Episode34 お約束の……
「「「「「……」」」」」ジ~~~~~~~
(ヤバイ、滅茶苦茶視線が……)
さて、あの事件から約二ヶ月が過ぎ、俺は今、世界最高峰のハーレム空間……否、地獄に居た。
いや実際四十人近い人数でその中に男が俺と、もう一人の『織斑』こと織斑春秋だけとか地獄以外何物でもないから。隣に居るシャルは苦笑いだし、後ろの方に座ってる本音なんか同情の目を向けてくるし。そんでもって
「さて、お前ら良くIS学園に入学してきた。まずはおめでとうと言おうか!!」
担任が何をとち狂ったか分からないが、なんでオータムなんだよ!!それでいいのか元亡国機業幹部!!
「アタシがこのクラス、一年三組の担任のオータム・ミューセルだ。副担は今用事があって来れねぇが、まぁ問題はねぇだろ」
((いや大有りでしょ))
「とりあえずホームルームだしな……簡単に自己紹介からやってもらおうか。まぁ最初は当然、ブリュンヒルデの弟の一人にやってもらおうか」
「……はい」
もうどうにでもなれという表情で立った春秋の顔を良く観てみる。原作の一夏よりは長いが、それでも長髪とは言えない黒髪に、千冬似の鋭い目、IS以外でもそれなりに武術をやっていたような貫禄は同い年ながら存在していた。
「皆さん知っての通り、姉さん……織斑千冬の弟の織斑春秋です。趣味は柔術と読書で、目標は二人の兄と姉を超すこと……ですかね。以上です」
なるほど、紹介を聞いただけで良く分かる。こいつは紛れもなく『転生者』だということが。
織斑千冬は紛れもなくISでは自他共に認める天才であることは有名だ。ブリュンヒルデと唄われた第一回モンドグロッソでは、その当時第一世代型の愛機『暮桜』を使って、相手の当時第二世代専用機だったイギリスのチェルシーさんが操った遠距離型の『ブルー・ローズ』を剣一本で互角の勝負を繰り広げ勝った事からも良く分かる。
さらに織斑一夏、これもまた別の意味で天才だろう。原作では戦闘経験こそ少ないものの、他人の行動を短時間で予測したり、少ない時間で高難度の『瞬間加速』を覚えたことからそうわかる。
それを超すということを目標としてる。つまりは自分は負けないという自負を持ってるからこそ言える台詞なんだろう。
ってあれ?なんか女子が一斉に黙ってるしって……このパターンは!!
「「「キャァァァァ!!」」」
「「ウギャ!!」」
出ました。ISお約束の黄色い声ソニックウェーブ!!つうか窓ガラス普通に振動してるし!!
「真面目系のイケメンよ!!」
「しかも織斑先生の実の弟!!」
「今年に入学できて良かった!!」
「今年の本は兄×弟で決まりね」
「違うわ、もう一人このクラスに男の子が居るということは」
おう、自己紹介一つでここまで女子がトリップするなんてな……こりゃ俺の時は確実にヤバイ……。あとお願いだから俺を薄い本の題材にするな!!
「OK、ならその事を千冬のやつに伝えとくからな」
「ちょ!!流石にやめてください!!俺が酷い目に会うんで!!」
……なんだか良く分からないが、まぁ良いだろう。
「じゃあ男子繋がりで俺も紹介良いですか?」
「お?良いぞ。サクッと頼むぞ」
なんだかぞんざいに扱われてる気がするな……。今度スコールに頼んで給料カットしてもらおうかな。
「とりあえず、自分はクロト・D・フェブリエ。フランスのフリーデン社の所属で、一応社長の実子です。趣味は料理と機械弄り、目標は平穏無事な生活です」
それを言った瞬間に周りが再び静まる。あ、このパターンはあれだな、耳をふさg「「「「キャァァァァァ!!」」」」
「ぬぉぉ、またか!!」
まさか行動する前に発動するとは思わなかった。あれか、ミラフォか!!俺の耳を塞ぐという行動に対して発動するものなのか!!
「爽やか系のイケメンよ!!」
「しかも御曹司!!」
「グフフ……これで春×クロ、いえクロ×春ネタは描けるわ!!」
だから最後の女子!!俺をネタに薄い本を作ろうとするな!!こりゃ釘を刺しておかないとな。
「一応言っておきますけど、既に彼女持ちですから薄い本とか止めてくださいね、妹の教育にも悪いですし」
「「「な、ナンダッテー!!」」」
まさかそう返されるとは思ってなかった俺は逆にたじろぐ。個人的にはガッカリされるのが一番良かったのにこの対応なんだ、逆に悲しくなってきた。
「カッカッカ!!残念だったな餓鬼ども、出会いが一つ頓挫してな!!」
「えっと……先生?そこは納める立場なんじゃ」
「いや、むしろこの状況を肴に酒でも飲みたいくらいなんだがなw」
((人の不幸をなんだと思ってんだ!!))
もうこの一年近くで馴れたが、やられる方は堪ったもんじゃない。
「まぁ他の女子達の紹介は後で良いだろうな。ともかく、これから少なくとも一年はこのクラスで過ごすことになる、全員仲良く殺れよ」
「「「はい!!」」」
((((なんか文字が物騒なんですけど!!))))
休み時間、俺は漸く休めると思って体を倒してる。
「ちょっといいか?」
と、テンプレのように春秋が近付いてくる。
「……これで大丈夫に見えるならまず眼科へ行け」
「言ってくれるなぁ……とりあえず二人で話をしたいんだが」
「……良いだろう」
そう言って俺は席を立つ。次の時間までそれなりにあるため、俺たちは揃って屋上の方へと向かう。途中女子からの視線が怖かったが、気にしても仕方ないと割りきる。
「……で、話ってのは?」
「ま、互いに分かってるだろうけどさ、お前もだろ?転生者」
やっぱり、というべきか予想は当たっていた。ということはつまり、
「……俺がそれだっていうその根拠は?」
「一つ、お前がフリーデン社の社長の息子だから。あそこは社名は変わったけど、人事のほぼ全ては旧デュノア社の人間がそのまま残ってる。ということは社長はデュノア社の社長だった人物、つまりシャルロット・デュノアの父親だ」
「……」
「二つ、フリーデン社の名前だ。俺の覚えてる限り、フリーデンってのは戦艦だ。しかもあるアニメのな。そして第三に去年の冬に起きた『EUISコンペ強襲事件』の際に、巨大なレーザー兵器が射たれたっていう目撃情報がある。つまりは――」
「OK、隠しても無駄だな」
まさかそこまで思慮深いとは思ってなかった。こいつはもしかして頭脳担当系の転生者なのか?
「想像の通り、俺も転生者だ。機体は想像の通り『ガンダムX』こと『月下銃士』、正式名称は『ルナーク』だ。もっとも、そっちは有名すぎてここではあまり使う気がないがな」
「そうしてくれ、あんな出力のエネルギーを戦闘で使われたら為す術無いからな」
おどけて言ってるが、その目は確実に獲物を狙うハンターの目だった。
「それで、お前の機体は……いや、聞かないでおこう。楽しみが減るからな」
「そうしてくれ、というつもりはない。そっちの機体はあれだろ?『イノベイク』とかいうやつ。内容がバレてたら詰まらないからな」
ヒントをやる。といってやつはあるものを取り出してきた。それは金色に輝く鳥のような……ってまさか!!
「おいおい……まさかのあの作品からかよ」
「といっても外伝の機体だがな。そういうわけだ、戦いの時は正々堂々殺らせてもらうよ」
そう言って春秋は離れていく。が、俺は未だに動き出せない。まさか――
「……どんだけここに来る転生者はティターンズ寄りなんだよ」
俺は苦笑を浮かべる他がなかった。
次回は一夏sideをメインにしたいと思います。