「そうですか……いえ、分かりました。わざわざすみません、それでは……」
「親父、どうだった?」
ホテルに戻ると、どうやらちょうど連絡をし終えたらしい父さんに現状を聞いてみる。部屋にはシャル、スコール、オータム、そしてウサギも揃っている。
「クロトの言う通りだった。相手はIS二機だったらしいが、無事に撃破、奪われたものも取り返したようだ」
「そうか……」
とりあえずの安堵に俺を胸を撫で下ろした。
「しかしクロト、どうしてあの飛行機……それも
そう、今回の犯人が使っていた飛行機、それは小型精密機器を輸出するための飛行機だったのだ。
「う~ん、正確には確信は無かったんだけどな。それでもあれは何かあると思ったんだ」
「?どういうこと?」
シャルは分からないようで俺に聞き返す。
「普通、精密機器の輸出入ってのは基本的に深夜とかにやるんだ。他の旅客機みたいに人を乗せるわけでも無いから、日中にも時差の関係で出る便はあるけど、主には関係者以外は残ってない深夜に送る規則になってるんだ」
実際、今回の事件で使われた貨物機の発着場である羽田も、基本的に深夜の時間帯に貿易関係の輸入便を受け入れてるらしい。
「けど、今回相手が行き先に指定していた国はオーストラリア……日本とオーストラリアの時差は約2~3時間だから、普通に考えれば昼の今出発するのはおかしいんだ」
夕方に送れば充分に深夜には到着するし、何より
「しかも今回、相手が使った便の前にもう一つ貨物便が、アメリカにもあった。アメリカと比べて距離が雲泥の差なのに今回の輸出……恐らくアイツらはダミーの貨物便を装って出発したんだろうな」
「なるほどね。貨物便は文字通り貨物を運ぶための飛行機、人が隠れて入るのには充分すぎるし、何より中でISを纏うことができる程のスペースも確保できる」
「こりゃ日本政府に貸し一つだなw」
オータムは笑いながらそう言ってるが、俺の表情は寧ろ厳しいものになった。
「あれ?浮かない顔だね~クーくん?どうかしたの?」
「……ウサギ、今回の事件で俺達は日本政府に貸しを作ったことになる。つまり、逆に言えば日本政府は俺達の事をマークすることになる」
そう言われ全員がハッと驚いた表情を浮かべる。
「マークされるって、クロト兄や私達は……」
「大人って言うのは、そう簡単じゃないんだシャル。今回の事件、一応ISの家本である国で、ISを使った強奪事件が起こって、尚且つそれを外国の一企業の助けで解決した。これはある意味最悪な状況を生むかもしれないんだ」
俺のその言葉にシャルは納得できず唸っているが、実際問題、これが現実なのだ。
「だろうな。日本は世界的に言えばISの本家本元、それだけにIS関連によるシステムレベルは世界でもトップだ。それを、つい最近吸収合併した一企業がそれを上回る、しかも世界初の第三世代量産試作機までほぼ完成してる。詰まる所、日本はどうやってでもアタシらの技術を手に入れようと躍起になる」
「加えて各国のパワーバランスも崩れるわ。日本のIS製作会社は、今回潰された倉持以外ほぼ小規模なパーツ加工会社ばかり、例え機体は存在しても設計図がない以上、これから新しい機体を造るのにはかなりの時間を必要とする」
そうなれば日本のIS技術はかなり出遅れる事は必死だ。
「……はぁ、父さん、フランスに戻ったら緊急会議だね」
「そう……だな。ついでに新しいテストパイロットを探さねばならんしな……」
そう、技術以前に俺達の会社にはテストパイロットがシャル以外に居ないのが現状なのだ。勿論俺もテストパイロットじゃないのかと言われればそうなのだが、男の俺がISのテストパイロットというのは現実的に大変なことになりかねないのだ。
「あ、その事なら二人だけ当てがあるよ~」
「ん?ウサギが推すって事は、妹さんか?」
うん、俺もオータムと同じことを考えたが、まずそれはないと頭を振った。
「箒ちゃんでも良いんだけど、流石に政府の監視を掻い潜って持ち帰るのは無理だよ~」
「……てことはあれか?お前があかの他人を推すって事か?珍しい」
「そうね。明日は槍かしら?」
「そんな雨かなみたいなノリで済んじゃうんだね……」
元幹部コンビ二人の言葉にシャルが苦笑をし、対するウサギは無問題といった状況だった。
「でも、そのうち一人はまだ分からないんだけどね」
そう言うと、何故かウサギは俺の顔を見つめてきた。
「?」
「多分、クーくんは知ってるはずの人間だよ」
「俺が?」
ますます分からなくなる。女性関係の知り合いで、尚且つISを乗りこなせそうな人物なんて、全く心当たりがない。
「正確に言うと、あの事件関連なんだ~」
「あの事件って……」
ウサギが言う事件は恐らくシャルの誘拐事件の時だろう。けどあの時居たのは、俺が『ルナーク』で殺ったバカ女と、実験の被験体になっていた少女たちだけ。
前者は生き残りは居ない筈だし、被験体の少女達は少数がここ最近自我を取り戻しつつあるものの、未だにICUから出られないものばかりだ。とてもではないが……
「あ……」
いや、確かに居た。俺が知ってるなかで、ISを動かせるうえに、尚且つ今フリーになってる奴が。
「いや、でもアレをか?報復とかされたら嫌なんだけど」
「大丈夫大丈夫、私お手製の監視カメラによると、そいつはまだISは持ってるみたいだけど、裏からは足を洗ったみたいだよ」
「……そうは言うがな……」
何せあんなのをフリーデンに入れたら、それこそ『ガンダムX』第三話のオルバみたいな事になりかねない。いや、ならないわけがない。
「とにかく、会えばどうなってるかわかると思うからね~。面接はよろしくね♪」
「いやいや、そもそもどうやって引っ張ってくるんだよ……」
俺の突っ込みは何のその、ウサギは持ち前の天災さで場を和ませている姿に、どこかほっこりする気がしていた。
???視点
「…………もしもし」
『……まさか、貴方が転生者だったんですね』
「ふ、そうだね……『ガンダムX』のパイロット、クロト・D・ファブリエくん」
僕は電話の相手が彼であることを確認すると、彼は通話越しにため息を着いていた。
『…………いつから、自分の事を気づいてたんですか?』
「そうだね、はっきりとではないけどあの日、君が布仏本音と接触したあの時かな?」
『趣味が悪いですね……まさかナンパを装ってお近づきになろうとでも考えたんですか?』
「まさか、そんなことをすれば逆に自分の首を絞めるだけだよ。長いときを過ごしたと言うのに、踏み台で脱落したくは無いさ」
僕の言葉に彼は唸ってるものの、事実なため追求はしないようだ。
「それよりも君の異常性には驚いたよ。まさか君があの世界の人間……それもこの世界に出来事がリンクしてると来たものだ」
『ということは、貴方は自分の『
「それこそまさかさ。僕の機体ははっきり言って
事実、僕の専用機……正確には
だからこそ、僕は更なる特典として機体の一部に『バイオセンサー』を取り付け、自分自身をニュータイプ能力者にした。そうでなければ、僕のように転生した人間を相手にしたとき、機体スペックで負けるかもしれないからだ。
『……つまり、貴方のニュータイプとしての力で、自分の
「そうなるな。っと、言っとくが僕も
僕はそう言って電話を切ろうとするが、相手は電話越しに殺気を飛ばして威圧してきた。
『……一つ聞かせろ、お前は剣を持ってないんだな?』
「うん、当然。あんな物騒な剣と能力、酔狂な奴でもない限り絶対あり得ない。下手したら頭イカれて死ぬからね」
『そうか、だったら良い……次に会うのは、多分
「そうだろうね。ではその日に……クロトくん」
『……あぁ、『ハイゼン・スレイ』の
オマケ⑱ 織斑宅の経済(?)事情
一夏「ち~ふ~ゆ~姉!!今日また勝手にビール大量に買っただろ!!」
千冬「い、いや……倉持技研の事件で少し忙しかったから……その息抜きに……」
一夏「言訳無用!!今年はマドカも含めて三人も受験するだから!!少しでも節約しなきゃいけないってのに!!」
マドカ「に、兄さん、姉さんも疲れてるんだし……たまには」
春秋「それに入学金とかは姉さんがモンドグロッソで優勝したときのお金がまだ残ってるんだから(ほ、本編先駆けて登場できた~!!)」
一夏「二人とも甘い!!千冬姉にばっかり甘えてないで自立しないとダメなんだぞ!!だいたい……」クドクド
千冬「あぁ……あんなに優しかった一夏は何処に……」