IS 月は出ているか?   作:ドロイデン

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Episode15 襲撃

 ――――あれから、また暫く時間が過ぎた。

 

 時は3月中旬、原作開始がちょうど一年後となった今日、俺とシャルはISヨーロッパコンペの発表会に来ていた。

 

「す、凄いね、クロト兄」

 

「まぁな、イギリスやドイツ、イタリアやスペインっていったIS関連のトップやその機体のテストパイロット、さらにはその婦人なども来てるくらいの大イベントだからな。これくらいは常識の範囲内だよ」

 

 少し緊張ぎみのシャルに、俺は落ち着かせるように言った。

 

 あの日以来、シャルがあんな過激なスキンシップをすることはなくなったけど、それでも俺たちの関係が少しだけ、ギクシャクしてるのは誰が見ても明らかだった。

 

 多分、父さんもそれが分かってて今回、俺がシャルの護衛役として同行させたんだろう。

 

(しかし、やっぱりというか……)

 

 俺やシャルも当然だが、誰も彼も、皆がドレスアップしているのに、その全員が自分の私利私欲を心のうちに持ってることを考えると、少しだけため息を付きたくなる。

 

「…………少し、よろしくて?」

 

「ん?」

 

 突然声をかけられて振り返ると、そこにはモデルかと思うほどに綺麗なブロンドのふわりとしたロングヘアーに、自己主張するような女性特有の部分、そして少しタレ目の少女が声をかけてくる。

 

「えっと、確かセシリア・オルコット嬢でよろしかったですか?オルコット家ご息女にして現当主の?」

 

「まぁ、男の癖によく覚えていらっしゃることですわね。少しだけ誉めて差し上げます」

 

「ええ、最近イギリスの方で貴女が代表候補生になったと、父、カルロス・F・デュノアが申しておりましたから」

 

 彼女の言い方に少しイラっとしながらも、父さん達から叩き込まれた営業スマイルを崩さずに話す。

 

「デュノア…………ということは、あなた方がフリーデン・ファクトリーの方でよろしいのですか?」

 

「はい、自分はクロト・F・デュノア、こっちが妹のシャルロット・F・デュノアです」

 

「はじめまして、セシリアさん。私はシャルロット・F・デュノアっていいます」

 

「妹…………なるほど、あなた方がフリーデン社が誇るツートップというわけですか」

 

「「ツートップ?」」

 

 俺たちは訳がわからずに、セシリアにどういうことか聞いてみる。

 

「ヨーロッパのIS連盟の各国では有名ですわよ。まだ学生にしてフリーデン社の第三世代システム『ウィザードシステム』を開発した双子の兄と、そのシステムを遺憾なく使いこなして、尚且つシミュレーションとはいえ、世界大会の三回戦までは無傷で勝ったという双子の妹、と」

 

「そんな風に…………」

 

 確かにウィザードシステムというか元ネタのストライカーシステムを提案したのは俺だけど、それも結局のところ、技術者達みんなの努力のおかげだと思ってる。

 

 シャルの方も、偶々一回だけ仮想のランダムマッチングして一回だけそこまで戦えただけなのに、そこまで言われるのは驚きだった。

 

「ところで、聞いたところによりますけど、フリーデン・ファクトリーのウィザードシステムの中には、有線式のBT兵器を開発した、と聞きましたけど」

 

「あー、それは一応企業秘密ですので、詳細は模擬線の時にでも、ご自分で拝見なさった方がよろしいのでは?」

 

「まぁ……それもそうですわね。しかしいったいどうやって有線式BT兵器を作ったのか、そこは少し疑問に残りますけど」

 

 なかなか食い下がる彼女に、原作でのチョロさをイメージしてた俺は少しだけ見直した。

 

「別にそんな凄いことでもありませんよ。BT兵器は詰まる所、ISのイメージインターフェイスを利用した無線型自動追尾兵器、でしたよね?」

 

「ええ、よくご存じのようですわね。今までの男の方とはやはりどこか違いますわね」

 

「お褒めにいただきありがとうござ――二人とも伏せて!!」

 

 俺はシャルとセシリアを無理矢理に伏せさせる。途端にそれは起こった。

 

 突如、複数のISが会場を襲ってきたのだ。しかも機体はどれも『ラファール』、『テンペスタ』といった、世界シェアで有名な機体ばかりだ。

 

「く!!二人とも怪我は!!」

 

「私は大丈夫ですわ。シャルロットさんも」

 

「それよりあいつらは?こんなところを襲うなんて、正気の沙汰じゃないよ」

 

 二人の無事を確認すると、俺はそれぞれを連れて非常経路へと入り、とにかく出口へ向けて走る。

 

「恐らくありゃ『亡国機業(ファントム・タスク)』だな」

 

「『亡国機業』?」

 

「なんですの?それは」

 

 二人は分からないと首を傾げるが、まぁそれも無理はない。

 

「ここ最近、各国でISを使った盗難、テロを起こす連中だ。恐らくあれも裏ルートで手に入れたISだろう」

 

「よ、よくご存じですのね」

 

「父さんからシャルの護衛に着かされた時に聞いたのさ。まさか本当にここを襲撃してくるとは思ってもみなかったけどな」

 

「ク、クロト兄は知ってたの!!ここが襲われるって」

 

 シャルは驚いたように聞いてくるが、俺とセシリアは少し呆れていた。

 

「シャルロットさん、ここはISのコンペディションを目的とした催しですのよ。つまり各国の最新型のISや、さらには各国政府の要人も来ます」

 

「そんなところ、テロ屋が狙わない訳がない。寧ろ狙わないならド三流にも等しいからな」

 

 それに騒ぎに乗じてISパイロットを殺せば、コアとしさIS、その両方を奪うことが出来る。こんな突然の襲撃だ、何もできずに殺されたパイロットもいるだろうから尚更だ。

 

「セシリア、お前連れは?」

 

「チェルシー……専属のメイドが外の車で待ってますわ!!後の方々は要人関連でしたので」

 

「そうか、済まない」

 

 俺は軽く彼女に詫びを入れる。既に俺たちはあと一回曲がれば出口というところまで来ていた。

 

「よし、もうすぐ――!!」

 

 俺は不自然な殺気に気付き、二人を手で征する。二人も何かあったのを考えてか、壁に張り付いて息を殺す。

 

(二人とも、絶対にこの場を動くなよ?)

 

((わかりましたわ(わかった)))

 

 俺は聞かれない程度に合図すると、壁ギリギリで奥を見る。

 

 そこには一人の女がいた。ブロンドをカールさせた髪をしたそいつは、まるで何かを狙ってるかのように出口の側に立っている。

 

「…………ふぅ、そこの坊や達、バレてるから出てきなさい」

 

「「「!!」」」

 

 俺たちは驚いた。俺の視線に気づくだけならまだしも、隠れて気配を消してたシャルとセシリアにも気づくとは思いもしなかった。

 

「あんた、いったい何もんだ」

 

 俺は姿を隠したまま、奴に聞こえるように口にする。

 

「そうね……良いわ、名乗っておいてあげる

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 私の名前はスコール・ミューセル。『()亡国機業』幹部の一人よ」




オマケ⑥ウサギの同類

???「これを組み込めば……」

???「おめでと~!!」

???「なのである!!」

???「惚れちゃいそうだぜ!!」

ウサギ「は!!なんだろう、凄い寒気がした」

カルロス「?どうしたんだい篠ノ之束?」

ウサギ「なんかとんでもないマッドサイエンティストに囲まれてる夢を見たんだよ~」

カルロス「…………君もある意味マッドサイエンティストなんじゃないかな?」

ウサギ「え?」

カルロス「え?」
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