〔西暦202年冬〕
前から開発していた都市・・・知床が都市として機能し始めた。
知床は林業と砂鉄の採取が盛んで他には特徴があまりないが、山が沢山あるので後々に鉱物も出るだろうと考えられていたのと、千島列島の足場となるための都市だった。
(下に南下すれば日本人同士で殺し合いが起こる可能性が高いのじゃ。しかも政治が貴族中心のところだから理不尽な条件で生活圏を放棄しなければならなくなるかもしれないのじゃ。)
現時点でそんな戦争なんかしたらギリギリなんとか保っている物価の調整が破綻することと、貧富の差が一気に拡大してしまうことを私は恐れた。
(戦争を悪いとは言わないが、それによって発展できるかが問題じゃな。現状は意味がないし基盤が300年経った今でも不安定じゃ。だったら北に拡大してしまうのが一番じゃな。)
〔西暦205年春〕
渡島にて都市が完成した。
これで北海道の南西から東の端まで繋がったことになる。
北と南にも都市の建設が予定されているが、数年間は食料の量産のために開拓を勧めることにするのだった。
「最近はかせが部屋に閉じ籠ってるらしいが大丈夫なのか?」
「仕事の時も休憩中に本を読んでたですぅ。」
「食事はとってるから大丈夫だと思うの。」
「それなら良いのじゃが・・・。」
その後はかせが奇妙な行動をとるようになった。
夜の誰もいない時間帯にたまたま熊対策で見回りをしていた役人が水車小屋ではかせを発見したり、鉄を特殊な形で職人に注文したりしたのだ。
(少し顔が青紫色に近づいているのが気になるが・・・これ以上悪化したら見に行くか。)
私は少し心配になってきた。
〔西暦207年夏〕
ネロが今までよりもコンクリートの耐震、耐衝撃に強い物を産み出すことに成功した。
「余の理想は神界にあった。・・・しかし、神界の様な建物を建てることは不可能。だったら似せるしかなかろう。似せるにしても技術を蓄積させなければならない。・・・そこで北の新しい都市予定地に冬宮殿と本に書かれている設計図を元にして作ってみたいと思ってな。コンクリートの強化をしないと地震で崩れるから・・・。」
「そんな物を建てて何に使うんじゃ?」
「その宮殿自体を都市とする。最上階が4階に建物の真ん中にある中庭には市場を形成できるようにするのだ。4階まで水を汲める雛苺が完成させたアルキメデスポンプと風車を組み合わせた最新式のを使えば、上の階で水が無くて困ることはない。」
「・・・まぁやってみるのじゃ。止めはしない。」