IS 月は出ているか?   作:ドロイデン

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Episode10 疾風の革命

「さてシャルるん!!このまま専用機を作っちゃおうか!!」

 

「おいウサギ、何言ってるこの野郎」

 

 雰囲気をぶち壊すようなウサギの言葉に、俺は部分展開した右腕のアイアンクローで頭を握りこむ。

 

「イタタタ!!クーくん流石にISの腕はダメだって!!もっとやって!!」

 

「まさかのご褒美!?どんな性癖してるの!?」

 

 シャル、それがこの変態MSだから仕方ない(諦め

 

「そ、それに何の考えなしに言った訳じゃないよ!!ちゃんと理由あるよ!!」

 

「へぇ~?どんな?」

 

「イダダダ!!また強くなってるよ!!私イッちゃうって」

 

 俺はそう聞くが腕は離さない。離すなんて言ってないから当然だ。

 

「別に良いよ、逝きながら話してください」

 

「話すから、離してくださいお願いします!!」

 

「え、やだ」

 

「まさかの即答!?クロト兄ストップストップ!!」

 

 シャルに止められ、仕方なく俺は腕を離す。ホントに仕方なくだけど。

 

「う~、クーくん酷いよ!!束さんの素敵な頭が真っ二つになっちゃうよ!!」

 

「良かったですね。そうなったら物事を二つ同時に考えられますよ」

 

「おお~、クーくんって頭良い!!」

 

「…………この展開に着いていけない私はおかしいのかな……」

 

 シャルは何処か遠いところを眺めていた。うん、とりあえずボケるのはここまでにしとかないと、シャルが黒シャルになっちゃうからな。

 

「それで、どんな理由なんだ?」

 

「理由ね。まず一つに、シャルるんの自己防衛のため。これは言わずもがな、シャルるんの強力な感脳波を狙う組織が、いつどこで出てくるか分かったものじゃないからね」

 

 確かにシャルの感脳波を狙う可能性が少なくないというのは正論だ。感脳波を突き詰め、研究すれば、最悪の場合だと、人間の脳を操作して自分の思い通りにさせることが出来る。

 

 前世で知ってる作品の中に『SAO』と呼ばれるものがあった。その作品ではフェイスヘルメット型の機械を通して、ある一人の科学者が、人の完全洗脳という技術を確立させてしまった。それは結局のところ封印されたが、それも結局は脳内の電気信号によるシナプスを媒介に技術を展開していった。

 

 電気信号と脳波は少なからず密接な関係がある。つまり今言った技術は、応用さえしてしまえば脳波でも可能な技術であると言える。

 

「二つ目、これは会社的な問題なんだけど、そろそろ第三世代型試作機をEU内でコンペしなきゃならないから」

 

「なるほど、ISは核となるコアが有限、だからこそコンペをしてそれぞれの国が……でもって会社が委員会から補助金をもらわなきゃならない、と」

 

「そういうこと。詰まるところ二つの理由があるって訳なのね」

 

 ウサギにしては至極まっとうすぎる理由に、少しだけがっかりしながらも俺はとりあえず部分展開した腕をもとに戻す。

 

「そんなわけで、シャルるんの機体を造るんだけど、何か要望はある?」

 

「えっと……」

 

 突然話を振られたせいで、シャルはどう答えて良いか分からないという表情を浮かべる。

 

「とりあえず、この機体じゃダメなんですか?」

 

「あー、クーくんが言ってたシャルるんを操ってた機体だっけ?それでも良いんだけど、流石にコンセプトがガラリと変わりすぎてるし、それに」

 

 ウサギはチラリとこちらを見る。どうにかしただろうか?

 

「クーくんの機体ですら圧倒する機体なうえに、解析して出たスペック見たけど、あんなのを調整せずに使ったら、最悪一生ベットの住人になっちゃうよ?」

 

「でも…………なんか使ってあげないと可哀想だし」

 

「可哀想って……その機体がか?」

 

 俺は不思議そうに聞き返す。

 

「うん。この機体、色んな子と触れあってきたみたいだけど、みんな狂暴すぎるこの機体に恐怖したんだと思う。けど、この機体自体にはそういう気持ちは無いと思うし、少なくとも私はそう思う」

 

「シャル…………」

 

「だってそうでしょ。機体がそう思ってるなら、リミッターなんて掛けないもん。この子は独りになるのが寂しくて、自分自身を抑えてると思う」

 

「なら、俺と戦ったときのあれは?」

 

 俺はシャルにそう問いかける。あの時、ベルフェゴールは完全にリミッターを解除して、俺を殺す気満載だった。

 

「それは確かにあの子が嬉しかったんだとおもうし、それに多分、あれはNシステムが機体にも影響してたんだと思う」

 

「システムが機体に影響してた?」

 

「う~ん、コアにも人格みたいな個性が存在するからね、それは無きにしもあらずだけど」

 

 ウサギが唸るようにそういう。実際造ったのは彼女なんだから、こういうのも不思議じゃない。

 

「それにこの子、凄い寂しがり屋なんだよ。数週間一緒に居たけど、時々この子の悲しみが流れてくるみたいだった」

 

「悲しみ…………」

 

「自分を扱える人間が居なくて、それでいて乗っても体や精神を壊しちゃう。そんなのが続けば悲しくもなるよ」

 

 シャルは撫でるように機体へ触れる。

 

「だから、出来るならこの子を使ってあげたい。この子が寂しい思いをしないためにも、ね」

 

「…………」

 

 俺は何も言えずに口を閉ざす。前までの俺なら原作乖離を恐れて止めろと反対しただろう。けど、

 

「…………分かったよ」

 

「!!クロト兄!!」

 

 彼女の、大の妹の願いを断れる筈がなかった。それが、実の兄の弱点なのかもしれないが、そんなの知ったことじゃない。

 

「ただし、機体自体に大幅な改修をする。流石に今のまま使わせるのは、機体性能的な問題でシャルの体を壊しかねない」

 

「うん!!大丈夫だよ!!」

 

「それとシャル、今回はコンペもある。だから、機体は第三世代試作機のデータを組み込んで、尚且つこの機体のコアと武装を可能な限り使う。それで良いか?」

 

「うん。この子が一緒なら、私は大丈夫だよ!!」

 

「なら名前だな……一応試作機の名前も付けなきゃいけないし…………」

 

「それならこの束さんの頭に既にあるよ~!!」

 

「おいおい」

 

 俺は半分呆れながらそういうが、内心この人のネーミングに期待して聞いてみる。

 

「デュノア社がフリーデンとなって、機体が新しい風を運ぶ。だから」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「『疾風の革命』『ラファール・イノベイク』なんてどうかな?」

 

 

 




オマケ

シャ「ありがとね~クロト兄!!」

クロ「おう…………しかしシャルがゲテモノガンダムなんてな……どう解釈すればいいんだろ」

シャ「ゲテモノじゃないよ!!カッコいいよ」

クロウサ「へ?」

 辺りが氷河期のように凍った。

シャ「変形する腕!!蟹さんみたいなハサミ!!それに全体的なフォルム!!どこをどう見てもカッコいいんだよ!!」

クロ「いやいや、それはオカシイって!!」

ウサ「シャルるんって博愛主義者なのかな~」

 クロトとウサギは、シャルの感性を疑うのだった。
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