IS 月は出ているか?   作:ドロイデン

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Episode28 アスワン・ラー

「……今の状況を確認するか……」

 

 更識邸から出た俺は、とりあえずウサギと連絡を取ることにした。既に事件発生から数時間は経ってる状況で、探すにもまず専門家に話を聞く必要がある。

 

『…………もしもしクーくん!!』

 

「ウサギ、今の状況は」

 

『今、ISコアのマスターアカウントとコアネットワークを使ってるんだけど、はっきり言って成果はこれといって……』

 

 やはりというか、映像通信で映っていたウサギの頭とウサミミがシュンと下がってる事から予想はしていたし、アイツから聞いていたのもあったから、然程ガッカリはしなかった。

 

「……なら、現在時刻で奪った奴らが移動したであろう距離の範囲のピックアップは?」

 

『それなら……うん、しておいたけど……範囲内にあるフェリーターミナルと空港には、そんな貨物を運んだ映像はなかったよ』

 

「それでもいい、範囲内にある、事件発生から今までに出発した船と飛行機のリストをピックアップしてくれ」

 

 俺がそう言うと、ウサギはすぐにスマホにそのリストを送ってきた。

 

(相手が奴らなら、少なからずおかしなものが入ってる可能性がある……)

 

 俺はすぐにリストへ目を通すが、どれもこれもいたって普通の旅客機や貨物船ばかりで、あまり目立った物は……

 

「…………あれ?」

 

 と、俺はあるものに気がついた。そしてそれの行き先を確認し……!!

 

(ちょっと待てよ……おい、これってもしかしたら)

 

 頭に浮かんだ可能性を頭に浮かべ思案して数十秒、そして、その答えが示すのはつまり……

 

「ウサギ!!親父に急いで連絡!!至急ある飛行機と連絡を取るように日本政府へ!!」

 

『あ、ある飛行機?』

 

「今その飛行機の情報を教える。いいか、便名は…………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ???視点

 

「やれやれ、今回は上手くいって良かったものだ」

 

 私は目の前にいる仲間にそう声をかけ、私達が手に入れたそれが入った鞄の一つを目に止める。

 

「そうだな……しかし、よくもまぁあれだけのコアを幾つも手に入れたものだ」

 

「まぁ私らにはISもあったし、それに……この力もあるしな……」

 

 私はそういうと真横に置いておいた剣を手に取る。

 

「しかし、私には信じらんねぇな……そんなふざけた形の剣……ディソードだっけ?その劣化コピーを使っただけで、あんなに効果が出るとはな」

 

「まぁな、私のISに積まれた特殊装置と、この専用の剣……ディソードの力があれば、あれくらい序の口さ」

 

 今回の襲撃、簡単に言えば手段は概ね簡単なものだった。まず、ディソードを使い、私と味方のISを監視カメラやセンサーに反応しないように改変し、近くまで近づく。

 そして、ISを使い科学者達を殺して口を封じ、ディソードの能力で通報されないようにした。そして目的のコアを手に入れた。

 そして、我々の目的がバレないように、開発途中の機体を奪い、他のコアもダミーとして複数奪う。そうすることで警察や自衛隊は機体とコアを乱雑に奪ったとして認識した。

 最後に、再びディソードの能力を使って私達がISを使って上空を移動して、予め用意していたこれに乗り込んで逃亡、という簡単なものだった。

 

「しかし、よくそんな突拍子もない武器を襲撃の要に使おうと思ったな」

 

「まぁ、私も疑い半分だったがな。使えるものは使わないと」

 

 その時だった。いきなり揺れるような振動と共に私達は吹っ飛ばされた。

 

「な!!敵か!!」

 

「確かにその可能性はあるけど……でもここは太平洋のど真ん中、しかも上空よ。いくら戦闘機を使って追いかけてきても追い付けるわけが」

 

 ない、と言おうした瞬間にまた中が揺れる。間違いない、どう考えても襲われていた。

 

「ち!!おい、コア持って逃げるぞ!!」

 

「けどここは空の上よ!!私達のISは、最低限の補給はしたけど、それでもディソードはもう使えない!!」

 

「こんなところでお陀仏になるよかマシだ!!とにかく逃げるんだよ!!」

 

 彼女はそう言ってIS『ラファール・リヴァイブ』を纏い、私も同じく『リヴァイブ』を纏い、奪ったものをそれぞれの機体にしまう。そして彼女の機体のアサルトライフルが火を吹き、床に抜け穴を作り、揃って飛び降りる。

 

 だが、襲ってきたのは戦闘機ではなかった。いや、ある意味では戦闘機なのだろうが。

 

 上空、高度2500mで見たのは、白と黒のカラーリングをした大型の機体だった。まるでスキーボードのような細長いものを四つも機体に取り付け、真ん中二つには銃口が見える。

 

「な!!あれか、攻撃を仕掛けてきやがったのは!!」

 

「戦闘機なの?でもあんな戦闘機、見たことがない!!」

 

 私達は思わずそう思いながらも、敵には違いない機体に向かってアサルトライフルを射ち放つ。秒速10発前後の弾幕を、戦闘機は難のことなくかわし、機関銃で応戦してきた。

 

「ちぃ!!こんな奴にぃ!!」

 

「ちょ不用意に近づいたら!!」

 

 彼女の『リヴァイブ』が中々当たらない事に痺れを切らし、内蔵していた長刀を抜いて叩き落とそうと斬りかかる。が、その時見たのは驚くべき物だった。

 

 なんと戦闘機は一瞬のうちに変形し、それは人型の兵器の姿へと変貌したのだ。白い前身のカラーリングに、後ろが黒に塗られ、手には大型の砲門を両手に構えたその全身装甲の機体は、間違いなく……ISだった。

 

「そんな!!」

 

「変形したところで、全身装甲の第一世代如き!!」

 

 しかし、彼女のその言葉は、一撃の光の斬撃によって貫かれる事で否定された。

 

「…………え?」

 

 まるであり得ないとでも言うように、彼女は一瞬で、まさしく焦げた肉塊へと変貌し、力なく墜ちていった。そして間もなく水中へと落ちる音が聞こえた。

 

「こ、このぉぉぉぉ!!」

 

 私は彼女を、仲間を殺された怒りに身を任せて、ディソードを展開して剣を振り上げた。が、それも一瞬にして切断され、敵の蹴りが私の腹部に突き刺さる。

 

「かはっ!!」

 

 重い一撃に機体のバランスを崩し、墜落しかける。なんとか急静動を掛けて奴を見ると、その砲口がこちらに向かれ、そして、最後に見たのは、私を飲み込む桃色の光だけだった。

 

 

 

 

「……ふう、とりあえずこんなもんかな」

 

 俺は機体のフェイスカバーの中で安堵を浮かべ、とりあえず目的のものを回収する。

 

 墜落した機体二機を浜辺へと持っていき、軽く操作すると、目的の代物……ISコア八個と仮組の専用機のアクセサリーが入ったアタッシュケースを確認した。

 

「……こちら『ハイゼンスレイ』より『アスワン・ラー』へ、目的の物は手に入れた。これより帰投する。」

 

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