〔西暦235年秋〕
人口が200万人を超えた。
この年はかせが役人を辞め、折り畳み式蝋燭置きやネジ関連の金を使って会社を設立した。
「表向きはな。・・・コロボックルを今は独占している状態じゃ。隠すにしても政府がはかせ個人に金を渡していることが文屋にバレたら不味いのじゃ。」
約100年前から細々と正確な情報を伝えることを仕事にしている家族がいたが、それが会社となったのだ。
(無能な役人を解雇するのに使ったが・・・少々劇薬だったのじゃ。)
解雇された50名は文屋によって保身のために反対していたことがバレてしまい住民達による私刑になりそうだったため、仲介に入り初の裁判が行われた。
「・・・で、余が選ばれたのか。」
「公平に裁けるのは現場にいないネロだし、感情的にはならないからな。」
「なるほど・・・で、芳香はどうしたいのだ?」
「罰は要らないじゃろ。はっきり言って解雇しただけで私刑にされたらたまったものではないのじゃ。」
「なるほど・・・で市民はどうなのだ?」
「感情的になってるだけじゃ。」
裁判は結局無罪となったがこの出来事で解雇になった彼らは居心地が悪くて開拓に行ってしまう程の事件だった。
50人で色々な自己利益に懲りすぎるとこうなると言う見せしめにはなったかもしれないが、50人のキョンシー達は心理的に苦痛を与えてしまったので結果は微妙だった。
(あの後開拓に向かった者達に物資を直接持っていっているが・・・あんな風にならぬように気を付けないといけないのじゃ。)
社会が便利になれば比例して問題は難しくなっていった。
(はかせ・・・コロボックル達を頼むのじゃ。)
〔西暦240年春〕
妖精の噂がやっと広まりだし、ある程度コロボックル達の外出ができるようになったので、私が彼らに資金を送るのは止めた。
幸いバレることはなく、文屋はコロボックルの生態を調べることに夢中のようだ。
「プライバシーには気を付けているから良いか。・・・やり過ぎれば注意をすれば良いからな。・・・しかしこれは便利じゃな。」
私は壁にかけられた振り子時計を見つめて呟いた。
「はかせとコロボックルの合同作品じゃな・・・しっかし振り子時計なんてよくできたものじゃ。」
私は彼らに賞賛を誰もいない部屋のなかでおくった。
はかせとコロボックルの作品はまだあり、算盤や工具関係は飛ぶように売れていた。
(まだはかせとコロボックルの関係はわかっていないが・・・はかせの会社で雇っている労働者達から拡散する可能性があるからな・・・。)
なるべく穏便にコロボックルを一般に馴染ませる方法を考える芳香だった。