「ふー…。よし」
心を落ち着かせ、態勢を低く構え魔獣目掛け走り出した。
懐に入り込み順手で短剣を脇腹に突き刺す。
さらに、2本目をだし魔獣の眼に目掛けて投げるが、頬を擦っただけだった。
魔獣と目が合う。
こころなしか笑ってる様にも見えなくない。
「随分と余裕な感じ…」
「スゥ…ギャアアアアアアァ!!!!!」
咆哮。その激しい咆哮により、私は咄嗟に耳を塞いでしまった。
ヤバい。身体中に危険信号が飛び交う。
魔獣は前傾姿勢で走り込み、握り拳を作り振り下ろした。
「ッ!」
咄嗟に左に飛び込み、3本目の短剣を取り出し、走り出す。
魔獣が右手を後ろに構え、右ストレート。
それを左に回避し、背中に回り込み
「せやぁぁぁああ!」
力を入れ、短剣を背中にブッ刺した。
グチャッ
引き抜くと同時に生々しく音が耳に響いた。
「グァァァァアア!!!!!!」
短剣を刺した部分から大量の血が噴き出し、魔獣は立膝をついた。
その隙を逃さず走り込み、背中を踏み脳天を滅多刺しにし、飛び降りた。
「ギャァァァアアアア!!!!」
言葉になっていない叫び。
魔獣が力いっぱい蹌踉ながらも手を振り回す。
弱まるのをただ見ていた。
気を緩めた瞬間、
「ッ!?」
身体が吹っ飛ばされている浮遊感。
身体に力は入らないが、手が痙攣してるのが微かに感じ取れる。
薄くなる意識の中、手を伸ばすも蹌踉ながら空を掻いている魔獣には届かない。
バサッ
木の葉の上に落ちた。
身体が冷たい。
どんどん冷たくなる。
まるで何かが身体の外に流れているような感覚。
ドン、ドン、ドン
地響きは近づく。
そうか…
魔獣は一匹じゃ無かったのか。
遠のいて行く意識の中空を掻いていた魔獣と私の真ん中に立って勝ち誇っているような魔獣がいた。
目があったような気がした。
やっぱり笑っているような気がした。
「んっ…ったッあぁ」
身体が痛い。
動かそうとしてもビクともしない。
視覚的情報だけでも目を動かす。
どうやらここは宿のようだ。
自分の身体は包帯塗れ。
「んー。おっ?お目覚めかい?」
誰?
私が全力で不思議そうな顔をしていると、
「あーボクは君を助けた人だよ〜。」
「ぁ…りが…と」
駄目だ…身体が痛くて思う通りに話せない。
「いえいえ〜。まだまだ本調子じゃないでしょ?それは君が一番分かるよねー。だからそこで安静にしててよ」
「こ…こは?君は?わか…んない…事ばっか…」
「あーまぁそうだよね。じゃまず自己紹介から!ボクはハナだよ。後、ここはあの森から街二つくらい離れた場所の宿だよ。ヨロシクねーシロちゃん」
「なん…で?」
「それはねーボクはこんな見た目だけどこれでも暗殺専門としててね。依頼書で知ったって事」
暗殺?
って事はこの子は私を殺そうとしてっ!!?
逃げなきゃ!!
「あははーその身体じゃ無理だよー。まずはさっきも言ったけど安静にしなきゃね?まぁ殺されると思って逃げようとしたんだろうけど違うしさ。ボクは君は殺さないよー。だから安心してよ。だってそうでしょ?君がすやすや寝ている間ボクは君の看病してたんだよ?目が覚めて自己紹介して、はいーじゃあ殺すよ、なんてそんな悪趣味は持ってないよ…」
じゃあなにが目的で助けたの?
「不思議そうな顔だねー無理もないか。仕事放棄して君を助けたんだもん。まぁ理由としては…君は短剣で戦うんだよね?一応一部始終は見てたんだけどさ」
肯定。
頭を少しだけ縦に振る。
「まず一本取り出して魔獣に出した。次に二本目は投げた。三本目は頭をどんだけやるのっていうくらい滅多刺し。君が倒れた辺りに二本。そんで魔獣倒した後にちょっと身体を見たんだけど、身体に着いてた短剣五本。合計で十本。これはボクの中では結構異常だしあんな腕立つのに一切名前が出回ってない。十本の短剣使いなんて世界中探しても君くらいだよ。それで興味が湧いたから助けたくなったの。まぁ他にもあんだけど…」
??
教えてくれないんだ…
「まぁいいや。興味があるの。君に」
顔近いって!
なんで顔背けれないのかな!
「追々ちゃんと教えてよね。だから早く元気になってもらうためにも安静にしててよー。ボクは晩御飯作ってくるから。汁物くらいなら飲めるでしょ?」
頭を縦に小さく振る。
「任せてよ!」
台所に立って鼻歌をしながら料理をしてるハナの後ろ姿を見ていた。
あんなに小さいのに魔獣を一人で倒せる程の実力。最初は殺そうとしてたんだから集中していた私に気付かれない澄んだ殺気。腕は相当だろう。
まぁ油断してたとはいえ魔獣の接近に気付かない私だから…あれだけど。
こっちも沢山聞きたい事が出来た。
早く治らないかなと無理な希望を願いながら目を閉じた。
ありがとうございます。
こんな感じに進めていこうと思います。
地文は感情がありそうな文は心の中で思ってる言葉で、背景や場面は淡々と書くといった感じに書いてます。
読みにくいですが慣れてくれると幸いです。