とある宮古芳香の悪戦苦闘   作:星野林(旧ゆっくり霊沙)

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戦時特需

【北邦共和国 政都】〔第一次大戦中〕

12億(第二の星も合わせると28億)の人口を持っているにも関わらず、北邦の国民は豊かであった。

世界の工業力の40%、食料自給率105%、陸軍は世界5位の数である35師団(70万人)、海軍は世界7位(戦艦はイギリス製のが2隻、日本産が2隻、大韓民国産が4隻、自国産が2隻)、金銀備蓄量世界1位と世界最大の超大国である。

今回の戦争は足りなくなるであろう食料品や生活必需品を売り込むことで、売り込んだ先の市場をコントロールし、戦後に火器類しか造ってなかった反動による工業の壊滅を狙った作戦もあった。

現在復権し、大蔵大臣となった真紅は戦後の成長戦略を構想していた。

そのために北邦銀行総裁水銀燈、アラスカ銀行総裁フレンダ、以下数名の大手銀行も交えた話し合いをしていた。

 

「現在この国の生産は適量消費社会になっている。・・・つまり今後は昔なんとか収めたマネーゲームがまた起こる可能性がある。」

 

「ずいぶん楽観的ね。可能性があるのではなく絶対よ。真紅、あなたはこれから起こる隣国とのつきあい方が問題よ。今は外交ではないから止めておくけど。」

 

「それよりも今は時間を稼いだ方が良いわけよ。・・・1916年前にテコ入れしないとドイツ帝国が負け。」

 

コト

紅茶を置いた真紅はゆっくりと持論を述べる

 

「・・・将来この国は様々な国から難癖をつけられて攻められるでしょう。モンゴルは来月にも国民投票によりこの国に合併するけど大韓民国、大日本帝国も今は仲間だけど大韓民国と大日本帝国の両国間の関係は日に日に悪化するばかり。アメリカ、カナダは3回も小さな戦争をし、さらに経済的な摩擦もある。ユダヤ問題も内部で噴出し始め、フランスとスペイン、イタリアは歴史的な問題から和解不可能、ソ連も書記長と副議長を兼任しているスターリンの動きが不安定。・・・そろそろ金本位制を捨てるしかないと私は考える。」

 

「・・・時期的にも最適ね。わかったわ。北邦銀行は追加の増刷を近々発表するわ。」

 

「アラスカ銀行はその動きに追従する。」

他の総裁達も賛成を表明し、マネーゲームの危険性を下げる方向に舵をきった。

・・・大蔵は見逃していた・・・自国の外交団が無能だったことを・・・。

 

確かに北邦の諜報部は独自の世界ネットワークを持っているため最強と名高いが、外務省は切り札の切り方が下手であった。

下手でなければアメリカとの関係悪化もなんとかすることが出来ただろうし、カナダを敵にすることもなかっただろう。

この戦争の不参加の理由もしっかり伝えられず、各国から不気味に思われることもなかっただろう。

悲劇は近くまで迫っている。

 

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