問題児と精霊使いが異世界から来るそうですよ?   作:白ウサギ@FGO

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第八話

契約書類(ギアスロール)”文面

 

『ギフトゲーム名  “FAIRYTALE in PERSEUS”

 

 ・プレイヤー一覧 逆廻 十六夜

          久遠 飛鳥

          春日部 耀

          神代 朔夜

 

 ・“ノーネーム”ゲームマスター ジン=ラッセル 

 ・“ペルセウス”ゲームマスター ルイオス=ペルセウ

                 ス

 

 ・クリア条件 ホスト側のゲームマスターを打倒 

 ・敗北条件 プレイヤー側のゲームマスターによる降 

       伏。

       プレイヤー側のゲームマスターの失格。

       プレイヤー側が上記の勝利条件を満たせな       くなった場合 。

 

 ・舞台詳細・ルール 

  *ホスト側のゲームマスターは本拠・白亜の宮殿の最   奥から出てはならない 。

  *ホスト側の参加者は最奥に入ってはいけない 。

  *プレイヤー達はホスト側の(ゲームマスターを除

   く)人間に姿を見られてはいけない。

  *失格となったプレイヤーは挑戦資格を失うだけでゲ

   ームを続行できる 

 

  宣誓 上記を尊重し、誇りと御旗の下、“ノーネーム”はギフトゲームに参加します。

                                           “ペルセウス”印』

 

 

          *

 

“契約書類”に承諾した直後、僕達の視界は間を置かずに光へと呑まれた。

 ギフトゲームの入り口に案内してくれたらしい。

 門前に立った僕達が不意に振り返ると白亜の宮殿の周辺は箱庭から切り離され、未知の空域を浮かぶ宮殿に変貌していた。

「姿を見られれば失格、か。つまりペルセウスを暗殺しろってことか?」

 そう言って、十六夜は楽しそうに呟く。

「それならルイオスも伝説に倣って睡眠中だという事になりますよ。流石にそこまで甘くは無いと思いますが」

「YES。そのルイオスは最奥で待ち構えているはずデス。それにまずは宮殿の攻略が先でございます。伝説のペルセウスと違い、黒ウサギ達はハデスのギフトを持っておりません。不可視のギフトを持たない黒ウサギ達には綿密な作戦が必要です」

“契約書類”を見ていた飛鳥が難しい顔で復唱する。

「見つかった者はゲームマスターへの挑戦資格を失ってしまう。同じく私達のゲームマスター―――ジン君が最奥にたどり着けずに資格の場合、プレイヤー側の敗北。なら大きく分けて三つの役割分担が必要になるわ」

 飛鳥の隣で耀が頷く。

「うん。まず、ジン君と一緒にゲームマスターを倒す役割。次に索敵、見えない敵を感知して撃退する役割。最後に、失格覚悟で囮と露払いをする役割」

「春日部は鼻が利く。耳も眼もいい。不可視の敵は任せるぜ」

 十六夜の提案に黒ウサギが続く。

「黒ウサギは審判としてしかゲームに参加することができません。ですからゲームマスターを倒す役割は、十六夜さんにお願いします」

「あら、じゃあ私は囮と露払い約なのかしら?」

 飛鳥が不満そうな声を漏らす。

「悪いなお嬢様。俺も譲ってやりたいのは山々だけど、勝負は勝たなきゃ意味がない。あの外道野郎の相手はどう考えても俺が適してる」

「………ふん。いいわ。今回は譲ってあげる。ただし負けたら承知しないから」

 飄々と肩を竦める十六夜。

 だが、一つ気になることがあった。

「ねえ、僕の役割は?」

「朔夜は自由に動いてくれ。その方がやりやすいだろ?」

 十六夜はそう言う。

 まあ、否定はしないけど。

 だが、黒ウサギはやや神妙な顔で不安を口にする。

「残念ですが、必ず勝てるとは限りません。油断しているうちに倒さねば、非常に厳しい戦いになると思います」

 僕達の目が一斉に黒ウサギに集中する。飛鳥がやや緊張した面持ちで、

「………あの外道、それほどまでに強いの?」

「いえ、ルイオスさんご自身の力はさほど。問題は彼が所持しているギフトなのです。もし黒ウサギの推測が外れていなければ、彼のギフトは―――」

「隷属させた元・魔王様」

「そう、元・魔王の………え?」

 言葉を失い、驚いている黒ウサギに素知らぬ顔で構わず十六夜は続けた。

「もしペルセウスの神話どおりなら、ゴーゴンの生首がこの世界にあるはずがない。戦神に謙譲されているはずだからな。それにもかかわらず、奴らは石化のギフトを使っている。―――星座として招かれたのが、箱庭の“ペルセウス”。ならさしずめ、奴の首にぶら下がってるのは、アルゴルの悪魔ってところか?」

「………アルゴルの悪魔?」

 いまいち、よく分からない。

 飛鳥達も同じだったようで首を傾げている。しかし黒ウサギだけが驚愕していた。

「十六夜さん………まさか、箱庭の星々の秘密に………?」

「まぁな。このまえ星を見上げた時に推測して、ルイオスを見た時にほぼ確信した。後は手が空いた時にアルゴルの星を観測して、答えを固めたってところだ。まあ、機材は白夜叉が貸してくれたし、難なく調べる事が出来たぜ」

 フフンと自慢げに笑う。あの時、白夜叉に借りてた機材はそのためか。

「もしかして十六夜さんってば、意外に知能派でございます?」

「何を今さら。俺は生粋の知能派だぞ。黒ウサギの部屋の扉だって、ドアノブを回さずに開けられただろうが」

「………。いえいえ、そもそもドアノブが付いてませんでしたから。扉だけでしたから」

 黒ウサギは冷静にツッコミを入れる。十六夜も気が付いて補足した。

「あ、そうか。だけどドアノブが付いていても、俺はドアノブを使わず扉を開けられるぞ」

「…………………………………。参考までに、方法をお聞きしても?」

 やや冷ややかな目で黒ウサギは十六夜を見つめる。

 十六夜はヤハハと笑いながら宮殿の門の前に立ち、

「そんなもん―――こうやって開けるに決まってんだろッ!」

 轟音と共に、宮殿の門を蹴り破った。

 

          *

 

 飛鳥達が宮殿に向かった後、僕はシムルグを呼び出して空の上にいた。

 流石に空を飛んでるとは思っていないようで誰もこちらに気づかない。

 高さ的にも鳥が飛んでいるようにしか見えないし、見たとしてもシムルグの体で僕は見えないはず。

 そんなふうに空を飛んでいると、ルイオスの姿が見える。

 彼も空を飛んでいるみたいだ。

 すぐに見つかったのでシムルグに言って、そこに向かう。

 僕が空から降りてくると、ルイオスは驚いた顔をしていた。

 黒ウサギも安堵した表情をしている。

 暫くして、十六夜とジンも来た。

「―――ふん。ホントに使えない奴ら。今回の一件でまとめて粛清しないと。まあでも、これでこのコミュニティが誰のおかげで存続出来ているのか分かっただろうね。自分達の無能っぷりを省みてもらうには良い切っ掛けだったかな」

 そう言って、僕達の目の前に降りてくる。

「なにはともあれ、ようこそ白亜の宮殿・最上階へ。ゲームマスターとして相手をしましょう。………あれ、この台詞を言うのってはじめてかも」

 つまりルイオスの部下はかなり優秀で、突然の決闘でさえなければもっと苦戦させられていたのだろう。

 十六夜は肩を竦めて言う。

「ま、不意を打っての決闘だからな。勘弁してやれよ」

「フン。名無し風情を僕の前に来させた時点で重罪さ」

 そう言って再び空に上がる。ルイオスはギフトカードを取り出し、光と共に燃え盛る炎の弓を取り出した。

 それを見て黒ウサギの顔色が変わる。

「………炎の弓?ペルセウスの武器で戦うつもりはない、という事でしょうか?」

「当然。空が飛べるのになんで同じ土俵で戦わなきゃいけないのさ」

 そう言って壁の上まで飛び上がり、首にかかったチョーカーを外して付属している装飾を掲げた。

「メインで戦うのは僕じゃない。僕はゲームマスターだ。僕の敗北はそのまま“ペルセウス”の敗北になる。そこまでリスクを負うような決闘じゃないだろ?」

 ルイオスの掲げた装飾が光始める。

 光が強くなった瞬間、十六夜はジンを背後に庇い臨戦態勢をとる。

 

「目覚めろ―――“アルゴールの魔王”!!」

 

 光は褐色に染まり、僕達の視界を染める。

 白亜の宮殿に共鳴するかのような甲高い女の声が響き渡った。

「ra………Ra、GEEEEEEYAAAAAAaaaaaaaa!!!」

 現れた女は身体中に拘束具と捕縛用のベルトを巻いており、女性とは思えない乱れた灰色の髪を逆立たせて叫び続ける。女はベルトを引き千切り、半身を仰け反らせて更なる絶叫を上げた。

「ra、GYAAAAAaaaaaaa!!」

「な、なんて絶叫を」

「危ない、黒ウサギ!」

 黒ウサギを抱き抱え、その場を飛び退く。十六夜もジンを抱き抱え、その場を飛び退く。

 直後、上空から巨大な岩塊が山のように落ちてきた。

 僕達が避けてるのを見て、ルイオスは高らかに笑う。

「いやあ、飛べない人間って不便だよねえ。落下してくる雲も避けられないんだから。今頃は君らのお仲間も部下も全員石になっているだろうさ。ま、無能にはいい体罰かな」

 不適に笑うルイオス。僕は十六夜の方に行く。

「十六夜、僕がルイオスをやるからあっちの悪魔を倒してきて」

 僕がそう言うと、十六夜はアルゴールに向かっていく。

 残った黒ウサギ達はもしもの事があっても大丈夫なように、シムルグを呼んで背中にのせる。

「シムルグ、何かあったら二人をのせて空に逃げてね」

 僕がそう言うと、シムルグは頷いてくれた。

 そして、ルイオスの方に向く。

「行くよ、ゲームマスター」

 僕はそう言ってレスティアを呼び出し、真実を貫く剣(ヴォーパル・ソード)を手に持つ。

 ルイオスはかなり高く飛び、炎の弓を引く。

 蛇のように蛇行する炎の矢を終焉の真紅(エンド・オブ・ヴァーミリオン)で燃やす。

「炎を燃やしただと!?」

 そう言って驚いているルイオスに死を呼ぶ雷閃(ヴォーパル・ブラスト)を放つ。

 ルイオスはそれを何とか避け、弓をしまう。

 代わりにギフトカードから鎌を出して攻撃してくる。

 それを避け、お返しに真実を貫く剣(ヴォーパル・ソード)で切りつける。

「くっ………」

 そして少し離れ、アルゴールの方を見た。

 ちらりと十六夜の方を見るとかなり楽しそうにしている。

「ハッ、いいぜいいぜいいなオイ!!いい感じに盛り上がってきたぞ………!」

 十六夜はそう言い、その場でねじ伏せる。

「GYAAAAAAaaaaaa!!」

「ハハ、どうした元・魔王様!今のは本物の悲鳴みたいだぞ!」

 十六夜は笑みを浮かべ、ねじ伏せ、腹部を幾度も踏みつける。それだけで闘技場全体に亀裂が入る。

 黒ウサギ達を避難させて正解だった。

 そんな十六夜を見てジンは慌てて叫んだ。

「い、今のうちにトドメを!石化のギフトを使わせては駄目です!」

 しかし、ルイオスの選択は違った。

「アルゴール!宮殿の悪魔化を許可する!奴らを殺せ!」

「RaAAaaa!!LaAAAA!!」

 ルイオスがそう言うと、白亜の宮殿は黒く染まり壁が生き物のように脈を打つ。

 黒いしみから蛇の形をした石像が数多に襲ってくる。

「ああ、そういえばゴーゴンにはそんなのもあったな」

 それを避けながら、十六夜は言う。

 僕も、周りに死を呼ぶ雷閃を放って石像を砕く。

 周囲が見えていないのか、狂気じみた形相でルイオスは叫んだ。

「もう生きて返さないッ!この宮殿はアルゴールの力で生まれた新たな怪物だ!貴様らにはもはや足場一つ許されていない!貴様らの相手は魔王とその宮殿そのもの!このギフトゲームの舞台に、貴様らの逃げ場はないものと知れッ!!!」

 

「―――………そうかい。つまり、この宮殿ごと壊せばいいんだな?」

 

「「え?」」

 嫌な予感がしてシムルグを近くに呼び、風の精霊魔術を使って飛び乗る。

 十六夜は無造作に拳を上げ、黒く染まった宮殿に向かって振り下ろした。

 逃げて正解だったな。

 崩れた闘技場に降りる。

「……馬鹿な……どういう事なんだ!?奴の拳は、山河を打ち砕くほどの力があるのか!?」

「おい、ゲームマスター。これでネタ切れってわけじゃないよな?」

「………っ……!」

 ルイオスはしばし悔しそうに顔を歪めていたが―――スッと真顔に戻る。

 そして極め付けに凶悪な笑顔を浮かべ、

「もういい。終わらせろ、アルゴール」

 その言葉と共に、褐色の光が僕と十六夜に放たれる。

 すぐに剣を消し、手の中に無窮なる女王の城(セイブ・ザ・クイーン)を出現させる。

 そして、剣の切っ先を地面に突き立てた。その周りに円が現れる。

 

「―――――………カッ。ゲームマスターが、今さら狡い事してんじゃねえ!!!」

 

 そう言って十六夜は褐色の光を踏みつぶした。

 僕の方は褐色の光がその円の周りに触れた瞬間、光の防壁に阻まれる。

「ば、馬鹿な!?」

 そう言って、ルイオスが叫ぶ。

 黒ウサギ達も驚いているようだ。

「さぁ、続けようぜゲームマスター。“星霊”の力はそんなものじゃないだろ?」

「いや、たぶんこれ以上は無理じゃないかな?」

「何?」

「朔夜さんの言うとおり、ルイオス様は星霊を支配するには未熟すぎるのです」

「っ!?」

 どうやら黒ウサギの言ったことは本当なようだ。

「―――ハッ。所詮は七光りと元・魔王様。長所を破られれば打つ手なしってことか?」

 失望したと吐き捨てる十六夜。だが、十六夜は凶悪な笑みを浮かべ、ルイオスを追い立てた。

「ああ、そうだ。もしこのままゲームで負けたら………お前達の旗印。どうなるか分かっているんだろうな?」

「な、何?」

 不意を突かれたような声を上げるルイオス。

「レティシアを取り戻すのは後でもできる。そんなことより、旗印を盾にして即座にもう1度ゲームを申し込む。―――そうだなぁ。次はお前達の名前を戴こうか」

 ルイオスの顔が一気に青ざめる。

 やってることは完全に悪役だな。

「その二つを手に入れた後“ペルセウス”が箱庭で永遠に活動できないように名も、旗印も、徹底して貶め続けてやる。たとえお前達が怒ろうが泣こうが喚こうが、コミュニティの存続そのものが出来ないぐらい徹底的に。徹底的にだ。………まあ、それでも必死に縋りついちまうのがコミュニティってものらしいけど?だからこそ貶めがいがあるってもんだよな?」

「や、やめろ………!」

「そうか。嫌か。―――ならもう方法は一つしかないよな?」

 一転して凶悪さを消し、今度はにこやかに笑う十六夜。

「来いよ、ペルセウス。命懸けで―――俺を楽しませろ」

 十六夜は、両手を広げて続きを促す。

 ルイオスは、覚悟を決めたようで叫んだ。

「負けない………負けるられない、負けてたまるか!!奴を倒すぞ、アルゴオォォォル!!」

 ルイオスと十六夜がぶつかり、勝敗は決まったのだった。




 もうそろそろで書き溜めがなくなりそうなので少し時間がかかるかもしれません。
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