問題児と精霊使いが異世界から来るそうですよ?   作:白ウサギ@FGO

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第十六話

 一週間後、宮殿の大広間には五〇〇人程が集まっていた。

「今回のゲームの行動方針が決まりました。動ける参加者はそれぞれ重要な役割を果たしていただきます。ご清聴ください………マンドラ兄様。お願いします」

 サンドラの言葉に、マンドラが前に出て書状を読み上げる。

 

「其の一。三体の悪魔は“サラマンドラ”とジン=ラッセル率いる“ノーネーム”が戦う。

 其の二。その他の者は、各所に配置された一三〇枚のステンドグラスの捜索。

 其の三。発見した者は指揮者に指示を仰ぎ、ルールに従って破壊、もしくは保護すること」

 

「ありがとうございます。―――以上が、参加者側の方針です。魔王とのラストゲーム、気を引き締めて戦いに臨んで下さい」

 おおと雄叫びが上がる。ゲーム再開の間際だが、クリアに向けて明確な方針出来た事で士気が上がったのだろう。

 こうして、僕達は動き出すのだった。

 

          *

 

 ゲーム再開の合図は、激しい地鳴りと共に起きた。

 激しい閃光が発生し、それが止むと辺りは見たこともない別の町並みになっていた。

 こんなことも出来るのか………魔王ってすごいな。

 そんなことを考えながらペストを探していると、

「見つけたよ、ペスト」

「あら、早かったわね。それで早速戦うの?」

 そうペストが聞いてきた。それに答えようとしたところで、

「見つけましたよ“黒死斑の魔王”」

 そう言いながら、サンドラと黒ウサギが来る。

「二人とも早かったね。流石」

「これでも月の兎ですから。それよりも、朔夜さんは下がってください」

 そう言って、ペストに突撃する黒ウサギとサンドラ。

 だが、二人の攻撃はペストの黒い風に守られ、当たらない。

 僕も魔氷の弓(フリージング・アロー)を出して攻撃するが、全く効かない。

(やっぱり、魔王殺しの聖剣(デモン・スレイヤー)じゃないと駄目か………)

「いい加減に、無意味だと分からないの?」

 そう言って、黒い風をサンドラに襲わせる。

 二人はそれを避け、黒ウサギはこちらには向かってくる。

「やっぱり普通の攻撃じゃあ無理か。黒ウサギ、僕も前衛に出るからね」

 そう言って、魔氷の弓(フリージング・アロー)をしまい、魔王殺しの聖剣(デモン・スレイヤー)を出して攻撃する。

「いったい、その剣はなんなの?私のギフトで止められないし」

「さあね。当ててみなよ」

 そう言って攻撃するが紙一重で避けられる。

「やっぱり、朔夜って強いわね。ますます貴女が欲しくなってきたわ」

「そりゃどうも。なんで僕をそこまで気に入ってるのか知らないけど」

「さっきも言ったでしょう?貴女が強いからよ。それと、かなり可愛いからかしら」

「一応、僕は男なんだけどね」

 そう言うと、固まるペスト。

 その隙を突いて攻撃すると、右腕に当たる。

「っ。まさか貴方が男とわね」

「聞かれなかったからね」

 そんな会話を二人でしながら戦っていると、一際大きな震動が起きた。

「どうやら十六夜達の決着が着いたみたいだね」

「……………止めた」

「ん?」

「遊びは終わり。白夜叉と朔夜だけ手に入れて―――皆殺しよ」

 ペストがそう言うと、黒い風が天を衝く。

(これはヤバイな………)

 そう思い、片手に無窮なる女王の城(セイブ・ザ・クイーン)を出す。

「先ほどまでの余興とは違うわ。触れただけで、その命に死を運ぶ風よ………!」

「なっ、」

 黒い風は黒ウサギの方に行き、手も足も出ずに逃げる。

 黒い風は、他の参加者にも襲いかかるが、何とか剣の能力で防ぐ。

 しかし、全員を守ることが出来ず、少年が黒い風に巻き込まれそうになる。

 少年に降り注いだ死の風は、

「―――――DEEEEEEeeeEEEEEEEN!!!」

 紅い鋼の剛腕に阻まれた。

 死の風を防いだ鉄人形から、飛鳥が顔を覗かせ少年に声をかける。

「今のうちに逃げなさい。ステンドグラスの事は後で処理すればいいわ」

「は、はい」

 少年はすぐさま建物の中に逃げ込んだ。

「飛鳥さん、よくぞご無事で!」

「飛鳥、無事でよかった」

「感動の再会は後よ!前見て前!」

 へ?と振り返る黒ウサギ。ペストが放った死の風が黒ウサギに迫るが、

「オイコラ、余所見してんじゃねえぞこの駄ウサギ!」

 そう言って、側面から助勢に現れた十六夜の蹴りが死の風を霧散させる。

 それを見て、ペストが唖然としている。

「ギフトを砕いた………?貴方、」

「先に断っておくが、俺は人間だぞ魔王様!」

 そう言って、ペストの懐に飛び込む十六夜。

 十六夜がペストと戦っている間に、黒ウサギに言う。

「黒ウサギ、このままじゃ他の参加者が危ないよ」

 黒ウサギにそう言うと、黒ウサギはギフトカードを出してこう言った。

 

「ご安心を!今から魔王と此処にいる主力―――纏めて、月までご案内します♪」

 

 は?という疑問の声は刹那に消えた。

 黒ウサギのギフトカードの輝きとともに急転直下、周囲の光は暗転して星が巡る。

 まるで、白夜叉のゲーム盤に連れてこられた時のようだ。

 天を仰ぐと、箱庭の世界が逆様になって浮いていた。

「チャ………“月界神殿(チャンドラ・マハール)”!軍神(インドラ)ではなく、月神(チャンドラ)の神格を持つギフト………!」

「YES!このギフトこそ、我々“月の兎”が招かれた神殿!帝釈天様と月神様より譲り受けた、“月界神殿”でございます!」

 黒ウサギは、満天の星と箱庭を誇る様に両手を広げる。

「け、けど………!ルールではゲーム盤から出る事は禁じられているはず、」

「ちゃんとゲーム盤の枠内に居りますよ?ただ、高度が物凄く高いだけでございます」

「っ………!?」

「これで参加者側の心配はなくなりました!皆さんはしばし魔王を押さえつけてください!黒ウサギもすぐ参戦します!飛鳥さんは此方へ!」

 黒ウサギが言うや否や、僕達はペストに向かって突撃した。

「構わないわ。全てのステンドグラスが発見される前に終わらせる………!」

「ハッ、やれるもんならやってみな!」

 十六夜は衝撃波を食らいながら突進する。僕はその間に無窮なる女王の城(セイブ・ザ・クイーン)をしまい真実を貫く剣(ヴォーパル・ソード)を出す。

 十六夜の攻撃が避けられていることから十六夜の疲労はかなりひどいのだろう。

 僕は十六夜が切り裂いた死の風の隙間に死を呼ぶ雷閃(ヴォーパル・ブラスト)を放つ。

 だが、瞬時に傷が癒えていく。

「火力不足かー」

「ハッ、なるほど!さっきの言葉は比喩でも何でもないってことか!」

「そうよ。私を打倒するというのなら、星を砕くに値する一撃を用意なさい―――!」

 しばらく戦っていると黒ウサギがこちらに飛び込んできた。それを見てサンドラが焦った声を出す。

「だ、駄目だ黒ウサギ!何を考えて………!?」

「死の風を吹き飛ばします!御三人は援護を!」

 そう言って、黒ウサギはペストに向かっていく。

 それを見て、ペストは苛立たしげに風を舞い上がらせ、襲い掛かる。

「貴女さえ倒せれば………!」

「太陽に復讐を、でございますか?ならばこそ、この輝きを乗り越えてごらんなさい!」

 そう言った瞬間、黒ウサギの身体が黄金の鎧を、纏う。

 強襲した死の風は鎧の光に焼かれ、一瞬で霧散した。

「そ、そんな………!?」

 悲痛な声が上がる。ペスト自身、自分の弱点を把握していなかったのだろう。

軍神(インドラ)月神(チャンドラ)太陽神(スーリヤー)………!護法十二天までも操るなんて、この化け物―――!!!」

 そう言って、ペストは後ろに後退する。だが、その瞬間黒ウサギが叫んだ。

「今です飛鳥さん!」

「撃ちなさい、ディーン!」

「DEEEEEEeeeEEEEEEEN!!!」

 紅い巨人が怒号を上げて撃ちだす。

 槍は飛鳥の言葉に応じ、千の天雷を束ねてペストを襲う。

 ペストは黒ウサギに気をとられていたようで、槍が被弾する。

「こ、この………程度、なんかで………!」

「無駄でございますよ。その槍は正真正銘、帝釈天の加護を持つ槍。太陽の鎧と引き換えた、勝利の運命(ギフト)を宿す槍なのですから」

「そんな………私は、まだ………」

「―――君との戦いは楽しかったよ。ペスト」

 僕がそう言うと、一際激しい雷光が月面を満たした。

 轟と響きを上げた槍は、圧倒的な熱量を撒き散らしてペストと共に爆ぜた。

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