「はぁ、」
俺は今、とてつもなくため息を付きたくなってきた。目の前には鏡、後ろにはにっこりと笑うシャル。ここまではまだ健全な内容だろう。うん、間違いない。問題は場所、そして俺たち二人の格好だ。
「やっぱり、クロト兄のって大っきいよね~////」
「読者に間違われるような事を言うんじゃないよ!!しかも照れながら言うな!!」
「ほら動かないで!!ちゃんとできないでしょ」
はい、読者の方々、スゴいメタい話だが、ここでどうしてこうなったかを回想しよう。
まず俺とシャルは模擬戦をした。そこで一種の賭けをした。そこまでは今までの話を読んでくれていれば分かるだろう。
そして俺はあと一歩のところで負けた。そこまでは至って普通だし、賭けに負けたんだから四の五の言うのは男としてみっともないからできない。それを知ってか知らずか、シャルはある命令をしてきた。それは
流石にマズいと抗議したのだが、ずっと一緒に行動することを承諾したよね?と迫られ為す術なく、現在俺はシャルに背中を洗ってもらってる真っ最中である。うん、静まれ煩悩待ったなしな状況だ。
ちなみにさっきのシャルの台詞は「クロト兄の(背中)って大っきいよね~////」と「ちゃんと(洗うことが)できないでしょ」、だ。別に疚しいことをしてるつもりはないからな、本当だからな!!
「しかしシャルさん?体を洗ってくれるのは嬉しいのですけど、背中に当たってるんですけど?」
「当ててるんだよ~クロト兄////」
うん、この作品はR-18じゃないぞ。なんでこんな状況になってるのさ!!なんでさ!!
セルフ突っ込みは内心に空しく響くだけで、ギコチないながらも一生懸命に体を洗ってくれるシャルを鏡越しに見ないように気を付ける俺だった。
(…………発育が良すぎるのも考えものだな)
どこがと思ったやつ、とりあえずサテキャ3発ぐらい打ち込んでやるから目の前に出なさい。
「今度は料理、か」
生殺しの一時間を終えた俺は、今度はシャルと共にキッチンへと来ていた。
「うん!!クロト兄の料理って美味しいから、作り方教えてもらおうかな~って」
「別にそんなんじゃねぇよ。俺より美味しい料理作れる奴なんてごろごろといるだろ」
俺の平然といい放った言葉に、シャルは引き攣った笑みを浮かべてる。
(どこの世界に、二ツ星は確定なレベルの料理を作れる十代が居るのさ)
――――――――日本
「は、はっくしゅん!!」
「ん?どうしたんだ一夏兄さん」
「どこかで噂をされたような気が…………気のせいか?」
「とりあえず、兄貴は料理に集中してろって、妹の勉強は俺がきっちりと見るから」
「ぶー!!ぶー!!」
――――――――フランス
「それで、覚えたいのってなんだ?」
「ブイヤベースだよ!!クロト兄の料理の中でも特に美味しいんだもん!!」
「へいへい」
俺は言われた通り、得意料理の一つであるブイヤベースの食材を調理していく。魚介類、スパイス、トマトをベースに作っていき、そして隠し味に――
「トマトジュース?」
「そ、トマトだけじゃ少し味が尖ってる時があるし、それに余計な調味料を使わなくて棲む、何より魚介の味を引き立ててくれるんだ」
そういって味を確認しながら少しずつトマトジュースを加えながら煮詰めていき、そして
「ほい完成!!」
見た目も鮮やかな特製のブイヤベースが完成する。さらにパンとバターをテーブルに置けば、夕飯にピッタリなメニューの出来上がりだ。
さらに時を見計らったように父さんもやって来て、テーブルに座った。
「それじゃあ、いただきます!!」
「おう!!召し上がれ」
「いただきます」
食事の挨拶を交わし、俺たちはテーブルの料理を口に入れる。そこからは、ゆっくりとした家族の時間が流れ、家には笑い声が響くのだった。
「さて、今日という日も終わりに近づいてる訳なのですがシャルロットさん?」
「どうかしたの?」
「どうして私はシャルの部屋のベットに居るのでしょうか?」
食後、自分の部屋に戻ろうとした所をシャルに捕まり、今に至る俺は、シャルに今日何度目かの質問を投げ掛ける。
「今日はずっと一緒にって言ったでしょ?だから寝るときも一緒にだよ」
「サイデスカ……ハイ」
もう完全に諦め、俺はベットに横になる。そしてシャルも抱きつくようにベットに横たわる。
「…………クロト兄?まだ起きてる」
「…………おう」
半分寝かけてる時、彼女がか細く聞いてくる。
「私、今日楽しかったよ。久しぶりにお兄ちゃんとふざけて、料理して、笑って、ホントに楽しかった」
「…………毎日続くさ、これからは……いや、これからもな」
「そうだね……」
彼女は微笑と共に俺の服を摘まむ。
「……私ね、お兄ちゃんのことが好きだよ」
「俺もだよ、シャル。家族として、妹として、大好きさ」
「…………ううん、私の好きは、違うんだよ」
そういった途端、シャルは再び抱き締めるように俺の背中に手を回す。
「……私ね、お兄ちゃんの事を、一人の女の子として好きなんだ」
「…………冗談は」
「冗談じゃないよ。私は本気でお兄ちゃんの事が一人の女の子として大好きなの」
シャルの声音は、全くもって真剣すぎて、俺は何にも言えなくなった。
「こんな気持ち、抱いちゃダメなのはわかってる。けどね、心はそうじゃないんだ。クロト兄に触れたり、喋ったり、見たりするだけで、私ドキッとしちゃうの」
「…………」
「束さんにも言われたんだ。私はお兄ちゃんに恋してる。許されない恋をしてるって、わかってるよ。そんなこと、思っちゃダメだって」
「シャル…………お前」
「だから、今日だけは…………一緒に寝よう?そしたら、もうこんな気持ちにならないで済むから」
「…………そうか」
俺は何も言えなかった。シャルの兄として転生した時から薄々は感じていたそれが、今まさに起きてしまったということに、心が追い付いていかなかった。
シャルを原作とは違った形で助けてしまえば、いずれこうなってしまうと、わかってはいた。けど――――
(……最低だな)
その独り言は、誰に言ったのか、自分に言ったのか、それとも、自分に転生という機会を与えた神に言えば良いのか、知るものは誰にもいない。
オマケ⑤ 翌日
クロト「う~ん、あれ?」
シャル「おはよう、クロト兄」
クロト「おう、おはよう、ところでシャルさん、なんであなた産まれたままなのでしょうか?そして私も?」
シャル「…………昨日は(寝相が)激しかったからね」
クロト「へ?」
シャル「それに私も(抱きつかれて)大変だったし」
クロト「お、おい……まさか」
シャル「それに(蹴られて)腰痛いし」
クロト「…………」
シャル「もし……(怪我してるよう)だったら、責任、取ってね?」
クロト「…………ちょっと、首吊ってくる」
シャル「え、ちょっと!!ダメだってクロト兄!!」
そのあと、シャルやウサギの説得のお掛けで、クロトは自殺する必要も無くなったとさ、めでたしめでたし(?)