IS 月は出ているか?   作:ドロイデン

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Episode17 月が見えた

 スコール視点

 

「はてさて、選り取り見取りといったところだが……」

 

 それぞれ別の方向へ別れた私は、とりあえずライフルを構えて敵を見る。

 

(『リヴァイブ』が3体、『テンペスタ』、『打鉄』が二体ずつか……)

 

 しかも厄介なことに、リヴァイブはどれもがアサルトカノンを装備した遠距離型、テンペスタはアサルトライフルの中距離、打鉄は言わずもがな、ブレードを装備した近距離型と、随分とバランスの取れた布陣だった。

 

「まったく…………腐っても亡国機業ね」

 

『元幹部のアンタに言われると嬉しいんですが、戻っては来てくれないんでしょ?』

 

 私の呟きに、亡国機業の一人が確認するように言ってくる。

 

「当然ね。そんなことより、そっちの方こそ弾とかは大丈夫なのかしら?」

 

 私は不敵な笑みと共に彼女達に聞き返す。こちらは弾やエネルギーはほぼ満タン、対して彼女達は襲撃の際にエネルギーやら弾を多かれ少なかれ消費してる状況、さらにはSEだってそれなりに減ってる可能性だってある。

 

『敵の心配なんてね、すぐに後悔させてあげるわ!!』

 

 その言葉と共に、打鉄の二人がいっせいに、しかも左右反対から攻めてくる。それも上段と下段のそれぞれでだ。普通の人間なら、片方は止められても、どうしても片方は防ぐことはできない、が、私はちょっと違った。

 

「ふぅ!!」

 

 上段からくるブレードを、ビームサーベルで受け止める。流石は日本の技術というか、近距離用ブレードはビームサーベルの熱に溶けることなく、堂々と鍔迫り合いをしている。

 

『もらった!!』

 

 が、当然ながら下段の方が残ってる。絶対防御があるとはいえ、さすがの近距離、普通に食らえば一発でかなり持っていかれるだろう。()()()()()

 

「甘いんだよ、小娘!!」

 

 私は機体のレッグスカートのあるものを展開し、ブレードを止めた。それどころか寧ろ蹴りをいれて吹き飛ばす。

 

『な!!』

 

『隠し腕だと!!』

 

 それは隠し腕……補助アームと呼ばれる武装で、簡易なアームとビームサーベルがそれには握られている。

 

「やれやれ、亡国機業なら分かってるとは思ってたんだけどね」

 

 私は少しだけがっかりしながら彼女達に言葉を走らせる。

 

「『敵の武器がシンプルな時ほど、特異な技術を持ってる可能性が高い』、私は抜ける前に何度も口うるさく言ってたはずなんだけどね」

 

『く!!』

 

 やられた仲間を見ながら、彼女達は各々の得物を再び構える。

 

「やれやれ、私とこのIS、『ゴールデン・キング』の肩慣らしになるか、試してあげるわよ!!」

 

 

 

 

 オータム視点

 

「ヒャハハ!!オラオラどうした!!逃げてばっかじゃ勝てねぇぞ!!」

 

『く!!このぉ!!』

 

 段幕を射ちながら、アタシは敵に向かって少し派手な八つあ……練習をしていた。

 

(ちっ、やっぱりマドカの野郎じゃねぇからBT系の動きが悪いな……)

 

 元々、アタシにはBT適正は殆どない。こうして動かせているのは、単にマドカに別れる前、少しだけ恥を忍んで頼んだからだ。それがなかったらこんな機体を扱いきれなかっただろう。

 

(ま、マドカのやつに貸せって言われても貸すつもりはねぇけどな)

 

 今はすでに裏抜けしたうちらの妹分の事を思い出しながら、アタシは逃げようとする機体をサーベルで推進機関だけを切り裂く。

 

「ほらほら!!アタシと、この『アリアドネ』の餌になりたくなかったら、無様に踊っりやがれぇ!!」

 

 大型のビームサーベルを4本構え、さらに6本のティアーズを宙に浮かべ、私は高らかに宣言するのだった。

 

 

 シャル視点

 

「なんか、前回も今回も、凄く影薄かったよ……私」

 

 私はため息を吐きながら凄い勢いで落ち込んだ。

 

 まぁそりゃね、クロト兄と一緒に寝ちゃった話がその前にあったから、仕方ないとは思うんだけどね、それでもやっぱり影薄くなっちゃってるよね……トホホ。

 

「……まぁ、でも」

 

 私はとりあえず、掴んでいたISをギリギリとこれでもかとクローを締め上げる。腹部にちょうど挟んでたから、相手はまるで蟹のハサミに挟まってる状況だ。

 

「こういうときは、こんなお邪魔な人達をストレスの捌け口にすればいいんだよね~」

 

『や、やめて!!もうSEが、SEが0になっちゃうわよ!!』

 

「ふふふ、貴女達は運が悪かっただけだよ。僕たちが相手じゃなかったら、もっと長くは生き延びれたもんね~」

 

 締めるクローの強さをさらにあげる。やがてSEの抵抗感は一切無くなり、そして、

 

「えい♪」

 

『いやぁぁぁぁぁ!』

 

 ブチャ、そう聞こえるような音と共に、パイロットだった女の人の体が上から下から真っ二つに裂けちゃった。

 

 驚愕の顔のまま息絶えたそれを、私は無造作に放り捨てる。息しないISを纏った肉塊をちょっと眺めるだけながめ、

 

「あーあ、こんな簡単に壊れちゃったら、ストレス解消にならないよ~」

 

 さて次は、と探してみるが、既にこっちに回ってきた敵は全て真っ二つになっており、辺りはまさしく血だらけだった。

 

「もう、ちょっとリミッター外したらこれなんて、も少し歯ごたえ欲しかったよ~」

 

 その言葉は誰に言ったのかは分からない、けど、私のなかに少しだけ虚しい気持ちが残るだけだった。そして思った。

 

 私は、もしかしたら既に、あのときから既に狂わされていたのではないか、と。

 

 

 

クロト視点

 

「よし、これでおおかた終了っと」

 

 とりあえず、倒した敵を縄で縛っていた俺は、それぞれの戦況を見渡す。

 

(シャルは全員潰しちまった……こっちと、もと幹部側の二人のところは三、四人ぐらいずつ離脱されたか)

 

 正直、シャルがあそこまで暴走するとは思ってなかったが、まぁ話の限り、リミッターを少し外したらしいから仕方ないと言えば仕方がない。

 

「さて、と……俺も準備しますかね……」

 

 俺は再びISを展開する。そして俺はホロモニターを展開し、あることを確認した。

 

「…………よし、いけるな」

 

「……アンタがまさかあの『月下銃士』だったとわね」

 

 俺が満足そうに頷くと、捕虜状態の女一人が聞いてくる。

 

「まぁね。でもあと一年くらい内緒にしててくれれば、俺はお前らに何かするつもりは無いけどな」

 

「……ふん、どうせ捕まったのよ?ブタ箱でもなんにでも送っちゃえば良いでしょうが」

 

 女は拗ねたようにそういう。

 

「まぁお前が、離脱した味方守りたくて話しかけてきたことは分かった」

 

「ふん、分かってて受けるなら本当のバカね。まだ空中だろうけど、既に味方は貴女達の射撃の範囲外から抜けてるのよ」

 

 女は笑うようにそういった。

 

「貴方は強いのかも知れないけど、それでも貴方の射程は数十メートル前後!!どうやったって私達の――」

 

「…………知ってるか?奥の手ってのは、最後まで隠しておくものだって」

 

 女はへ?とでも言いたいような面をしてこちらを見つめる。そして俺は、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()X()()()()()()()()

 

「サテライトシステム起動…………受信コード『BATEN』を入力……システム、オールグリーン……」

 

「な、なんだ、何をするって言うんだ!!お前は」

 

 女は驚き、恐怖し、訳がわからず聞いてくるが、俺はそれを無視し、天高く舞い上がった。丁度月が空へと浮かぼうとしていて、俺の顔は笑みが溢れる。

 

「さぁ、()()()()()!!」

 

 俺は右肩の砲身のグリップを握る。そして狙ったように宇宙から一本の光の筋が流れ、胸部のユニットに当たり、染み込んでいく。

 

 それと共にリフレクターは銀色に光輝き、機体全体も白く光っている。

 

「『サテライトキャノン』…………フルバースト!!」

 

 その言葉と共に、俺は引き金を引いた。

 

 

 

 

 ???視点

 

「く、私達が!!くそ!!」

 

 仲間の一人が吐き捨てるように怒鳴り散らす。回りには既に、あれだけいた仲間が10数人程度まで落ち込んでいる。

 

「まだよ、私たちには、奪った機体を本部に届けるという任務があるのだから」

 

「そうね、機体さえあれば、あとはどうにでも――」

 

 そのときだった。後方からロックされたと機体がアラートを鳴らす。慌ててモニターで確認してみると、そこには一度噂になった『月下銃士』が銃口を構えてこちらを向いていた。

 

「は、やけにでもなったのか!?あんな距離じゃ射ったって当たるわけねぇだろ!!」

 

 仲間の一人がそういう。確かに普通に考えれば当たるわけがない。そのはずだ、なのに、どうしてだろう、私の体はがくがくと震えていた。

 

 モニターには依然としてこちらをやつがロックしてる。次第にどういうわけか機体が白く輝き、砲口もどういうわけか白くなって……

 

 そして驚愕した。私の震えは間違いではなかったからだ。なぜなら、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()、それも()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()からだ。

 

「あ、ああ……」

 

 全員、逃げようと思った。が、体は言うことを聞かない、動きたくても、まるで石になったように固くなってしまったからだ。

 

「い、いやあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

 私達が最後に言えたのは、そんな恐怖からの言葉だけだった。

 

 機体の外装が飛び、フレームが消え、SEも消滅し、そして、私たちの存在さえ居なくなった。




オマケ⑧ 織斑マドカの苦悩

 私、織斑マドカはそれなりに何でもこなせると思っていた。ISの操縦はもちろん、料理だってそつなくこなせると思う。けど、私にも無理なことはあった。それは――




















一夏「ほらマドカ!!もうすぐ春休みも終わるぞ!!」

マドカ「うう、勉強嫌いだぁ!!」

一夏「文句言うなって、あと国語だけで8ページもあるんだから、さっさと終わらせないと次にいけないぞ」

マドカ「イヤァァァァァ!!」

 神様、なぜ世の中に勉強があるのでしょうか?マドカはそれだけを恨みたいです……。

一夏「生きてくだけで勉強だ、文句言うな」

マドカ「鬼!!悪魔!!ブリュンヒルデ!!」

千冬「ほう、そこまで言うか……」

???「…………織斑家は、いつも平和です」
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