ!」

 

 私は自分でも信じられないくらい大きな声を上げてしまいました。

 必死に声量を落とそうとしますが身体が言うことを聞いてくれません。

 いえ、そうではなく全力を振り絞っても声を抑えきれないのです。

 その理由を本音さんは勘違いしたらしく、楽しそうな声で嗤います。

 

「おやおやおや~? 意外と良い反応ですなぁ~。

 もしかして~、こういうの~、好きだったりしちゃうのかなぁ~?」

「ちが・・・うぅ・・・はぁ、はぁ・・・おねが・・・やめ・・・はぁんっ!」

「なにが~?なにが違うの~?こーんなに、身体は正直なのに本心を誤魔化すところはほーんとひねくれ者だなぁ~。そんな悪い子はこうしてやるのだ~」

「はぁん、ふ、ん・・・あ、や、くふぅ、っん・・・・・・!」

「・・・・・・・・・・・・あれ・・・?」

 

 私の反応に違和感を感じたのか、本音さんが不審気に呟き、手を止めます。

 おそらく私の声から微かな『艶』を感じ取ったのでしょう。

 

 つまり、その・・・ですね・・・。私がくすぐられていながら・・・えと・・・・・・感じてしまっている事に気づかれてしまったようでして・・・・・・

 

 マジマジと、あるいは少し引き気味に彼女は、息も絶え絶えで赤い顔して喘いでいる私に、恐る恐る尋ねてきました。

 

「えっと・・・セレリンってもしかして・・・脇が性感帯だったりするのか・・・・・・な・・・・・・?

 ーーーあ、いや、なんでもないよ~。そんな事あるはずないよねー。私ったらなに聞いちゃったんだろうね~? もう、本音のウッカリさん☆えへへへへ~♪」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・え? ウソ?マジで? 本当にほんとの本気で・・・・・・・・・?」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(こくり)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 先ほどまで騒がしかった室内に突如として訪れる、重すぎる静寂。

 き、気不味いですね・・・。・・・おもに私のせいではあるのですが・・・・・・。

 

 私としては一人で居るときに静寂なのは慣れてるというか何時も通りなので気にもなりませんし、ぶっちゃけ一人なのに騒がしいって明らかに寂しさを誤魔化しているだけなので、そうでないだけマシなのですが・・・。

 

 この静寂はダメです、辛いです。

 て言うか、空気が重いです。物理的な重量を感じるほどです。

 その重さに耐えかねたらしく、本音さんが普段通りを装い(若干引き吊っていましたが)眠たそうな笑顔に明るい声で『それ』を口にしました。してくれやがりました。

 

 私にとっては致命傷になり得る『禁断の一言』であるその単語をーーー

 

「い、いやー、ゴメンだよセレリン~。謝るから機嫌治してー? ほら、飴をあげるからさ~。・・・・・・えーと・・・あ、そうだ! そう言えばセレリン。セレリンって意外とオッパイ大きいんだね~。いわゆる『ロリ巨乳』ってやつなのかなーーー」

「ーーっ!! い、いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」

「ーーーえ?」

 

 突如として放たれた私の、普段ならば絶対出さない女の子みたいな悲鳴に本音さんは驚きのあまりキョトンとした表情になりました。

 私は暴かれた禁断の秘密に恐怖し、部屋の隅でうずくまってガタガタと震えながら膝を抱えて座り込みます。

 

 

 ついに、知られたくない事実が知られてしまったぁぁぁぁぁっ!!!

 

 

 ーー基本的には、妹の性癖を除いて転生先に不満のない私ですが、たった一つだけ以前より気になっていた部分があります。

 

 それはーー家族の『体型』。

 

 いちおう私自身、気づいてはいたんです。

 母と妹が『アレ』な以上、私の身体にもいわゆる『萌え要素』が詰め込まれているんだろうな、と。

 なにしろ、この世界は《インフィニット・ストラトス》。

 ジャンルはハイスピード学園バトル『ラブコメ』。

 ラノベのラブコメに登場する女の子がどういう容姿をしているのかは、前世において充分承知している私です。

 である以上、このラブコメ世界に転生し、ラブコメの登場人物の一人(脇役ですが)として生きる私が萌えキャラとしての要素を与えられるのは時間の問題でしょう。そう覚悟をした上で人生を送ってきました。送ってきましたがーーー

 

 

 ーーーさすがに・・・この萌え要素はヤメてほしかったですよぅ・・・・・・

 

 

「・・・ええ、そうです。ロリっ娘ですよ、巨乳ですよ、お色気系萌えキャラですよ、エロゲーヒロインの方が向いている体型ですよ。

 ええ、ええ、そうですとも。身長143センチでバストは87ですよ。バランスがおかしい、いかにもなお色気要員ですよ。

 ーーーでもね、仕方ないでしょう!?私だってなりたくてなった訳ではありませんよ!普通のロリっ娘のほうが何倍もマシでしたよ!

 だいたい、あの母と妹を見れば分かるでしょう!?ぜったいに私にもイロモノ系の特徴があることが!

 そうです、そうですよ、そうですとも!私はロリ巨乳ですよ!まだ成長しきってないのか、未だに大きくなり続けてますよ!

 でもですね・・・私だって・・・・・・私だって・・・・・・・・・こんな身体に生まれたことを結構気にして今まで生きてきたんですからねっ!!」

 

 目を大粒の涙で満たし、大声を張り上げて絶叫する私。

 今の今まで溜め続けていた物が一気に噴出してしまったようです。

 正直、これほど感情をモロに表に出したのは転生後初めてだと思います。・・・なにしろ、今まで大声を出しても受け入れてくれるほど仲の良い友達がいなかったものでして・・・・・・

 

「ーーーセレリン・・・・・・」

 

 本音さんが優しい笑顔を浮かべて歩み寄ってきました。

 優しく私の肩に自分の手をおいて、ふんわりと微笑みます。

 その表情は、ゆるふわほんわかな何時もの眠そうなものではなく、慈しみを込めた優しい笑顔でーーー

 

 ーーーああ、私は知ってますよ、この表情。

 この聖母の如き慈愛に満ち満ちた微笑。

 そうです、これはーーー

 

「・・・・・・ドンマイ!」

 

 ーーーかわいそうな人を慰めるときの笑顔です。

 

「ーーーう、う、うわぁぁぁぁぁぁぁぁっん!!」

「ああ、セレリン、泣かないで! 大丈夫だよ!そういうのも需要あるよ!貧乳は希少価値でステータスだけど、ロリ巨乳だって立派な萌えポイントになーーー」

「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっん!!!」

「ああ!?さっきよりも大きく泣き出しちゃった!?

 と、とにかく落ち着いてー!そ、そうだ!飴を、飴をあげるから泣きやんでセレリン!

 ほ~ら、良い子良い子してあげるから~。・・・ね?」

「うぎゃぎゃぎゃぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁっん!!!」

「あ、あれぇぇぇーーーー!?」

 

 人外のような声で泣き叫ぶロリ巨乳(私)と飴で宥めるゆるふわ巨乳(本音さん)。

 阿鼻叫喚地獄再びです。先日のIS学園職員室でおきた騒ぎが縮小されて我が家で再現されました。

 

 

 

 こうして、私は転生してから初めて本音を言える相手(いまさら取り繕っても遅すぎですから)を得たのでした。

 

 

 

 ぜんっっぜん、嬉しくないですけどねっ!

 これで、よく分かりましたよ。

 やっぱりーーー《インフィニット・ストラトス》の女の子は基本おかしいです。

 ツンデレ、二次オタ、変態・・・これらがヒロインですからね。

 だから当然ーーーその世界に女の子として転生した私もおかしいのが標準装備なのです。なかなかにラブコメらしいと思いませんか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 やはり私の転生先が学園ラブコメだったのは、神様の間違いか、ただの嫌がらせでしたね!

 

つづく




のほほんさんをヒロインにしたかったのに、結局いつもの感じに収まってしましました。無念です。

次回は三部構成にしようかと思いましたが、折角なので山田先生による今までの振り返りと千冬姉の救済をしようと思います。

ぶっちゃけ、今のままではラウラをどうすればいいか分からないので・・・
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