「ふぅ、目標完全鎮圧っと」
砲身から未だに出る煙を息で飛ばしながら、俺は射ち落とし……もとい、消滅させたやつらの方向をセンサーで確認する。
「な、なんなのよ……あの砲撃は……」
捕虜の女がたまらずに聞いてくる。彼女の他にもオータムもポカーンと口を広げ、スコールは天を仰ぐようにして、シャルはシャルで俺の砲撃を見て寧ろ目をキラキラとさせてる。
「……サテライトキャノン、文字通り
「な!?」
女は絶句する。当然だ、こんな兵器、ISの能力を遥かに凌駕してる。あのウサギでさえ、こんな武装は簡単に造ることなんて出来ないだろう。
「そんな……そんなISと戦うなんて……自殺行為じゃないの!!」
「…………」
脅えるように言ってるが、内心、そうでもないと一人ごちる。
というのもこの機体、これさえ決まれば大抵なら勝負がつくが、それと同時に、これがなかったらただビームライフルとビームサーベルもった初期のガンダムと同じなのだ。
しかも、一発射つのにちょっとした溜めの時間がいる上に、射ってる最中は身動きひとつ取れない、体をずらすくらいならまだなんとでもなるが、それ以外、防御なんてもちろん、ビームサーベルで自衛することすらできないのだ。
オマケに月……サテライトシステムの特殊レーザーを受信しないと射てないという欠点すらあるが、今回は少しだけ裏技を使った事で何とかなった。
この点からも、『GX』や『DX』は人気はそれなりなのに、原作再現しすぎてゲームでは使いにくい機体の位置付けに収まってしまっているのだ。もっとも、生前やっていたゲームではGXは基本的にディバイダーだったし、DXも支援機と変形した姿の方が優秀だったので、基本的にこのサテライトキャノンはお蔵入り武装にしてる面々も多いという話も少なくなかった。
「……ま、とりあえずなんだ、アンタらは大人しく捕まっておいてくれないか?」
俺は展開していたリフレクターと砲身を収納し、陸地に降りてそう問いかける。女達は当然のように頭を上下させ、中には自分の機体と奪ったものをこっちに渡してくるのもいた。まぁもちろん、丁重に機体を解析したあと、持ち主の国に変換するけどね。
「さて、と……」
ISをしまい体を少し伸ばしたら、俺は手持ちの携帯である番号に連絡する。
『…………こちらFBI特殊犯罪捜査部のガミルだ』
「お久し振りです、ガミルさん。今大丈夫ですか」
相手は前にシャル誘拐事件の時に知り合ったガミル・ローランという人だった。なんと顔の見た目がサングラスと傷がないジャミルさんという風貌で、初めてあった時は心底驚いたものだ。
『その声はクロトか!!そっちの状況は!!いったいどうなってる!!』
「落ち着いて下さい。とりあえず事情を説明するので、何人かFBI所属の捜査員をこっちに呼んできてくれませんか」
『分かった。俺も何とか急いで向かうから、少なくともFBIのIS鎮圧部隊が到着するあと15分はその場で待機しててくれ。俺ももうすぐそっちに着くからよ』
そしてきっかり15分後、FBI所属のIS機動部隊が到着した。俺たちは捕虜にした女達と、さらにIS(最新鋭機以外)を引き渡す。
それらの一連が終わると、ちょうどガミルさんも車でこっちへ来たようで、俺たちを見て手を振る。
「久しぶりだなクロト。もう3ヶ月以上経つのか」
「ええ、ガミルさんもおかわりないようで」
俺達は互いに社交辞令の後に少し笑いあう。
「しかし今回の襲撃……やはり目的はISか?」
「そうみたいですね。うちのシャルも危なく殺される所でしたよ」
「ふむ……で、お前は最新鋭の機体をいつまでちょろまかしてるつもりなんだ?」
どうやらこの御仁は俺が最新機だけ提出しなかった事を知ってるようだった。
「なんの事ですか?俺はちゃんと渡しましたよ?あいつらが使ってた機体と奪われた奴は」
「ダウトだ。頭のなかで何を考えてるのか分からない奴は、大抵自分が有利になるように進めたがる。特にお前みたいに、
「…………はぁ、どこからお見通しなんですか?」
俺は呆れるように聞き返す。この人にはどうやら俺の手札を知り尽くしてるみたいだ。
「ん~、シャルの嬢ちゃんのために篠ノ之束が連絡してきた時からだな。あの他人を全く信用しない変人天災が他人のために行動するとなると、それなりに興味がある出来事がない限り有り得ないからな」
「ごもっともで……」
仕方なく、俺は懐から回収した第三世代機をガミルさんに引き渡す。
「これが第三世代機ね~」
「どこの所属かは分からないので、そこはそちらでお願いします」
「おう…………ところでよ、さっきの砲撃もお前さんなんだろ?」
ガミルさんは疑うように聞いてくる。まぁあれだけ高出力のビーム射ったなら、否が応でもバレるに違いない。
「…………今騒ぎになりたくないんで、とりあえず黙ってて貰えれば幸いなんですけど……」
「まぁ最初期の機体とはいえ、
ほんとこの人何者なんだ?、俺は転生した時に貰った頭脳をフル回転して考えるが、途中で諦めた。
「……ま、バレないように程ほどに頑張っては見るさ。あんまりあの派手なビーム射たなければな」
「……次からは気を付けます」
俺が素直にそう言うと、ガミルさんは仕事の顔に切り替えてドーム内へ入っていった。
翌日、ヨーロッパ各第三世代試作ISのパイロット約30名、企業幹部及び政府重役150以上が死亡するというニュースがテレビに流れることになったのだった。
オマケ⑨ 篠ノ之箒の現状
拝啓、姉さん。最近漸く私はこの街で暮らすのもなれてきました。
少し扱いに困ったチビ狸や魔王といわれる小学生や、剣術を教えてくれた女性など居て、私は中々充実した毎日を送っています。
あと、最近綺麗な青い宝石を拾っいました。水晶のような形をしていて、中に数字のⅧが書かれています。私の御守りの中に毎日入れて持ち歩く程です。
来年は恐らくIS学園に通うことになるでしょう。私は貴女の妹ですから仕方ありませんが、できるなら普通の女子高生としてアイツと一緒の学校に通いたかったと思います。
篠ノ之箒