【青森城】〔夏〕
愛弓を大坂城に入れた後、俺は新た領民となった約6500名のうち、女性は茶畑、生糸生産、漆細工、大衆料亭に働かせ、男は忍びの技術を学校で教えさせる教師、鉄砲鍛治はガラ紡等のカラクリを作ってもらったり、鉄砲の改良や、様々な用途があるネジを作ってもらった。
「本当に金が貰えるな。」
「ここでは武士もこんな生活だよ。金こそが生きるための糧だ。」
「面白い考え方だな。」
俺の前にいるのは雑賀孫一・・・鉄砲の名手で、今も軍の教官に即座に抜擢される逸材である。
「・・・民の全てで勝負しなければ俺の国はもたない。・・・斎藤家はこの地から離れないこと、民はこの国の生活を向上しつつ力を蓄えてもらわないといけないからな。」
「民なんて搾り取ってなんぼだろ。」
「いや、それは上級社会の考え方だ。民に蓄えた物を使って更なる富を築いてもらう。その循環の中に出る利益の一部を頂戴するだけで黒字だ。石高に出ない国力だよ。」
「ちなみにだが太閤の検地係から石高はどれぐらいと言われた?」
「30万石だ。・・・気候もあるから纏まった米がとれないと言ったら信じたよ。」
「実際の石高は?」
「60万石だな。収入が。」
「収入が?」
「240万石が正確だ。やろうと思えば増やせるがこんなに米はいらない。生糸や布、芸術品を作った方が儲かるからな。」
「どこで作ってんだ?」
「色んなところよ。山の一部をくりぬいて大きな窯作ったり、職人用の町があったりな。税は1割だから利益で職人はさらにたくさん作るんだよ。」
「なんか怖くなってきたわ。」
「経済回れば貧困起きず。」
「名言だな。」
「そりゃどうも。」
上手く検地や監視の目を欺いて青森は発展する。
ちなみに城の地下にも巨大な銃製造工場があったりする。
ボソ
「俺もそろそろヤバイか。」
「どうした?」
「いや、何でもない。」
右腕の肘が動きにくくなり、右手の中指と小指に痺れを感じるようになった。
俺はこれを寿命が近づいてきているととらえた。
この時龍興は43歳・・・人生50年という時代なのでいつお迎えが来てもおかしくなかった。(父親が急死したので自分もあり得るのではないかと考えるようになる。)
(家督を道元に譲らないといけないが・・・まだ9歳・・・なめられるな。あと7年待たなければ・・・。)
静かなる死闘を繰り広げる龍興であった。
〔秋〕
「頭が痛いだろ。」
道元の側室6人が妊娠した。
(北邦の血ってやっぱり凄いんだな・・・。)
遠い目をする龍興だった。
ちなみに腹の大きさから1人あたり平均3人産まれる予定。