〔35年目秋〕
一応計画して拡大してきた田畑だったが、色々と都合が悪くなってきた。
1つは洪水である。
春になると雪解け水が大量に川に流れ込んでしまい、川が緩やかに曲がっている場所がよく氾濫するのだ。
もう1つある。
食料の問題だ。
このままの勢いだと村の人口が150人を超えるのも15年以内であると計算しているのだが、開拓できる場所も限られている。
この2つの問題を解決するために集落の労働力を使い3ヶ所に新しい集落を20年後を目標に作ることにした。
もちろん全員参加だ。
前に決めた掟が効いているのか全員やる気だ。
「では、ローテーションを組ながら毎日大人の半数である16人は東側に仮の道をつくってほしい。・・・前に作った地図によると東にいくと川にぶつかる。そこを中心に新しい集落をまずは作るぞ!!」
「「「オー!!」」」
2体のロボットもフル活用して村の拡大を始めた。
〔36年目春〕
小豆の餡を塗ったパンを食べている芳香じゃ。
今私は水銀燈と真紅と一緒(他にも村人がいます)に新しく作る集落予定地までの道を作っていた。
「お母さま・・・ローラーを引くのすごく疲れるのだけど・・・。」
「あら?水銀燈なら私が代わるわ。」
「ん。ありがとう真紅。」
「水銀燈、仕方ないのじゃただ草を刈るだけではすぐに草が生えてくる。そして道として機能しなくなるのじゃ。」
そういって私はコンダラ(手動整地ローラー)を押す。
少量しか作れないセメントとたたら吹きで作った外縁部の鉄板を合わせることでなんとか5個用意した。
最初は牛に引かせていたが、細かいところは結局人の手によって行われた。
こうして夏の終わりまでには約15キロの道を砂利をローラーで圧したマカダム舗装し、集落までの移動を楽にした。
【第二の村予定地】〔37年目夏〕
「翠星石がこの大地を黄金色に変えてみせるですぅ!!」
次に田畑の場所と住居区の整備を始めた。
幸いここら一帯は平地なため区画整備はすぐに終わり、長屋の建築にとりかかった。
現状長屋と竪穴式住居しかないがたぶん当分はこれで十分と思われているからだ。
本当の縄文人や弥生人が使っていた竪穴式住居ではなく、37年間も改良を重ねてきたので耐久の問題を何とかしつつ、2階建ての竪穴式住居がほとんどになっていた。(2軒しかないが3階がある家も・・・)
(37年・・・始めはどうなるかと思ったのじゃが・・・ついにここまで来たのじゃな。)
私は新しく建った長屋を見て涙を流した。