〔数日後〕
ハクの追放に家臣達は動揺した。
特に西美濃四人衆と明智家、頭脳鮮明な竹中家は瞬時に龍興のハク追放を愚策と思った。
龍興の頭の中でこの家臣の中から使える者と使えない者を別けていた。
先程上げた人物達や老人達は比較的使え、比較的若い連中は使えないと思った。
「今日の会合はここまでとする。」
強い口調で言いきり、自室に戻っていった。
【自室】
「すまないことをしたな。」
「いえ、我々もわかっておりましたし、ハク様の護衛もいるので大丈夫です。」
俺の前にいる老人は商人だった男だ。
ハクの元におり、護衛をしていたり働いていた者は俺の配下に加わっていた。
これが自分の支持層である。
「あいつらは来るだろうか。」
「来ますとも。」
「龍興様、稲葉様以下数名がお見えです。」
「部屋に入れろ。」
「は!!」
「龍興様!!なぜハク様を追放なさったのですか!!」
10名の使える家臣達が部屋の中に入ってきた。
「まぁ座れ。あと俺を殿様と思うな。」
「は!!・・・え?」
「理由を話していく・・・ハクを追放したのはここが危険であるからとハク自身がたまに国に帰りたいと言っていたのを聞いたからだ。ハクの国は日ノ本ではない。もっと北に存在する。ここが危険である理由は織田家の膨張と今川家の衰退だ。今川家の現当主もそれなりの者だが、勢いがないのだ。対して織田家は勢いがある。情報によると徳川家と同盟関係ができる可能性がある。妨害工作もしたが、効果があまりなかった。どちらにせよ戦火はこちらに来るだろう。」
「では・・・」
「言いたいこともわかる。こちらから攻めろだろ。したくてもできないのだ武田家がいつ動くかわからない。父は西の関係を重視した結果、東の武田は織田と友好関係である。・・・間違いなくこの国は滅ぶ。お前達には時勢を見て織田についてほしいのだ。」
「な、何を言うのですか!!」
「ふざけないでください!!」
「ふざけてなどおらぬ!!言いか、よき聞けよ・・・織田には帰蝶がいる。つまり斎藤家の者がいるのだ。お前達は古い家臣達だ、道三様、父の義龍、忠誠を誓っているのは俺ではなくそちらだろう。お前達は俺を見ていないのだ。私は信じることができない。なら斎藤家の有能な人物は帰蝶の元に送り、美濃侮りがたしと思わせてほしいのだ。無論俺も数年は動く、民を見捨てる訳にもいかないからな。・・・頼む。私には父のように大大名になれる力がないのはわかっているのだ。お前達は保身にはしってくれ!!」
彼らは義龍を呪った。
有能すぎて龍興に忠誠を心から誓えないからだ。