【ロシア首都 サンクトペテルブルク】〔1600年春〕
「長いようで・・・短い16年だったわ。」
青い髪の女性は処刑台に立った王族を見ながらそう呟いた。
「同志サヤカ時間です。」
「そう。」
前世の名は美樹さやか・・・今世の名はサヤカ・ギレラリーレ。
転生を経験した者であり、魔女である。
(生まれ変わって36年・・・きっかけは夫の他界か。)
サヤカは36年前にサンクトペテルブルクから南に80キロの村の豪農の長女として生まれる。
生まれ変わって3年は前世の整理と反省に費やした。
私の前世・・・最後は本当にあっけなかった。
〔36年前〕
「公安万歳!!」
私はNJOというデスゲームで命を落とした。
社会主義に似た組織の支部の幹部まで登り詰めたのだが、頂上戦争と呼ばれる海軍と海賊の戦争イベントで招集されて海賊と戦うこととなった。
中盤戦に入った時に私は死んだはずのマミさんに狙撃されて死んだ。
なぜマミさんがそこにいるのか知らないけれど・・・マミさんは涙を流しながら
「不満があるなら言ってほしかった。」
と呟いたのを最後に聞いた。
一瞬病院の風景が見えた瞬間に頭が焼かれた。
「ヒァァァァァ!?」
無様な断末魔を上げながら。
そしたらどこかの公園のベンチに私は座っていた。
「嬢ちゃん若いのに早死にとは両親泣いてるぞ。」
「え!?」
振り向くと芝生の上でダンボールをひいては酒を飲んでいるホームレスがいた。
「あ、俺長谷川・・・神のみんなからはマダオって呼ばれてる。」
始めに思ったことはホームレスの戯れ言としか思えなかった。
危ないおじさんの近くから離れたいから立とうとすると立てなかった。
「え!?」
間抜けな声を出して倒れる。
頭から地面にぶつかる。
「イッツツツ。」
再び立とうとしても起き上がることすら出来ず、ホームレスが近づいてきて私を持ち上げベンチに座らせた。
「俺の担当している空間では死人は手足が無くなるんだよ。まぁ嬢ちゃんも死人だから動けない。」
「えっえ?」
「混乱しているようだから別のやつから処理してくる。座ってるかベンチで寝てろ。」
ホームレスは立ち上がってどこかに行ってしまった。
落ち着くために深呼吸をしていると自分が死んだことを理解できるようになってきた。
「あたしってほんとバカ。」
マミさんの悪口で身を滅ぼしたのも自分の身から出た錆だし、馬鹿な権力闘争で数人の命を奪ってきた。
「なーにやってんだ。あたしって。」
ベンチにねっころがって上を向いていると桜の木の花びらがすべて落ちた頃に実る小さな赤色の実が私の口に入ってきた。
「う!?」
凄まじく不味かったけど・・・仰向けなので上手く吐けず結局飲み込んだ。