IS 月は出ているか?   作:ドロイデン

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Episode21 お話ししませんか?

「……それで、日本のどこの企業と話をしにいくんだ?」

 

 俺はオータムの運転する車で、大量に買ったドクペを飲みながら父さんに聞く。ちなみに買ったやつはISの拡張領域に飲み終わったやつ含めてぶちこんでる。

 

「なんていうISの無駄使いを…………、ごほん、今回の取引先は『倉持技研』……『打鉄』というISを製造してる会社であり、束氏が少しばかり目を置く研究者が所属してる会社だ」

 

 父さんの説明に俺はなるほど、と思いつつ原作でのあそこの行動を思い返してみる。

 

 『倉持技研』……確かに父さんが言うとおり日本製第二世代量産機『打鉄』を製作し、かつ、原作主人公『織斑一夏』の専用機『白式』を設計した会社だ。だが、織斑一夏の登場によって日本代表候補生『更識簪』の専用機であり、前々より設計されていた『打鉄弐式』の開発を途中で投げ出した会社でもある。

 

 そのせいで原作で、更識簪の負の感情が悪化する要因になり、元より溜め込みやすい性格のせいで周りを拒絶し、周囲と深い溝を作ってしまった、個人的にはあまり関わり合いになりたくない企業だ。

 

「こらこら、露骨に嫌そうな表情をするな…………」

 

「だってよ……軽く調べたけど倉持技研に、うちと取引する意味ってあるのかなって思ってさ……技術力だけならうちのほうが何枚も上手だし」

 

「それはそうだろうな。何せうちの会社にはまだ他国で開発の目処が立っていないビーム技術まであるくらいだからね」

 

「でもビーム技術はクロト兄が持ってる『ルナーク』と、束さんの天災技術があってこそだけどね…………」

 

 シャルはにべもなくそういうと、父さんの隣にいたスコールが苦笑を浮かべる。

 

「けど、倉持技研が最近開発し始めたマルチロックシステム……あの技術は第三世代用といえど、目を見張るものがある。例えばイギリスの『BT型』やうちの『イノベイク』の『ガンバレルパッケージ』にも搭載させれば…………」

 

「そりゃそうだけどさ、結局のところ第三世代機はどれもこれも機密だらけなんだし、欠片の情報も手に入れられないと思うよ」

 

「まぁそこは私の交渉の腕次第だな……っと、もうすぐホテルだ。一応予約はしてあるし、今日はもう昼過ぎだ、今日は自由に行動していいからね。二人とも」

 

「は~いパパ!!」

 

「シャルロットォ!!」

 

「父さん!!車の中なんだから暴れるな!!」

 

「グハァ!!」

 

 親馬鹿を発動しようとした父さんを肘打ちで黙らせ、俺は再びドクペを飲むのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――――――

 

 

「さて、どこに行こうかな……」

 

 ホテルの自室に到着し荷物を下ろした俺は街を散策しようと外に出ていた。シャルをを誘おうかとも思ったが、あいにく妹は自分が行きたいところへさっさと行ってしまったらしい。一応夕飯の時間までには帰ってくるだろう。

 

「やっぱり秋葉かな~生前以来にメイドカフェとか行ってみたいし……もしくはゲーセンとか……よし!!そうするか!!」

 

 軽い気持ちにて、俺は秋葉原へと向かう。休日の既に3時過ぎ、やはりというか電車は超満員、中には某白米好きのアイドルや、コミケ後なのか凄い荷物を持ったメガネフェチ女子高生の姿があったが気にしたら負けだ。負けと言ったら負けだ。

 

 そんなこんなで電車は秋葉原へと到着し、俺はゲームセンターのある側から降りる。

 

「さて、まずは……ってあれは……」

 

 降りて早々に目的地へと向かおうとするが、そこで思わぬものを見つける。

 

「なぁ、俺達と遊びにいこうぜ~」

 

「一人なんだろ?少しぐらい良いじゃねぇか~」

 

「そうそう、せっかくの休日なんだからよ~」

 

 なんともはや、呆れるくらいに定番なナンパ連中を見つけため息を付きたくなる。しかも三人で女の子一人を囲んでるというお約束展開、ここまでは納得できる。が、その女の子が問題だった。

 

 短いショートカットを左右で一つずつに纏め、トロンというようなタレ目、しかも袖がちょっと大きすぎる服を着て両腕が隠れているその姿、当然見に覚えがあった。

 

「(布仏本音……なんでこんなところに……)」

 

 彼女……布仏本音こそが後に原作で織斑一夏と更識簪を繋ぎ、リアルで新党のほほんとヒロイン第八勢力と呼ばれる少女だ。

 

「(おおかた、主人である簪のロボオタに疲れて休憩してるか何かしてたらナンパ野郎に捕まったというわけか……)」

 

 もう神様に頼んだ特典その二の意味ないよね、と思いながらも知り合い(一方的な)がナンパされてるのを見捨てるのはどうかと思い、俺は彼女達のいる方向へ歩き出す。

 

「いた!!」

 

「うわ!!なんだよ!!」

 

 俺は自然な足運びでナンパ野郎の一人にわざとぶつかり倒れる。当てられた男は何事かと驚き此方を見る。

 

「すみません、歩いていたらぶつかってしまいまして……」

 

「ぶつかってしまいまして、じゃねぇよ!!勝手にぶつかっておいて!!」

 

 案の定、男は良いところを邪魔されて腹が立ってるのか此方へ怒鳴り散らす。その間に俺は彼女に向かって隠れてハンドサインをする。

 

『少しこの人たちに注意をこっちに向けるから、その間にどこかに逃げて』

 

 本音さんは少し驚いているが、何も言わずに軽く頷く。

 

「だから謝ってるじゃないですか……」

 

「んだと!!」

 

「まあまあお前も落ち着けって、日本語は上手いけど見たところ相手は外国人だし、こっちだってぶつかってしまったという落ち度があるんだからさ」

 

「それに、見たところ外国人の中でもそれなりの家の人間みたいだぜ、服が良いとこのやつばっかりだ。しかもフランスの有名なブランドの腕時計までしてるし」

 

 どうやら相手の三人のうち二人はこっちの素性を冷静に見定められる目を持ってるらしい。と、三人がこっちに集中してる間に本音さんは移動したらしく、遠目でショッピングセンターの中へと入っていった。

 

「(任務完了ってな)ちょっと日本に観光しに来まして、知人から『日本に来たら秋葉原は確実に行くべき』って太鼓判を押されまして」

 

「で、観光して歩いてたら偶々俺達とぶつかってしまった、と」

 

「そういうわけです。……って、貴殿方は何を?」

 

「ん?見りゃわかるだろ、ナンパだよ、ナンパ…………」

 

 男が当たり前のように言って振り返ってみると、当然のごとく目的の少女は居なくなっている。

 

「あぁ!!逃げられたぁ!!」

 

「あぁ、なんかすみません…………」

 

「ハハハ、まぁ成功するとは思ってなかったから別に良いよ。少しは楽しめたし」

 

「…………個人的に、このバカが女の子に叩かれて逆上して警察のお世話になるのだけは嫌だったし」

 

「なんでそうなること前提なんだよ!!」

 

 男の突っ込みに俺を含めた三人は軽く笑う。

 

「それじゃぁ僕はこれで、先程はすみませんでした」

 

「良いよ良いよ、あ、連絡先を教えてくれない。悪いことには使わないから」

 

「構いませんけど、いったいどうして?」

 

「そりゃこの世の中、女尊男卑が地をいく情勢だからね。男が生きていくには技術か情報を得るのが一番、そう考えたら、例え外国人でも情報を共有できる事ができれば少しでもなにか上手く活用できるだろ?」

 

「…………とかいって、実際はお金持ちの奴と知り合いになっておけば良いことあるかもって考えてるんだろ?」

 

「失礼だな~。言っとくけど僕は情報に関して言えばそれなりにネットワークがあるから」

 

 男はそういうとなんの気無しにスマホを此方に向けてくる。俺もスマホを取りだし、メアドを交換した。

 

「ありがとう。……クロト・D・フェブリエか……じゃあ何か知りたいことがあったらメールで聞いてくれ」

 

「はい、ありがとうございました」

 

 俺はそういうと三人から離れてショッピングセンターの方へ足を向ける。

 

「あの……」

 

「ん?」

 

 ふと呼び止められ振り返ってみると、そこには本音さんともう一人の少女が立っていた。

 

 水色の特徴的な髪型に垂れた紅い瞳、休日だからかメガネは掛けて無いが、その独特な雰囲気に少しだけ呑まれる。

 

「さっきは……友達がありがとうございました……」

 

「ありがとうございます」

 

「あぁ、良いよ良いよ、別に気にしないで。ナンパに絡まれて大変だったのは君のほうだからね」

 

「いえ、その……」

 

 俺は彼女の言葉を待つと少し間が生まれ、そして、

 

「少し……お話ししませんか?」

 

 少女のほうからお茶の誘いを受けるのだった。

 




オマケ⑫ シャルロットの観光

シャル「はわ~可愛いな~」

 シャルが居たのは動物園だった。彼女は現在、目の前に居るのは…………()()だった。

シャル「そうだ写真写真!!」

 シャルは慌ててスマホを取り出してツーショット写真を撮影する。

シャル「そうだ!!これをセシリアに送ろう!!うん!!そうしよう!!」

 ~数分後・イギリス~

セシリア「あら?シャルロットさんからメールが、確か日本今ごろ観光でしたわね……ヒャワァァァ!!ワ、ワワ、ワニ~!!」バタン!!

チェルシー「お嬢様!?」

 セシリア・オルコット14歳、容姿端麗、ISの代表候補生である彼女だったが、唯一、爬虫類だけはダメだった。
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