IS 月は出ているか?   作:ドロイデン

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Episode13 O☆NE☆GA☆I

 なんとかシャルの機体のフィッティングを終えた俺は、自分の機体(今回ばかりは『ルナーク』を使ってるが)を展開して地下アリーナにいた。目の前には同じく専用機を纏ったシャルもいる。

 

「とりあえずシャル、まずは自分の機体に馴れることだな」

 

「それは確かにだね。でも、『リヴァイブ』の時と比べて全然違和感がないんだけど」

 

「まぁ『ベルフェゴール』のコアを使って、尚且つ『リヴァイブ』の時の運動データを組み込んでるらしいからな。違和感もさほどないんだろ」

 

 そんなものかな、シャルはそう言いながら腕を握って開いてを繰り返す。

 

「それとシャル、機体をVモードにしな」

 

「うん、機体転換、Vモード!!」

 

 音声認識と共に、機体の頭部ユニットから突然バイザーらしきものが降りてくる。さらに今さっきまでシールドだったそれが両腕に籠手のように装着され、さらに大型のクローが二本、それもエネルギー体で出来たそれが、それぞれのシールドの下から牙のように現れる。

 

「うぉぉ!!カッコいい!!」

 

「(カッコいい?)それが『ベルフェゴール』の能力を活かした『Vモード』、主に近接格闘戦と近距離射撃戦を主だった武装にしてある」

 

「射撃戦?でもこの機体に射撃武器なんて」

 

「クローに内臓されてる。試しに射ってみろ」

 

 そういって俺は仮想の的をフィールドに多数展開する。シャルは不思議がりながらも、的に腕を向けてみる。

 

「……ねぇ、どういう感じで射てば良いの?」

 

「そらお前、銃じゃないんだから、掌から見えないエネルギーを放つ、みたいな感じじゃねぇの?」

 

 なるほど、とシャルは頷くと再び視線を的へと向ける。そして、

 

「……!!」

 

 クローから一筋のオレンジ色の光が発射された。それはまさしくビームであり、一瞬にして的のど真ん中を貫いた。

 

「スゴ!!っていうか威力高!!」

 

「(そら最初に搭載されてたビーム砲を、本来収束砲か散弾砲で使うメガソニック砲改良したやつを片手に一門ずつにしたら、そら威力高いわな……)」

 

 ウサギから拝借したマニュアルを見ればのまさかであり、俺の頭痛の種は酷くなる。なんという無駄にハイスペックな機体を作るんだよ、アイツは。

 

 しかも良く見てみれば、マニュアルには『Vモード』展開時に、下のクローが展開装甲による特殊ブレードになってるというのだから尚更だ。

 

「とりあえず射撃は要練習ということだな。あと接近戦だけど……」

 

「そこはクロト兄が一緒に模擬戦でなんとかなるでしょ?」

 

 シャルは簡単に言ってくるが、そうするしか手がないのもまた事実だった。

 

「それじゃ、とりあえず俺もサーベルと盾の打撃だけでやるから、お前もとりあえずクローとかの打撃(?)だけな?」

 

「了解。それじゃあ、少し賭けをしよう?」

 

「賭け?」

 

 俺の言葉に、シャルは笑顔で頷く。

 

「私がクロト兄に勝ったら、何でも一つだけ、言うことを聞く。逆にクロト兄が勝ったら、私になんでも一つだけ、言うことを聞かせられる。っていうのだけど」

 

「ふーん……まぁ無いよりは面白そうだな。模擬戦とはいえ、本気になれるし」

 

「(よかった!!これで作戦第一段階成功!!)じゃあそういうことでいくよ!!」

 

 そういうとシャルはまるでボクサーのようにピョンピョンと軽く跳ねる。俺もここの所属になってから自作した新型パッケージ『0024モデル』へと切り替え、ビームサーベルとゲネイオンシールドを構える。

 

「…………」

 

「…………」

 

 少しの緊張感が、俺たちの間に流れる。互いに睨み合い、そして――

 

「「……!!」」

 

 一斉に地を蹴った。シャルは左手のクローでまずはストレート気味に殴りかかるが、俺はそれをシールドで受け流し、かつ右手のビームサーベルを降り下ろす。が、それを右手のクローのシールドで防ぎ、こちらの攻撃を跳ね返す。

 

 さらに流されて落ちていくクローを地面に突き刺すとそれを軸に急速な回し蹴りを飛ばしてくる。さすがにシールドで受け流せず、俺は少し体を宙に飛ばされてしまった。

 

「なんの!!」

 

 俺はすぐに体勢を建て直し、かつシールドで上から殴りかかる。シャルめ驚いた表情をするが、すぐに状況を読んで一歩下がる。そしてシールドは地面に突き刺さり、そして、

 

「オラァ!!」

 

 シールドに内蔵した隠し腕を展開、それをシャルのように軸にして、俺は踵落しの要領で蹴り下ろす。当然ガードされるが、それでもかなりのダメージが機体に負荷として掛かってるのは明白だった。

 

「く、『モードC』に以降!!」

 

 シャルはまるで仕方ないというように音声認識をかける。すると籠手のシールドの部分だけがパージされ、それはまるで自由に宙を浮いている。手には先程までの実体刃のクローが装着され、シールドには展開装甲による刃が浮かんでいる。

 

「ち、大型のビットクローか!!」

 

「その通りだよ!!僕の感脳波を媒介にして、BT兵器のように自由自在に攻撃する攻防一対武装!!実質私の腕が四本になったみたいなものだ、よ!!」

 

 そう言いつつ、身軽になった体で先程以上のスピードで仕掛けてくる。一発一発のパワーや重さはさっきより軽くなってるけど、それ以上に早く打ち込んでくる。

 

 しかもこっちがシャル本体に気を取られてしまったら、シールドによる背後からの攻撃、逆もまたしかりの攻撃を仕掛けてくる。

 

(マニュアル読んだだけでも思ったが、ウサギのやつとんでもない化け物ISを産み出しやがったな!!)

 

 内心愚痴りながら、俺はシャルの攻撃を去なし、躱し、かつ防御する。格闘戦オンリーとは言ったが、まさか初起動でこんな本気で来られるなんてのを誰が予想しようか。

 

「ほらほら!!クロト兄が負けちゃうよ!!」

 

「うっせぇ!!ここからだここから!!」

 

 そう言い返すものの、実際後がないのも事実で、俺のSEも限界値に近づいてきてる。

 

「(仕方ない!!)うぉぉぉ!!」

 

 俺は一瞬だけバックステップの要領で後ろに下がり、そして()()()()()()()()()()()()()。あの時、白騎士がやったのと同じ戦法だ。

 

「うそ!!」

 

 流石に不意を突かれたシャルは慌てて避ける。籠手でなくなった腕で防御すれば、一気に落とされるのは自明だった。

 

 が、俺はそれを狙って瞬時加速を使い一気に目の前に躍り出る。そして再びシールドで殴りかか――

 

「甘いよ!!」

 

 突然横からのダメージが襲い、俺は一気に吹っ飛ばされた。確認してみると、どうやらビットクローを予め来る方向に配置していたらしい。

 

「これで私の勝ちだね!!」

 

「くそぉ、もう少しで勝てたのにな~。59連勝で終わりか」

 

 残念そうに項垂れる俺を、シャルは笑顔で見つめてきた。

 

「ふふーん、これでクロト兄に対してなんでもO☆NE☆GA☆Iできるね~」

 

「お、おう……(何だろう、とてつもなく嫌な予感しかしない)」

 

 俺は何をされるのかわからない恐怖心のまま、笑顔のシャルを見続けるのだった。




オマケ④織斑家の魔王

一夏「こら千冬姉!!また勝手にキッチンに入ってビール持ってったろ!!」

千冬「な、なんだいきなり、私のお金で買ったんだから別に――」

一夏「だからって部屋に持っていくな!!只でさえ足の踏み場もない程に汚いんだから!!」

千冬「うぐ……」

一夏「よって千冬姉、暫くビールとおつまみ禁止な」

千冬「な!!」

一夏「ついでに食事も千冬姉が大好きなトマトとかナスを主体にするから」

千冬「そんな!!後生だ!!それだけは~!!」

???×2((一夏(兄さん)も怖ぇぇ))

千冬は暫く織斑家の(家事関連)の魔王に絞られ、それは見事な土下座を見せるのだった。


――――――――――――――――――――――――――

シャルの機体に関しては、そのうち機体設定という形で紹介させてもらいます。
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